ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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‥‥‥‥そろそろ他作品ネタありのタグつけた方がいいな(白目)


第99話 大事な友達なんだから

 

「はぁー…‥‥‥ここがお前らのアジトって奴か。えらい広さだな。」

 

「といっても、ここは最下層みたいなものですけど。全景は正直私にも把握しきれないくらいです。」

 

目の前に広がる巨大な空間に杏子は驚きで空いた口がふさがらないといった様子だが、黒江からの言葉にさらに大きく広げた。

さやかからの頼みで黒江と共に神西神浜駅周辺のビルの庭園から先にフェントホープへ侵入した杏子。

カーテンのような入り口をくぐった先は薄暗く湿っぽい空間だったが、黒江の言う通り最下層というのなら納得はいく。

 

「ここが一番下っていうのなら話は早いな。上へ行くルートはあるのか?」

 

「はい。とりあえずそこのおもちゃの列車に乗りましょう。」

 

黒江の指示で近くを走っていた子供のおもちゃのような列車に乗り込むと汽笛を鳴らしながら薄暗く広い空間を走っていく。

 

「なんか、ゴミ捨て場見てぇな空間だな。こう、物が雑に積み上げられてる光景はよ。」

 

杏子の言う通り、列車から見える景色は最悪の一言に尽きる。

 

薄暗い上にじめっぽく、挙句の果てに物が乱雑に積み上げられている様はまさしくゴミ捨て場といっても差支えはないだろう。

そのあんまりな言いぐさに黒江は苦笑いで返すことができなかった。

 

「あ、そうだ。佐倉さん、よかったらこれを使ってください。」

 

向かい合って座っていたところにふと思いついた黒江は杏子に黒いローブのようなものを渡した。

見てみるとそれは黒羽根の魔法少女が羽織っているものと同じものだった。

 

「いいのか?アタシは適当な魔法少女からブン取ってもよかったんだぜ?」

 

「少しでも荒事になる可能性は減らしておきたいですし、わたしはほら、普段の恰好がもう周りと変わらないので‥‥‥‥」

 

そう言いながら普段の魔法少女姿を見せてみせる黒江。

確かに黒江の普段の恰好も黒羽根のものとは厳密には異なるが、同じ黒いローブを羽織るものだ。

注視されればその限りではないが、遠目からでは判別をつけることは難しいだろう。

 

「んじゃ、お言葉に甘えてやるか。」

 

黒江から貰い受けたローブを羽織りながら周囲に目を向ける。

警戒ついでの確認だったが、出入り口近辺であるにもかかわらず、他の魔法少女の気配のようなものはなかった。

 

「……………あんまし警備を厳しくしてるってわけでもねぇな。全体的に被害がまだ小さいのか、それとも救済ってのが大詰めになってそっちを優先してるか…………」

 

「エンブリオ・イヴ……………白羽根の魔法少女でもよく聞かされていないって、どういうことなんでしょうね。」

 

「そりゃあ決まってんだろ、説明しても理解されねぇのがわかってんだからさ。」

 

黒江のもの悩ましげな言葉に杏子は懐からとり出した菓子を頬張りながらそう断ずる。

 

「食うかい?こっから先はかなりの長丁場だ。少しでも腹に足しといた方がいいだろ?」

 

「……………じゃあ、いただきます。ところで説明しても理解されないって言うのは?」

 

「………………さやかが言うにはマギウスの翼の動きには繋がっていない部分があるんだとさ。特に、ドッペルと救済、それに魔女やウワサの育成との関係についてはいつも首を傾げていたぜ。ドッペル=救済ってんなら、それの存在を広めるだけで話は済むってな。」

 

「確かに…………言われてみればそうですね。」

 

「それを繋げるカギがあのエンブリオ・イヴなんだろうけどさ。」

 

もらった菓子を頬張りながら杏子の言葉に納得する黒江。

が、その表情は裏腹に気落ちした表情を見せる。

 

「…………………なら、あの人たちは一体何のために…………」

 

無論、対面している杏子は絞り出すような黒江を言葉を聞き逃さなかったが、遅かれ早かれそれは明らかになるだろうと思い、深く追及することをしなかった。

 

「……………終点か。とりあえず降りるか。話は進みながらでもできる。」

 

