味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ   作:ホワイトアクア

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修羅場っぽく書こうとしたが、何だか短く終わってしまってた。うん、色々と構想練る力が足りな過ぎる……。
ついでに、ドルフロの世界線とか設定とか微妙に分かり難い……自分としては崩壊した世界とはいえ、まだ学校とか病院とか残ってんじゃね?と個人的に思ってたりします。

ゲーム公式とはいえ、M4の過去が重過ぎる……なので、M4は是非とも幸せになって貰いたい所。病んでもそこが可愛いからです!
ホントにドルフロ世界って複雑過ぎて逆にやり辛いわー……今回もシリアスっぽいけど、そこまでシリアス書けてないから。ギャグ挟まなければ死ぬ病気なので(ぇ


恋愛クソザコメンタルモデルM16 下

(このTASの目をもってしても読めなかったとは……!)

 

 現在混乱中の鷹山。どうしてこういう流れになったのか頭を抱えていたが、少なくとも自分に原因あるんじゃね?と確信した。多分言うまでもなく自分が彼女を作らないとかそんな事をほざいた性なのか、彼女をあんな風に豹変させてしまった。こういう女性は確かヤンデレとかじゃなかったっけ?と理解しつつ、「何処でルートを間違えた!?」と自分を責めていた。

 

 まさか恋愛関係もTASでやっているのかと言われたら、実はそうでもない。やるにしても戦闘や仕事、日常生活において効率良く動かすだけであって、恋愛に関しては小細工も何にもしていない。彼曰く「恋愛とかだったらタイムアタックやバグ技とかじゃなくて、本気の恋がしたい。小細工で得する恋より、自力で掴み取った恋の方が一番カッコいいし」と決めていて、予測しながら読む行為はしなかった。

 

 だが、今ではどうだろうか。可愛らしい少女がドス黒くてヤバそうなオーラを纏い、今にでも自分の心を見透かしながら撃って来そうな……そんな恐怖しか無かった。

 

(死んだら元も子もねぇぞコレ!?)

 

 何処で死亡フラグを建てたのかは置いといて、一緒に死にましょうという様な展開は絶対に御免被りたい。その時だけはTASを使ってまで命だけは回避せねばならないし、M4を宥めなければいけない。危機的状況真っ最中の今をどう突破したら良いのか考えていると、M4が鷹山を見つめながら喋り始めた。

 

「指揮官と姉さんが悪いんですよ……?指揮官は最初に彼女を作る気は一切無かったのは私にとってショックでした。それでも、私は指揮官と一緒に居たいと願ったんです。例え周りから変な奴だと言われても、子供みたいに明るく振る舞える笑顔を見せる指揮官……それがとても可愛らしくて、好きになったんです。だから付いて行こうと思ってたのに……どうして、私じゃなくて姉さんを褒めたんですか?私には何も褒めてくれなかったじゃないですか。どうしてなんですか?」

「あ、え、えっと、その……」

「分かっています……本当ならばM16姉さんが指揮官をからかったから、その仕返しとして指揮官はM16姉さんにあんな事を言った……次第にそれも楽しむ様に見えていて、姉さんは姉さんで指揮官を意識する様に変わりました。だからでしょうか……何故か胸の奥が苦しくて痛いんです……戦術人形なのに、どうしてこんなに苦しいのでしょうか……私は好きな人の隣に居る事が許されないのですか?姉さんも最初は私とくっ付ける為に頑張ろうとしていたのに、指揮官の言葉に惑わされて、逃げながらも好きなんだって意識していたなんて……嘘つきじゃないですか……」

(アカン)

 

 最初に婚姻届とか式場とかを言ってた時点で積んでるじゃん!と心の中で突っ込む。後悔しても遅かったが、そこから更に絶望の言葉が。

 

「そんなの絶対に許せません……だから私は用意したんです。指揮官と結ばれる為の道具を……指輪も、婚姻届も、使える物ならば全部……当然、指揮官が姉さんの所に行かせない為の手錠やロープもありますから……ふふふ……」

