ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

95 / 111
さて、そろそろ舞台も最終章に差し掛かり始めたかなぁ……………


第95話 最後の境界線

 

「光の矢…‥‥お願い!!」

 

さやかとのコネクトで蒼銀の鎧を身に纏ったささらの手に弓が握られ、携えた矢を放つ。

放たれた矢は比較的明るい魔女の結界の中でも眩く光り輝く。

そしてその光が一瞬、一際強く輝いたかと思えば何本にも分裂し、魔女の集団にまとめて降り注ぐ。

 

「このまま突入する!!」

 

光の矢が着弾したことで巻き上がった煙幕に乗じ、さやかは一気にトップスピードに加速し、矢の範囲から外れていた黒羽根の魔法少女を確保。そのまま離脱を計るが、魔女の狙いはあくまでその黒羽根の魔法少女なのか、煙幕の中からやたらめったらに攻撃を飛ばしてくる。

 

「見境なしか‥‥‥‥伊吹れいら、援護を頼む!!」

 

「委細承知の合点承知!!分・身・殺・法!!!」

 

さやかの前に躍り出たれいらが手にしていた光の手裏剣を構えると、その場で高速回転を始め、ばらまきに近い要領で手裏剣を魔女に向かって投げつける。さらにれいらの動きに続いてあらかじめ出していた分身たちもれいらと同じように高速回転しながら手裏剣を投げつけはじめ、相当な量となった手裏剣の雨が炸裂。その場で魔女の集団を包む爆発を引き起こした。

 

「すまない!後を頼む!!」

 

下がるさやかと入れ違うように左翼のななかたちと右翼のこのはたちがそれぞれ分担して魔女との戦闘を開始する。

 

「美樹さん、その人は────」

 

「分かっている!ドッペルだな!?それにこの状態、直感だがかなりまずい状況だ!!」

 

戦っているななかたちを巻き込まないように離れた位置まで後退してきたさやかに焦った表情で駆け寄る黒江。

彼女の言いたいことを察したさやかは抱えてきた魔法少女を見やる。魔女の結界に取り込まれる前は視界が暗くてよく見えなかったが、その魔法少女の身体からは黒いモヤのようなものがぐるぐると渦巻き始めていた。

まるで抱えた穢れが一気に放出でもされそうな、そんな予感をさせるには十分なほど異常な状態だった。

 

「ほむら!!」

 

さやかの呼ぶ声にほむらは瞬時に反応し、自身の盾を回転させ、時間を止める。

セピア色に近くなった空間で動けるものはほむら一人。間に合ったことにわずかに息を吐き、悠々とした足取りでさやかの元へ向かう。

 

「すごい穢れの量ね‥‥‥‥穢れがドッペルとして出る神浜市じゃないととっくに魔女化してるでしょうね。」

 

黒羽根の魔法少女のソウルジェムを見て、相当な量の穢れがため込まれていると見たほむら。すぐにグリーフシードを取り出し、少女のソウルジェムから穢れを取り除くと、ソウルジェムは元の白色に戻っていった。

 

「終わったわ。」

 

「助か────()()()!!離れろほむら!!」

 

「えっ…‥‥!?」

 

礼を言おうとしたはずのさやかの表情が急転直下険しい表情に塗り替えられる。ほむらが何か確認しようとするより早くさやかが動き、近くにいる彼女を呼び出したオーライザーで弾き飛ばした。

 

「うおあああああああああああああッ!!!?」

 

次の瞬間、堤防が決壊したかのように少女のソウルジェムからため込んだ穢れが溢れ、少女を抱えていたさやかはその濁流に飲み込まれ、姿が見えなくなる。

 

「そ、そんな‥‥‥どうして…‥‥!?」

 

「どうなってんだ!?ほむらがさやかが連れてきた奴のソウルジェムの穢れを取ったんじゃなかったのかよ!?」

 

「い、いえ…‥‥私は、確かに‥‥‥!!」

 

「二人とも、いったん落ち着いて!!ここは距離を取るわよ!!他のみなさんもそれでいい!?」

 

グリーフシードで穢れを取り払ったにもかかわらず、即座にドッペルが発現するという異常事態とそれにさやかが巻き込まれたことに珍しくほむらが狼狽し、杏子も声を荒げるが、マミが静止し、一度足並みをそろえるために距離を取った。

さやかを巻き込んだ穢れはしばらく泥がうねるようにその場で停滞していたが、徐々に集まりだし、形を成していく。

 

「ドッペルと相対するのは自分も初めてだが…‥‥‥なんだこれは、このようなものはもはや魔女と呼んでも過言ではないぞ!」

 

