機動戦士ガンダム In Last Paradisum   作:ROGOSS

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プロローグ
パンドラ事件


「ザジバー議員。まもなく議事堂です」

「そうか……、モロッコ君。ここまで付いてきてくれてありがとう」

「何を言っているんですかザジバー議員。これからも私は付いていきますよ」

「本当にありがとう。君がいたからこそ、この宙域は真の平和を得ることができる。これから我々は本当の意味で宇宙世紀を生きることが出来る」

「連邦とジオンが手を結ぶ……そしてそれは、我々人類が地球人と宇宙人として分かれ、争う必要はないという証明になるのですよね」

「そうなる……いや、そうしてみせさ。」

「議員。私はそんな貴方に惚れたのです」

「よしてくれ。照れてしまうよ」

 

 黒塗りの車は議事堂への道へ入る。しばらく道なりに進むと車は静かに止まった。モロッコは到着と同時に車から降りると、後部座席の扉を開いた。

 ありがとう、という声とともにザジバーも車から降りた。

 ザジバーは大きく息を吸う。新しい時代が幕を開けようとした。

一年戦争が終わりながらも、宇宙そらではジオン残党と連邦軍の戦いは終わっていなかった。過去の暗澹とした遺物を残したまま、次の世代に世界を託すことだけは避けなければならないとザジバーは考えていた。その一歩として、このサイド9の宙域にいるジオン残党リーダーと第202広域宇宙戦略軍長官の対談をさせることにザジバーは成功させた。

 ここまで来るのに5年がかかっていた。

 楽な道ではなかった。

 それでも無駄な道ではなかったとザジバーは信じていた。

「お父さーん!」

「おお! 来ていたのか!」

「はい!お父様が成し遂げたことを僕たちも見たくなったので!」

「そうかそうか。今日はお前たちにとっても大切な日になるはずだ」

「はいっ!」

 ザジバーは愛しい息子達を見つめた。

 立派に成長してくれたものだ。

 そう感慨にふけっていると、思わず涙が出そうになった。そしてそれが油断をうんでしまった。

 この一瞬の出来事をザジバーは永遠に後悔することとなるとも知らずに……

「貴様らっ! 何者だ!」

 

 警備兵の怒鳴り声の後に乾いた音が議事堂に続く。

 一瞬の静寂が走る。

 続いて連続して音が響き渡った。

 議事堂内はさならが阿鼻叫喚が燦々たる地獄絵図と化していた。

 

「何事だっ!」

「議員!議事堂が襲われています!こちらへっ!」

「だめだ! この対談を中止するわけにはっ!」

「議員がいなくなってしまっては、次の機会も得られません! どうか……お願いです!」

「くっ……! 息子達よ、急いで来なさい!」

「お父さん……?」

「お父様?」

「さぁ、坊ちゃま達も急いでください!」

 

 モロッコが手を引こうとしたその時だった。

 

 爆発音と巨大な火柱が目の前であがった。

 

 衝撃で目の前の柱が崩れ始めようとしていた。

 

「しまっ!」

 

 声を出すことも許されずザジバーは柱の下敷きとなった。

 

 体中から痛みの悲鳴が上がっていた。

 

「うぐっ!」

「議員! ザジバー議員!」

「モロッコ君……息子達は……」

「ご無事です! 議員、さぁ早く!」

「いやだ! 助けて!」

「この声は!」

 

 悲鳴の声にザジバーは戦慄を覚えた。

 聞き間違えるはずがなかった。

 あの声を……愛しい我が子の声を聞き間違える親などいるはずがない。

 ザジバーは霞む目を無理矢理開いて息子の姿を探した。

 離れたところで、覆面をかぶった男が息子を連れ去ろうとしていた。

 モロッコが咄嗟に護身用の銃を取り出すも、覆面の男に撃たれ銃を取りこぼす。

 

「待てっ!」

「お父様ーーー!」

 

 ジオン軍並びに連邦軍の高級将校が襲われたこの事件はのちに『パンドラ事件』と呼ばれるようになった。

 この事件を機に、まるでパンドラの箱をあけたかのごとく戦闘が激化したことにちなんでつけられた名だった。

 これは創生と破壊の物語である。

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