「止めてくんない!?監禁プレイは正直嫌なんで!!というか、お前の顔ヤベェって!こえーよ!」

「どうして私の事を避けるんですか指揮官……?どうして逃げるんですか……?」

「逃げもしねぇし、避けはしねぇけど、受け止める側としちゃハード過ぎて困るんです!!ホントに落ち着けマジで!!」

「大丈夫ですよ……指揮官は私を見てくれれば良いんです……愛してくれれば良いんです……それに、そろそろ来ますから……」

 

 言い終えた瞬間、身体中が熱くなると同時に電撃を喰らったかの様な痺れが走る。身体の異常さに気付いたTASは先程のコーヒーに何か飲まされたと察した。

 

「おまっ……あのコーヒーに何入れたんだよ……!」

「指揮官が私から逃げなくする為の薬と私を好きになる薬です……どうですか?身体が熱くなってきましたよね?私を見て興奮してくれてますよね?」

「間違い無く媚薬と痺れ薬の類じゃねーか……!クソがっ!(激ウマボイス)」

 

 薬を盛られ動かなくなる鷹山にゆっくりと近付くM4。対する鷹山は力を使って興奮と痺れのレジストを行ってリカバリーを試みた。少しでも動ければ状況を覆す事も可能だからだ。

 M4と鷹山の姿にM16は動揺しながら見ていた。止めたくても止められない。確かに全ては自分が切り出したのが原因だったし、妹の手助けのつもりが逆に鷹山を意識する羽目になっていた。それが妹を狂わせ、妹を差し置いて姉を許せないという気持ちはM16にとっても深く突き刺さっていた。

 

(私は……最低だな……流されるまま流されて、指揮官を好きになって……妹が好きな指揮官を奪おうとして……本当に何もかもだらしなくて最低な姉だ……)

「いい加減にしろやM4!んな小細工使って無理矢理の恋を叶えようとした所で幸せもクソもあるかッ!どうしても好きだって言うのなら、最初から道具なんて使わずに自分の気持ちを堂々と伝えろや!!これ以上迫って事後になったら、俺は結婚指輪とかその他諸々持って滅びの山の火山で身投げするぞ!!」

「死ぬつもりですか指揮官!?何故そこまでM16姉さんに拘るんですか!!」

「拘ってねぇよ!それよか、家族の事すら大事にしねぇなら尚更お前とは好きになれないつってんだよ!んな事やったらM16はどうする!?アイツずっと傷付いたままだぞ!お前はそれでも良いのか!?」

(………!)

「止めて!これ以上……姉さんの名前を口にしないでッ!!」

「ぐッ!?」

 

 グッと首を掴まれてしまう。ヤバい、殺す気だと。ここで腕と足のレジストが完了したが、それでも動かす力がもう少し足りない。

 こんな事になってからでも、指揮官はM16を大事に思っていた。それが元は嘘の仕返しだろうが彼の本心だろうが理由はハッキリしないが、例え好きじゃなかったとしてもそこまで言ってくれたのか、彼女の心が少しだけ軽くなる。

 少々荒っぽくもなるし、こうなったら全力解放で強制的にレジストを終了させてM4を無力化させようかと考えた途端、勢い良く扉を開ける音が聞こえた。

 

「止めろ!M4ッ!!」

 

 扉から出て来たのは涙を流しながらM4に銃を向けるM16。M4は蔑む目をM16向けながら呟いた。

 

「今更現れて一体何しようとしているんですか?止めようとしても無駄です。私は指揮官と一緒に幸せになりますから」

「……分かってる。お前の事を考えようにも自分の弱い気持ちに戸惑って、ただ調子に乗ってやった結果が今を招いた……指揮官から言われた言葉が嘘だったとしても、私は嬉しかった……姉らしい所見せられなくて駄目な姉だ……」

「M16……」

「何でだろうな……本当はM4が指揮官の事を好きになるつもりだったのに、今になってM4と同じ気持ちになるなんてな……でも、M4の幸せを私が奪った……嫌われても当然だ……それなら私が指揮官の隣に居る権利なんてあっちゃならないんだ……」

 

