ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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うーん、中々書く時間が取れないのー…………


第79話 復讐の炎は未だ消えず

 

「……………東側は前に来た時からどうにも退廃的な印象を抱いてはいたが、まさかそこまで差があるとはな。」

 

十七夜の話を一通り聞いたさやかは難しい表情を浮かべる。

彼女の話は神浜市に魔法少女が多い理由のその一端だった。

見滝原はそれなりに大きいが魔法少女の数はついこの間まで地域全体でマミ一人だったのに対し、神浜市はほとんど飽和状態に近しいほどその人数が多い。

 

その理由の一つに西側と東側で経済的格差が目に見えて広いというものだった。

 

神西区を始めとする西側は見滝原と似たような建物も多く、いわゆる近未来都市に発展している印象を多く受ける。なんなら見滝原より進んでいる感覚すらある。

 

だが対照的に東側、今現在さやかたちのいる大東区や以前足を運んだ工匠区はシャッター街が多かったり、どことなく前時代的な建物が数多く存在したりととてもではないがあまり同じ都市の中とは思えなかった。

さやかも先程語った通り退廃的な印象を抱く区画だ。いろはの住んでいた宝崎市も建物の外壁にツタが張り付いていたりと寂れた印象を受けるが、あれはそういうものだと言われれば納得できたが、東側は冗談ではなく、まさに真性のソレだった。

 

「西側との差でそれを羨んだ人たちが魔法少女になって願いを叶えて…………それで本当を知った人や魔女との戦いに疲弊した人たちがマギウスを頼った。」

 

「だがそれは私たちに解決できる問題ではない。確かに問題の一つではあるだろうが、行政など門外漢も甚だいいところでしかないからな。その手の人たちに任せるしかない。」

 

「……………その通りです。やろうと思えばできるでしょうが、その手法の先はいずれも外道の末路。あろうことか『飛蝗』と同じなど死んでも嫌です。」

 

経済問題とか解決は無理というさやかとマミに対し、嫌悪に近い表情で誰か、もしくは何かと比べるななか。

もちろん飛蝗なんて漢字や単語すら思い浮かばない中学生のさやかは気にはなりはしたが首を傾げるだけに留める。

理由としてはただ単純。その単語を出した時のななかの感情の昂りがとんでもないからだ。

表面的には出てきてはいないが、イノベイターとしての感性が彼女のまるで火山の噴火のように沸き上がる怒りを捉えていた。

これは地雷なんてものではない。やちよはフェリシアの時とは群を抜くヤバさに流石に閉口を貫くつもりだった。

 

「そういえば飛蝗というのは「やめておく」やけに食い気味に突っぱねたな。」

 

多分さやかたちが飛蝗のことの知らないことに気を回すつもりだったのか説明しようとした十七夜の言葉に割り込む。

 

「そいつがとんでもない奴というのは彼女の雰囲気を見てれば察せられる。確かに私たちはその『ヒコウ』とか言う存在のことは知らないが、それだけで十分だ。今必要なのは現状をどうするかだ。」

 

「……………自分の時もそうだったが、美樹君の能力は察知することなのか?そうでなければ説明がつけられんほどの鋭敏さだと思うのだが。」

 

「残念なことにこれは自前だ。元々雑に勘や気配には鋭い方でな。特に─────」

 

そう言うとさやかは細めた視線を十七夜に向ける。その目線を向けられた十七夜は見透かされたような感覚を覚える。

さながら彼女の固有魔法である読心を自分自身に対して使ったような感覚だった。

 

「────いや、なんでもない。自分で言っておいて話の逸れるようなことを言ってすまない。」

 

(まさかとは思うが、この心の内にある怒りを見透かされたのか?)

 

急に下手を打ったと言うような表情で顔を背けるさやかに十七夜は訝しげな様子でそれを見つめる。

なんならそれこそ自身の能力を使ってでも確認するべきだろうとは思ったが、時間がかかる上に魔法少女の能力ではない自前で心への干渉に気づいたさやかにまた能力を行使するのは色々と危ないと判断し、気持ちをグッと抑える。

 

(……………………またやらかすところだった。しかも見え透いた特大地雷とくる。一体なんだあれは。)

 

内心で困った表情を見せるさやか。

見えてしまったのは彼女の胸中に湧き出ている感情のようなものか。

黒い炎、そう表現するしかないほど苛烈でかつ真っ暗闇をのぞいているような感覚は初めてだった。

あれがいわゆる恨み辛みのもので構成されているのだとしたら、一体どれほどの人生を送ってきたのか。

 

(…………ともかくこればかりは触れるべきではないだろうな。流石に火薬庫に通じている導火線には慎重に行くべきだ。)

 

 

「…‥‥‥‥まぁいい。ところで君たちはこれからの方針のようなものはあるのかな?」

 

「南側の代表者の名前は知っているだろうか?できればその魔法少女とも話がしたい。」

 

十七夜に方針について尋ねられ、さやかがそう伝えると考えこむ仕草を見せる。

 

「ふむ、都くんのところにか‥‥‥‥‥」

 

「あの、何か問題でもあるんでしょうか?例えば連絡が取れないとか‥‥‥‥」

 

微妙そうな様子を見たマミが不安そうに聞くと、十七夜はいや、とマミの不安を取り払うように首を横に振る。

 