ちょうどよく終点につき、列車から降りる2人。

道ながら進むと風景はさながら山の側面を切り出したトロッコの線路のようになる。

 

「なんだこりゃ。登山しに来た訳じゃねぇんだぞ。」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「いや、お前には言ってないから気にすんな!」

 

ヘンテコな空間を歩かされることに辟易とした顔を浮かべる杏子に思わず黒江が謝るというやりとりをしながらも2人はその登坂用の線路の上を進んでいく。

 

「話の続きだけどさ、マギウスの御三家には救済とは別の目的があるんじゃねぇのか、もしくはその救済にはまだ知らない部分があって、それが真の目的っていうのがさやかの結論。」

 

「そんなこと……………いや、どうなんだろう。特にあの人は───」

 

「アリナ・グレイだろ?お前が思い浮かんだそいつ。」

 

黒江の脳裏に浮かんだ魔法少女。いつも気怠げにどこか救済についてもあまり関心がなさそうな彼女のことを指摘された黒江は図星をつかれたように小さく頷いた。

 

「さやかもアタシも思ってたことだが、アイツはいわゆる狂人って言われるタイプの人間だ。画家だかアーティストなんだか知らねえが、あれは誰かを救うって掲げてる奴らの中にいていい奴じゃねぇ。どう見ても全部ぶっ壊すタイプの、破綻した奴だ。」

 

「仮にいろはが他の2人を止められたとしても、アリナ・グレイのヤロウが何をしでかすかわかったもんじゃない。」

 

「確か…………入院していたはずの妹さんの同室なんでしたっけ。」

 

「んお?いろは本人から聞いたのか?」

 

黒江がいろはの妹、ういのことを知っていることに首を傾げていると、彼女は頷きながらちょうど先日に聞いたと返す。

 

「ま、知ってるならそう言うことだ。いろはだけはアタシらとは違う理由で動いてる………………誰か近づいてきてるな。」

 

「え?」

 

杏子の目線が奥の方に向けられ、黒江が呆けた顔で続くようにその視線の先を見る。

切り立った崖のようなこの道は同時に道自体が蛇行していて、死角になってしまっている部分も少なくない。

その隙間から2人の少女が姿を現した。

 

「───やっぱり戻ろうよ…………せめて調整屋さんとか───」

 

 

「調整屋なんてなおさら行けるわけないじゃない!!こんな気味が悪い場所からさっさと出ないと───」

 

後ろ髪を引かれるように迷っている赤髪の少女の手を目つきのきつい水色髪の少女が引っ張っている様子が2人の目に映る。

 

「あれは……………もしかして……………」

 

こっちに向かってくる2人の会話を聞いて、黒江はあの2人がマギウスの翼から離れるつもりなのではないかと思いながら杏子を方を見た。

 

「誰だっけ……………確かさやかが言ってたんだよな…………水色オレンジ黄色の三色トリオの魔法少女がまるっと連絡つかなくなったってさ……………多分そいつら何だろうけど名前なんて言ってたっけな。」

 

額に指をトントンとあてて必死に振り絞るような険しい表情で向かってくる魔法少女を見つめる杏子。

 

「まぁ、いいか。名前出せばどっち側かは一目でわかる。」

 

スン、と考えるのをやめた顔をみせながら杏子は道ゆく2人の前に立ち塞がる。

 

「ッ……………こんなところで…………言っておくけど、レナたちは戻るつもりなんかないんだから!!」

 

立ち塞がった杏子を追手の黒羽根と勘違いしたのか槍を構え臨戦体制を整えるレナ。

 

 

「おいおいちょっと待ちなって。こちとら潜入したばっかだってのに騒ぎになんざされたら困るんだよ。」

 

「え…………せん、にゅう……………?」

 

潜入という言葉に呆けたように固まるレナ。

杏子はかぶっていたフードを外し、軽く笑みを見せた。

 

「そ!あの悪名高ーい美樹さやか、アタシらはその仲間の魔法少女ってわけ。」

 

「さ、さやか!?アイツの!?」

 

「あ、悪名…………そ、それはともかく盗み聞きをしたようで申し訳ないんですけど、何かあったんですか?フェントホープからの脱出を考えているようですけど…………」

 