 どちらかを好きになれば、どちらかが悲しむ。それは人間も戦術人形も同じ。自分の気持ちに中々正直になれずにずるずると引っ張らなければ……或いは鷹山が最初からM4の事を好きになっていたらこんな事態にはならなかっただろう。

 それでも、原因を起こしたという理由には変わり無い。故に、M16は自分の銃を手放し、代わりに拳銃を出しては自分の頭に向けようとする。

 

「だからこそ、私は私なりのケジメを着けなきゃいけないんだ……」

「待て!早まるなM16!」

「止めるな指揮官!これは私自身にも、M4にも対する償いだ!私は……M4が幸せならばそれで良い……精々私は延々と沈んだ気持ちを引き摺るよりかは、居なくなった方がお似合いだからな……」

(畜生ッ!どいつもこいつも早まりやがって!展開早過ぎんだよ!何勝手に死のうとしてんだよ!つーか、レジストまだか!?)

 

 身体を確かめると、どうやら完全に回復したらしく、直ぐにでもM16を止められる。

 急いで止めようとしたが、M16が引き金を引く前にバシッ!と何かによって弾かれて、M16の手に持っていた銃が落ちる。それを止めたのは―――

 

「M……4……?」

 

 さっきまで姉を恨んでいたM4だった。しかし、今の彼女の目には憎しみではなく、悲しみが溢れていて、涙を流していた。

 

「何で……?」

「確かに……姉さんを恨んでいた気持ちは今でも変わりません……ですが……姉さんが死んだら……一緒に過ごした記録も……私達はどうするんですか……!指揮官だって……!」

(うん、そうなんだけどね。半分は俺の自業自得なんです……)

 

 だが、狂っていたとしてもまだ良心が残っていたらしく、殺したい気持ちがあったとしても、家族として死んで欲しくない気持ちは残されていた。どちらかが死ねば、どちらかが悲しむ。いや、この場合は家族が悲しむというべきでもあるか。逆に鷹山は罪悪感がいっぱいだったが。

 

「何で止めるんだ……私は……!」

「分かってます……それでも、私達は姉さんを含めてAR小隊なんです。さっきまで私は指揮官の事ばっかりしか考えていませんでしたが……今なら指揮官が言った理由が分かった気がします……家族を大事にしない人は好きになれないと……」

 

 M16が自ら死のうとした時、M4は頭の熱が一気に冷める様な感覚になった。彼女を止めた時には自分勝手にやってしまった行いや誰かを失うという恐怖に耐え切れず、後悔が後々から迫って来たのだという。

 都合の良い話かもしれないが、それでもM4は間違いに気付いてくれたのだ。気付いただけでも鷹山は肩の荷が下りたらしく安心していた。

 

「姉さんが居ないAR小隊なんて……正直続けられる気がしません。かと言って、さっきまで姉さんが消えて欲しいとかそういう風に願った私が言えた口じゃないんですが……」

「M4……でも、私は……」

「……良いんです。私も周りや後先の事を考えずに先走り過ぎたのですから。だから……指揮官の隣は姉さんで良いです。」

「M4!」

「姉さんが指揮官の事を好きになっちゃったのはショックでしたけど……でも、もしも姉さんがそれで幸せを感じるのならば、私はそれで良いと思います。何時もお酒以外で幸せになる姉さんの顔って見た事無かったから……」

「………」

 

 結局、彼女達もまた自分の気持ちを伝えるのが不器用だったのだろう。何だか前にも同じケースを聞いた覚えがあるぞ……と鷹山は微妙なデジャヴを感じていたが。

 

「あ、でも、キスとか初めてとかは私の予定ですので、姉さんは2番目ですね。それだけは譲りませんので」

「なっ!?」

 

 普段から清楚系なイメージをしていたあの頃は何処へ行ったのか。きっとこっちの方が彼女にとっての本性なのだろう。でも、吹っ飛び過ぎてる気がしている。

 

