個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア   作:ばばばばば

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10話 後半(1/4)

 正体不明の彼は、地面から浮き上がるように私の目の前に現れた。

 

 

 

「おっ、ようやく気づいてくれたね! 君が体験学習の子でしょ? 俺は通形ミリオ、これから君が向かうヒーロー事務所の案内役を任された……、君と同じ雄英生さ!」

 

 

『はい、来ましたね、彼は雄英ビッグ101のアイツ、ボルトボーイこと通形ミリオ

 

 スタンド名はハヴォック神、非常に強力なスタンドで、名ありキャラを選択するモードで、彼を操作するTAS動画はもはや眼球に対するテクスチャの暴力です』

 

 

 一切意味の通らない説明を聞き流しながら私は自分のスカートの端をおさえると、一歩下がった。

 

「……雄英高校1年、本条桃子です。今日からお世話になります」

 

 動揺が表れないように一呼吸おいてから、続けて、取り繕うように低い声で嫌味を言う。

 

「天下の雄英生がのぞきですか?」

 

「スカートの中は見てないから安心してくれ! どうにも堅くて気難しそうな新人が来ると思っていたからね、軽くアイスブレイキングをかましてみようと思ったのさ! いや悪かった。まさかこんなかわいい声を出すなんて」

 

 その人は、まるでいたずら小僧のようにはにかみながら、こちらに頭を下げた。

 

「別に見られたところでどうも思いません、急に現れたので驚いただけです」

 

「はははは! 頼むから学校には言わないでくれよ、これ以上変態の名を集めるといい加減、本当にヒーローになれなくなってしまう」

 

 毒気を抜かれるような、屈託のない笑い声に私はやりづらさを感じながら、話を無理やり本題に戻す。

 

 普通なら、こんなことをされて素直に彼の言うことなど信じられないが、声のお墨付きだ。信じがたいことだが、彼は本当にあの雄英ビッグ3の一人なのだろう。

 

 盗み聞きした噂によると、雄英にはもっとも実力の高い3年生の3人、通称雄英ビッグ3というものがいるとは知っていた。その中で実質ナンバー1の通形ミリオ、その実力はプロヒーローの中で比類してもトップクラスという話だ。現在は指名された事務所で、もはやプロに近い活動をこなしているらしい。

 

「……それで、通形先輩は、案内で来てくれたんですよね」

 

 言外に早く自分の仕事をしてくれと願う私だが、彼は自分のペースを崩さない。

 

「噂にたがわぬセッカチさんだな君は、だが確かに時間は限られている。さぁついてきてくれ!」

 

 私は歩き出した先輩の斜め後ろを歩こうとするが、彼はひょいと身を滑らせて、私のすぐ横に並ぶ。

 

「……これだと案内しづらくないですか?」

 

「まぁまぁ、これから一緒に働くんだ。コミュニケーションは大事だろ、おっ、あそこのドーナッツ屋は朝のコーヒーが1杯サービスなんだ。コーヒー好き? 寄っていくかい?」

 

「あまり苦いのは得意じゃないです。そもそも相手を待たせると悪いので早く事務所に行きたいのですが」

 

「うーん、素っ気ない」

 

「これが素ですから」

 

 

 私の実習先はあのオールマイトのサイドキックを務めたこともあるヒーロー事務所。

 

 今まで詳しくは知らなかったけれども、その手の方面ではかなり有名なヒーローらしい。

 

 私の調べでは、親しみやすいオールマイトとは違い、冷徹無比で機械のような仕事人といった評価。

 

 個性は不明、しかし、その身のこなしと判断力から、私と同じ身体強化系ではと噂がされているらしい。

 

 

 そんな考え事をしている私に、通形先輩はパーソナルスペースを理解していないかの如く距離を詰め、マシンガンのように話しかけてくる。それに対して私は表情を変えずに、最低限失礼のない返事を淡々と答えていった。

 

 とうとう私に話しかけるのは無駄だと、諦めてくれたのか、先輩は少し呆れた顔をしながら問いかけてくる。

 

「うーん、優等生だね、……言われてみれば君も真面目そうだしサーに似た所があるのかな。本条くん、君ってサーと知り合いだったりする? 実は親戚とか、だから選ばれたとか、あぁごめん、変な意味じゃなくってさ、サーはなんで君を選んだんだろうって思ってね。あんまりそういうことをしないタイプの人だから」

 

「いえ、面識はないはずです。しかし自慢でしょうか? 通形先輩も指名でこの事務所に来たのでは?」

 

「あははは……、俺の場合、君みたいに優秀だから選ばれたってわけじゃないからね。でもサーは多分、いくら優秀でもそういうところだけで人を選ばないと思ってさ」

 

 先輩に言われずとも疑問には思っていた。

 

 オールマイトのサイドキックまで務めたほどのヒーローがなんで自分なんかを選んでくれたのだろう。

 

