ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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黒江ちゃんってさ、割とアニメでいろはにちゃんに関わらなければ絶望しきるところまであんまりいかなそう‥‥‥そんな気がしない?(ネタばれ記事よんだだけの作者)

まぁ、マギウスからの任務をこなせない自分に鬱屈とした感情抱きそうだけど…‥


第89話 エンブリオ・イヴ

 

「そういえば、彼女の記憶から一体何を見た?」

 

空がオレンジ色に染まり、日が暮れ始めた神浜市の空をザンライザーに乗った三人が駆ける。

 

「今でいいのか?」

 

「安全運転を心掛けている以上、まだ時間がかかる。長くなるならまたあとでも構わないが…‥‥」

 

「…‥‥いや、君にはさっさと話した方がいいだろう。」

 

さやかに話しかけられた十七夜はいったん考える顔を見せたが、話を手早くまとめられると判断したのか頷く姿勢を見せる。

 

「…‥‥‥確かお前、あいつらは組織として異常だとかなんとかって言ってたよな?」

 

「ああ。まぁ、私もそういう組織の構造とかに明るいわけではないから強くは言えんが‥‥‥‥‥」

 

十七夜から降ろされたひなのが怪訝そうな表情で漏らしていた言葉を呟くと、十七夜も微妙な表情で曇らせる。

 

「トップのやろうとしていることを…‥‥この場合はおそらく美樹君の言うマギウスの御三家だと思うが、彼女らの目的を少なくとも観鳥君は知らないらしい。」

 

「…‥‥‥‥以前仲間の魔法少女が計画の詳細を構成員である黒羽根が知らないことを不信に思っていたが、白羽根でもそうなのか。」

 

「ん?‥‥‥‥‥マギウスの翼がやろうとしてるのは魔女化とかからの解放だろ?」

 

「具体的に言うと、奴らが何をもって救済を成そうとしているのか、その手法が未だにわかっていない。」

 

「WhoとWhyがわかって、Howがてんでサラサラってことか。」

 

計画の詳細が白羽根にも知らされていないということに眉を顰めるさやか。

十七夜の言葉に軽く首をかしげていたひなのだったが、さやかの説明に納得した様子を見せる。

 

「だが、奴らの計画のカギとなりそうな手がかりはあった。」

 

そういった十七夜に二人は目を見開いて驚きを露わにし、その反応に応えるように十七夜も強くうなずいた。

 

 

「エンブリオ・イヴ…‥‥‥それが計画の要か。」

 

十七夜から明かされた情報を自身に覚えこませるように反芻するさやか。

曰く、マギウスの翼の本拠地にはエンブリオ・イヴなる存在がいるらしく、ソレが覚醒することで魔法少女を遍く救済することができる、というのを謳い文句にしているとのことだ。

ただし、そのエンブリオ・イヴなる存在がどのような姿や形をしていて、マギウスの翼、強いてはマギウスの御三家がソレに対して何を行っているのか白羽根である観鳥にも知らされていないらしい。

 

「…‥‥‥‥危険だな、自身が何のために身を粉にしているのか知っておかねば、こんなはずではなかったなどという結果になっては後の祭りだ。」

 

「令のヤロー‥‥‥‥‥どうして相談の一つもなしに‥‥‥‥‥」

 

「…‥‥‥‥そういえば、マギウスからの勧誘は結構な頻度であったのか?」

 

「?…‥‥‥なんでそんなことを聞くんだ?」

 

「いや‥‥‥‥別段覚えていないのならいいのだが。」

 

さやかの言葉に不思議そうにするひなのだったが、思った通り、割と昔から声掛けは頻繁にあったようだ。どこぞの宗教組織もかくやというようなペースに正直辟易していた部分もあったが、ある時からぱったりと来なくなったらしい。

 

「…‥‥‥‥‥」

 