「指揮官、愛しています……指揮官を思う気持ちはM16姉さんには負けません……!」

「い、幾らM4でも指揮官は渡さないぞ!姉の特権だ!」

「グレイの次は俺か……やれやれ……」

「こうなったら……どっちが指揮官を喜ばせる事が出来るか勝負です姉さん!」

「ほーう、望む所だ。だらしない姉だったとしても、お前が私を超えるなんてあり得ないけどな」

「はい……?」

 

 ずいっと鷹山を見つめる二人。その目つきはまるでケダモノとも言える雰囲気を纏わせていた。何故自分なのか見回すと、自分の下半身に一つの膨らみが。

 

(しまった……!レジストで身体が動けても、こっちの方をすっかり忘れてた!かと言って、さっきまで全くエロい想像とかしていなかったのに……完全に原因媚薬じゃねーか!!)

「「ふ、ふふふ……」」

「あっ―――」

 

 そして、振り向いた時には鷹山は2人に襲われ、長い時間を掛けた後の彼は身体が完全に疲れ切っていて、M4とM16の2人は満足した顔を浮かべていたという。しかし、それだけじゃなかった。

 

「お、終わった……とりあえず休まねば……。」

「あら、何処に行くつもりなんですか指揮官?」

「AR-15……!?それにSOPMODにROまで……何故ここにっ……!?」

 

 扉を開けた先には顔を真っ赤にしながらプルプル震えるAR-15と何だか切なそうな顔をしていたROとSOPMODの2人が立ち塞がっていた。どうして3人がここに居るかというと……。

 

「M16を連れて行ったら真っ先に修羅場は起こるわ、自分で頭を撃ち抜こうとするわ、仲良くなったかと思ったらいきなりヤり始めるわ……アンタ達が終わるまで何時まで待ってたと思ってたの!?」

「ギャーッ!!最後まで聞いていたんかい!!」

「ねえ指揮官……私、我慢出来ないよ~……ねえ、一緒にシよ?」

「指揮官……私はいやらしい戦術人形です……さっきまで指揮官達の光景を見たら、私……止まらなくなって……」

「そういう訳だから……責任取らせて貰うわよ?」

 

 嘘だろ!?と絶望する鷹山。視線を向けるとM16とM4が親指立てて笑顔で答えていた。つまりは、やっても良いという証拠なのだろうか。寧ろ、疲れた身体に更に追い討ちを掛けられてるのと一緒なので、後々彼女達と終わった時には既に起きられずに倒れていたとか。

 

 

 

 

 

 後日、結婚指輪とかをAR小隊全員に送った後、鷹山とAR小隊はある場所でとある人物と話していた。

 

「いやー、まさかあの子達から話を聞いていた通り重婚しちゃうなんてね。404小隊に続いてAR小隊も……これは中々見ないモテモテの指揮官さんが現れたことで」

 

 そうニヤニヤしながら見ていたのはI.O.P社の技術開発部門「16Lab」の主席研究員である天才研究員「ペルシカリア」。略称はペルシカ。

 彼女は戦術人形の武器やダミーネットワーク技術を開発した第二次戦術人形を作り上げた産みの親で、AR小隊の戦術人形も彼女の手によって作られた。詰まる所、M4達の母親という意味合いでもある。

 

「私の子を泣かせたらその時はただでは済まさないつもりだったけど……何だか貴方も随分と面倒臭い考え持ってたんだね。挙句には色々と他の指揮官達と一緒に鉄血を倒しちゃう実力あるし。ねえ、一度解剖とかしてみても良い?」

「ぺ、ペルシカさん……!」

「冗談よM4。そんな事をやってしまったら誰かが悲しむでしょうし、二度目は無いもの」

「二度目……?え、じゃあ……一度何か解剖した経験あるんですか?」

「……君には結構ショックかもしれないけど、聞く勇気あるかしら?」

「今まで散々と嫌なモノを見て来ましたし、今更に限ってショック受けるとかあります?」

「分かったわ……それじゃあ聞いて頂戴。一度目の解剖……それはM4と深く関わっているの」

 