「こ、こんなので救済だなんだとか言い張っているのかよあの連中‥‥‥‥!!」

 

「実際に自分が魔女になったときの力を使っているのよ、これは。それにドッペルを使えば一時的にとはいえため込んだ穢れが消滅するのは事実よ。あまり頻繁に使いたくないのが正直なところだけど。」

 

初めてドッペルを目の当たりにした十七夜とひなのは驚愕のあまりその現象から目を離せないでいた。

ドッペルを使ったことのあるやちよは冷静に槍を構え、これからの事態に備えている。

 

「そ、それよりさやかさんは無事なんですか!?それにあの魔法少女の子も────」

 

『私共々無事ではあるが……………少し身動きが取れない状況だ。』

 

「ぶ、無事なんですかそれで!?」

 

飲み込まれたさやかを心配するいろはにさやかから念話として返ってくるが、とても安全とは言えない状況に黒江から当然のツッコミが入る。

 

『フィールドを展開したから当分は凌げる。というより今は身動きをとらせてくれない方が気になる。外から見た状況はどうなっているか分かるか?』

 

「そんな悠長なことをしてて大丈夫なの?」

 

『ごもっともだが、隠しきるのはもうあきらめたからこの際観察に回っても差支えはないかと思う。』

 

「それ現実逃避って言うんじゃないかしら‥‥‥‥」

 

『頼む。何か今のコイツからは妙な感覚を覚える。ドッペルに隠されていることがわかるかもしれないんだ。』

 

呆れるマミだがさやかからそう聞かされ、大半の魔法少女が知ってたとでも言うような顔を浮かべる。もはやあの程度でさやかの身に何かあるとは思えなくなってきてるのだろう。だからといってそれに胡坐をかくつもりもないのか蠢く穢れを見つめる。

 

「確かに‥‥‥言われてみりゃ多少動きがおとなしいような…‥‥お前の傍にいる魔法少女が動かしているわけじゃねぇのか?」

 

『‥‥‥‥そういうわけではなさそうだ。私の推測があっているなら、このドッペルはいわゆる暴走状態に近くあると思う。』

 

杏子の言葉にさやかは抱えている魔法少女を見るとそう推察する。その理由は少女の顔が何やら白い仮面のようなもので覆われていたからだ。

さやかの記憶が正しければこの仮面は水名神社でいろはがドッペルを暴れさせていたときにも彼女の顔に浮かび上がっていた。

おそらく、この状態はいわばドッペルに行動の主導権を奪われているような状態と仮定してもいいだろう。

 

「ッ…‥‥もしかして、白い仮面のようなものがありますか?」

 

『黒江か。その通りだが、やはりこれはドッペルが暴走しているという認識でいいのか?』

 

「そう、だとは思います。でも…‥‥」

 

さやかの確認に黒江は歯切れが悪かったがドッペルが暴走状態であることを伝えた。

曖昧な返答をしてしまったのは、確かに暴走しているのだが、現状その兆候が見えてきてないのがそうさせているのだろう。

 

「黒江君、だったか?八雲からドッペルには強い依存性と副作用があると聞き及んでいるのだが、黒羽根である君に心当たりはあるか?」

 

「‥‥‥‥‥いえ、正直に答えるとわかりません。私自身、羽根の中では比較的新しい方だったので…‥‥」

 

申し訳なさそうに首を横に振る黒江に十七夜は残念そうに肩を竦ませると目を伏せてため息を吐く。

本人にその気はないのだろうが、明らかに失望しているような雰囲気を出す十七夜に黒江は自身が悪いわけではないにも関わらず無能感のような後ろ暗い感情が出てしまう。

 

『その態度はよくないと思うぞ。自身の思い通りにいかなかったからと他者を蔑ろにするようではただでさえない人望がさらに減ってしまう。』

 

「うぐっ…‥‥‥人が最近気にし始めたことをズケズケと…‥‥!!」

 

「‥‥‥‥‥マージで十七夜相手にあんな言動とれるヤツ、この世に二人といないだろ。アタシ無理だぞ。」

 

「わたしとしてはシレっと見えてないはずの十七夜の態度を見透かしていることに驚きなのだけど。」

 

白い目を浮かべているのが容易に想像できるさやかの言葉に十七夜は顔を赤くしながら両肩を震わせる。

ひなのとやちよはその様子を見て呆気に取られた表情を見せながら顔を見合わせる。

それはさておき、未だ蠢いている程度に収まっているドッペルを再度見つめる。

 

「さやかさん、そのドッペルは何か取り込もうとかしていませんか?例えば…‥‥今抱えている魔法少女の子とか。」

 