 真っ当なヒーローなら雄英体育祭で私のような行動をした奴なんて指名するわけがない。

 

 

『先ほども説明しましたがRTAで選ぶべき事務所は、フラグを立てないようにクラスメイトがいない、かつ経験やスキルが溜まるよう良いヒーローがいる場所です。

 

 しかしそういう稼ぎの良い場所にはクラスメイトがいるため、それを避けるため今回は陰険メガネを選びました。

 

 経験値の上昇はしょっぱいのでこの際どうでもいいですが、固有で習得できるスキルがもらえる可能性があります。

 

 特に回避を補正するスキルは今回の構成との相性がいいのでぜひ欲しい所ですがあまり期待せずにいきましょう(物欲センサー対策)』

 

 

「じゃあさ、逆になんで君はサーの事務所を選んだの?」

 

「……高名な方で経験も豊富です。それに戦闘での的確な身のこなしを見て、私にとってより多くのことが学べると考えて選びました」

 

「面接かよ!! かたいなー、サーはあれでユーモアを尊重しているからね、もっとスマイル! スマイル!」

 

「ユーモアですか?」

 

 ユーモアなんて不要と切り捨てそうな眼光で、そんな風な人には見えなかったのだが本当だろうか

 

 そんな疑いの気持ちが目に出ていたのか通形先輩は強く言い切った。

 

「そうユーモア! サーはむしろ面接みたいな型にはまった感じが嫌いなタイプだよ! もっと自分を出していこうぜ! 会ったら小粋なジョークで相手を笑わせるなんてすれば掴みはバッチリだね! 俺は指名でそういうのはパスしたけど、同じ事務所のバブルガールさんなんて一発ギャグをさせられたってさ」

 

 私の目的地である事務所はパワハラの横行するブラック事務所なのではと頭によぎる。

 

「私も指名ですのでそんなのはしたくないですね……、というか相手を笑わせるのが面接なんて意味ありますか」

 

「世界的に有名な多国籍テクノロジー企業のゴーグルなんて、よく変わった面接の質問とかするだろ?」

 

「その手の変わった質問が取り上げられますが、その質問を作っている会社自身の調査で、うまく答えられたグループと、答えられなかったグループ、その二つに業績で有意な差はなかったそうですよ」

 

「えっ、それ本当?」

 

 

 一方的に話しかけてくる通形先輩に心無い返答を心がけるが、どうもその人懐っこさに押されている。

 

 先輩がパトロールの時にしてしまった失敗、最近あった変わったこと、私のこと、様々な話題が尽きることなく提供されていく。

 

 これ以上、会話をしないよう自分を戒めながら歩くが、適当な相づちを打っても、先輩の小気味良いレスポンスに話は続いてしまう。

 

 

「でね、その集団面接で言われたんだ、“シカゴにピアノの調律師は何人いるでしょうか”ってね」

 

「フェルミ推定ですね、雄英受験の面接対策でやりました」

 

「うわっ、そのナントカ推定! ちょうど俺の前にあてられた頭よさそうな人もそう答えてたよ」

 

「正確な人数ではなく、人を納得させる筋道の立った答えを用意すればいいだけですから、計算というほどのものでもないですよ」

 

「確かにその人もさ、シカゴの人口はウン万人で、1世帯あたりの人数がどうで、その内ピアノを持っている家がどうとか、それで最後に“シカゴに必要なピアノの調律師は130人だ”ってかっこよく決めてたなぁ、その後“あなたはどう考えますか?” なんて俺に話を振られて焦ったよ、その時俺がなんて答えたと思う?」

 

「はぁ、なんて答えたんですか」

 

 私は興味なさげなふりをしていたが、先輩はめげない。

 

 

「シカゴでしたら調律師は“4人、あるいは5人です”って答えたんだ」

 

「…………なんでですか?」

 

 

「理由は()()ってね」

 

 

「…………そうですか」

 

「あっれー、滑っちゃった?」

 

 

 

 渾身の決め顔で、オチを言いきった先輩はこちらの反応をチラチラ見た後、他の話題をあわてて話し出す。

 

 そんな先輩に対してほだされぬよう、努めて無表情を貫いて歩いた。

 

 

 

 そんなことをしていれば、いつの間にか目的地のヒーロー事務所につく。

 

 

 

 五階建てのきれいなビルの中に事務所があり、先輩に促されて入る。

 

 内装は良く言えばこざっぱりした。悪く言えば打ちっぱなしのコンクリが壁や床の多くを占めて冷たい印象を受ける。

 

 

「案内はここまで、サーは君と一対一で会いたいそうだから行ってきてくれ」

 

「まるで面接ですね、そういうのは嫌いなのでは?」

 

「ハハハ、さっきも言ったろ、サーはそういうのは嫌いだって、ないない」

 