 聞けば、M4の身体……特に頭の部分では死んだ少女の脳が入っているとされており、時たま生きていた頃の記憶を見ている時があるらしい。

 それまでの記憶は全部覚えているし、幾ら人類守るとはいえ、戦術人形にそこまでするグリフィンはヤベーなと鷹山は思う中、ペルシカさんも苦労してたんだなと考えていた。きっとM4はこんな自分は指揮官に嫌われるだろうと何度か思ってはずっと苦しんでいたのだろう。だけど―――

 

「まあ、でも……そんな深刻って話じゃなさそうだな」

「え……?」

 

 これにはペルシカもM4達も驚いていた。特にM4はこんな自分なのに気持ち悪くないんですか?と聞いたら―――

 

「前々から言ってたけど、一番気持ち悪いのは俺等だ。戦術人形にも劣らず鉄血の奴等を倒せて、物理だの移動だの、どんな法則すらぶち壊しでやってる。脳だのどうこう騒ぐよりかは、未知数の相手と遭遇した時の方がこえー。いざとなったらマジで世界崩壊だって出来ちまうし」

「そんな言い切れる事なのかい?」

「この前配備されたガーディアンだって元々は旅先の道中で見つけた物なんですよ。アレはどっかの世界で魔王を封印する為に使われた兵器ですけど、威力はお察しでしょ?それに、俺が本気出したら徹底的にやりますし。ヘリが無かろうが泳いで行きますよ。例えて言うなら日本からハワイ島向けて泳いで1分で着く位に」

 

 一同唖然。しかし、本気でやり兼ねないのが彼等の実力でもあるのだから怖いのだ。それもそれで分かってしまうのが辛く、自分がこれまで嘆いていた事に比べれば指揮官達の方がもっと辛かったのかもしれないとM4はそう感じた。

 

「それについては納得した。けど、これだけは聞かせてくれ。今まで指揮官が誰とも付き合わず、グレイ指揮官達と旅していた理由って結局は何だったんだ?」

「あー……それ聞く?この話題における本当の意味を語るのって誰も居なかったし、始まりとなったのは子供の頃だったからな」

「指揮官が子供の頃ですか!?」

「わー、聞きたい聞きたい!」

「つっても、あんま良い話じゃないよ」

 

 当初、鷹山は普段通りの生活に飽きていた。何時も通りに学校に通い、勉強して、家に戻ってから何かゲームとかをやって時間を費やし、そして一日が終わる。それが毎日続くものだからつまらないと子供の頃から感じていた不満があった。外で遊んでも変わらぬ光景。世界の情勢を知らぬ子供は何でも良いから何か楽しい事が起きないか願った。その時、唐突に激しい頭痛が襲い掛かり、何かの情報が大量に鷹山の頭に入り込む。これに耐え切れなかった鷹山は気絶して倒れ、再び起き上がった時には痛みも退いていて、頭痛も起きなくなっていた。

 一体何だったのか分からずに帰ろうとした途端、頭の中で様々な情報が再び彼の頭の中で広がる。しかし、先程の頭痛は無く、代わりに鷹山はその情報を次々と理解し始めた。最初は何だコレと疑問に思ったが、その能力を初めて理解したのは学校のテストの時だった。テストをやろうとした瞬間、まるで最初から答えを知ってたかの様に理解していて、気付いた時には全ての答えを書き終えていた。この時に鷹山は気付く。どういう理由かは知らないが、自分にはそんな力を得たんだと。これが遺伝で受け継がれたものだったのかどうか深く考えた事は無くて、特別な力を持った事に喜んでいた。誰にも内緒で、決して話さずに自分だけの秘密にしようと。

 

 その日を境に色々と見れる様になっていた。テストの答えが分かったり、誰かの秘密を知ったり、それが楽しく思えて仕方が無かった。今までずっと普段通りの生活に飽き飽きしていたが、その夢を叶えてくれている。これさえあれば他はもう要らないと思った。しかし、現実はそこまで甘くは無い。

 どんなに自分がセコい力を使っても、それは決して努力したとは言えない。高い地位を取ろうとしても他人から恨まれ、叩かれ、虐められる。幾ら成績が良くても調子に乗るなと言われた事もあった。その時に鷹山は理解した。「この力は良い未来も悪い未来も映し通せる力」なのだと。