「南側の代表者の名は都ひなのという。ただ、彼女は厳密には南側の代表者と言うわけではない。」

 

「?…‥‥ですが七海さんからは地区の相互不可侵は貴方とその南側の代表者と話し合って決めたことだと‥‥‥‥」

 

「それは都くんしか任せられる人物がいなかっただけだ。自分はともかく、七海は周りから祭り上げられて今の代表者という形に収まってはいるが、都くんはそれがより顕著だ。」

 

「…‥‥‥要はまとめ役や相談役のような、周りから慕ってもらいやすいポジションにいた結果そうなったということか。」

 

ななかの疑問に十七夜が肩を竦めながらそう答えると、さやかがまとめるように結論を出す。

大方さやかのまとめ方で相違ないのか十七夜は無言で肯定をした。

 

「それに‥‥‥都くんがとりまとめている中央区は事実上の中立地帯になっている。中立地帯と聞こえはいいが、実体は行き場を失った魔法少女がほとんどだ。自分の至らなさを露呈するようで情けないが、聞く話によるとその地区の魔法少女に対してグリーフシードの巻き上げのようなことが起こっているらしい。」

 

「ッ…‥‥なんと悪辣なことを…‥‥」

 

「あまり聞いていて気分のよくなる話ではないですね…‥‥」

 

中央区の現状に辟易とする表情を見せるななかとマミ。

もちろんさやかも不快感を感じないわけではなかったが、それとは別のことが気がかりだった。

中央区と言えばさやかたちが二葉さなやアイと出会った電波塔のある地域だ。

十七夜の言う中立地帯ということが本当ならマギウスの翼は地区における不可侵の取り決めを破っていることになる。

 

「‥‥‥‥やはり奴らは何振り構わずに行動を起こすつもりか。」

 

いろはの話からマギウスの残り二人の里見灯花と柊ねむは両者ともにまだ小学生であると聞き及んでいる。

小学生がリーダーをやっているという事実にその時居合わせたみかづき荘とさやか達は半ば冗談だろうと思っていた。

しかし、その後のいろはの『ねむちゃんならともかく灯花ちゃんは割と調べれば写真付きですぐ出てくる』という言葉に半信半疑で調べてみるとホントに出た。

しかも彼女は宇宙科学の権威的な人物でもあり、調べれば調べるほどまぁ、高名そうな人物との会談が議事録付きで出てくる出てくる。

 

「……………こんなハイスペック魔法少女が存在していいのか?」

 

「いや、オメェが言うな。」

 

「この子でハイスペックって言うなら貴方はオーバースペックよ。一体何回言われたら自覚するのかしら。」

 

あまりの事実にさやかは愕然としながらそう言葉を漏らすと杏子から鋭い手刀を脳天に落とされ、呆れた様子でほむらからそう言われたのが記憶に新しい。

 

(奴らは、マギウスは一体何のために行動をする?私にはどうにも魔女化の運命から逃れるためとは別に理由があるとしか思えない…………)

 

幾度もなく思い浮かんできた疑問を同じ結論でしまい込む。

いくら考えたところで結局は机上の空論を超えることはできない。

実際に会って、話してみるしかないのだ。

 

(と言っても、コイツのインタビュー動画を見てみたが、何か苦手な感じがする………話し方も人を若干小馬鹿くさくするのもさることだが……………声か?)

 

里見灯花のインタビュー動画があったので見てみたが、そんな印象を抱くさやか。

 

「でも、その人もとりあえずまとめ役ではあるのですからこちらとしては顔を合わせておきたいんですが…………美樹さんもそう思うわよね?」

 

「……………まぁ、会えるのであれば。もちろん無理強いをするつもりなどもないが。そういえばこの前そちらで声をかけてみると言っていた人たちはどうなっている?」

 

「通っている学校が違う人がいるのもあってか多少のズレはありますが、会うところまで進んでいるところです。」

 

「すまない。こればかりは完全にそちら任せだ。人脈がない以上どうしようもない。」

 

「ここまで来ればもはや一蓮托生でしょう。ですので、集めたあとはよろしくお願いしますね?」

 

「?…………何を意味してるかはわからないのだが……………変なことではないよな?」

 

「まぁ……………貴方なら大丈夫でしょう。はい。」

 

「不安だ……………」

 

にこやかな顔を浮かべるななかの言葉に訝しげな目線を見せるさやか。なんだか無性に不安にさせる言い方に思わずため息を吐く。

そのやりとりに十七夜は面白がるように口元を隠し、クスクスと笑う。

 

「……………中々の善性っぷりだな。自分としては色々とあったからかあのような人間をみると少しばかり気掛かりになってしまうのだが。」

 

「まぁ……………普通でまかせだって言われてもしょうがないことでも、あの子はその言葉に嘘がないと理解してくれて信じちゃうんですもの。ホント、すごい人です。そのあり方に救われた人もいれば支えになっている人もいます。」

 

「…………………彼女、存外に上に立つ者としてのセンスがあるんじゃないかと思うのだが?」

 

そう言う十七夜の言葉にマミはどうだろうと言うように微妙な愛想笑いのような表情を浮かべるだけだった。

 




えー、マギレコを知らないガノタ諸兄のために里見灯花嬢を一言で言いますと

超絶賢いメスガキネーナです。

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

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