123756787!   作:リッ菌

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ここからが本当の始まりの第6話です!

前回不思議な光に包まれてそのまま意識を手放した要ちゃんですが、あれは一体何だったのか!

そしてあの世界とは!

その答えはこの第6話の中に!


第6話 現実!

なんだか騒がしい。

喧騒のさなか、ふわふわとした意識と鈍い肉体の感覚の間にいる私の身体は揺さぶられ、揺りかごにでも乗っているのかとさえ思ってしまう。

辺りからは複数の呻き声とも、悲鳴とも取れる誰かを呼ぶ声がこだましている。

……なんて言っているのかなんて、そんな事は分からない。けれどもその声は聞き覚えのあるもので、どこか懐かしささえ感じる。

視界は闇。これは、私の目が開けられていないのか、それとも本当に光の一切届かない暗黒の中にいるのか、それすらも分からなかった。

 

「……! ……!」

 

声は段々と大きくなっていっている。

それと同時に闇色だった視界に少しずつでは色がついていった。

闇の中に横一直線に見えるその景色には、黄金色の夕陽のような橙色。続いて少し黒い肌色と、その周囲から垂れているのであろう黒い線。

なおも身体は揺さぶられ続けており、その声も更に大きなものになっていった。

 

「……め! ……なめ!」

 

少しだけ悲しそうな声色のそれは、悲哀の中に若干の歓喜に似た感情も取れる。

宙に浮いたようなこの感覚が堪らなく心地いい。深い眠りについた後の目覚ましやアラームに起こされるように、後はその声さえ無ければ大変素晴らしい物なのだけれど。

でもこれはきっと私は寝ていて、それを誰かに起こされているのではないだろうか? ……学校に行く時間? それとも誰かと遊びにでも行く約束をしていたっけ。

ともかく、そうとなればいつまでも寝ている場合ではない。

私はゆっくりと開きかけていた目を開放していく。

 

「要っ! 要っ!」

 

目に飛び込んだのは、大粒の涙を流しながら私のことを揺する亜実の姿。その背景には日が落ちかけていて、間もなく夜という闇を迎え入れようと準備をしていた黄金色の空。

……本当に寝ていたのか。

そしてここは一体どこなのか。

屋外である事は間違いないけど、どうしてこんなところに?

 

「……亜、実」

 

震える唇で目の前の友人の名を呟く。

 

「……っ! 要ぇっ!」

 

重い身体を起こした私にすかさず亜実が抱きついた。勢いのある、柔らかなその感覚を受け、ますます訳の分からない私は動かせる範囲でその頭を動かし今自分の置かれている状況を確認する。

見渡す限りを覆う金属製のフェンス。その隙間から見えるのは住宅街、道路、ショッピングモールや道を歩く人々。それらよりも遠くに見える山はその緑の姿を夕日に照らされ、ほんのりと赤く色付いていた。

やがて見える範囲の木々が揺れると、同時に少しだけ強いそよ風が私の髪をいたずらっ子のように搔きまわす。

自分は地面よりも高いところにいるようであり、それはその風の強さが教えてくれた。

目線の高さよりも少し下を見ると、ギリギリ校門が見えており、少なくともここは学校の敷地内であることだけは間違いないようだ。

しかし、私は校内で屋外かつ、ここまでの高度のある場所など知らない。となると、考えられる事は一つ。

 

「ここは……屋上?」

 

吹き抜ける風がなんとなく心地いい。この風を身体で受けているだけでもなんだか生きた心地がした。現実から引き離しそうな、そんな気分だ。

しかし、そんな私を抱き着いていた亜実の声が離れた意識を現実へと引き戻した。

 

「要っ! 良かった! 良かったぁ……っ!」

 

ハッと我に帰り、泣き噦る彼女をそっと引き剥がす。

 

「どうしたの、亜実?」

 

抱き着いていた腕を、今度は目元へとやり、その袖口で自らの目元を擦る。

 

「要っ、目っ……開けなくてっ! もう、ダメかもって……っ!」

 

嗚咽交じりに途切れ途切れで話す亜実の顔は涙などの透明な体液でグシャグシャになっていた。

私が目を開けてなかった……?

一体どういうことで、何が起こっていたのだろう。

自分の身に起こった状況を理解出来ないまま、今度は私から亜実を優しく抱きしめる。

 

「亜実。大丈夫。大丈夫だから……」

 

「うんっ。うんっ……!」

 

平常を取り戻さない亜実に落ち着くよう言葉を掛けるが、自分でも何が大丈夫なのかさっぱりわかっていない。もしかしたら自分が最も大丈夫ではないのかも知れなかったが、それでも今はそうするのが一番だと思った。

しばらく背中を撫でていると、やがて落ち着きを取り戻したのか「ありがとう、もう大丈夫」と自分から私の両腕を抜け出す。

 

「ねえ、何があったの?」

 

私の問いに亜実は鼻をすすりながら未だ潤んだ瞳を向け、涙声で答えた。

 

「要、あいつらに追われてる最中に転んで、階段に頭をぶつけてて……。本当にもうどうしようかって」

 

なるほど。私は意識を失っていたのかとその時初めて知る。幸いにも大きな怪我はなく出血も無いみたいだが、その事実を知った途端額の右上付近に少しだけ痛みを覚えた。触れてみると少し腫れており、わたしにはその時の記憶は全くないものの、亜実の様子や答えはそれをまぎれもない真実なのであると裏付けた。

