やはり俺が十師族を守護するのは間違っている。   作:ハーマィア

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 お待たせしました。入学編最終話でございます。

 次回から九校戦編だぜっ!


関本勲はまちがえない。

 巡回。

 

 今の第一高校においてこれほど面倒な仕事は他にないだろう、と関本勲は考えている。

 

今は部活動勧誘期間中だ。あくまでも演習目的のため、ではあるが普段は学園の事務に預けられている生徒たちのCADの携帯が期間中のみ全生徒に対し許可されているので、魔法絡みの乱闘・傷害事件が一日に数件、多ければ数十件も発生する。

 

 それらの対処に当たるのは警察ではなく風紀委員会であり、風紀委員会に所属している関本達の仕事だ。

 

 勧誘期間が始まってから数日が経過した今日も、関本だけで2人もの逮捕者を連行した。1人目は巡回が始まってすぐの逮捕だったが、2人目が下校時刻ギリギリでの逮捕だった為に、その処理に時間がかかってしまったのだ。

 

 その処理の内容は、まずすでに閉まりかけていた保健室に被害者を連れて行き、治療を見届けてから次に懲罰委員会に現場証拠と共に逮捕者を預けるという、簡単なもの。

 

 しかし逮捕者の男子生徒が途中で暴れたり、被害者の女子生徒が途中で泣き出してしまったり(2人は恋仲だった様子で被害者が加害者を庇う為余計面倒だった)と手間が重なった結果、やっと今、風紀委員会本部に戻ってきたところだった。

 

「ふあ〜あ……」

 

 眠気が関本を襲った。勧誘期間の中でも今日は特に疲れているらしく、目蓋がいつもの二倍重く感じていた。

 

 下校時刻などはとっくに過ぎていて、今頃残っているのは風紀委員長の渡辺摩利か、最近彼を狙ったと思しき犯行の際で毎日忙しくしているという、新入りの司波達也……くらいなもの。

 

「……?」

 

 まぁ、どちらでも構わないか。挨拶だけして帰ろう。……と決めていた関本だが、ここで彼はある事に気付く。

 

「……やべえ」

 

 外から察知できる部屋の中にいる人の気配が、想定よりも遥かに多いのだ。

 

 思わず、すぐさまこの場で引き返して帰宅したくなる。

 

 だが、ここまできてから中に入らずに帰るというのも変だし、部屋の前に立った時点で彼の存在は恐らく記録されているから、そもそも逃げる事自体が望ましくない。

 

あいつ(・・・)と違って、俺は覚えられてる。気付いている事自体、悟られるべきじゃないな……)

 

 そう考えた関本は、おもむろに通信端末を取り出し適当に触れて今の関本がドアの前に立ってから不自然に空いた間の言い訳を作り上げた後に、風紀委員会本部へと踏み込んだ。

 

 が。

 

「……っ」

 

 踏み込んで目にした、そのあまりにも衝撃的過ぎる光景は、関本から一切の言葉や反応を奪い去った。

 

 人数は関本が察知した通りに多い。しかし、風紀委員がたむろしているだけだろうと楽観視していた関本には、衝撃的過ぎた。

 

 風紀委員会本部の中央に置かれた長テーブルの奥。本来なら、風紀委員の長である摩利が座るべき場所には生徒会長の七草真由美が座っている。

 

 そのすぐ横、関本から見て右側奥の席に摩利。

 

 摩利の反対側の席には司波深雪がいて、入室してきた関本に視線を向けている。

 

「……」

 

 だが、驚きはしたものの、別に彼女達に関しては全く見ない顔ではない。

 

 真由美なんて頻繁にここに降りてきているし、深雪は兄の達也を迎えにきたということで納得できる。

 

 他のメンバー……三浦優美子や雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣など、八幡を知る人物に対して関本は、彼女達がこの場所にいる事に対する違和感を覚えずにいた。彼女達が六道で、生徒会長がその主人である十師族の人間だからかもしれない。

