神殺しin―――ハイスクールD×D   作:ノムリ

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会談

 本日、学園で行われる会談に向けて準備を進めていく。スーツは持ってないから制服で行くということとなった。

 セレナ、灯巳、イリナ、ゼノヴィアは制服、黒歌はいつもの着崩した黒い着物を着ている。

「全員、準備できました。仮に戦争することになっても大丈夫です」

「まあ、戦闘にならないことを願うばかりだよ。なっても負けることないけどな」

 さて、行きますか。問題が起こらないことを祈ろう。

 

 

 

 

 

 会談の行われる部屋に入ると既に三大勢力は揃っていた。

「来たか」

 机に肘をついているアザゼルが俺たちがやってきたのを見て体を起こす。

「な!はぐれ悪魔の黒歌!?なぜ彼女がここに」

 黒歌の姿を見て警戒する悪魔陣営

「彼女の事を聞いてもいいかな」

「聞いてもいいけど、その話は長くなるから先に小さい案件から片付けて行こうや」

 空いている席に座るとセレナたちは背後で護衛として待機している

 席に座っている全員を見ていくと一人あったことない人物がいる。十二枚の金色に光る翼が生えており頭には光の輪、見るからに天使ですと言わんばかりの外見をしている。

「本題に入る前に自己紹介をさせてもらいましょう。私は熾天使(セラフ)のミカエルと申します」

「天使のまとめ役ってわけか」

 立ち上がり一礼してくるミカエルに後ろでイリナとゼノヴィアが驚いているが、こっちもやっぱり実力はそこそこか。

 

「まずはコカビエルの一件から。そこの神無月涼の手によってあっけなく解決した件だな」

 ニヤニヤしながら俺も見てくるアザゼルとサーゼクスとミカエルその他は俺の口から何か聞きたいことがあるようだ。

「お前、なんで戦いに介入したんだ」

「日本神話からの依頼があったのと俺がこの町に住んでるからだ。吹っ飛んだら困るんだよ。たかが堕天使のくだらないお遊び程度でな」

 ふん、とふんぞり返って椅子に座るとサーゼクスやミカエルは苦笑いしている。

「それで君の力は神器によるものなのかい」

 やっぱり探りを入れてきたか。

「いや、違う。あれは権能だ」

「権能だぁあ?それは神が持つようなもんじゃないのか」

「そうだよ。神を殺して奪い取った。簒奪したと言っても良いな」

「待て待て、お前は神を殺したって言うのか」

「別に話してやる義理はないけど、言っておかないと面倒になりそうだから俺の話をしてやる。俺は異世界から来たんだ」

「異世界なんて、涼!お前はラノベの主人公かなんかかよ!」

 いいタイミングでツッコミを入れてくる一誠。

「当たらずとも遠からずって感じだ。俺は元居た世界でまつろわぬ神、神話から出て地上に出現した神を殺したんだ。その時に神殺しになって、それから何柱かの神と戦って勝って、偶に権能を手に入れたってわけだ。神殺し以外にも、魔王とかエピメテウスの落とし子、愚者の申し子とも呼ばれる。偶に強すぎて歩く天災とか、理不尽が服着て歩いているとか言われるな」

「それは……何とも…」

 リアクションに困っているミカエル。

「それでそんな神殺しが何でこっちに来ちまったんだ」

「別に来たかったわけじゃねえよ。カンピオーネの一人が持つ権能に巻き込まれて、気づけばこっちの世界に居たわけだ」

 

「私からも聞きたいんですが、その権能というのはいくつ持っているんですか」

「それは答えられない、権能は俺にとっても切り札だからな」

「涼くん、君いや神殺しからしたらこの世界はどれだけの強さかな。君の実力ならこの世界でどこまでいける」

「それは答えるだけ無駄だよ」

「何故だい?」

「だって、この場所で俺と対等に戦える奴なんて存在してない。サーゼクス、あんたが本気で戦って遊び相手になる位だ。正直、本気で戦うと世界は崩壊する。てか、世界を滅ぼせる権能は持ってるから望むなら滅ぼすことも出来るけど」 

 

 会談に立ち会った全員が同時に唖然とした。

 サーゼクスの実力は三大勢力でもトップクラスそれが遊び相手程度となれば、一人で種族を滅ぼせる実力を目の前の青年は持っていることにある。

 

「そりゃ~随分とぶっ飛んだ事だ」

「コカビエルの話から俺の話になってきてるな、アザゼル話を戻せ。それで白龍皇が回収したコカビエルはどうなったんだ」

「ああ、アイツならコキュートスの中で氷漬けだ。もう出てくることはないさ」

「あっそ、まあ、あの強さで戦争じゃ子供のお遊戯にしかならないだろ」

「お前のレベルで語るなよ、コカビエルだって結構強い方なんだぜ」

「あの位ならセレナたちでも簡単に倒せる。俺に忠義を誓う限り、部下には権能による加護と祝福が与えられる。そこらの奴とは一線を凌駕するさ。それこそ十人も集まれば一種族と戦争しても負けないくらいにに強くなる」

 軍神アレスの権能『共に戦場に立つ』の加護は個人によって能力が異なるけど、祝福は全員同じ効果だ。その効果は人間としての限界を突破する。つまり軍神と肩を並べて共に人間が戦場に立つために強くなり続けるというわけだ。どの種族にも天才や種族としての限界は訪れるそれを祝福によって超えられる。セレナや灯巳が人間でありながら別段特別でもない武器で強いのはそう言うわけだ。