そのことを聞いたさやかは考え込む表情を見せるが、それは表面的なものですぐに理解にたどり着くことができた。

答えは単純なものだ。あまりひなのを巻き込みたくなかった、と考えるのが筋だろう。

もしかしたら観鳥は内心、自分たちのやっていることに嫌気か何かに似たようなものが来ているのかもしれない。

当然、魔法少女に課せられた運命は過酷なものであり、それから逃れようとするのは人間としてなんらおかしいものではない。

だが、そのための犠牲を、そのために誰かを傷つけている事実があるというのは基本未成年がほとんどである魔法少女には厳しいものがある、というのがさやかの見解だ。

 

「…‥‥‥‥‥多分、彼女が気を回したんだろう。」

 

「‥‥‥‥‥アタシを巻き込ませないためか?」

 

「…‥‥付き合いの長いはずの人間がそう思うのなら、私もそうだと感じる。真意は今のところ彼女のみぞ知る、という奴だが。」

 

「どっちにしろ、令に聞かないとダメそうだな。」

 

「手は尽くす。そこから先、彼女の手を引っ張れるかどうかはお前次第だ。」

 

さやかの言葉にひなのは決心した表情で頷く。

そうこうしているうちにそれなりの距離を移動していたのか、さやかたちの眼下にみかづき荘が見えてくる。

 

「そういえば美樹君、七海のところに来たところで何か意味はあるのか?」

 

「‥‥‥‥‥知らないかもしらないが、最近彼女のところにはほかにも四人ほど魔法少女が集まっている。」

 

「そうなのか?少し前に七海と連絡をする機会があったが、そんなことはカケラも言っていなかったぞ。」

 

「ふーん…‥‥で、その新しく来た奴らに居場所を聞くのか?」

 

やちよの元に新しく魔法少女が集っていることに十七夜は聞かされていなかったことに不服そうな表情を見せ、ひなのは何か意外そうな表情で聞いていた。

 

「いや、少なくとも魔法少女ではないな。」

 

『?』

 

揃って首をかしげる二人を置いておいて、高度を下げながらザンライザーから降りたさやかはみかづき荘の玄関に向かって駆け出した。

 

「誰かいないか!!」

 

玄関のチャイムを押しながら建物の中に向かって呼びかけるさやか。

しかし、玄関の扉があけられることはなく、あろうことか中から人がいるような気配も感じない。

 

(思ったより事態は深刻そうだな‥‥‥‥!!)

 

内心舌打ちするさやかは玄関は駄目と判断するや否や、中のリビングが見える窓に駆け寄る。

 

「アイ、いるか!?私だ!美樹さやかだ!!」

 

部屋の中に聞こえるように声を張り上げ、さやかは名無し人工知能のウワサ、アイの名を呼ぶ。

しかし、アイの気配を部屋の中から感じるが、肝心の彼女が姿を現さない。

 

(…‥‥‥‥警戒されている?)

 

部屋の中にいるのはわかっているが、出てこない彼女から警戒の気配を感じ取るさやか。

アイから警戒されるような理由はないはずだが、連れてきた十七夜とひなのを警戒しているのだろうか。

 

(その割には私にもその警戒が向けられている気もするが‥‥‥‥)

 

「現状の把握がしたい。七海やちよやいろは、他のみんなはどうした?いないのならまた日を改める。」

 

拭いきれない違和感を押し込み、さやかは自身がここにやってきた要件とやちよたちの動向を尋ねる。

さやかの中で現状に対する警鐘が鳴り響くが、アイなら何か知っていると思ってみかづき荘に足を運んだのだった。

 

『…‥‥‥‥申し訳ありません。やられました。』

 

さやかがアイに呼びかけてから少しして、リビングのテレビからぬるっとアイが出てきた。

散漫としたその動きにさやかは確実にみかづき荘の面々に何かあったことを察する。

 

「‥‥‥‥‥‥貞子とかの類、じゃないよな…‥‥?」

 

『初めまして、都ひなのさん。それに東の代表者、和泉十七夜さん。私は名無し人工知能のウワサ、個体名をアイといいます。』

 

アイの風貌からどことなくホラービデオに出てくる怪異のような雰囲気を感じたひなのは表情を強張らせるが、直後のアイの態度に面を食らった表情をする。

 