 

 そうして私は言われた通り、奥の一室の前に立つと3回ノックをする。

 

 

「入ってくれ」

 

 

 ある程度の広さの個室、その真ん中にはパイプ椅子がポツンと置かれている。

 

 一体いつからその姿勢でいたのか、机に置かれたブラックコーヒーは一切口を付けられておらず冷え切ったコーヒー特有の酸味が香っていた。

 

 目的のヒーローは奥のデスクに肘をつき、まるでこちらを値踏みするように鋭い目を向けて微動だにせず待ち構えている。

 

 

「……雄英高校から来ました。今日からこちらの事務所で体験学習をさせていただく本条桃子です。よろしくお願いします」

 

 

「指名に応じてもらい感謝する。私はサー・ナイトアイだ」

 

 

 何をどう見ても面接の様相だ。

 

 私は心の中で通形先輩へ毒を吐く。

 

 

 

「私のことはサーと呼んでくれ、まずはそこにかけなさい」

 

 

 

『はい、あまりにも強個性で原作ではそれを活かしきれなかったサー・ナイトアイ、本名は佐々木未来です。

 

 サーの意味は男性に対する敬称ですが、自分でサーと呼ばせる傲慢さは嫌いじゃないです。

 

 サー・佐々木と呼んであげましょう』

 

 

 時計、カレンダー、マグカップ、万年筆、ポスター、部屋の内部はシンプルなはずであるのに所狭しと飾られたオールマイトグッズが異彩を放つ。

 

 気圧されながら、私は言われるがままに椅子へ座った。

 

 その重苦しい雰囲気から、机越しに話しかけられる。

 

「まずは仕事をしてもらう前にお互いの自己紹介をしよう、何ができるかを教えてもらいたい、君の個性について教えてくれないか」

 

 個性については事前に雄英から説明がされている通りに同じ説明を繰り返した。

 

「個性“成長”鍛えれば鍛えるほどに体の機能が強化されます。これは身体だけでなく記憶力や計算速度、指先の巧緻性や道具の技量なども含まれます」

 

「……それだけか?」

 

 サーの表情はなぜか険しく、眉間にシワを寄せる。

 

 その一言は私には理解できない真剣みを感じ取れた。

 

 

 質問の意味が分からず、私が焦りながら何かをしゃべろうと口を開きかけるが、サーが先に口を開く

 

 

「君の個性“成長”の能力はそれだけなのか?」

 

「はい、そうですが……?」

 

 一瞬、何かを考えこむサー、私は質問の返事を間違えたかとも感じたが、なぜかサーの方は難しい顔をしている。

 

「……いや済まない、何でもないんだ、では次の質問だが」

 

 

 そこからされた質問はまさに面接の王道といった内容だ。

 

 どうしてこの事務所を選んだか、なぜヒーローを目指すのか、どのような成長をしたいのか

 

 それらに私はよどみなく返答していく、奇妙なのは、質問としてはこちらの方が重要であるはずであるのに、先ほどの真剣な態度は霧散しており、正直に言えば答えをまじめに聞いているのかと疑うほどだ。

 

 

「そちらばかりに喋らせて、悪いな、次は私の自己紹介をさせてもらう」

 

 

 釈然としない会話を打ち切ってサーは組んでいた手をどけて立ち上がる。

 

 

「私の個性は“予知”平たく言えば未来が見える」

 

「それは……、怖ろしい個性ですね」

 

 目の前の人の、突然の爆弾発言に私は動揺する。これが面接でなければみっともなく、口をあんぐりと開けていただろう。

 

「あまり驚いた風には見えないな」

 

「いえ、あまりにも強力な個性なので反応が遅れました」

 

 そんなインチキじみた個性を持っていたら、使い方次第で望めばなんだってできる。まさに夢のような個性だ。

 

「そこまで使い勝手の良いものではないさ」

 

 サーは何かを考えていたのか、冷めたコーヒーの方を数秒見てから動き出した。

 

「では、これからすぐ仕事に入ってもらう」

 

 これで面接は終わったのだろう、動き出したサー・ナイトアイはカツカツと靴を鳴らしながら近づくと、右手を差し出してきたので、私もその動きに合わせる。

 

「今日から短い間だがよろしく頼む」

 

「こちらこそお願いします」

 

 

『個性「予知」は相手に触れて目線を合わせることで、相手の未来を見ることができます』

 

 

 私はその一言で、さし伸ばそうとした手を静止させる。

 

 

『サー・ナイトアイの予知の個性は考察が盛んに行われていますね。

 

 曰く、見てしまった未来は必ず発生してしまうため、自分が個性で先を見たことで未来の事象を確定させてしまうと自分を追い込み、サーは自身の個性の使用を控えているみたいです。

 

 え? よくわからない?

