T「せや、闇医者出そう、出来るだけ即興で作れる強烈な奴で」
T「出来ました!口癖がシュジュツツツで腕が六本の闇医者です!」
僕「正直一日で生まれたオペラで未来編の外伝書けそうなレベルにキャラが濃いぞぉー!」
T「書いてみます?」
僕「マ??」
T「マ」

これが全ての始まりだった・・・・・・。

徹夜作業終了です。ほぼ1日ピッタリですね。若干オーバーしてますが。
そして徹夜作業と情報との睨めっこが続き、精神が崩壊しているので後半の出来は注意。というか全体的に酷いな。
なーんでこの人は登場からやっと1日経ったくらいのキャラの外伝書いてんだか。コレガワカラナイ。
↑訂正:強めの幻覚見てました。14時間でした。

いざとなればifを付ければ良いってタクさんが言ってたから多分ifになるやつ!それではどうぞ!

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矛盾とか変な描写とか諸々あるかもだけど許してくだせぇ!


学園デュエル・マスターズWildCards 外伝【優しい人】

2045年9月23日土曜日午前2時11分、それが、後にドクター・オペラと呼ばれる男がこの地に誕生した、記念すべき瞬間だった。

 

荒廃した大地に淀んだ空。壊れかけたラジカセから流れる洋楽が、不気味な程に鳴り響く、死んだように静かなこの場所で―――

 

――私は、父の腕に抱かれ、初めて産声を上げたのだヨ。

 

「うっ・・・・・・あ゛あ゛っ゛」

「ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ッ゛!」

「よし、生きてる・・・・・・っ!生きてるぞ・・・・・・!」

 

当然、腕が6本あったりはしない。元気などこにでも居る赤子であったと、外科医であった父は後に私に語った。

 

赤子の出産は、当時は信じられないと非難されたものだった。母体の衰弱死の確率は非常に高い上に、赤子というものが生まれてしまえば、その子への教養が必要となる。その出費額は半端なものではない。

そもそも、この街に十分な教育が出来る場所など本当に極僅かだ。殆どの資源がトキワギ機関に吸収されている以上、これからもその絶望的な教育所の不足は解決することはないだろう。少なくとも、2079年の現在はそう思う他にない。

 

他にも食費の問題があるが、此方もかなりの問題であった。

この街は私が産まれた2045年から2079年の今に至るまで、レジスタンスと闇市を仕切るマフィアにより纏め、支えられていた。勿論、少ない食料もこのマフィアが関わっている闇市で手に入れられる。かなり高額で、摂取出来る量も極僅かだが。

その他にレジスタンスの配給がある。しかしこれに情や良心が働くことなどは無い。オマケに栄養素は偏り、量も少なく、汚れが着いたものや痛んだもの、腐ったものなど数え切れない程あった。免疫力の弱い赤子にとっては、これは重大な問題だった。

 

――では、私はどうして今まで生きているのか。簡単な話だヨ。

 

母が私を産んでから衰弱している以上、父が働いて、闇市で栄養素のある、ある程度綺麗な状態の食べ物を手に入れるしかなかった。

そして、私の父はマフィア組織に自身の能力を売り込み、街中から金を集め、私に食料を与え続けた。

 

そんなことが続いたある日、母が遂に衰弱死した。たった一つ、私に言葉を遺して。

 

『誰かを助けられる、優しい人になりなさい』

 

これが、母の最期の言葉だった。

 

マフィア組織に送れば、臓器や部位を買い取るという事で、父はマフィア組織に母の死体を運んだという。幼い私は、運ばれて行く母の死体を、不思議そうに見ていたのだと言う。

 

物心着いた頃に、母が死んで悲しくはなかったのかと、私は父に聞いた。それに対し、分かりきっていたことだった、悲しさより、お前が産まれ、育ったことが嬉しいと、私はそんなお前に誇れる仕事をしなくちゃな、と、そう父は言っていた。

 

父はそれから、私が18になるまでマフィア組織に貢献することで金を稼ぎ続けた。要するに、2063年まで、父はマフィア組織と連んでいたのだ。

 

父はマフィア組織でもそこそこ高い地位に君臨していた。今までの功績が認められたからだろう。

そんな父が何をして功績を建てていたのか、それを知るまでは、私にとって憧れの存在であった。

 

