ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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オーヴェロン!!!

(おめぇあの強化中ゲロビ銃口やばすぎんだよ!!)10敗


第81話 死合ってみるのも一興

 

「さぁ、行くぞ!!ザンライザー!!」

 

掛け声と共にさやかはザンライザーの上に乗ると取り付けてある二振りの大剣、GNバスターソードⅢを手に取り、連結。両刃の大剣にすると、ザンライザーを突撃させ、このはたちに向けて大剣を振りかぶる。

 

「叩き斬るッ!!」

 

「みんな、ふせてっ!!」

 

ザンライザーのインパクトに呆気を取られていた一同だったが、このはの声掛けにハッとすると言われた通りに伏せるなりその場を飛び退くなりしてザンライザーの進行上から退避した。

 

(司令塔は静海このはか。)

 

直線上にターゲットがいなくなったさやかは分断したこのはたちの間を通り抜けるにとどめ、そのまま上昇し、上空で周りを旋回し始める。

 

「空を飛ぶってああいうことなのッ!?」

 

上空を旋回するさやかを見上げ、このはは悲鳴に近い声を思わず挙げてしまう。

一応前もってななかからさやかの戦闘スタイルのようなものは聞かされてはいたが、まさか乗り物のようなものに騎乗するとは思いにもよらなかった。

それもそのはず。ザンライザーのことはななかたちですら知らないことだ。

故に離れたところで戦闘の様子を観戦していたななかたちやこのみを含めた戦闘に参加しなかった魔法少女もこのはと同じような呆気にとられた形相を見せていた。

 

「‥‥‥‥私たちのときとはまるで戦い方が違うのですが。」

 

「そうねぇ、そのうち慣れるわよ?私たちも実際にあの子がザンライザーを使うところを見るのは初めてのことだけど。」

 

訝しげな表情を浮かべながらそう追及してくるななかに落ち着いてと言うように紅茶を淹れながらそう答えるマミ。

 

「一応私とこのみちゃんはあの飛行機のようなのに乗らせてもらったことがあるんですけど、あんなに速いんですね。」

 

「ザンライザーって言ってましたけど、アレは一体…………?」

 

「さやかが言うには支援用らしいぜ?ま、要は魔女の使い魔とおんなじようなこった。」

 

「…………確かによく見てみると今さやかちゃんが持ってる剣の他にも武器みたいなのが見えるから支援用と言われればそうなのかな?」

 

空を旋回して上空からこのはたちの出方を伺っているさやかを見て、あきらがそのような感想を口にする。

 

「じゃあ、あの飛行機は飛んでるだけなんですか?」

 

「…………それで済んでしまえば、いくらか可愛げはあったでしょうね。」

 

ほむらの言葉に全員が心の中で(え、あれ以上にまだ何かあるの?)と、内心苦笑いのようなものを禁じ得なかった。

 

 

 

 

 

(さて、どうしたものか‥‥‥‥)

 

 

静海このはの申出から始められたこの模擬戦。

まぁ、実力を知っておきたいという理由に何ら異議のようなものが出てくるわけではなかったがそれでも危ないものは危ないため、過剰な攻撃は厳禁だ。

できるのは近接攻撃を覗けば、ザンライザーの装備であるビームマシンガンとミサイルくらいか。

 

(それ以外は牽制が関の山だな。)

 

さやかはGNソードⅡロングを取り出すとザンライザーで移動したまま射撃を開始する。

当てる気もサラサラないため、発射されたビーム自体はこのはたちの周りに着弾するだけだが、着弾するたびに巻き起こる爆発と空気を揺らす振動に何人かは目を丸くしたまま呆けたように固まる。

 

「やっばぁー‥‥‥‥ガチでモノホンでビームじゃん、こっわぁ…‥‥っていうかさっさんに近づける人いる?ぶっちゃけムリくない?」

 

さやかの撃ちだすビームの火力に顔を青くしながら衣美里がそんなことを口にする。

現状、空を駆けまわるさやかに対抗するには張り合って遠距離攻撃を行うか、弾幕をかいくぐりどうにか肉薄し接近戦に持ち込むかの二択だ。

どちらにせよ、さやかをザンライザーからはたきおとす必要がある。

しかし、魔法少女は大半が近接武器を得物としている。

 

「相野さん、貴方の弓で落とせそう?」

 