 

 つまり、私たちがほんへを知っていることで、当時は若くお金が必要なただの青年にいくら大金を渡しても監督はたまげてしまうし、どれだけ安全運転を心がけても白のボンゴフレディは必ず黒のセンチュリーに不幸にも追突してしまう感じです(適当)』

 

 

 

「どうかしたかね」

 

 

 

 サーはこちらを見下ろしながら、興味深そうにこちらを見つめていた。

 

 差し出された手を握ろうとしかけたところで立ち止まっていたが、ここまで来て握手をしないことは不自然であるため、手を大人しく差し出す。

 

 

 しかし、決して目が合わないように頭を下げた。

 

 

 彼の見た目通りに固い手を握りながら、もし、サーが私の未来を見たら一体何が見えるのだろうかとふと思う。

 

 

「今日の予定だが、本条にはミリオについてもらう、俺からも伝えておくが、仕事が終わったら一度事務所に戻ってきてくれ」

 

 

『正直、ツッコミ所さんも多い個性ですが、確定した未来、それを打ち破る主人公達!って展開はアツゥイ!から好きですねぇ!!

 

 まぁこのゲームはマルチエンディング方式なので、未来は一本道で不変だとか言われてもピンときませんけどね。

 

 あっ、でもチャートという名の運命に沿って進んでいるわけですから、RTAはある意味一本道ですね』

 

 

 どうせロクな未来じゃないのだし、考えるだけ無駄か。

 

 ……私の未来に私の居場所はないし、過去からも逃げた、そして今は私のものじゃない。

 

 

「よし! 本条くん、コスチュームに着替えたらすぐに行こうか!」

 

 

 呼び出された通形先輩は今日の予定を伝えられると、私に親指を突き出して話しかけてくる。

 

 

 

 

 私の体験学習はこうして始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……彼女もそうなのか?」

 

 

 この事務所の主であるサー・ナイトアイ。

 

 彼は部屋から誰も居なくなって、しばらくしてから呟き、何かに悩むように固まる。

 

 が結局は何かを諦めるように体を緩めた。

 

「……しかし、結局これに縋ってしまうのが私の弱さか」

 

 覚悟を決めた彼は深く息を吐いた。

 

 

 

 彼が雄英の体験学習で一人の学生を受け入れると宣言した時、彼の周りの人間はその理由が分からなかった。

 

 サイドキックの2人はサーには何か考えがあるのだろうと思ってはいたが、選ばれた学生はどうも彼好みの人間ではないと気づいていたし、落ちこぼれていた自分を育ててくれた過去があると理解していた通形少年も、自惚れと言われようがサーは自分以外で学生を受け入れることはよほどのことがなければないと考えていた。

 

 しかし彼は、突然の宣言のまま何の脈絡もなくたった一人の少女の情報を洗いだすと、すぐさま雄英へオファーをかける。

 

「気になることがあってな。それに雄英体育祭1位の実力者だ。未来の一線級ヒーローを見ておくのも悪くない」

 

 当然事務所のものが理由を問うても普段の彼らしくなく、曖昧な言葉で明言は避け、まるで用意された理由を言うだけだった。

 

 周りのものにとってはさらに謎が深まっただけだがこれは仕方がない。

 

 その理由は決して理解されない、彼女を呼んだのはその成績でも個性でもない、それは恐らく彼しか知りえない判断基準であったからだ。

 

 

 

 彼が彼女に執着する理由、それは雄英体育祭の日までさかのぼり、より正確に話すにはそこからさらに前の出来事を話す必要がある。

 

 

 

 それは彼がある犯罪組織を追っていた時だ。

 

 

 その組織は個性から作り出した有機化合物であるアンフェタミン類、つまるところの覚せい剤を売りさばき急成長を始めた組織で、その巧妙な隠ぺい工作から、末端のメンバーは割り出せても幹部級の者たちのしっぽは掴めずにいた。

 

 だが彼は自分の個性を用いない地道な捜査を行い、とうとう幹部と思われる男といくつかの主要なアジト、そして近々組織で行われる大口の取引の情報を手に入れる。

 

 あとはどうにかして取引現場を押さえるだけであるがここからが難航した。

 

 頻繁にアジトを変える幹部は様々な偽装工作を行い、肝心の取引が何時、どこで行われているかを巧妙に隠したのだ。

 

 ここで下手に踏み込めば、今までの苦労が水泡に帰す。

 

 

 サーはここで最後の詰めとして個性を使用した。 

 

 

 偶然を装って容疑者と接触して未来を見る。

 

 

 個性を使用した未来はまるで一枚の写真のように一つの光景を映し出した。

 

 

 テレビに照らされた薄暗い部屋とその真ん中に置かれた大量の金と薬物、それを挟むように立つ容疑者と黒服の男達

 

 

 間違いなく取引の現場だと彼は確信する。

 

 