 

「一体何の集まり……」

 

「では、揃ったな」

 

 関本の問いを遮り、答えを示したのは、摩利でも真由美でもなく、関本の後から風紀委員会本部に入ってきた、十文字克人だった。

 

「……十文字?」

 

 視線が合った関本の呼びかけには応えず、しかし関本から顔を逸らすことなく、後ろ手でドアを閉める克人。そしてそのまま彼は、そこから動こうとはしない。

 

 突如として、関本を強烈な違和感が襲った。しかし、目に見えてわかるような違和感ではない。

 

(……十文字が、まるで門番のような役目を……)

 

 表現できる違和感としてはそれくらいだが、これは単純に、順番の最後に入ってきたからだろう。

 

「ええ。十文字くんはそこにいて頂戴」

 

 真由美が指示を出す……が、真由美の指示より前に克人は既に行動し、陣取っている。

 

(……まて)

 

 克人はこの部屋に入ってくる時、なんと言った?

 

——『では、揃ったな』——

 

「…………」

 

 揃った。つまり、克人は何かを待っていた。

 

 何を? この状況になる事を、だろう。

 

 この状況とは、どんな状況か。

 

 周囲を、ゆっくりと見回す関本。

 

 ……気がついた。

 

「……何か話し合いがあるようだが、俺は先に帰るぞ」

 

 全員の視線が、自分に集まっていることに。

 

 気持ち急ぎめ、見た目疲れた様子で風紀委員の腕章を外し、ポケットに入れてくるりと方向転換しようとする——が。

 

「まぁ、待て。……関本」

 

 背後から摩利に呼び止められ、関本は盛大に舌打ちをしそうになった。

 

「……なんだ?」

 

 振り返り、摩利の顔を見る。だが、摩利は隣の真由美を見ていた。

 

 摩利の視線につられて関本も、真由美に視線を移す。真由美は、関本と視線が合うと口を開いた。

 

「関本くん。八幡……比企谷八幡くんを、覚えていますか?」

 

 真由美の言葉の後、二秒、間があった。それから、関本は早くもなく遅くもないペースで、言葉を紡ぐ。

 

「ひきがや……はちまん? 人の名前か?」

 

 真由美の問いにこう切り返せたのは流石だ——と、関本は自分で自分を褒めた。それと同時、数日前に八幡から受けていた「ある懸念」……それが現実になっていたか、と心の中で苦い顔をして、それをおくびも出さないように渾身のとぼけ顔を披露した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 覚醒した力を持ってイチジョウとの戦いに勝利した八幡は、すぐに第一高校——東京から姿を消す準備を始めた。

 

 理由は、戦いには勝利したものの、世界に対して行われた記憶の反転が元に戻らなかった為。

 

 一度、自身が完全に殺される事で解放される能力によって、八幡はイチジョウを圧倒した。が、それはあくまでもイチジョウを倒しただけであり、力を取り込んだ訳でも消滅させた訳でもない。弱らせていることに違いはないが、すんでのところで逃げられたのだ。

 

 封印が使えず、今はまだ、ただ蹴散らすだけの力でしかない覚醒した力の扱い方を学び直す必要がある。『大は小を兼ねるって言うけど、世界クラスで発動する大きすぎる力は人間1人に対象を絞れないのがキツイな』……と八幡は口にしていた。

 

 そして、「記憶が戻っていない=イチジョウの影響下にある」状態で彼女達に接触する事は危険であると判断した結果、八幡達は身を隠すことに。

 

 八幡や妹の小町はいなくなったものの、関本や森崎、千秋などの比企谷の一部のメンバーは、変わらずに一高に通い続けていた。

 

 彼らは記憶を取り戻しているが、八幡によって記憶を(・・・)回復させられた訳ではない。森崎や千秋にだってイチジョウの手が伸びているかもしれないのだ。気にかけていると悟られれば、イチジョウの影響下から解放する前に殺される可能性があった。