父は、あぁ、私の知る温厚で優しかった父は、悍ましい実験に手を出していたのだ。

私がそれを知ったのは、偶然、外に出ていた時のことだった。

 

「痛いっ!止めてっ」

 

子供らしき女の声がした。悲痛な叫びが路地裏からしたのを聞いた当時18歳の私は、すぐにその場所へと走って行った。

今考えても、この行動には呆れてしまう。この時女を助けなくと、私は何の損害も無かった筈だ。そんな青い自分の“正義感”に駆られた行動は、結果として今の私を創ることになる。

 

路地裏に入ると、そこには8歳程の女児が男達に捕まっている光景が広がっていた。

 

「止めろよっ!嫌がってるだろ!」

 

私は男達に恐れを抱かずに叫んだ。だが、それで、はいそーですか、と引き下がる奴らではない。此方に気付いた所で、女児を捕縛しているのとは別の男達が近付いて来たのだ。

 

「何だ坊主、お前、あの女の知り合いか?」

「ち、違う」

「じゃあ関係ねぇよなぁ、アァ!?」

 

獣の咆哮とも言える程の迫力があったことは今でも良く覚えている。だが、今にして思えば、ただの馬鹿の雄叫びだったかもしれない。いや、間違いない、そうだったのだろう。

 

その時の私は驚いて固まってしまったのさ。だが、それでも少しすればまた――

 

「や、止めろっ!」

 

――これだ。もうどうしようもない程に青臭い馬鹿だった。私は、目の前の男共の急所を思い切り蹴ったりして、何とか女児の手を引いて逃げ果せたのさ。

 

「大丈夫!?怪我は?」

「んーん、大丈夫。ありがとうお兄ちゃん」

 

追って来る男達から身を隠せる場所を探し、嘗てゲームセンターであった場所で、私は初めて彼女と会話をした。

長い藍色の髪に眼鏡を掛けた少女だった。今時ここまで綺麗な髪をしている子供などそう居ないだろう。

かく言う私はと言うと、手入れのされていないボサボサの白髪に、鈍い紫色の瞳をしていた。服装も汚らしく、正直、近寄りたく無い思われても仕方がない外見だった。

 

「何で追われているんだ?」

「えっと、私が、泥棒した・・・・・・から・・・・・・」

 

泥棒、この街において、その行為は重罪だ。

限られた資源を、何の対価もなく盗むのは、この街において誰であろうと許されない。――いや、訂正だ。マフィア組織だけは許される。あれは市場を独占しているに近い。

 

あぁ、そうだとも。彼女はそのマフィア組織に追われていたのだ。闇市で盗みを働いたことで、彼女は格好の餌となったのだ。

 

「君、盗みを働いたらどうなるか分かっているのか!?殺されるぞ!“オペラ”に!」

 

――オペラ、ドクター・オペラ。当時この街で医者をやっていた者の名前だヨ。あぁ、だが、私の事ではないヨ。私は飽くまでも“三代目”だからネ。

 

ドクター・オペラとは、人に継がれて行く名称に過ぎない。初代ドクター・オペラは、それはそれは大きな存在だった。

ぼったくりな金額で、どんな相手も治してしまう。ここだけ見れば、治してくれるだけ有り難い、街の救世主だ。

しかし、オペラが街で有名なのは、主にその残虐さだ。狂っていると言われたことなど、数え切れない程にある。

 

「マフィアと連んでいるオペラは泥棒や罪人に容赦しない。捕まったら最後、臓器を取られて、目玉を取られて、バラバラにされたり、人体実験の材料にされたり・・・・・・」

「オイ、そこに居るのは分かってんだ!出てこねぇと殺すぞッ!」

 

思ったよりも早くマフィアがこの場所を嗅ぎ付けたようだった。ゲームセンターの中は非常口と入り口以外に外に出れる場所が無い。その入り口はマフィアに封鎖されており、非常口は入り口から丸見えな位置にあった。

万事休す、かと思われたその時だった。

 

「・・・・・・その、声は・・・・・・―――なのか?」

「・・・・・・父・・・・・・さん・・・・・・?どう、して」

「アァ?、もしかしてドクターの知り合いか?」

 

私の名前を呼ぶ父の姿が、そこにはあった。

 