「ウワサ、というと確かマギウスの翼が作ったとかいう存在、と美樹君が言っていたはずだが…‥‥‥」

 

「厳密に言えば御三家の一人、柊ねむという魔法少女が創った存在らしいのだがな。それと彼女は味方だ。すぐに敵だと断じて得物を抜くのはあまり感心しない。」

 

怪訝な表情をしながら得物の鞭を抜いていた十七夜にそう苦言を呈すると、さやかは一つ息をついてアイに向き直る。

 

「…‥‥‥‥何があった?教えてくれるか?」

 

さやかの確認にアイは静かに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

「…‥‥‥‥なるほどな、梓みふゆが‥‥‥‥‥」

 

「マジか…‥‥‥みふゆのヤツまでマギウスの翼にいるのかよ…‥‥‥」

 

「これは‥‥‥‥流石の自分も動揺を隠し切れんな…‥‥‥」

 

アイからの話をまとめると────

 

 

ある日みかづき荘に突然みふゆがやってきた。

偶然やちよが不在だったタイミングの来襲に当然警戒したいろはたちだったが、どうやらその時のみふゆに交戦する意志はなく、別の目的があってやってきたとのこと。

それは、マギウスの御三家里見灯花による魔法少女の解放とは何なのかを知るための講義への誘いだった。

御三家の一人、里見灯花が直々に自分たちの目的の説明を行い、それを聞いた上でマギウスの翼の行いの是非を問うてほしい。

それがみかづき荘にやってきたみふゆが求めたことだった。

 

「で、行ったのか?その講義とやらに。」

 

さやかの言葉にアイは再び頷く姿勢を見せる。

十中八九、講義とは魔女化を始め、ソウルジェムに秘せられた真実をいろはたちに明かすための芝居のようなものだろう。

 

「…‥‥‥七海がそれに乗るとは思えん。彼女はそれらを知っているはずだ。」

 

『七海さんは彼女の誘いを一番に警戒していました。しかし、環さんの意志も固く、結果としてはみなさんはその講義に向かってしまいました。』

 

「普通罠とか思うだろ!?なんで行った!?」

 

やちよの静止を振り切ってまでその講義に向かったと思われることにひなのはありえないと言った表情でその理由を問いただす。

 

「…‥‥いろはには別の目的がある。大方それが理由だろう。」

 

「いろは‥‥‥‥?それに目的とは一体?」

 

「環いろは。みかづき荘に引っ越してきた魔法少女だ。あまり詳しくは話すことができないが、里見灯花と柊ねむはいろはと接点があった。その接点が突然消失してしまった。彼女はそれを探している。」

 

「…‥‥‥人か?」

 

「妹だそうだ。マギウスの二人とは親友に近しい間柄だったとも聞いている。」

 

「‥‥‥‥事情は理解した。だが、なぜ美樹君に一報をいれなかった?そこがいまいち解せない。」

 

さやかの話し方からいろはは人を探していることを見抜いた十七夜の確認にさやかは他人の事情ながらも隠すことなくそれを明かすと、納得の表情を見せながら、今度はいろはたちがなぜさやかに連絡のようなものを入れなかったのかという事情を問う。

 

『おそらく、梓みふゆの魔法によって一時的に美樹さん周りの記憶を忘れさせられたからでしょう。』

 

「‥‥‥‥‥魔法と言うのは本当に多彩だな。」

 

ウワサをめぐる戦いの中、みふゆの固有魔法を見る機会が二度あったさやかは彼女の魔法が幻惑かそれに準ずるものであると思っていたさやかだったが、人の記憶にも干渉できるということに苦笑いを禁じ得ない。

 

「さて、ところでアイとやら。七海たちは結局どこへ向かったのだ?お前もその場に同席していたのなら、場所のようなものも教えられていると思うが‥‥‥‥」

 

『記憶ミュージアムのウワサ、彼女はそこを講義が開かれる場所であると語っていました。』

 

「…‥‥‥‥ウワサと相対したことがないから何も言えんが、見つかるのか?魔女の結界と似たようなものなのだろう?」

 