 

 故に八幡は、関本や千秋達に再成を使用し、彼女達の全身を影響を受ける前の体に巻き戻していた。

 

 記憶の消失はいわば魔法によって上書きされた表面上だけのもの。情報を読み取り、行使する現代魔法の最たるもの『再成』であれば、弱まったイチジョウの事象干渉力を弾いて影響下から完全に解放できる。

 

 とはいえ、イチジョウが関本達に監視兼センサーとしての眼を配っていたなら、勘付かれて、残った人質達は殺されていたかもしれない。

 

 そうならないように未来を視てから再成を使ったのだから、そんな事など起こり得るはずは無いのだが。

 

 ……未来視から逃れる術をイチジョウがもっていたとしたら、どうしようもなく、ただ運が良かっただけ——というのは、彼らを再成した際、八幡は口にしなかった。

 

 ともあれ、『安全』だった関本達は無事に記憶を取り戻し、しれっと八幡について行こうとする女子数名を引き留めて(何人かはついていってしまったが)、八幡がいなくなってからの第一高校を監視していた。

 

 そして、関本達の記憶の回復ができた——できてしまった事により、八幡は新たな推測を立てていた。

 

『もしかしたら、イチジョウは予想以上に弱ってるのかもしれないです。周りに目を向ける余裕が無いくらい。……そうだった場合、その他の人間……七草姉とかが記憶を取り戻すことも考えられます。だから先輩は、全力で知らないふりをしておいて欲しいんです』

 

『状況の説明をする……じゃなくて、か?』

 

 戸惑いを返す関本に、八幡は彼から視線を外した。

 

『万が一、七草姉達が操られていたらお終いですし。それに』

 

 そこから先の言葉が、八幡の口から出てこない。関本が「それに?」と言葉を付けてやっと、八幡は口を開いた。

 

『それに、つながりが切れるなら万々歳じゃないですか。確かに『十師族』という看板を借りれなくなるからこれからは厳しくなるかもしれませんが、選ばなければその分もっと仕事ができるようになるし、労力だって俺と先輩がいれば何とかなる。…………あとは、俺が死んでも』

 

『悲しまれない、か』

 

 口籠もった八幡のその先を紡いだ関本だが、その言葉が癇に障ったようで、八幡はすぐ反応した。

 

四葉深夜(・・・・)との関係を疑われなくなるから、です』

 

 ただそれは、口先から出た空虚なだけの言葉ではなかった。

 

『……ああ、そっちの問題もあったか』

 

 比企谷八幡は、1人の人間として生きるには問題を抱え過ぎている。

 

 血は繋がっていても明らかに容姿が似ていない両親の矛盾や、六年前まで彼の戸籍は文字通り存在していなかった事など。

 

 その中のたったひとつであっても、隠匿する努力をしなくて良くなるのなら、彼はどれだけこの世の中を生きやすくなるのだろうか。

 

 比企谷の者としてではなく、八幡の友人、先輩として、関本は彼の提案を承諾し、賛同した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年、司波深雪さんに次ぐ学年次席の成績を残して入学し、深雪さんに対する痴漢行為の罰という名目で風紀委員会に所属していた()の男子生徒です。貴方が彼を取り押さえたのだと摩利からは聞いていますが」

 

 退路を緩やかに塞がれて、真由美と対面する席に座り、関本は事実上の取り調べを受けていた。

 

 関本が目をつけられた理由は真由美が語った通り、八幡と接触していたから。

 

 おそらく、八幡が接触した相手にこうして片っ端から訊き回っているのだろう。そんな推測を立てつつ、関本は用意した嘘を吐く。

 

「いや……自分ではない。そんな特徴的な生徒を忘れるわけが無いだろうし……その生徒の顔は? ここの生徒だと言うなら、データがあるだろう。それを見せてくれ」

 

 あくまでも、無関係の第三者視点から答える。

 