意味が分からない。思考回路がエラーの表示を繰り返す。そんな私をよそに、マフィアは父と話しを始めた。

 

「・・・・・・アレは、私の息子だ。絶対に傷付けるな」

「お子さんでしたか・・・・・・了解しやしたドクター。オイコラ、聞こえたか坊主。聞こえたならサッサとガキ渡せ!」

 

ドゴッ、と木箱が壊れる音がした。マフィアが足で木箱を蹴り飛ばしたようだった。

それが合図だった。恐怖に怯え、冷静でいられなくなった私は、必死に、優しかった父を問い詰めた。

 

「何で父さんがこんなことしてるんだよ!」

「マフィアに・・・・・・上からそう言われたからだ」

「意味わかんねぇよ!嫌がる人を無理矢理攫おうとするのが、父さんが俺に誇れる仕事なのかよ!」

「・・・・・・理想で人は生きていけない。現実がどれだけ残酷でも、私達はそこで生きていかなくてはならないんだ」

「人を助ける仕事が、父さんの仕事だろ!?何でこんな・・・・・・人を殺すような真似してるんだよ!」

 

一瞬の間があった。そして、父の口より絞り出された言葉は、私の耳に、心に、嫌になる程綺麗に聞こえた。

 

「――私が、ドクター・オペラだからだ」

 

理想の父親は、この時私の中で反転した。

最悪の存在だ。悪夢のような。あぁ、間違いない。私が最も嫌う存在だ、と。

 

――“ドクター・オペラ”。これはただの、殺人鬼の名前に過ぎない。この時私は、本気でそう思ったのだヨ。

 

「ふざけるな!俺はアンタを・・・・・・父さんが優しい人だと信じていたのに・・・・・・!」

「おい坊主、そこまでに――」

「アンタは最低の人間だ・・・・・・っ!ドクター・オペラは、救世主なんかじゃない!ただの・・・・・・人殺しだ・・・・・・っ!」

「おい坊主、今すぐ口を閉じろ。テメェのその何も知らねぇ青臭さに反吐が出そうだ」

 

マフィアの一人、あの時私に対して脅しを掛けてきた男が、恐ろしい程の真顔でズカズカと近付いて来た。私は咄嗟に背後に隠れる女児を庇った。

 

「良いかっ?お前の親父さんは間違いなく救世主だ。そこを間違えても、殺人鬼、だとか言うんじゃねぇ。分かったな?」

「人の臓器や目玉を楽しそうに取る奴が救世主だとでもっ!?」

「そうだっ!良く聞け坊主。テメェの親父は確かにこの糞みてぇな地獄で人を殺して来た。だがなぁ!殺さねぇと救えねぇような奴らが、此処には確かに居るんだよ!」

「殺さないと、救えない・・・・・・?」

 

殺して救う、まるで意味の分からないことだ。しかし、目の前の男の情熱が、何か大切なことを、一生懸命に教えようとしているのだと感じ、私はそこで初めて、“人を救う”という事の本質に、目を向けたのだ。

 

――これが、私のドクター・オペラとしての最初の目覚めだヨ。人を救うという行為が、何をもって救いとなるのか。それを私は、ドクター・オペラは、見極めなくてはならないンダヨ。

 

「そうだ、良いか坊主。人の心っつーのは目に見えない。そうだろ?」

「あ、あぁ」

「だが、確かにある。俺のこの言葉にも、心が宿ってる」

「心が・・・・・・宿る・・・・・・」

 

その時私の脳裏に浮かんだのは、死んだ母の言葉であった。

誰かを助けられる、優しい人になりなさい。母のこの言葉は、私が18になるまで、ずっと私の中にあった。

 

「心ってもんは目に見えないが、感じることは出来る。そして、お前も、その心を感じた筈だ」

「心を・・・・・・」

「お前、その女の子を助けただろ?悲鳴を聞いてよ」

「それが、何か関係あるのか?」

「あるも何も、それが心を感じたってもんだろ?あの言葉になっていない悲鳴を聞いて、助けなくちゃと、お前はそう思ったんだ」

 

男は私の頭を軽く撫で、驚く程優しい声で語り続けた。この言葉に、私は確かに、母と同じ優しさという心を感じていた。

 