 普段ならば、ただ個性を使うだけでは、対象を中心とした映像のみであることも多く、ここまで分かりやすく映ることは珍しい。

 

 未来を視ると言えば聞こえはいいが、対象の周囲しか分からないという効果では、それが正確にいつどこで何をしているかが分からない場合も多く、むしろそういった映像の方が多かった。

 

 対策として、よく個性を使う対象のサイドキックから自分の周りの未来を正確に測るため、事務所に限定版のオールマイトカレンダーなどを目立つ場所に飾るなど様々な工夫はしているが、無駄になることも多い。

 

 これほど詳細な未来が見えたのは彼が情報を集め、組織の背中を掴みかけている状態で予知を行ったからこそという理由もあるだろう。

 

 ここから彼はさらに、その光景から取引がいつ、どこで行われていたか分析しようとする。

 

 そしてすぐに気づく。

 

 唯一の光源、そこには彼の敬愛するオールマイトと少年が映っていた。

 

 もっとも高い壇上に立っているトゲトゲとした少年が、オールマイトに挑戦的な目つきを見せながら()()()()を授与されている様子が印象的だ。

 

 彼は学生の付けた服装から、それが雄英生であることはすぐに分かった。その状況から時間を置かずして、テレビに映る光景が近々行われる雄英体育祭、おそらく例年行われているメダル授与式であると結論付ければ、日時はすでに確定、映った部屋の間取りから、調べ上げたアジトと合致する構造を考えれば場所もすぐに絞られた。

 

 あとはその時と場所に向けてヒーローを集め、完璧な準備をもって挑むだけだった。

 

 

 結果として予知は現実へと収束する。

 

 

 まるで吸い込まれるようにサーが見た未来と同じ光景の取引が行われる瞬間、ヒーローたちが踏み込む。

 

 その襲撃を全く予想できなかったヴィラン達に対して万全を期したヒーローたちは抵抗する間も与えずに制圧した。

 

 もちろん突入の先陣を切る一人として現場にいた彼も、すぐさま容疑者を無力化し、クスリと金を確保する。

 

 無線から伝わる作戦の成功とヒーローたちの無事を聞きながらも、最後まで気を抜かぬように警戒を続ける彼はふとテレビから流れる音を拾う。

 

〈君の目と、あの死力を尽くした肉弾戦を見れば、並々ならぬ覚悟が見えた。3位という順位は関係ない、君はすでに走るべき目的地があるのだろう、問うな! 進め少年! その先に君の未来がある〉

 

 聞き覚えのある声が彼の意識をテレビに向けさせた。

 

〈2位では決して満足しないその気概! その上を目指す気持ちは君を強くする!! あえて何も言うまい! 走れ!!少年!!〉

 

 そこには映像と同じ壇上、その頂上にはだれもおらず、オールマイトが不機嫌そうな目つきの悪い少年に()()()()()()を手渡しているところであった。

 

 雄英体育祭、将来活躍するヒーローの卵たち、その中でも1位に輝き、()()()()を手に入れた少年が結果としてこの現場を押さえるカギとなったことに噺じみた愉快さを感じながら、目を離そうとする。

 

 

 

 しかし、彼は強い違和感を覚えた。

 

 

 

「2位だと……?」

 

 

 彼の目は()()()()()()に釘付けとなる。

 

 彼は目の前の金とクスリを踏みつけてテレビに寄ると、自分の記憶と目の前の光景を何度も何度も比べた。

 

 そこには本来1位で金メダルを手にしていた少年がいたはずだというのに、目の前の光景は違っている。

 

 

〈では次の表彰に移りたいところだが……〉

 

 

 彼は呆然とする。

 

 予知は絶対のはずならばこれはなんだ?

 

 

 もしや自分が見た雄英体育祭は来年や再来年のものだとでもいうのだろうか、いやそんなわけがない、1年後2年後もここで取引が行われるほど警察もヴィランも間抜けではない

 

 

 彼の経験では今まで予知が示す未来は、時期がずれることがあっても、覆されたことなど一度としてない、どんなに未来を変えたいと願おうと、視てしまった未来が変わることはありえないのだ。

 

 

 一体何が原因かを考えていると、テレビのオールマイトがアップで映った。

 

 

〈1位の彼女は不在だが、ここから言葉を送らせてもらおうか、彼女の戦いへの真摯さは過程はどうあれ人を惹き付けた。その強い気持ちで勝利をつかんだと言っていい、彼女は今後この雄英で心身共に大きく飛翔することを約束しよう!!〉

 

 

 オールマイトの言葉に、過去映像がテレビの隅に小さく表示される。

 

 

 

 そこには全力で勝利をつかみ取ろうとする少女がいた。

 

 

 

 幾つもの危機に直面するがそれでも苛烈に戦い、勝ちを拾う少女に彼の目が釘付けとなる。

 