開催場所は記憶ミュージアム。

どうにも何かの建物のようだが、魔女と似たような性質を持っているとウワサについて聞かされている十七夜は渋い顔を見せる。

 

『…‥‥‥‥美樹さん、少しばかりスマートフォンを拝借させてもらってもよろしいでしょうか?』

 

「スマホ?別に構わないが‥‥‥‥」

 

『ありがとうございます。口で説明するよりはこうした方が時短になりますので。』

 

首をかしげながら言う通りにスマホを出したさやかにそう一言断りを入れると、アイの姿が掃除機か何かに吸われるようにスマホの画面に入り込んでいく。

 

「お、おいッ!?一体何を────」

 

突然のアイの行動に驚いている間にアイの全身がスマホに吸い込まれてしまうと、そこからマップのアプリが勝手に起動し、ある場所を画面に指し示す。

 

「これは‥‥‥‥ああ、いや。そういうことか。」

 

困惑している表情を見せていたさやかだったが、アイの意図を理解したのか程なくして納得した様子に表情を変える。

アイはいろはたちが向かった先を地図機能のアプリで教えようとしているのだろう。

赤いピンが立っている敷地につけられている名前を見ると、「神浜記憶博物館」の名前があった。

 

「‥‥‥‥‥確かここ、結構前に閉館されてる建物だ。隠れてなんかするにはうってつけの場所ってことか。」

 

「‥‥‥‥普通取り壊されたりしないのか?」

 

「美樹君それは…‥‥‥‥魔法が絡めばいくらでも、という奴だろう。」

 

「‥‥‥‥今更か。」

 

さやかの何気ない質問に十七夜が困ったような笑みで答える。

十七夜の言う通り魔法が絡んでいる以上、閉館した建物が不自然に残されていることはまさに今更なことだろう。

 

「とりあえず、場所はわかった。ちなみに聞くが、講義に向かったのはいつだ?」

 

『‥‥‥‥‥およそ半日ほど前です。』

 

「‥‥‥‥‥きわどいラインすぎるのではないか?どうする?」

 

「…‥‥‥‥行こう。救済を銘打っている以上、敵対しているからといって魔法少女を死亡させるヘマをすることはないと思うが、それをやりかねないトップが向こうにいる。」

 

半日も前、というアイの言葉に十七夜は緊迫した表情でさやかに視線を送る。

最悪、既に手遅れになっていたり、無駄足で終わってしまう可能性もある。

そんな言葉にさやかは険しい表情でザンライザーを出しながらそう返す。

さやかの言うやりかねない奴とは、無論アリナ・グレイのことだ。

彼女ははっきり言って狂人のそれだ。

人を自身の作風に染め上げ、アートにしてやるなどのたまっているが、彼女のドッペルの雰囲気からしてろくな末路を迎えることはないだろう。

 

「なんでそんな奴がマギウスの翼なんかに入ってるんだよ‥‥‥‥!!」

 

「それは私も思う。」

 

 

ザンライザーに飛び乗りながらそうぼやくひなのの言葉にさやかはうんうんと頷いた。

本当にいろんな意味で危なそうなやつが構成員に、それもトップの座についていることにさやかは違和感を拭えなかった。

 

(まさかとは思うが、奴らの救済を行う上で重要な立ち位置にいるからそこにいる、とかではないだろうな…‥‥。)

 

しかし、そんなことを考えていてもしょうがない。

おそらくマギウスはいろはたちに魔法少女の真実を明かすことで懐柔するつもりなのだろう。

 

(だがいろは。お前は他の奴らとは目的が違う。そして、親しい人間が行おうとしている蛮行を黙って見過ごすこともできない。)

 

ここまで彼女を見てきて、いろはの気質がまどかと似通っていることをさやかは理解していた。

滅私奉公にも近いくらい他人を優先するそのあり方が、他者に犠牲を強いるマギウスのやり方に賛同するとは到底思わなかった。

 

確実にいろははマギウスに対して反目する。そう確信したさやかは再びザンライザーで空を飛んだ。

 




少なくとも次に出てくるのはホーリーマミさんではないです。
フラグが跡形もなく消し飛んでるので

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

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