「しかしだ、本気で死が救済になる奴も居る。実際、お前が連れ出した女の子もその類だ」

「どういうこと?」

「・・・・・・あの子はな、既にクリーチャーになりかけているんだ。それがもう半年続いてる」

 

クリーチャーになりかけて半年・・・・・・。

それはつまり、もう彼女は・・・・・・。

 

私のただでさえ不健康な青白い顔は、更に青ざめた。

 

「ワイルドカードに長期間憑依されたら・・・・・・」

「あぁ、そうだ。助からない。もう既にあの子は・・・・・・」

「だから、殺すのか・・・・・・っ」

 

少しだけ、震えた声を誤魔化そうとして語気が強くなる。だが、それをすぐに察したのか、男は震えていた私の手をその大きな手で包み込んだ。

 

「そうだ。クリーチャーになってしまえば、心は、飲み込まれちまう。自分の意思とは関係なく暴れて、好きな人も、大切な人も、傷付けちまうんだ。それは、絶対にあってはならない。だからこそ、お前の親父さん――ドクター・オペラは存在するんだ」

 

父を見れば、そこにはいつもの優しい顔でいて、どこか不安そうな顔の父が居た。青くて無知な私はその時、やっと気付いたのだ。

 

誰も、殺しを楽しいと思ってなんかいない。本気で、ワイルドカードに憑依され、クリーチャーになってしまった人の心を救う為に、殺さなくてはならないこともあると、そう信じているんだ。とね。

 

「ドクター・オペラは命ではなく、人の心を救う医者だ。それは生きてる奴も、クリーチャーになってしまった奴も関係ない」

「・・・・・・何でアナタは、そこまでドクター・オペラについて、父について知ってるんですか?」

 

単純に不思議だったのだ。此処まで話せる人が居ることに。

 

「俺は、お前の親父さんに救われたのさ。そしてクリーチャーになっちまった妹を、救ってくれた恩人でもある」

「父さんが・・・・・・」

「お前の親父さんは本当に凄い。誇って良い。そりゃあ盗みを働いた奴の臓器を取ったりはするが、それはそもそも盗みを働いたソイツが悪い」

 

男曰わく、臓器を求める患者はかなり居ると言う。初代から続く、金を出せば何でも治してくれるドクター・オペラ、というイメージが街の人の心の支えであるのも事実。故に、それを崩す訳にも行かず、臓器をまだ時間の経っていない死人や罪人から摘出する、という手段を取る他に無かったのだと言う。

 

――私達ドクター・オペラのしてきた事がどれだけ素晴らしく、救いとなる行為であったのか、この時点でかなり分かって来たんじゃないかネ?シュージュツツツッ!

 

「でも、どれだけ父さんが――ドクター・オペラが凄くても、俺は・・・・・・あんな小さな子の命を・・・・・・」

「・・・・・・奪えない、か」

「・・・・・・はい」

 

重苦しい空気が充満している。息苦しさを感じていると、男は視線を私の背後に隠れている女児へと向ける。

 

「たちの悪いクリーチャーだ。今も中で、俺達を殺せないかと息を潜めてやがる・・・・・・」

「やっぱり、この子供はクリーチャーじゃ――」

「いや、間違いない。確かにクリーチャーだ。マフィア組織の情報網を舐めてもらっちゃあ困る。コイツァ、《臓裂虫テンタイク・ワーム》だ。名前の通り、対象の臓器を裂いちまう危険かつ害悪なクリーチャーだ」

 

《臓裂虫テンタイク・ワーム》の外見を知る者程、信じられない話だ。この少女が醜悪な虫を宿している?そんなこと、信じられる訳が無かった。

 

「あ、有り得ない。外見が全然違うだろ?何かの間違いだろ?」

「いいや、臓器を裂いちまうクリーチャーなんてもんを野放しにしていられる程、俺達に余裕は無い。コイツの存在が判明した時、物凄い速さで情報が入ってきたよ」

 

男の目は本気だった。微塵も疑っていなかったのだ。ふと入り口に立つ父を見たが、同じだ。冷や汗を流しながら、固唾を飲んで見守っていた。彼女がクリーチャーであると確信していたのだろう。

 

それでも私は、彼女はクリーチャーではないと信じたかったのだ。

 

――信じたかったのだヨ、本当にネ。あの頃の私は、此処で彼女がただの人であったというオチになってくれないか、期待していたからネ。

 