 関本はそう決めて真由美を見た——が、今日初めて見た真由美の目にクマができているのが見て取れて、ほんの少しだけ、視線が揺れた。恐らく、ろくに寝てもいないのだろう。

 

「……それが、どこにも無いの」

 

 それはそうだろう、と関本は内心呟いた。八幡に関するデータを抹消したのは関本であり、克人との模擬戦の記録も全て削除し、都合の良いように書き換えてある。

 

 それを知っていることなど微塵も見せずに、関本は首を傾げた。

 

「どこにも無い? 転校や停学、退学にしても処分届として記録されてる筈だが」

 

 のちに付け加えられた八幡の処分届も、関本が削除した。

 

「……証拠として残っているものは何も無いわ。入学記録すら無くなっていたんだもの」

 

 八幡に関する資料は何一つ無い。消したという記録さえ、抹消したのだから。

 

「……それなら、そいつはこの学校にはいなかった、ということじゃないか?」

 

「……いいえ。確かに彼はいた。だって、この場にいる全員が彼のことを覚えているのよ」

 

「……どういうことだ?」

 

 本当に記憶をなくしていたとしても、関本は多分こう問いかけただろう。

 

「実は——」

 

 真由美が摩利に視線を移し、それに摩利は頷く。摩利の返事を以って真由美は、そもそも何が起きたのかを話し始めた。

 

 八幡から非常事態を知らせる緊急メールが送られてきた事に始まり、しかしその後すぐに八幡に関する記憶を忘れてしまった事、八幡からの電話も全くの他人として受けた事など。

 

 彼らが記憶を取り戻したのは、事件から三日後の土曜日。思い出した時間はそれぞれ異なっていたものの、午後五時にはほぼ全員が失っていた記憶を取り戻していた、らしい。

 

 ほぼ(・・)——というのは、関本の他にも、八幡に関する記憶を思い出せていない人間がいるからだ。

 

 第一高校の関係者で言えば、三年生一科の小早川景子や、千秋の姉である平川小春。千秋に、風紀委員の森崎昴など。

 

 その他にコネクションを通じて知り得たところでは、第三高校に通っている、雪乃や結衣と同じ『六道』の折本かおりや、師補二十九家の一色いろは、十師族の一条家の人間など。

 

 話を聞けば聞くほど、彼らは真実に迫ろうとしていることがわかって、関本は焦りを覚えた。

 

「——なるほどな」

 

 話を聞いた関本は、しかし、バカバカしい、と関本は席を立つ。

 

「口裏合わせて俺を騙しに来てるとしか思えない。或いは精神干渉系魔法に犯されているかのどちらかだな」

 

 実際、危機感を感じるまで関本はイチジョウによる干渉を疑っていた。

 

 世界を包み込める力をどれだけ細かくコントロールできるのかはわからないが、真由美の体で喋っているのが真由美自身でない可能性を関本は疑っていた。

 

「待ってください! ……本当に、本当に覚えていないのですか?」

 

 部屋を出ようとする関本を、真由美が呼び止める。……が、それで関本が止まる筈もない。

 

「覚えていない。……それじゃあ」

 

 扉に手をかけ、人を見下すような目つきで関本が周囲を見回した後、真由美とは別に声が上がった。

 

「待ってください」

 

「……なんだ? 司波達也君」

 

 声を上げたのは司波達也。関本の目論見では、こういう面倒事には首を突っ込みたがらない性格の筈だが、面倒事をこれ以上増やさない為にも関本は呼び止めに応じた。

 

「司波で結構です。……関本先輩。質問があるのですが」

 

「なんだ?」

 

 その判断が、間違っていたのかもしれない。

 

「四月五日の火曜日の、関本先輩の校内巡回ルートについです。どうしてこの日だけ、普段よりも大幅にズレたコースで巡回していたんですか?」

 

 ハッ、と関本は固まった。その日は、八幡が深雪に痴漢を働いた日。もちろんその事についても八幡のデータは抹消されている。

 

