▼彼女たちとの思い出を...
▼もしお忙しくなければ。
▼立ち止まって、聞いてみませんか?
1話完結。 次話投稿は未定。
...よくある話ですが。
ほんの小さい子供の頃、今とは違う世界が見えていました。
.....フィクションなどではなく。
世界は,鮮明に存在していました。
とても居心地が良く、幸せな世界であったことは記憶しています。
私は5歳の頃、動物園に行ったことがあるのですが、そこで見た動物たちは、人間と同じであるかのように振る舞っていました。
ヒトの姿をした動物たちが、確かにそこにはいたのです。
不思議なことなのですが、私にも、そう見えていました。 何もおかしいことではなく、ただの日常の一部と受け入れていました。
道中出会う動物たちは...
どんな猛獣でもみんな、優しいお姉さんのような存在に思えました。
両親は、ライオンの檻へと連れてきてくれました。
元々、それが目当てで来ていましたから。
ライオンさんははじめ、こちらを一瞥するだけでしたが。
私を見つけると、目をキラキラさせながら近づいてきました。
私の両親は少し心配そうな目をしていましたが、私が無邪気にライオンへと近づいていくのを見ると、安心したようでした。
ライオンさんは楽しそうにアフリカの唄を聴かせてくれました。
お別れの時は手を振って挨拶してくれたことを、今でも覚えています。
一番記憶に残っているのはキリンさんです。
私は動物園を出るのが名残惜しく、入口の方で愚図っていました。 その時、彼女は呼びかけてきたのです。
他愛のない話をした後に、彼女は微笑みを湛えて私の頭を一撫ですると、少しばかりの草と、若草色のマフラーを思い出にと渡してくれました。
二年前、私はその不思議な体験を思い出すことができました。 なぜ忘れていたのかと、私はかの動物園へと急ぎました。
ですがそこに、彼女たちはいませんでした。
誰に聞いても、知らないというのです。
...そうだ、今、分かりました。
今なら全てが思い起こせます。
彼女のくれたマフラー...あれはまだ、どこかに残っていたはずです。
両親が実家を離れた時...あれが捨てられていなければいいのですが。
今から行ってきます。
少し待っていてください。
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今、私はかつての家へと帰ってきています。
実家は今ではもう古びていますが、まだその大黒柱は以前と同じ風に、しっかりと立っていました。
例のマフラーは、私が子供の頃に使っていた秘密の箱の中にありました。
「たからものボックス」と汚い字で書かれていましたが、実際はもっと汚くて、カタカナなんかはほぼ判別不能です。
そのマフラーは、何十年も前に私が感じたあの温もりを、未だ残しています。
こんなことが現実にあり得るのか、と頭では否定しています。
ですが...そこに『それ』はあったのですから。
あの出会いは本物だったと思いたい、本当のはずです...
そう信じるしか.......。
私には、それ以外。
結果として、それは.....
子供の頃の私が作り上げた妄想ではありませんでした。
マフラーの柔らかな結び目から、彼女の香りがしました。
何より...
あの草は、朽ちてなどいませんでした。
今、目にしていても信じられないのですが。
窓の隙間から吹き込む風に揺られ、サバンナの薫りを運んでくれました。
今から私は自分の家へ帰りますが...
これはここに、置いていこうと思います。
私が持っているよりも、ここで永遠に朽ちずにいてくれた方が。
私の幼い時と今の時をを繋ぎ止めていてくれる気がしましたから。
...それで構いませんよね?
...ねえ。
大切なものは、過去においていきたい。
そうしたら、最期にまた会える。
過去の思い出なら。
ずっとずっと、信じていられるから。
...とかいうノンフィクションのお話、ありそうなんですけど!(ドヤァ)
夢があると思わない?
子供の頃って、本当にこういう不思議な体験した人、絶対いると思うんですけど!
三歳の時に見た、あのピンク色の空、また見れるといいなぁ。