けれど、亜実の答えの中で一つだけ気になるというか、解せない点があったのも事実だ。

 

「亜実、あいつらって……?」

 

「……え?」

 

亜実が目を丸くし、ほんの少し驚いた様子を見せた時、私の後ろから聞き覚えのある声の質で怒声が響いた。

 

「先生! もう……もちませんっ!」

 

不意の声に驚き即座に振り向くと、そこには屋上の頑強なドアを押さえる天飛先輩と、暮斗先生の姿が。

ドアは押さえ付けられている向こう側から強く叩かれているようであり、叩く音が一つ聞こえる度に僅かにドアが動いた。

 

「くっ! 仕方ないわ! 南方さん、私が押さえてるからその間に!」

 

「はい!」

 

先生の指示を聞き、数秒後に天飛先輩は扉から離れ、その横に設置してあったロッカーを勢いよく開ける。

バンと開かれたロッカーの中にはデッキブラシや竹箒などが見える。屋上清掃用のロッカーを開けて、二人は一体何を考えているのか、私には理解することは及ばなかったが、天飛先輩と先生はその次の工程が既に頭に入っているようで、ロッカーの中からデッキブラシを取り出すとそれをまるで刀を構えるように扉へと向けた。

そしてすうっと呼吸を整えると先生に向けて言い放った。

 

「行けます!」

 

その声を受けた先生は天飛先輩へ顔を向けるとコクリと頷く。

 

「離れるわ!」

 

そうして先生が押さえていた扉から身を離すと開け放たれた扉の向こうからは押し相撲でフェイントを受けた時のように生徒三人が雪崩れ込んできた。

三人はそのまま重なるように地面へ倒れ込む。

 

「やぁっ!」

 

その内の一人へ天飛先輩が掛け声と共に頭部に目掛けデッキブラシを振り下ろした。

木刀程度の一撃で死んでしまうほど人間の頭は脆くはないのだろう。それでも天飛先輩の力が強かったのか、それとも当たりどころが悪かったのか、バキッと普通に暮らしていれば聞くこともないような嫌な音と共にその生徒は動かなくなった。

 

「な、何をやって……」

 

その光景はあまりにもショックで、私は思わず後ろで震えているであろう亜実へと振り返る。

 

「ねぇ、亜実……?」

 

亜実は目を瞑りながらそっと私を強く抱きしめた。

改めて天飛先輩の方を見てみるといつのまにか三人いた生徒は皆地面に突っ伏しており、ピクリとも動かない。

まさか、この人は……。

居ても立っても居られないられなくなり、亜実の腕を強い力で振り解こうとするも、亜実の両手はいつもより強く私の身体を押さえており、簡単には離してくれそうにない。

 

「要、ダメっ……!」

 

「何がダメなの!? こんなのおかしいよ!」

 

亜実はその手を弱めてはくれない。

みんなでこの生徒たちを虐めている。親友だと思っていた亜実でさえも。

……心が痛かった。何があったのかは知らないが、もう私の知る亜実じゃないのかなぁと、思った時には胸の締め付けられる感覚で一杯だった。

だからといってこのままにするのは絶対に違う。

今度は先程よりも強く、出せる力の全てで亜実の腕を振りほどくと縺れる足でその倒れた生徒へ駆け寄る。

 

「大丈夫ですかっ!!!」

 

生徒の身体を揺するがやはりその身体は動くことはない。

他二人の体も揺すってはみるものの、やはり二人とも同じように動くことはなかった。

まさか、本当に死んでる……?

その触れた身体からは体温が感じられなかった。

 

「尾楽さん! 離れて!」

 

少し離れて様子を見ていた先生の声が私を呼ぶが、今はそんなことどうでもいい。それよりもどうして、先生は今の天飛先輩を止めようとしなかったのか、それが私には全く理解出来ない。出来るはずがない。なんで誰も止めようとしないの?

 

「何を言ってるんですか!? 早く手当てしないと……!」

 

その目の前の凄惨な光景に気付けば私の頬には涙が伝っており、それは自分の心に渦巻くものが何かを教えてくれていた。

尚も懸命に身体をゆすり続けているとその内一人の生徒がゆっくりと立ち上がる。

良かった、まだ無事だったんだ。少しだけ安堵し胸を撫で下ろす。

 

「尾楽さん!」

 

先生が絶えず私を呼ぶが、今はそれどころではない。私はそれを無視しその生徒の側へと寄った。

 

「良かった……大丈夫ですか?」

 

私の問いにその生徒は答える。

 

「うん、ありがとう。大丈夫だよ」




さてさて、第6話いかがだったでしょうか?

私的には結構地の文に気合を入れて、本文自体もかなり長めに描いたつもりだったのですが、改めて読み返してみると……うわぁ、これはこれは……何というスピーディさ。ボルトもフライングでゴールしそうな勢いの疾走感ですね

ある程度描くのにも慣れて、話が落ち着いてきた時に大幅な改稿を行おうとは思ってはいるのですがマジで誰か私に文才と語彙力を分けて下さい

さて、結局あれは要ちゃんの夢だったわけですね〜

私自身あんまり夢オチとかは好きではないんですが、まだまだ序盤ということでこのような形にさせていただきました!

今回もまた謎の終わりにしてしまった……。
次回からは話を続ける為にしばらくは要ちゃん以外の視点で進めていこうと思うのですが、うーむ、どういった展開にしようか。

ではでは、次回もお楽しみに!
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