「…………それは……どうしてだったかな」

 

 八幡の事だけは、完璧に抹消済みだ。

 

「他の風紀委員の方の行動記録と照らし合わせても、この移動は通常ではあり得ません。何があったか、憶えていませんか」

 

 但し、関本自身の行動記録については、手をつけていない——。

 

「…………そういえば、お前達司波達兄妹に関する事だったような気もするが……」

 

「そこで、関本先輩は比企谷を取り押さえていました」

 

 苦し紛れに放たれた一言は、しかし、話を逸らす力を持たない。

 

「……わからんな。その場所に行った事は憶えているが、何があったかの詳細は記憶に無い」

 

「……そうですか」

 

 結局、関本は「比企谷八幡」の存在を否定できずに自分の記憶の欠陥を認める羽目になった。

 

 だが、この場で関本が八幡の存在を認めようと認めまいと、八幡がどこにいるのか発覚する心配はない。達也の言葉を聞いてみても、「比企谷八幡」という人物がこの第一高校にいたという証拠——にはなり得ない違和感が朧げに見つかるだけで、放置しておいても何も問題はないだろう。

 

「それじゃ、俺は帰らせてもらう」

 

「え……ええ。時間を取らせてごめんなさい。また進展があったら……」

 

「あったらな」

 

 挨拶も半ばに、関本は身を翻して風紀委員会本部を出て行く。

 

 明らかに何かを察知している司波兄妹の視線を、一番強く感じながら。

 

(……あーあ、面倒だ。暫くしたら風紀委員辞めるかな)

 

 しかし。

 

 その傲慢が。

 

「そうだ」という確証が一ミリも無いその驕りが。

 

 ここで比企谷八幡をきっぱりと諦めさせなかった油断こそが。

 

 彼らが真実へと辿り着く手助けをしてしまうことになる事を、この時の関本は知らない。

 

 というか。

 

「……大丈夫? ゆきのん」

 

「……大丈夫よ」

 

あからさまに覇気がなく、体が不調を訴えているにもかかわらずそれを理性でねじ伏せて親友に笑みを見せる少女と、力なき笑みを返す親友。

 

「……真由美も、大丈夫か?」

 

「ええ。……元々手掛かりなんてないようなものだし、また一からやり直しね」

 

 真由美は元より、八幡に好意を抱いている(と関本は考えている)少女達全員が、まさに死にそうな顔をしていた。

 

 死にたそうな顔にも見えたし、何かを信じたくなさそうな顔にも見えた。

 

「…………チッ」

 

 はっきり言えば、彼女達がこの反応をするということを関本は予め知っていた。

 

 知っていたから今も平気な顔ができますよ、という訳にはいかないのが関本勲という男だ。

 

 彼女達が嫌いなわけではない。

 

 彼女達に何も伝えられない自分に憤りを感じながら、関本勲は風紀委員会室の外に出た。

 

「……ん」

 

 関本の退出を見計らったかのようなタイミングで、関本の端末が着信を知らせる。

 

 部屋の外に出たとはいえ、扉に貼り付けば聞こえない音ではない。加えて部屋の中には、この程度の会話を聴き取る真似など造作もない連中がごろごろいる。監視カメラも関本を観ているし、下手な発言は後でバレてしまう可能性が高い——というか、この状況では間違いなく聴かれてしまう。

 

 それを踏まえて、関本勲はこう切り出した。

 

「何の用だ比企谷(・・・)。まだ帰宅していないんだが」

 

 部屋の中から漏れてくる鋭い吐息。やはり、何人かは盗聴していたのだ。

 

 しかし、それすらも予定通り(・・・・)

 

 ハプニングにはなり得ない。

 

 先程よりも随分と強まった視線——異能によるもののみを人形式応用型のパレードで振り払い、関本はごく普通に帰宅した。

 

 




次はワートリ短編を投稿します。みかみか。
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