 本来、1位になるはずの者を押しのけて1位になった学生

 

 

 未来を変えた人間

 

 

「…………早計だ。……だがまさか、あり得るのか?」

 

 

 それは運命の奴隷である彼の興味を引くには十二分すぎるほどの存在だった。

 

 

 

 こうして彼は、本条桃子に職場体験のオファーを出すに至る。

 

 

 

 幸運なことに彼自身、業界では一角の人物であり、彼女のオファーには他に目ぼしい事務所からのものがなかったことから直ぐに了承の連絡が届いた。

 

 事前に学校側から送られてきた詳細からは一見彼女の個性が未来に干渉するような力ではないが、並外れたものであり少なくとも全く可能性がないとも言い切れない。

 

 未来を変えられる可能性。それは彼が何よりも、それこそ自分の命すら天秤に賭けられるほどに欲した希望であった。

 

 そして実際に少女に会い、その期待は徐々に高まっていく。

 

 彼は彼女が本当にそうなのか、面接じみた問答で聞き出そうとしても大きな収穫はなかったが、要所要所で妙な勘の良さを感じてしまう。

 

 それは自分で明かした個性への反応であったり、握手をしようとした時のもたつきであったり、彼にはどうにも腑に落ちない。

 

 まるで()()()()()()()()()()動き、それは彼自身、よく身に覚えのある振るまいだった。

 

 

 その時、ある考えが彼の脳裏をよぎる。

 

「……彼女もそうなのか?」

 

 それを確かめる方法は一つだけだった。

 

「……しかし、結局これに縋ってしまうのが私の弱さか」

 

 

 

 

 

 サー・ナイトアイの知る確実な方法。

 

 それは本条桃子の未来を視ることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 職場体験の1日目は先輩についてのパトロールだったが、これは不都合なく、お昼に入る前にはすぐに終わった。

 

 

「ハハハハ、まさか本当に面接になるとはね! 扉の隙間から見えたけど、さすがに申し訳なかった」

 

「……気にしてませんので安心してください」

 

 私たちは市街地をパトロールしながら歩いていた。

 

 授業では着慣れていたが、外でヒーロースーツを着るとなると何か落ち着かないような気持ちになってしまう。

 

「ふふふ、分かる。分かるぞその気持ち、初めてコスチュームで人前に出た時の緊張と高揚感! そう、君が学生であれ、今ここにヒーローとして立っているんだ!」

 

「……そうですね」

 

「気負いすぎることは無いぞ! みんな初めは誰だってそうさ!」

 

「通形先輩、今日はよろしくお願いします」

 

「おっと、今の俺の名前は通形じゃないぞ! 俺はルミリオン、全て(オール)とはいかないが、100万(ミリオン)を救う人間になれるように命名した。レミオロメンみたいでかっこいいだろ?」

 

 すごい名前だ。

 

 100万を救うなんて途方もない目標、私では考え付きもしない。

 

「ありがとうございますルミリオン、いい名前ですね」

 

「ありがとう! それで本条のヒーローネームは何だい?」

 

「私のヒーローネームはRTAです」

 

「RTA……、RTA?」

 

 

『レミオロメンとミルメコレオが脳内でなぜかこんがらがるのは私だけでしょうか、まぁそんな話は置いて、パトロールの解説でもしましょうか

 

 といっても解説することは多くありません。このイベント、通常プレイでは、パトロール中に町にNPCが配置され、ペアと様々な困っているNPCを時間制限内に解決していくというものです。

 

 終了条件は一定時間の経過かペアと目的地に到着すること、高評価を狙うには多くのNPCを助けたうえで、時間通りに目的地にたどり着く必要があるのですが、この脇道にそれる人助けが曲者で、のめりこむとついタイムアップしてしまうんですよね。

 

 報酬はまず味の経験値、助けた住人からランダムでもらえる糞低レベアイテムです。

 

 これマジ? 面白さに対して報酬が貧弱すぎるだろ。

 

 なので本RTAでこの操作パートはペアに金魚の糞のようについて行き、目的地を目指すだけのクソゲーです。

 

 糞雑魚ナメクジのように遅くフラフラと動くNPCに殺意を覚えながら後をついていくだけですが、一定距離離れると立ち止まったり、近づきすぎても接触してのけ反りが発生してしまうのでロス。

 

 あまりの遅さに耐えきれない走者たちが個性や攻撃などで早く位置をずらそうにも、ペアへ複数回の進路妨害や攻撃を行うとこの体験学習でもらえるスキルや経験値が糞となります。

 

 まるでイライラ棒ですが、安心してください、このイベント、だれでも理想タイムをたたき出せる方法があります』

 

 

 先輩の後をついていきながら、困っている人がいると聞いて、町の通りに聞こえる音を探る。

 

