ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
具体的にいうと一話の文字数を五千字程度まで下げます。
読み応えのある長い文章をお望みの方には申し訳ないですが、理由としては最近7000字近くまでかくのが時間的にきつくなってきたことです。
更新頻度も遅い作者ですが、これからもよろしくお願いします。
「……確かに、マギウスの人たちは信頼を置くには難がある人たちかもしれないよ」
さやかの放った『マギウス』には裏の目的が考えられるという言葉に観鳥はそう返した。
しかし、その表情にはわずかながらに諦観のようなものが入っているようにも見え、彼女自身どこか感じ取っていたのだろう。
「でもさ、結局観鳥さんたち魔法少女はあの人たちの目指す『解放』がないと生きていけないんだよ。それが例え、あの人たちにとっては本来の目的ではなかったとしても」
「……そうだろうな」
観鳥の言葉に納得した声を挙げるさやか。
電波塔での戦いの時にもわかっていたことだが、マギウスの翼に身を置く魔法少女たちの多くは総じて魔力の保有量が少ない、端的に言えば弱い魔法少女たちだ。
さやかには魔法少女としての経歴がまだ浅いからわからないことだったが、それが長いほむらが魔女を彼女ら単独の一人で倒すには厳しいと言葉を漏らすほどだ。
「君たちは、解放自体には賛成だけど、そのやり方自体に異を唱えている。なら、今の君たちにはそれ以外の方法があるの?そうじゃないと、例えマギウスを止めたとしても何も変わらない」
観鳥の言葉ももっともだ。
ただマギウスを止めたとしても、何かそれに代わる手段を掲げなければ、翼に所属している魔法少女からは自身が生きるための希望を、ただこちらのエゴでつぶされたに等しい。
さやかたちにそのつもりはなくとも、遠回しに弱い魔法少女は死ねと言われているものだ。
その先にあるのはさらなる争いしかない。
「確かに、方法はないな。情けないが、お前の言う通りだ」
少し考えるような様子を見せたあとにさやかはそう答えた。
あまりにも淡泊な、あっさりとした返答に観鳥は目を見開いた。あと少し時間があったら思わず拳が出てきそうになるほどだった。
「だが、希望はある。翼に所属しているお前の目の前で言い方は悪いが、誰かが傷つくしかない救済よりはずっとな」
そう言い切ったさやかの表情は観鳥が見てきた中で一番穏やかで、柔和な笑みだった。
「……いやー……あれはちょっと人として出来過ぎでしょうよ」
さやか達から解放された観鳥は開口一番にそんなことを溢す。
言うまでもなく、それはさやかのことを指していた。
偶然ながらも今回初めて顔を合わせる羽目になった美樹さやかという魔法少女を観鳥は一応ある程度調べていた。
一応、というのも取材を行ったのは羽根達の間だけだった上に、そのほとんどは「強すぎる」「怖い」「なんか空飛んでる」とあまりパッとしない言葉だったため、観鳥は参考にするつもりはなかったにしても、漠然とさやかのことを怖い魔法少女であると無意識下で思っていた。
しかし、その取材を行っていた中で明確にさやかに対する意見が違ったのが3人いた。
3人といってもそのうち二人はほとんどいつも一緒にいる天音姉妹のことなのだが。
「……あの人は、確かに強い御方でございます。いえ、強すぎるというのも過言ではないでしょう。実際わたくしたち姉妹でも幾分か向こう側に有利があったことを加味してもほとんど歯が立ちませんでしたし。それ故に他の黒羽根の方達が怖がってしまうのも致し方ないことでございましょう。現にわたくしたちは七海やちよさんのグループ含め、いくつものウワサを破壊されたりするなどかなり辛酸を舐めさせられる結果となっています」
天音姉妹の姉の方、天音月夜はさやかのことを気難しい顔でそう語る。
それに観鳥は月夜にこう尋ねた。『なら、解放のための邪魔をする美樹さやかのことを少なからず悪く思っていると?』
その質問に月夜は眉間にしわを寄せ、浮かべていた気難しい表情をより一層深める。
「……あの地下水路で初めて相まみえたときは、少なくともそうでした」