いろはの言葉に促されるように自身を取り囲む穢れの塊と黒羽根の魔法少女を見比べるさやか。

GNフィールドに遮られてそれ以上の侵入ができないでいるが、確かに取り込もうとしているようには見える。

 

『感覚でしかないが、いろはの言う通りかとは思える。』

 

「…‥‥‥皆さん、少し聞いてくれますか?」

 

さやかの返答にいろはは汗を一滴流すと自身がドッペルの暴走を引き起こしたときの水名神社での出来事を話し始める。

魔力の浪費とういとまともに出会えなかったときの心への負担でソウルジェムの穢れが限界に達したいろははドッペルを発現。小さなキュウべぇからのSOSで駆けつけたさやかが来るまでウワサの本体を破壊したあとも暴れ散らかす羽目にあった。

その時のいろはの意識は自身の影とも呼べるドッペルの仮面をかぶった自分に捕らわれているような感覚だったという。それと同時に自身の意識がどんどん遠くなっていく感覚もあったという。まるでそれは底の見えない闇に沈んでいくような感覚だったとも。

 

「つまり、果ては意識をドッペルに完全に取り込まれ、戻ってこられなくなるという解釈でいいのか?」

 

「ただの憶測です。実際にどうなるかはわかりませんが‥‥‥‥」

 

「ということは、もし美樹さんのバリアが破られたりしたら…‥‥‥」

 

「さやか!!そのままバリアは解いたりするんじゃねぇぞ!!」

 

いろはの予測から最悪のパターンを想像したマミたちはすぐさまドッペルを叩く方に思考をシフトさせる。そのまま戦闘に入れば、取り込まれているさやかたちもろともな可能性もあったが────

 

『わかった。出力は上げておく。』

 

二言返事でそれらを了承するさやか。

魔法少女の得物がまだ不定形な形をしているドッペルに牙をむく。

そこでようやく自身の危機に気がついたのか、ドッペルは急激に形を取りはじめ、顕れた怪物の形相が目を開く。

 

「こちらも悠長なことをしたが、そちらはさらに上を行くようだったな。」

 

十七夜のいう通り、そのドッペルが何か行動を起こすにはもう遅すぎた。

やちよの槍の一斉掃射で初動を潰されたドッペルはそのまま魔法少女達の総攻撃で跡形もなく消滅した。

 

「……………なんとかなるものだ。」

 

「いやいや、そりゃあ………ねぇだろぉ……………」

 

爆風の中から現れたさやかの姿に呆れたようにげんなりして肩を脱力させながら腕で仰ぐように横にふる杏子。周りも杏子と同意見なのか、わずかに引いているような顔でいるような見える。まぁまぁな人数の一斉攻撃だったにも関わらず、GNフィールドの中で五体満足でいるのはやはり思うものがあるのだろう。そしてそれは彼女の腕の中にいる少女も同じだった。

 

「す、凄いですね、さやかさんって……………一体どれくらい魔法少女を続けてたらあれくらい強くなれるんだろう………………」

 

「あの子、契約してまだ二ヶ月よ。」

 

「え、あの人、私より経歴浅いんですか!?」

 

「ええ………………」

 

ほむらからの告げ口に黒江は冗談でしょう、と言いたげに目を白黒させ、かろうじて愛想笑いを浮かべていたいろはから笑みが消え失せ困惑に染まる。

そんな周りをよそに、さやかは一度小さくため息をついたのちに引き締めた表情を見せる。

 

「一つ、確認させてほしい。これを聞くということは、マギウスの翼の行いを理解するということに他ならない。聞いてしまえば、彼女らに対する印象が大きく変えられてしまうことは避けられない。これはただ単に人々に害を為す集団と認識していられる、最後の境界線だ。」

 

それでも、聞くのか?と念押しするさやかの視線の先には魔女との戦闘を終えたのか、はたまたさやか達のやりとりの一部始終を見てしまったのか、どよめいているような仲間達の姿があった。

 

「聞かせてもらいましょう。先ほどのが貴方が言っていた特級の爆弾なのであれば、もはや賽は投げられた、ということなのでしょう。」

 

「どのみち話す覚悟はあったんでしょ?腹を括るだなんだって言っていたのも聞いてきたわよ。」

 

指揮を任せていた魔法少女2人の言葉に周りの魔法少女達も警戒、恐れといった思い思いの顔を浮かばせながらも、頷く姿勢を見せた。

 

「………………わかった。なら話すとしよう。魔女化の運命のことを」




更新はマチマチになるだろうけど、頑張ります!

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

  • ガンダムだ
  • ガンダムではない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。