 

「どんなに未来を読んでも、どの道を辿るかによって運命が決まる。まるでプログラミングされたかの様に。あの時以来、俺は未来を見るのは止めておこうと思って封印した。こんな力を持っても意味無いと分かった俺は地道に勉強して、普通の点数を取り続けた。高望みすればまた同じ事が繰り返されるかもって恐怖に駆られていたからな」

「……別段珍しい話じゃないね。その時に君がどういう学校を通っていたのかは知らないが、一流のエリートを目指す以上他人を突き落とすのは誰もがやったりするんだ。その努力を繰り返し、実力で相手を落として見下す……有り得る世界だ」

「それに、俺の力はただ単純に答えが分かる訳じゃない。どの道で進んだら幸せなのか、不幸なのか、それすらも読み取れたんだ。昔、俺に告白しようとしていた子が居たんだけど、その子と関わった未来を読み取ったらクラスの奴等に虐められる未来が見えてな。きっと何処かで言い触らしたりするんだろうと思って断った。別の日にその子が別の男の子に告白していたんだけど、あの時に見えていた未来の通りにその子は虐められていた」

「そんな……」

「分かっちまうんだよ。こういう風に見ると人間がいかに汚い存在であるかどうかが。俺が今まで彼女を作らなかった幾つかの理由の一つがそれ」

 

 将来、自分が結婚とか十分出来る年齢に到達しても、相手が結婚詐欺や浮気をする人間じゃないのかと疑心暗鬼になってしまう。

 そんな汚い部分が見えてしまった鷹山は誰も人を信用しようとはしなかった。

 

「ただ……グレイだけは違った。アイツと初めて会ったのは高校の時。全ての科目においてテストの平均点ジャストピッタリに点数を取った俺に対してスゲー奴だと純粋に褒めてた」

「それを普通に出来ちゃう君もそれなりに凄いけど」

「まあ、最後まで話聞いてくれって。最初は変な奴だと思ってたけど、アイツの未来を見たらさ……大層凄い計画を立ててよ。自分の将来が見つからないから、旅をして見つけるなんて考えていたんだ」

 

 そんな当ての無い旅をするなんて馬鹿な奴だと鷹山は思った。けれど、何故だか彼ならば本当にやり遂げるのではないかと考えが過ぎったのだ。

 グレイに関する興味に惹かれつつあった鷹山は次第に話し合う仲にもなり、何故そこまで旅に拘るのかを聞いてみた。すると……。

 

『ずっと何も決まらないまま人生も終えるのってさ、生んでくれた両親に向けて滅茶苦茶失礼だろ?だから、せめて恩返し位はさせてやりたいんだ。近くで探すより、遠くに行って自分にしか出来ない方法で夢とかしたい事とかを探してさ。それで俺は人生を終わりにしたい』

 

 鷹山は悟った。こいつは正真正銘の馬鹿だけど、本当にやると決めたら最後までやる男なんだと。自分でもグレイと同じく何か出来ないか、悩みとかも相談した結果―――

 

『じゃあ、一緒に旅でもしてみる?なんつって。』

『する!』

『即答!?』

 

 と、流れるがままに旅を始めたのだ。あのまま汚い奴等が居る場所に留まりたくないのもあるが、グレイの言う通り、もしかしたら自分にしか出来ない方法があるのかもしれない。それが極僅かだったとしても見つけ出したいと心の底から沸き上がる気持ちが抑えられず、ついには旅に同行する事を決意した。

 

 旅は決して楽なモノではなかったが、自前のスキルとチート並みの能力でこれまで生き残り、旅をするメンバーも増えていた。そして、気付けば自分達は今グリフィンに居る。

 

「ずっと旅して来たけどさ、自分にとって何が出来るのか分かったんだ。この力を使って未来先に起きる鉄血からの襲撃を予測して、少しでも防ぐ事が出来るのなら俺は喜んでそれに使う。どんなに汚いって言われても、そうでもしなければ俺も大事な人も何もかもが死んじまう。戦いに汚いもクソも無ぇんだから」