 通りの向こうに風船を樹に引っ掛けてしまい、親に駄々をこねる子供の声、落とした財布を探す主婦、待ち合わせを間違えたのか一本通りを挟んで互いを探しあう恋人など、困っている人達をすぐに聞き分ける。

 

 

「パトロールは重要な仕事だよ、……やぁ! おはようございます」

 

「っす……」

 

「犯罪の抑止もそうだけど、……おはようございます!」

 

「おはよーございます!!」

 

「おっと元気がいいね! ……地域との関りを深めるいい機会だからね、……おはようございます!」

 

「やぁ、朝から精が出るね」

 

「ありがとうございます! ……こうやって地域住民との連帯感を深めることが防災にもつながるから大切なのさ」

 

「えぇ、そうですね、勉強になります」

 

 

 口で肯定しながら、私は困っている幾人もの人を見て見ぬふりをした。

 

 今、私は自分の意志で動けるが、誰も助けようとはしなかった。

 

 先輩はヒーローの心構えを話しているのだが、どうも私の心は上滑りする。

 

 先輩は素晴らしいヒーローなのは間違いない。間違いないのになんで彼は困っている人を助けられないのだろうかと、知っていて無視している自分を棚にあげてそんなことを考えた。

 

 

『このイベントを無駄なく、行える最速行動は戦闘をAUTOに任せることです。

 

 他のイベントではポンコツ行動をしてロクな動きをしませんが、いくつかのイベントでは手動より早い場面があります。

 

 覚えているでしょうか、Part4でやった体力測定がそれですね。こういったオートの場面で適宜、トイレ休憩や飲み物を取っておいてください。

 

 実質トイレ休憩できるほどの場所はここぐらいなので用を足すならガチでここでやっておきましょう。

 

 ウンチして♡

 

 ですが、夜更かしで小腹が空いた私はポテチとコーラを選択します。

 

 なんで?(殺意)』

 

 

 簡単なことだ。

 

 いくらヒーローでもすべてを救うことはできないし、世界から問題はなくならない。

 

 もともと世界はそういう風にできている。

 

 改めて口に出すことも恥ずかしい、陳腐な事実だ。

 

 

「……いつも通りですね」

 

「今日も町は平和でなによりだ! よし、そろそろ戻ろうか」

 

 

『操作パートが終わるまでオートモードは切れず、次回操作にも引き継ぐので戦闘終了後は必ず操作を手動に切り替えておきましょう。

 

 オートモードで眺めるこのゲームは、パワプロのペナントモードで観戦しているような気分になりますね。

 

 使用に賛否は分かれますが周回で忙しい人用のレベル上げとしても使えます』

 

 

 

 

 パトロールは特に何も起きることもなく、正確には何も起こさずに終わらせ、事務所に戻った。

 

 

 

 

 事務所に戻ると、そこには朝にはいなかった人たちもいる。

 

「彼女が朝話したバブルガールさん、それでもう一人のクールなジェントルがセンチピーダーさんだ」

 

 

 午後からは、サーは通形先輩を連れてどこかに行ってしまったため、サイドキックの方々からプロヒーローの体験談を生で聞くことができた。

 

 ヒーローの実際や裏話

 

 これはとても興味深く、私はいくつもの質問をしながら話すと、時間は驚くほど速く過ぎていった。

 

「戻った」

 

 日も傾くころ、サーが事務所に帰ってくる。

 

 気が付けば事務所には赤い日が差し、時計を見れば体験学習の終了時間が差し迫っていた。

 

 

「1日目はこのぐらいにして明日に備えなさい」

 

 

 私は周りに頭を下げてお礼を言い、その場を後にしようと腰を上げるが、予想外のところから声がかかる。

 

 

「本条、駅まで送っていこう」

 

 

 腰を浮かせたまま私は一瞬固まる。

 

 送る?

 

「流石に今日は疲れただろう、短い距離だが車で送ろうと言っている」

 

 精神的な疲れを言うなら、一人で歩いて帰してもらう方が実はうれしい。だが断ることは失礼なので、お礼を言いながら車に乗せてもらうことになってしまう。

 

 サーの運転する車は大きな車体で、見かけは古いがよく整備されている。素人目にも分かる高そうな車だ。

 

 中に乗り込めば、サーは無言で車を走らせた。

 

 気まずさがある中、大した話題もない私は無難に今日の体験学習の感想でも話してみる。

 

「今日は本当にありがとうございました。町でのパトロール、サイドキックの方々のお話は大変勉強になりました」

 

「そうか、良かった」

 

「実際、ヒーローの姿で大勢の前に立つのはやはり緊張しました」

 

「そうだな」

 

「バブルガールさんの苦労話は実際にヒーローになる上で想像してなかった視点が沢山あって、面白くてクスッとしながらもタメになりました」

 

「そうか」

 