だが、現実は非常だった。

 

「・・・・・・もう良いよ。お兄ちゃん」

「えっ」

「馬鹿やろう!離れろっ!」

 

男が私を少女から引き剥がした瞬間、少女の頭が割れ、中から今まで見たことの無い夥しい程の触手が露わになる。その内の一本の触手が、男の肉を貫き、腎臓と肺を引き裂いた。

 

「ガァッ!?ゥ・・・・・・ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」

 

血を吐いて倒れ伏す男。脂汗を滲ませ、激痛に苦しむ声と姿。暫くして絶命するまでの映像は、まだ18歳の私には強烈過ぎた。

何が起きているのか、一瞬分からなかった。だが、足が動かなかった。小鹿のように震えてしまって、化け物になってしまった少女の前から、逃げることが出来なかった。

 

「いただくいただくいただくいただくいただくいただくいただくいただくいただくいただくいただくいただく」

 

少女のものとは思えない低い声がリピートされ、触手が次の標的を決める。何本もある細い舌のようなソレは、私の目とピッタリ合った。

 

あ、死んだ。私は確かにそう感じた。死が訪れようとしている。そう感じた時には、もう全てがぐちゃぐちゃだった。

 

脂肪や筋肉がぐちゃぐちゃに掻き回される感触。剥き出しになった神経繊維も、邪魔だと言わんばかりにズタズタにされる。

 

痛いイタいイたい痛イいたイ痛いいタイ痛イイタいいたイ痛いイたい痛イいたイいタイ痛イイタいいたイ痛いイたいいたイ痛いいタイ痛イイタいいたイ

 

繰り返し(リピート)繰り返し(リピート)。何度も頭の中でぐーるぐる。

 

アッアッお花が沢山ッ   夢に見慣れた炎の雨

          ゲーム機の行進曲

    寒中水泳であいうえお 

 

 トンネル型URL

      アイスクリームはパタパタ飛んだ

 

グレープの中の常識    世界一個で覚醒剤

           ヒンドゥースクワットッ

マイナーな鬱は戯言 

          流行りのテラスでハイホー

       ホルムアルデヒドの通り

 

頭の中が慌ただしい。意味不明の文字の羅列が、ひたすらに繰り返される。

 

「――ッ!」

「ァ゛ギュ゛エッァガッ」

 

父が私の名前を呼び、銃を撃つ。《テンタイク・ワーム》の触手が爆ぜ、強烈な酸が私に襲い掛かった。だが不思議と、痛みは感じなくなっていた。

 

銃弾の嵐が、触手の巣となった少女の顔を穴だらけにして行く。脳を失った体は力無く倒れ、化け物になってしまった少女の頭の残骸は、強烈な悪臭を撒き散らしている。

触手はもう動いていない。戦いは、終わった。

 

――そこで私の意識は途絶えた。当たり前だネ。致死量に匹敵する出血、臓器の破損。更に強力な酸による全身の火傷。どれも一人の人間が経験するようなことじゃない。もしこのような患者を見る事になっても、私なら死んだ方が救いがあると進言するネ。

 

次に私が目覚めた時には、酷い有り様だった。

血みどろの汚いベッド。使い切ったと思われる輸血パックの数々。摘出された、裂けた臓器の肉片の跡。

 

そして、見舞い客は誰も居ない。当然だと最初は思った。だが、あの出来事から父を見ていない私は、酷く嫌な予感がしたものだ。

 

私は体力が回復した後、父が世話になっていたマフィア組織を訪れた。父は、あの後どうしたのかと。

 

結論から言うと、父は死んでいた。

父は私の治療に大量の血液が必要だと判断し、早急に多くの同型の血液を集めなくてはならなかった。

しかし、そんなに直ぐに輸血パックは用意出来なかった。あの出来事があった日でも、患者はやってくる。今日も沢山の輸血パックが使用されることだろう。

だとすれば、私事に無償で輸血パックを大量に使う訳にもいかない。だが、諦めるなどという選択肢は存在しない。父は最後の手段として、自身の血液を使った。それも危険な量だ。間違いなく、この後父が死ぬことは、周りの誰もが勘付いていた。

 