杏子がさやかの仲間の魔法少女だと知り、目を丸くするレナに黒江は直前に聞こえてきた2人の会話について尋ねる。

その問いにレナは少し考える時間が欲しいというように顔を俯かせた。

 

「……………ここに来てからかえでの体調が目に見えて悪くなったの。」

 

「ッ………レ、レナちゃんわたしは大丈夫だから───」

 

「お願いだからかえでは黙っててッ!!!そんな顔色で大丈夫って言われても、少しも信じられないわよッ!!!」

 

「あう………………ご、ごめんね……………」

 

レナの張り裂けるような声にかえでは身を縮こませるように萎縮しきった声で謝る。

それにレナはまたやってしまったという自己嫌悪に駆られ、表情を歪に歪める。

 

(…………まぁ、言う通り顔色は良くねえな。なんなら悪いと言っても良い。)

 

レナの言葉通り、杏子の目からもかえでの体調が悪いことは明らかだった。

顔色は青を通り越して死人のように白かったし、目もどこか澱みがかったように虚だった。

 

「あのーかえでさん?でいいのかな。もしよかったらあなたのソウルジェムを見せてもらえませんか?」

 

「…………………やっぱそういうことか?」

 

「断言はできませんが……………おそらくは。それにマギウスの翼にはなるべくグリーフシードを使わないという約束事もあります。可能性、いえ。この場合は危険性は大いにありえます。」

 

「なに?どういうこと?」

 

二人の会話についていけてないのか困惑した様子を見せるレナ。

ただ何か知っていることをわかっているのか二人の顔を交互に行ったり来たりする。

 

「‥‥‥‥医師の問診というのもおこがましいですが、ここ最近かえでさんはドッペルを過剰に使用していたりしてませんか?」

 

「それは…‥‥そうだけど。だってここに入ったときにも────」

 

「そうです。マギウスにとって魔女もウワサも解放のための貴重な材料、と聞かされてきました。だけど、その代用として薦められたモノも魔女化と同じくらい危険なんです。」

 

黒江はレナとかえでにドッペルに隠された危険性を語った。

一見するとソウルジェムに穢れがたまり切っても魔女にならないという眉唾物だが、使い続けるとその依存性により、やがてはドッペルに精神を乗っ取られる可能性がある。

 

「なによそれ」

 

レナの零すような小さい声がいやに響く。

その時の彼女の表情は能面のように無表情でその声も感情が全く乗っていないようにひどく淡泊なものだった。

おそらく彼女は怒りを感じてはいるのだろう。しかし、そのあまりな事実に感情が追い付いていない。

 

(なんか嫌な予感────)

 

杏子がそう思った途端、レナは突然踵を返した。

 

「うおおい!!ちょっと待て!!お前今からどこへ何しに行くつもりだ!?」

 

注視していたかいあってかどこかへ行こうとしたレナの腕を掴み取る形で杏子の静止が届いた。

 

「決まっているでしょ!!急いでももこを連れ戻さないと!こんな場所、さっさと抜け出してやるんだからぁ!!」

 

「だとしても少し待てって!!後からさやかとかいろはたちが来る!!そいつを探すのもそれからにしてくれ!」

 

「それはそっちの都合でしょ!?早くももこを連れ戻さないといつドッペルに飲み込まれるか────」

 

「ならお前はコイツをここに置いていけるのかよ!!」

 

杏子が向けた指の先にはかえでの姿があった。

その様子はひどく憔悴しきっており、隣で黒江が支える必要があるほどだった。

 

「か、かえで!?」

 

かえでの様子を見たレナは慌てて駆け寄った。

 

「ねぇ!!かえで、しっかりしなさいよ!!」

 

「────」

 

ぐったりとしたかえでに声を掛けるが反応は芳しくない。

ただ口元がわずかに動いているのは見えたため、反射的に耳をすませる。

 

 

 

ごめんね

 

 

 

譫言のように聞こえてきたのは何度も何度も繰り返される謝罪の言葉。

誰に対して言っているかは、言うまでもなくレナとももこの二人だろう。

 

「佐倉さん!これ、前とおんなじです!!ドッペルが暴走します!!」

 

(くっそ!あの様子じゃどこかで爆発するとは思っていたけどさぁ!!)