 ……サーの返答は淡白で、むしろ黙っていた方がいいのではないかという気がしてきたのだが、一つだけ、気になっていたことがあったため、いい機会なので聞いてみることにした。

 

 

「……そういえば、聞いていなかったのですが、今回の体験学習、なぜ私を選んでいただけたのでしょうか?」

 

 まさか雄英体育祭を見て、私の腐った性根を叩きなおすためと言い出すかもしれない、そう思いながら、私は恐る恐る口を開く。

 

 

「君は運命を信じるか?」

 

「はい?」

 

 

 だが返ってきた言葉は質問の答えにもなっていない唐突な問いかけだった。

 

 

「文字通りだ。不運も幸運もすべては決まっていて、人の意思などではどうしようもない巡り合わせが存在しているかということだ」

 

 あまりに突拍子もない質問に私は聞き返すが、ミラーに映るサーは眉をピクリとも動かさずに運転に集中している。

 

 その表情は別にこちらをからかっているような雰囲気ではなく、いたって真剣に見えるので、こちらも至極真面目に答えなければいけないだろう。

 

 

「運命ですか、あまり好きな言葉ではありませんが……」

 

「私もだ」

 

 

「ですがおそらく存在しています。それを運命と呼ぶかは分かりませんが、未来が無数にあるとは思えませんね」

 

 

 私がそう答えると、彼は初めて、興味深そうにバックミラーからこちらの顔を見た。

 

「ふむ、なぜそう思う」

 

「なぜ、ですか……」

 

 私は本能的にこの話を避けようと目を伏せるが、車は運悪く交差点に引っかかり、サーは続きを促すようにミラーを見たままだ。

 

「未来は自分で切り開く。そういう考えこそヒーローらしいんじゃないのかね」

 

「そうですね、でも私、ちょっと思うんです。未来はたくさんの可能性があるってみんなはよく言います。でもそれって多分見せかけなんじゃないかなって」

 

「……続けてくれ」

 

「あの? これって何の話なのでしょうか?」

 

「必要な話だ。続きを」

 

 自分の実習先の上役がこういう言い方で迫るのはもはや脅迫だ。

 

 私は不機嫌になりそうになる声色を抑えながら無感情に話す。

 

 

「あの時こうしていれば、こうなることが分かっていれば、そうしたらきっと未来は変わったはず、そんな仮定に意味なんて無いと思うんです。どうあがこうと人の選択は変えられない、変えたつもりになっても変わってなんかいないんですよ」

 

 

 そこまで話して、私は自分が一体何を捲し立てているかに気づく。

 

 いつの間にか良くも分からない、幼稚な主張を恨みがましくブツブツとつぶやいていたと、ようやく理解した私は言葉を切って黙り込む。

 

「……すいません喋りすぎました」

 

 だからこういう話は嫌なんだと深く恥じた。

 

「いや、続きを聞きたい」

 

「……言いたくないです」

 

 もはや不機嫌な声を隠すことはできず、言葉の端の棘を自分でも自覚した。

 

「一応、今、私は君の上司に当たるわけだが」

 

「……パワハラです」

 

「……どうすれば教えてくれる?」

 

「どうって、こんな意味のない質問何でするんですか?」

 

「私には重要なことなんだ」

 

 

 このままでは埒が明かないと思った私はあきらめ、重い口を開く。

 

 

「…………運命は変えられないって言われたら、ちがう、っていう人沢山いますよね」

 

「あぁ」

 

「でも、全ては努力次第で未来は決まる。なんていったら皆、そうだ、って頷くんです。笑えますよね」

 

「どっちも所詮同じことを言いかえただけなのに……、結果には原因があるんです。今は過去の選択で存在していて、そしてこれからの選択は過去の積み重ねで決まります。ほら、一本道でしょ?」

 

「……」 

 

「結局はこうなるしかなかった。みんな自分の意志で分かれ道を選んでいるようで、決められた道を歩いているにすぎないんですよ……」

 

 

 私は最後に言い捨てる。

 

 車内には車の駆動音しか聞こえない

 

 その独白の後に

 

 

 

「同じだよ」

 

 

 

 あまりにも力ない呟きが聞こえて、私はすぐにそれが目の前のサーから発せられたと理解できなかった。

 

 

 今度こそ、車内は沈黙に包まれる。

 

 

 

 もともと歩けるほどの距離にある駅である。いつのまにか車は駅の前についていた。

 

 

「……ありがとうございました。明日からもよろしくお願いします」

 

 

 そういって足早に駅に戻ろうとする私に、サーは最後に声をかけてくる。

 

 

「……そういえば君をなぜこの体験学習で選んだか言ってなかったな」

 

 

 私は足を止めてサーの方へ、ふり返る。

 

 

 

 

「本条、おまえも未来が見えているんじゃないのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サー「お前……、タイムリープ(未来視)してね?」

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