父にとって、それは苦渋の決断だった。自分が死んでしまえば、患者を救うことが出来なくなる。ドクター・オペラが居なくなれば、この街は更に荒んで行ってしまう。だが、それでも、10よりも1を、彼は選んだのだ。

 

愛する我が子を救いたい。最後の最後で、父は――二代目ドクター・オペラは、自分の心を優先したのだ。

 

――ドクター・オペラという立場にある人間が、本来このようなことをしてはいけないんだヨ。だが、父はそれを破ってでも、私を手術した。

これが、私を産んでしまったが故に起きた悲劇ダヨ。父は優秀な医者だった。きっと、生きていればもっと多くの人が救えただろうにネ。

 

私はそれを知った時、あれだけ嫌っていたドクター・オペラになることを、亡き父に誓った。これが、私――二代目ドクター・オペラの息子としての決意だった。

 

三代目ドクター・オペラを名乗り、様々な知識を父の書類から吸収していった私は、遂にマフィア組織に能力を売る段階にまで登りつめた。

 

そこからは父と同じだ。ひたすら金をむしり取って、人の心を助ける。死体や罪人を使って、非人道的な実験もした。だがそれは、無駄なことではない。全ての行為が、人の心を救うことに繋がっている。

 

私――三代目ドクター・オペラは、マフィア組織の中でも特段変わっていた。あれほど狂っている奴は居ないと、街でそう話す奴も居た。

だが、私はそれで構わない。ある日思ったのだ。ドクター・オペラという存在が、悪であるか、善であるか。

 

私はその時、善であると、そう断言した。

 

父の遺した書類の中に、ドクター・オペラは狂っていなければならない、と書いてあった。

25になっても、私はその意味が分からなかった。

しかし、ドクター・オペラとして活動していく内に、少しずつその意味が分かっていった。

 

この荒廃した人口都市、海戸ロストシティは、壮絶な貧困問題を抱えている。心に余裕が無い者も多い。そういった者程、犯罪を犯すことが多いのだと、ドクター・オペラとしての活動を経て実感した。

 

はっきりと言おう。この寂れた活気の無い貧民街は、悪意が生まれ易い街だ。

今日も今日とて犯罪が起きる。盗み、殺人、強姦は日常的な存在だ。そして、一部の住人は、目の前でそれが起きていたとしても、それが普通だと、受け入れてしまっている。

 

そして、いつしか“普通”が失われる。法と秩序が世界にあった事を忘れ、住人達は徐々に、無法の世界に染まり始める。

 

ドクター・オペラが狂っているのはその為だ。住人達の意識の中で、誰かが明確に狂っていさえすれば、少なくとも、住人達の抱く非人道的な行為をするドクター・オペラのような人間に堕ちずに済む。それが普通ではないと判断出来る基準として、人の倫理観を存続させる者として、ドクター・オペラはこの世界で狂っていなければならない。

 

――理解されてはいけない。常に狂ったまま、人の心を救う。それが例え、自身を悪と糾弾されようと、それでも信念を貫き通した、偉大なる者達(ドクター・オペラ)の使命なのだヨ。

 

「おじちゃん何読んでるのー?」

「うん?これは日記というものサ。・・・・・・ところでチミィ、その体をおじちゃんに恵んでくれないかなァ?今丁度、実験材料が欲しくてネェ!」

「コラッ!何やってるのっ!?行くわよ!」

「あ・・・・・・おじちゃんじゃーねぇー!」

「あぁ、お互い、生きて会えたら良いネェ・・・・・・シュージュツツツッ!シュージュツツツツ!シューーッジュツツツツツッ!」

 

奇妙な姿をした男の奇妙な笑い声が、この寂れた街に響き渡る。

 

理解されることのない狂った私は、しかし決して、孤独ではない。今を生きるドクター・オペラは、過去のドクター・オペラに、その知恵で、経験で、大きな腕で、今もその心を、守られているのだから。

 

『――、オペラを継いでくれて、ありがとう。いつまでも、愛してる』

 

淀んだ風の吹くこの街で、優しい風に頬撫でられ、今日もオペラは、狂い振る舞う。




さてはコイツ、ドクター・オペラじゃないな、と思って書いてた。
いや正しいドクター・オペラって何さ。ドクター・オペラ書きすぎて下主たる崩壊起きかけてる・・・・・・。

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