「いや~、それがさやかさんったら速いの一言でー…‥‥あたる気配がまるで見えませんね。弓道部とかちゃんとしてきた人じゃないと‥‥‥」

 

「‥‥‥‥あの速さだとそもそも狙いをつけられないと思うけど‥‥‥」

 

メンバーの中で唯一弓という遠距離武器である相野だったが、結果は散々の一言。

撃ったところでさやかにザンライザーの軌道をずらされてしまい、弓は空を切る。最悪避ける素振りすら見せず、そのままスピードで振り切られてしまうのもザラである。

ボソッとせいかが言った通り、さやかのスピードは狙いをつけるには酷すぎる。

 

「それはそうだろうねぇ~、あのスピードで点の攻撃当てるのは文字通り苦行でしかないよ。」

 

「何か方法でもありそう?葉月。」

 

「まぁね。と、言っても常套手段の一つだけどね。」

 

「皆さま方、美樹さんが何やら不審な動きを!」

 

何か我に策有りと言うような葉月と会話していると薙刀を構えた明日香が警戒心を最大限に高めた様子で声を荒げる。

何やらさやかが不審な行動をとっているとのことだったが、それは視線を向けるとすぐにわかった。

直前まで空を旋回していたさやかだったが、突然高度を下げると土煙を巻き上げながら突っ込んでくる。

 

(また突っ込んでくる気………!?)

 

さやかの行動にそう思ったこのは。

しかし、先程の突撃とは違い、さやかはザンライザーに乗ったまま武器を手にする様子はない。

 

「相野さん!!行ける!?」

 

「やってみる!!」

 

このはの声かけに相野は弓を構え、引き絞る。

弓に添えた左手の先にいるさやかに狙いを定め、放った。

 

(…………剣を投げてもよかったが……………手元が狂えば大惨事だったな。)

 

なんとなく投擲技術に関しては自信があったさやかは相野の持つ弓の弦をピンポイントで狙ってみることを考えたが、すぐに考えを改める。

その間にも相野の放った弓矢はさやかめがけて飛んでくる。とはいえ矢の軌道的に急所のところを狙ってきているようには見えなかったが、当たればそこそこ痛いだろう。

 

(なら、これで出方を伺うか。)

 

飛んでくる矢に対し、さやかはその場で後ろに向かって跳躍し、ザンライザーから飛び降りる。さやかを狙った矢はザンライザーとさやかの間を通り過ぎ、ザンライザーはそのままこのはたちに特攻じみた速さで突撃してくる。

 

「なっ!?飛び降り────」

 

「ささらん、あすにゃん!!あれ(ザンライザー)止められる!?」

 

「えっ、あれ(ザンライザー)止めるのぉ!?」

 

このはが驚きから指示を出すのが遅れ、その代わりに出された衣美里の言葉にささらと明日香は正気を疑うかのような顔を見せる。

 

「いや、実際あれ止めれたら結構デカい!!だってその間はあの子飛べなくなるはず!!」

 

「な、なるほど!!!それは完璧に盲点でした!!」

 

葉月の指摘に明日香は感服したような反応を見せると突っ込んでくるザンライザーに対し、意気揚々とした様子で立ち塞がる。

 

(……………知らないというのは本当に時々残酷なんだな……………)

 

遠巻きで見ていた面々の総意である。

ともかくザンライザーを止めるべく、明日香とそれに引っ張られる形でささらはその進路上に躍り出る。

 

「しょうがない。明日香、本気で止めに行くよ!!」

 

「承知しました!!我が龍城流の名に掛けて、薙刀の錆にしてやりますとも!!」

 

「え、斬るつもりなの?止めるんじゃなくて?」

 

そんなやりとりの間にもザンライザーは背中に背負ったGNバスターソードⅢを煌めかせながら猛スピードで突撃してくる。

その切っ先に向かって、二人は各々の得物を振り下ろした。

狙いはザンライザー本体からツノのように伸びたバスターソードⅢの刀身。

魔法少女二人分の力を持ってザンライザーのバランスを崩す算段だ。

 

「ウソォッ!?」

 

「な、なんと…………!!」

 