「成程ね。貴方も貴方でどれだけ強いのかは良く分かったわ。ちなみに、貴方がグリフィンに就職しているって話は両親とかに話したの?」

「いや、両親も両親でお前の為だとか貴方が生きていればそれで良いのよとか言ってたんだけど、流石に将来ですら固定ルートされるのは俺としても嫌だったからな。ケンカして出て行った」

「それって縁切りに近いのでは……」

「まあね。でも、後悔してねーよ。あの時に旅しなきゃずっとクソ狭苦しい世界で居なきゃいけなかっただろうし。今は今で満足してるし、俺と一緒に居てくれる人も増えた。そうだろ?」

 

 鷹山とM4達の指には結婚指輪が。まさか自分がこうなるとは予想していなかったものの、別に悪い気はしなかったので良しとするかと自分で納得した。鷹山の答えにペルシカも彼の本質を一通り聞いては納得していた。

 

「貴方ならM4達を任せて安心かもね。何なら今からでも私の事をお義母さんと呼んでも構わないんだよ?実の両親とケンカ別れしたんだから、飢えているんじゃないのかい?ほれほれ~」

「ちょ、止めて下さいよペルシカさん……」

「そうですよ!指揮官のママになるのは私だけで十分ですから!」

「ねえM4、それ一体誰から吹き込まれたの!?流石にネットスラングは聞き逃せないけど!?」

「えっと、グレイさんとUMP45からですけど……」

「あんの馬鹿野郎ォォォォォォォォォォ!!!!」

「相変わらず今日も騒がしいこった」

 

 彼等は前へと「進み続ける」。常にベストな結果を残すべく、幸せな未来を掴むまで動き続けるだろう。幸せのゴールへと辿り着くベストタイムもそう遠くは無い様な気がした。




前回のネタも含めての小ネタ解説

・マグロみたいな飛び方をしててもか?
一番古いというか原点となるのが「キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲」におけるTAS。ジャンプ+ジャンプキックという移動手段。それなりに攻撃が高く、敵キャラを蹴りながら通り抜ける場面が多いので「通り魔」と呼ばれたりしている。時代が進むにつれて動き方も変態レベルとなっていて、更には「マグロのように跳ねながら前進していく様はまごうことなき変態」とも言われる羽目に。しかも掛け声すら「ドゥエドゥエドゥエ(ry」と言ってる事からドゥエリストと呼ばれる様になった。このドゥエリストは知ってる範囲だと7人いるが……君達一体何を目指しているんだ。

・な……なんだってーーー!?
MMRマガジンミステリー調査班の有名台詞。話は聞かせて貰った 人類は滅亡する!

・このTASの目をもってしても読めなかったとは……!
北斗の拳に登場するリハクが言ってた台詞。本当ならばTASの目じゃなくてリハクの目。

・クソがっ!
ガンバレルーヤよしこの悪口(?)。あのボイスが何故か癖になる。

・俺は結婚指輪とかその他諸々持って滅びの山の火山で身投げするぞ!!
ロード・オブ・ザ・リングが元ネタ。サウロンの指輪がそこで作られたのと同時に最後にその指輪を投げ入れた場所でもある。結婚指輪を理由にそこで身投げなんてされたら流石のサウロンも迷惑だと思うが。

・日本からハワイ島向けて泳いで1分で着く位に
これと同じ位にやるのが「風のタクト」におけるマニュアルスーパースイムの事。ポーズバッファを利用して1F毎にスティックを上下に入力した後、これを延々と繰り返す。すると、何故かスピードが加算されてトンでもない速度と化し、まさかの船要らずでプロロ島から竜の島まで行けたりする方法。TASでしか出来なかったが、これをRTA走者でも出来るというヤベー技。色々人間辞めてる。



とりあえず、指揮官2人の大体の経緯は簡潔に語ったので、先にこの2人をフリー素材にします。後々で登場人物とか纏める予定でもあるんですが、厄災とTASの2人を是非とも使いたいという人はどうぞ使って下さい。コラボとかも受け付けてますので、メッセージとか送って頂けたら嬉しいです。

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