「……まるで今は違う、とでも言っているようにも聞こえるけど……」
「……そうですわね。きっと、そうなのでございましょう。あの電波塔における戦いから、わたくしはあの方たちに対して敵意を持ちづらくなっているのでございます」
「……それは向こうにそういう魔法の使い手がいたから、と言うわけではない?」
「確実にそうだとは言い切ることはできないでございます。ですが、別の白羽根の方からはわたくしが何か自分のもの以外の魔力に侵されている気配は感じないとお墨付きをいただいているのでございます」
「なら、ちゃんとした理由、もしくは心境の変化があったと?」
「そうなのでございましょう。なぜなら、あの方々たち……特に美樹さやかたち見滝原の魔法少女はすべてを、魔法少女たちに知らずのうちに課せられた運命すべてを理解している。そのうえでわたくしたちに反旗を翻しているのでございます」
月夜の口からそれが語られたとき観鳥は内心信じられないというものだった。
なぜなら答えは簡単。意味がわからないからだ。
魔女化、そしてソウルジェム。
そのどちらも真実を知った身からは到底受け入れがたいものだ。
その未来に行き着くのが嫌だったから、他の羽根たちと同じように翼の一員に加わったのだ。
「……その人のことなら、私もある程度知っています。なんなら知り合いの魔法少女と一緒にあの人に助けてもらったことさえあります」
二人目はしらみつぶしにさやかのことを聞き回っていたときに会った黒羽根の一人だ。羽根たちの間の規則でフードを被っているため顔を見ることはできなかったが、わずかに黒髪のショートが見えていたのは覚えている。
「強さに関しては多分、他の人と同じようなことしか言えないと思います。それくらい、あの人は強かったです。何せ、他の地域の魔女より数段強いって言われている神浜市の魔女をはじめてだったにも関わらず一人で倒せてしまうくらいなんですから。しかもあの人は倒したあとにこうも言っていたんです。先輩の方がもっと強い。私はまだ魔法少女になってから日が浅いって」
「その知り合いしか他の魔法少女を知らなかった私にとって、あの日は衝撃的でした。まぁ、実際には私は気絶していたのでこの目で見たわけではありません。でも、それでも一目見ただけでわかってしまうんです。あの人は普通の魔法少女とは、まるで違う存在なんだって」
その黒羽根の言葉をメモしながら観鳥は質問を続ける。
「……そう思ってしまう要因とかってわかる?」
「……外せないのはあの人の魔法少女としての姿ですね。あんな全身に武器をつけているような魔法少女なんて世界のどこを探しても絶対にあの人しか見つかりませんって。それと……あの人は理想の魔法少女みたいだからです」
「理想の……魔法少女?」
黒羽根の言葉にいまいち理解することができなかったのかメモに残しながらも首をかしげる観鳥。
「……普通の人から見て、魔法少女って聞けばどんな想像をするんでしょうか?」
目の前の黒羽根からの質問にわずかに答えを窮する観鳥。
魔法少女とはまさしく自分達のことを指しているが、彼女の言っている魔法少女がそれとは別であることはわかっていた。
「……魔法の力を使って、弱きを助け、悪を倒す、正義の味方ってところかな?君のお眼鏡に叶う答えが出せてるかどうかはわからないけど」
「……いえ、大筋は合っています」
観鳥の言葉にひとまず頷く姿勢を見せる黒羽根の彼女。
「あの人はそれこそテレビのようなところから現れた魔法少女みたいなんです。魔女にすら勝てない魔法少女は生きることすら難しい。助けたってなんの徳にもなりはしない。魔力の無駄にしかならない。だから私みたいな弱い魔法少女達はマギウスの翼に身を寄せたんです」
そう言うと黒羽根は顔を俯かせる。といってもフードを被っているせいで動きからそのように見えるというのが正確だが。
「それなのに、あの人はそうすることが当たり前と言わんばかりに手を差し伸べるんです。必要だと思ったら、グリーフシードですらあの人は簡単に差し渡したりしてました」
「グリーフシードまで!?」