結論から言えば、ザンライザーは止まらなかった。

片側に突然力をかけられたことでザンライザーは一旦は大きく傾いた。

しかし、傾いただけで、勢いそのまま二人めがけて突っ込んでくる。

幸い、剣の先端が二人に突き刺さるなどということはなかったが、二本のバスターソードの間に挟まれ、身動きが取りづらくなったことにより、押し出されるように空の旅にご招待されてしまう。

 

「この…………!!!」

 

「明日香待って!この状況で放り出されるとホントにやばいから…………!!」

 

なおもザンライザーを止めようとする明日香に待ったの声を掛けるささら。

すでに高度はそれなりの高さまで上がっており、魔法少女故に死にはしないだろうが、落ちたら死ぬほど痛いのは目に見えてる。

 

「じゃあ……………どうするんですか?」

 

「うーん………………されるがまま?」

 

 

ちなみにザンライザーが途中で急停止し、慣性の法則で二人が浮いたところに滑り込むことでどうにかした。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり厳しいな。」

 

息を整えるために大きく呼吸をし、額から流れる汗を拭う。

ザンライザーをけしかけて二人ほど人数を減らしたとはいえ、目の前には八人ほどの魔法少女。

さやかの動きを見逃さないようにじっと見つめるこのはと、その彼女を補佐する葉月。

両者とも大柄な得物を所持しているにも関わらず猪突猛進と言わんばかりにさやかにインファイトを仕掛けてくる『眞尾ひみか』と『三栗あやめ』

反対に遠距離から動きを阻害してくる相野と、魔法少女姿になるとついてきた悪魔のようなしっぽからビームっぽいものを出す衣美里。

時々いつのまにかさやかの視界外にいる伊吹れいらと桑水せいかはどちらかの固有魔法で移動しているか。

そして、この中でも指折りの実力者であろう和泉十七夜。

 

はっきり言ってたいていの魔法少女単独では秒速で制圧されてしまうであろうメンツだ。

 

「流石に堪えるものがあるんだが?」

 

「えーと、この人数相手でろくに攻撃もらってないのに言えるセリフじゃないと思うなー?」

 

ため息まぎれにそう言ってみるも、葉月に笑顔でそう返されてしまう。

もっとも葉月の表情もどこか余裕もなく、張り詰めた上に笑みを乗せて固めたようなものだったが。

 

「…‥‥‥余裕がないのはお互いさまか。」

 

目を伏せながら零した言葉に葉月の表情が今度こそ固まる。

笑みが崩れなかったのは不幸中の幸いか。ともかく葉月の内心はさやかに対する戦慄に近いものでいっぱいだった。

 

(このは~!アタシってそんなにわかりやすい顔してたかなぁ~!?)

 

(し、してないと思うわよ‥‥‥‥たぶん)

 

念話で届いてくる葉月の泣き言に苦い口ぶりで返すこのは。

さやかの現状の戦闘スタイルとしては逃げに徹していると言っても等しい。

さやかの武器が7割ほど魔法少女の肉体をもってしても即死がいいところなのもあるが、よく言えば手加減、悪く言えば当てる気のない攻撃ばかりでこのはたちにこれといってダメージはない。

始めはさやかの手を抜いているともいえてしまう戦い方に眉を潜めざるを得なかったが、しばらく戦っているうちに徐々に焦燥感のようなものがにじみ出てきた。

 

さやかの攻撃が自分たちに当たらないように自分たちの攻撃もさやかに当たらないのだ。

肉薄する場面は何度もあったが、そのすべてが直前に躱されたり、手に持っている二振りの両刃剣(GNソードⅡ)でいなされてしまう。

 

(すまない、もう少し自分が美樹君の注意を引くことができればよかったのだが…‥‥)

 

(いえ、正直言って彼女を嘗めていた部分もありました。やはり、最強の肩書に偽りなし、ということでしょうか。)

 

(しかし…‥‥よもやよもやとはこのことか。ふふっ)

 

続けざまに念話を送ってきた相手は十七夜だ。

さやかの注意を引けないことを謝罪するが、その通りでさやかがこのメンツの中で一番警戒していたのは十七夜だ。能力によるものを差し引きしたとしても代表者と呼ばれるほどの実力者故に放っておけるはずがなかった。

それを理解した上で十七夜とこのははさやかを攻略するべく戦ってみたが、結果は今の通りだ。

 

(戦って気づいたことがあります。美樹さんは反射神経……………いえ、反応速度が尋常じゃないぐらいのスピードと、言った方が正しいでしょうか。)

 

(それと、彼女は察知能力も並外れているとも付け加えさせてもらおう)

 

付け加えられた言葉にこのはは首をかしげる。

さやかの反応速度がすさまじいものであるのは八人もの魔法少女の攻撃を捌いたことから理解したつもりだが、察知する能力とは?