 

「黒江!アンタの武器を貸してくれ!」

 

元々その導火線に火はついていた。遅かれ早かれ爆発するのは目に見えていた。

それを結果的に早めてしまったのは吉とでるか凶と出るか。

黒江から武器である手持ちサイズのメイスを投げ渡された杏子はかえでの後頭部を叩き、彼女の意識を刈り取った。

意識を失ったことで完全に脱力したかえでの身体は前にいたレナに寄りかかる形で倒れこむ。

 

「────あ、アンタ、まさか」

 

「殺しちゃいねぇよ。ソウルジェムは感情が大きく揺さぶられると穢れをバカみてぇに生み出しちまう。だったらさっさと気絶させちまうほうが最終的にはソイツのためにもなる。少しは黒羽根にいたんだから知ってるだろ?」

 

杏子の言葉にレナは怒りの声を挙げなかった。

代わりに倒れたかえでの身体を弱弱しく抱きしめる。

 

「…‥‥‥ってもこれじゃあ動くこともできねぇな。」

 

そういうと杏子はレナの隣に座り込むとまた懐からお菓子を取り出して食べだした。

 

「…‥‥アンタたち、潜入しに来たんでしょ?」

 

「そうだが、だからってここでお前をほったらかしにすんのは夢見が悪い。ぶっちゃけると暴走したドッペルも魔女と遜色ないレベルで厄介────」

 

瞬間、気絶したかえでの身体から穢れが溢れだす。

 

「ッ!!」

 

発生した異常事態にいの一番に反応した杏子は弾けるようなスピードで後退。その時にバラバラにした槍の柄で遅れた二人を半ば無理矢理にかえでから引きはがした。

 

「落としたのにお構いなしかよ!」

 

「そんな‥‥‥‥!!」

 

かえでの身からあふれ出る穢れの濁流に茫然とした様子で見つめるレナ。

 

「ちょっと!どうにかできないの!?」

 

「完全に時間との勝負だ!引っ張り出せればいいが、アイツがドッペルに完全に取り込まれたらどうなるかアタシらにもわかってねぇ!さやかが割と強引に止めてたからな!」

 

「止める…‥‥‥なら、レナとコネクトして!!」

 

「できるのか!?」

 

「できるできないとかじゃなくてやるの!!やらなきゃいけないの!!かえでは‥‥‥‥かえではレナの大事な友達なんだから!!」

 

「‥‥‥‥‥わかった!!」

 

レナの申出に杏子は頷き、差し出された手を重ね合わせる。

二人の上に紋章が浮かび上がり、コネクト先であるレナの身体が光に包まれ始める。

それに気づいた杏子は一瞬驚きに目を見開いたあとに不敵な笑みを浮かべた。

 

「ったく、どこまでもお節介なヤロウだぜ────さやか!」

 

出発する直前にさやかから受け取っていたコネクトの力がレナに流れ込む。

その力はコネクトした者に新たな可能性をもたらす。

ある者は炎。ある者はまさしく騎士の様相。

 

「つ、冷たッ!?」

 

突如としてレナの周囲から冷気のようなモヤが浮かび上がり、レナの身体を覆い隠していく。

思わず飛び退いた杏子だったが、その間にもレナの周囲の冷気はさらに強まっていき、そこだけ天候が吹雪であるかのように吹き荒れる。

 

レナの場合は、だった。

 

吹き荒れる吹雪の中から人を覆いつくせる大きさの氷の塊が見えたと同時に大きさ音を立てて砕け散る。

砕かれた氷は塵となって周囲に立ち上り、風貌の変わったレナを輝き照らす。

 

得物は槍から左手が剣と盾が合体したものと右手が銃を模した形に変わり、何より目を引くのが背部から伸びた緑色のクリスタルが輝く白銀の羽根。

四枚のソレを携え、雪の結晶に照らされ、輝くその様はまさしく雪の女王だ。

 

「今度はレナ自身で‥‥‥助け出して見せる!!かえでッ!!!」

 

 




ハッハッ、だいぶやりたい放題になってきたなこの作品(遠い目)

あとほぼほぼ月一投稿になっててごめんなさい!!

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

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