驚きを隠しきれず、大きな声をあげてしまう観鳥。
魔法少女にとってグリーフシードはまさに必需品だ。
今は神浜市にいるからグリーフシードに呪いが溜まりきってもドッペルという形で消費されるが、それ以外の地域では呪いを抱え込みすぎると魔法少女は魔女に変貌する。
つまりよほど仲のいいグループの内々でないとグリーフシードのやりとりなんて起こり得ないのだ。
「そ、それで他になにか言ってたりしなかった!?」
「え、ああ……知り合いから聞いた話だと、初めはその子もいらないって言ったんです。私もその時意識があったなら同じことをした……と思います」
わずかに言葉に間があったことが、グリーフシードさえ明け渡すという衝撃に観鳥はメモを取るのに必死だ。
「でも、あの人は自分は魔力については気にしなくていいって言って私と知り合いの分の二つを渡してくれたんです。後で聞いたら、ソウルジェムは魔力を使った形跡がまるで見当たらないくらい綺麗だったそうです」
「……普通魔力は使えばその分呪いとして貯まるはずなのに使った感じが見当たらない……彼女の使う武器は複数あるとも聞いたからその影響?」
黒羽根の言葉に若干興奮気味にメモをとる観鳥。ここ最近はあまりパッとしないスクープばかりなのと、羽根向けのモノを作っていたからか久々の匂いにあてられているようだ。
「……あの人はマギウスじゃ魔法少女を救うことができないから戦っているの?じゃあ私はどうしたらあの子から、この罪から救われるの?」
その声はメモを取り続けている観鳥には届かず、だが確実に彼女の心を黒く蝕み続けていた。
「話ができる相手で助かった」
「話というより、脅しに片足を突っ込んでいなかったかしら?途中から鹿目さんとずっと話してた私が言うのもなんだけど」
「あはは……基本さやかちゃんがあの人と話してたもんね……」
「よってたかって詰め寄るのもいただけないじゃない?」
観鳥を解放したあとの会話でそんなことを話す。
まぁ、実際マミの言う通りではある。
しかし、変に写真が出回って仮にまどかの近くで被害が出てしまったら色んな意味でとんでもないことになってしまうのは目に見えていたから仕方のないことである。
「……おい、ちょっといいか?」
声をかけられ、後ろを振り向いてみればそこには杏子がいた。
彼女が浮かべている顔は無表情で顔色から察することはできないが、そういう顔を見せるということは大体パターンが決まっている。
(……不機嫌なようだな)
とりあえず彼女を怒らせることにメリットはない。
名前に出さずとも自分が呼ばれているのはわかっていたため、杏子に連れていかれる形で少しだけまどか達から距離をとった。
「何か気に障ったか?」
「……不機嫌なの察しときながらいけしゃあしゃあと言って、ホントお前って意地悪いよな」
「そうか?あまり気にしたことはないが、善処した方がいいのか?」
「……いや、いい。それがお前さんって奴だからな」
「……お前の言葉、忘れた覚えはない」
不意に出された言葉。そっぽを向かれたさやかに見ることはできなかったが、一瞬だけ動きを止めたのを見逃さない。
「お前の性根はわかっているつもりだ。暴くような物言いだが、一応心配してくれてるのだろう?」
「……お前、割とエスパーくさくなってきてんのに曖昧なこと言うんだな」
「所詮わかるぐらいのものだ。それに感じても言葉に表しづらいことだってある。普通のヒトとそう変わらない」
「いや、目が金色に光るのは流石にちげぇって。んなの世界探してもテメェしかいねぇよ」
「……そ、そうか」
「とにかく、忘れてねえならそれでいい」
話を切り上げるように杏子は早歩きで先ゆくまどか達と合流していった。
どことなく素直ではない彼女の様子にさやかはわずかに肩を竦めるが、その表情は確実に朗らかだった。
感想くれるとウレシイ…………ウレシイ………
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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ガンダムではない