 

「まさに神殺しの軍勢というべきものですね」

「否定はしないね」

 軍神は文字通り”軍”戦争に出る兵士たちを指した言葉だ、俺の部下たちを神殺しの軍勢と表現するのは文字通りだな。

 

 

 

 話が進み三大勢力は無事、和平を結ぶことになった。

「その和平を結ぶに置いて考えなければならないのが赤龍帝、白龍皇の存在だな。とりあえずお前らの意見が聞きたい…ヴァーリ」

「俺は強い奴と戦えればそれでいい」 

 おい、しれっと俺を見るんじゃねえよ、戦闘狂。

 まあ、あのレベルならドニとかみたいに苦労しなくて済むか。でもなあんまり本気出すと殺しちゃうよな、弱すぎて。

「赤龍帝、お前はどうなんだ?」

「っえ!?いきなりそんな話を振られても!?」

「じゃあ噛み砕いて説明してやろう。兵藤 一誠、戦争してたらリアス・グレモリーは抱けないぞ?」

「和平でお願いします!!」

 欲望に忠実な奴。

「では涼くん、君も和平に賛同を」

「悪いけど拒否する」

「……理由を聞いていいかな」

「寧ろこっちが聞きたいね。あれだけ好き勝手にやってるアンタらが、他の勢力に敵視されてないなんて思ってんのかよ。セレナ、渡してやれ」

「はい、こちらをどうぞ」

 セレナが鞄から取り出したのは紙の束。

 それを三大勢力のトップに投げて渡す。ペラペラと捲って内容を確認する三大勢力のトップたちは次第に顔色が悪くなっていく。

「それにはアンタらがやってきたあれやこれやの悪事が諸々書いてある。俺が賞金稼ぎとして動きながら集めたものや、日本神話なんか他の勢力から渡された物。中には被害者本人からの情報もある。分かるか、アンタらは和平がどうとか、そういう所には居ないんだよ。他の勢力に滅ぼされるかどうかってところに居んの。一番ヤバイのは悪魔だな、なにせ日本神話でも滅ぼすかって話が上がる位だ。よっぽど好き勝手してんだろ、っとサーゼクス、これを返しておく」

 セレナから渡されて鞄から出した大きく膨らんだ布生地の袋を投げ渡す。受け取ったサーゼクスは中に中身を取り出すと出てきたのはいまの悪魔を支える『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』。他種族を悪魔へと転生させる魔王特性のチェスの駒をしたそれは他種族の間では忌み嫌われる物となっている。

「これは何かな」

「貴族悪魔に無理やり転生悪魔にされて所謂、被害者たちから抜き取った悪魔の駒だ」

「どうやって……悪魔の駒は神器と一緒で魂にまで干渉する。一度使えば抜き取るなんて不可能なはず」

 悪魔の駒の見ながら驚くサーゼクス。

 

「権能って便利だよな。黒歌含めて、俺の部下の大半は三大勢力の被害者だから和平なんて組まない。俺はアンタら微塵も信用してない。諦めろ、今までのツケが回ってきただけだ」

 椅子に踏ん反りかえって座っていると三大勢力のトップではなく、一番に声を上げたのは壁際に立っていた一誠だった。

 

「ふざけんじゃねえ!好き勝手言いやがって!」

「そりゃ~言うさ、言えるだけの強さがあるんだ」

「それでは脅迫や脅しと変わらないではありませんか」

 顔こそ笑顔のままだが、ミカエルの言葉からは俺を責めるような雰囲気を感じる。

「脅迫してんだから当たり前だろ。人間に頼らなきゃ生きていけないのに、人間を知る努力も、協力する行動もしてこなかったんだ。滅びそうだから和平を組もうだの、こっちからしたら勝手にしてくれって感じだ。そもそもお前ら和平をしてもメリットなんて微塵もないしな」

「……流石に返す言葉もないな」

 顔に手を当てて頭痛でも我慢するようにリアクションを取るアザゼル。組織の長として少なからず思い当たる伏しがあるのだろう。

 

「これだけは言っておく、俺の身内に手を出した奴は悪魔だろうが、天使だろうが、堕天使だろうが、ドラゴンだろうが、神だろうが、相手が何であったとしても殺す」 

 高密度の殺気を放つと各陣営のトップは身構えるが、壁際に立つリアスたちは強すぎる殺気に体が言うことを聞かないようだ。

 

「それとイリナとゼノヴィア、黒歌のはぐれの取り消しを頼む」

「分かりました、天界側は二人の取り消しを受け入れましょう。システムを維持する為とはいえ信仰が厚い信徒とは皮肉ですね」

 

「私としてはこの資料だけではなんとも……少しだけでいい時間をくれないか」

「……わかった、ただし期限は一週間だ。それ以上は待たない」

「分かった」

 流石に脅しが効いたのか。

 これで会談も終わりに、と椅子にもたれると同時に学園全体を結界が囲まれ、時間が止まった。

 はぁ~、やっぱり問題が起きないわけないか、あっちに居た頃もどっか行くたびにトラブルに巻き込まれていたんだ。こっちでもそれは変わらずか。

 


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