まさかとは思うが事前に攻撃の予兆を感じ取れるというようなものだろうか、そのような疑問がこのはの中で沸き起こる。

 

(まぁ、多くは言うまい。君の目的は美樹君の実力を推し量ることだったはずだ。ならば実際に死合ってみるのも一興だろう?)

 

十七夜からそういわれると、このはは一つため息を吐いたあとに一歩前に踏み出す。

 

「‥‥‥‥このは?」

 

「ごめん葉月。ちょっと私、わがままになるね。」

 

不思議そうな表情を挙げる葉月を尻目にこのはは自身の魔力を隆起させる。

魔力は変換され、彼女の足元から白い煙が霧のように広がり始める。

このはがやろうとしていることを察したのか、葉月は若干引き気味の表情を見せる。

 

「自分が言ったことをやるだけだから、ね?」

 

「‥‥‥あんまり無理はしないでよねぇ‥‥‥正直勝てる気がしないんだから、あの子相手に。」

 

「ふふっ、これでもやけになっていたとはいえ市内の魔法少女を全員叩き潰す、なんて豪語したこともあったじゃない。」

 

「え、そこであの時の発言出すの!?というかそもそもあの子って見滝原じゃ────」

 

霧が十分に広がったところで葉月のツッコミを右から左に聞き流しながら深い霧の中にこのはは突っ込んだ。

 

 

 

 

「あれは、このはさんの固有魔法ですね。」

 

「‥‥‥‥霧んなかに多少とはいえ幻惑の効果ついてんな。」

 

戦局が動いたことを感じ取ったのか霧が立ちこみ始めた戦場を見てななかはそれがこのは仕業であると見抜く。

次いでと言わんばかりに暇なのか机に突っ伏していた杏子が顔を挙げながら霧を見て一目でその性質を見破る。

そのことに目を見開いてよくわかりましたね、と言うような顔を向けるななかに杏子はフンッと軽く鼻を鳴らすとまた枕代わりにした腕に顔をうずめる。

 

「幻惑ねぇ‥‥‥普通だったら目くらましに使うのでしょうけど…‥‥」

 

このはが生み出しているのだから彼女の方である程度指向性を持たせることはできるのだろうが、その使い方がさやかを覆い隠すのではなく取り囲むような形にマミは紅茶をつくりながら首をかしげる。

 

『────タイマンか』

 

見てる杏子と現場にいるさやかの言葉が重なる。

 

「なんなら気ぃつけた方が身のためだぜ?これでもアイツに対して割とガチで殺すつもりで戦った間柄だ。だからわかるが、アイツの盾と剣は両方超がつくほどの一級品だ。半端な覚悟で来るんなら大けがどころじゃすまねぇぜ?」

 

「ま、そもそもとしてアイツにそんな気がサラサラねぇっつうのもガチだけどな。」

 

 

 

 

「…‥‥‥‥来るッ!!」

 

「ハァァァァァァァッ!!!」

 

 

霧の中から猛スピードで現れたこのはは出会いがしらに槍を振り上げる。

その斬撃をさやかはGNソードⅡで受け止めると、辺りにけたたましい音と衝撃を生み出した。

 

「やっぱり神浜市は割とバトルジャンキーが多いな…‥‥よほどの物好きじゃないとこんなことしないだろう。何か周りも気を遣ったのか攻めてくる様子もないし‥‥‥」

 

「一度、逃げに徹しない貴方を見ておかないとちゃんとした実力を計れないでしょう?」

 

「…‥‥‥それはごもっともだな。」

 

このはの言葉に言われてみればそうだったと目から鱗が飛び出たような反応をするさやかだった。

 

 

 

 

 




今のさっさんは事実上のノーマルダブルオーです。蹴ったり踏み台にしたりしてどうにかこうにか避けてました。なお犠牲は主にさっさん相手にインファイトしてたひみかとあやめ。

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

  • ガンダムだ
  • ガンダムではない
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