八雪はアッタカイナリ   作:うーど

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なんかバーに色がついてる!?まさかこんなに評価を頂けるとは...!うん、やっぱり八雪は最高だな!!!

評価やお気に入り、そして感想を書いてくださった方々、大変ありがとうございます!


そんな評価を頂いてからの一発目が戸部って...。あ、ちゃんと雪ノ下も出ますよ。そんな雪ノ下が出ずに戸部が出ていたなら八雪タグを返上してとべはちタグをつけないといけなくなりそうですし...。


今回話が長くなってしまったので分割しました。


戸部とモテタニくん1

 休日の昼、本来ならばまだ眠っている時間だが、俺は今イタリアンファミリーレストランチェーン店であるサ〇ゼリヤの4人掛けボックス席にて戸部と2人で向かい合うような形で座っている。

 

 ちなみにここは重要な部分だが、戸部と俺は友達ではない。友達ではない。もう一度言っておくが、友達ではない。俺の友達は戸塚のみだし、妹は小町だけだ!材木座?誰だそいつ。

 

「いやー、ヒキタニくん!休日なのに来てくれてマジ感謝だわー!」

「人の金で飯が食えるっていうならな。俺はどこだって行くぞ」

「でもさー、本当にここで良かった訳?しかも注文したものと言えばミ〇ノ風ドリアとドリンクーのみって...。別に俺としてはもう少し値段が高い場所でも良かったのにさー」

「は?サイ〇リヤ最高だろうが?お?」

 

 

 昨日、教室にて戸部が急に俺に相談したいことがあると言ってきたのが今日の発端だ。奉仕部を通していない依頼なんて根っから受ける気が無かったのだが「飯奢るからさー!」と言ってきたので受ける事にした。俺は人の金で飯を食えることに愉悦を感じるタイプだ。

 

「で、俺に相談したいことって何?」

「...その前にさ、ヒキタニくんに訊きたいことあるんだわ」

 

 なんか急に悲痛な面になる戸部。え、そんな顔して俺に訊きたいことってなんだよ...。

 

 

 

「ぶっちゃけさ、俺ってそこまでイケメンじゃないよね」

 

 

 

 ポジティブのみが売りの戸部からのまさかのネガティブ発言に内心めっちゃ驚いている。

 しかし、...ふむ、なんてこたえたらいいのだろうか。ここは同意して「お、そうだな」ってこたえるべきか、それとも「そんなことないよー」って言ってやるべきか。

 

 などと思考を巡らせてはいるが、先ほども言った通り戸部の急なネガティブ発言にめっちゃ驚いたせいで、既に俺の口からは声が出ていたようだ。

 

「気づいて無かったのかよ!?」

 

 まあ、考えれる限り最悪なこたえを口に出しちゃったって訳だ。言うつもりは無かった。すまん戸部。

 

「酷いわー...。ヒキタニくんマジ酷いわー...。なんか太刀でバッサリ斬られた気分だわー...」

「一太刀浴びせられる程度で済むならマシなほうだろ。なかにはこれでもかってぐらいに死体蹴りをかます奴もいるしな」

「...ヒキタニくんの周りってそんな人いるの?っべー...」

 

 千葉市立総武高校が誇る秀才は死体蹴りが大好きなんだ。特に俺を蹴りまくってる時のあいつはまじで楽しんでる。

 

 

「そこでヒキタニくんに相談っつーか、教えて欲しいことがあるんだけどさー。ヒキタニくんも別にイケメンじゃないのに何でそんなにモテるのか、その秘訣を教えて欲しいって訳よ!どうかオナシャス!!」

 

 俺はすかさずベルを鳴らした。ピンポーンという音と急な俺の行動に戸惑う戸部。そして近くにいた店員がこちらの席へとやってきた。

 

「ご注文お伺いします」

「マル〇リータピザを追加で」

「少々お待ちください」

 

 注文を受け取った店員は厨房の方へと入っていった。その後を困惑しながら目で追う戸部。

 

「...え?なんで急に注文したの?」

「いや、なんか急に食べたくなって。ほら、戸部も食っていいぞ」

「お、おお、ヒキタニくんサンキュー!...支払いは俺なんだけど」

 

 俺は食べかけのミ〇ノ風ドリアの残りを食べ、ジュースを飲んで喉を流した。そしてとりあえずフゥと一息。

 さて、このフザけたこと言ってる奴をどうしようか。

 

「俺がモテるってなんだよ...。いったいどこ情報だよ?完璧にガセネタ掴まされてるぞ」

「え?いやいや!そんなことないっしょ!ほら、ヒキタニくんって結衣やあの雪ノ下さんを(はべ)らしてるじゃん?」

「は!?おい、なんだそのフザけたっ...!!」

 

 戸部がとても恐ろしいことを言ってのけるので否定を述べようとしたが、俺は言葉の二の次が出なかった。...いや出せなかった。

 

 

 

「...へぇ、誰が誰を侍らしているのかしら?」

 

 

 

 それは底冷えするような声色だった。思いっきり水風呂に沈められたような、とにかく急な体感温度の変化に心臓が一瞬止まりかけた。

 

 ...いる。そこにいる。めっちゃ恐ろしい人がそこにいる。

 俺の全身の力を振り絞って何とか声のするほうへ首をゆっくりと向けると...、そこにはやはり。

 

 

 我が部の部長であり千葉市立総武高校が誇る秀才の雪ノ下雪乃がそこにいた...!

 

 

 雪ノ下は席案内をしていたであろう店員に「ここで大丈夫です」と一言告げると、俺に向けて詰めろというジェスチャーをとる。

 俺が席を詰めると俺の横に雪ノ下は座った。そしてニッコリと笑顔をつくり、けれど目は射殺すような眼差しで。

 

「とても愉快で素敵な会話が聞こえてきたのでつい。さあ、続きをどうぞ?」

 

 と俺達に遺言を残すよう言い渡してきた。

 

 小町...どうやらお兄ちゃんここまでみたい...。

 俺と戸部はお互いに顔を近づけ雪ノ下に聞かれないように小声で話し合う。

 

「おい戸部!おまっ...これどうするんだ!?」

「...っべー。...っべー。雪ノ下さんマジ怖えぇ...」

「べーとか言ってる場合んじゃねえんだよ!これまじで何とかしないと俺等消されるぞ」

「消されるって...や、流石に大げさっしょ...そんなそこまで...」

 

 俺等がヒソヒソ話をしていると店員が俺が注文したピザを持ってきた。

 

「お待たせしました、マル〇リータピザとなります」

 

 店員が机の上にピザを置くと、それを見ていた雪ノ下がボソッと。

 

 

「あら、最後の晩餐かしら?」

 

 

 と、呟きを残す。

 

 そして俺と戸部はそんな雪ノ下の呟きに一気に血の気が引いていく。お互いに青い顔を見せ合う。

 

「聞こえただろ今の!完璧に消す気満々じゃねえか!」

「どどどうするのヒキタニくん!俺まだ死にたくない!」

「それは俺も同じだ!...あれだ、先ほども言いかけたがそのフザけたこと言ったの誰だ?」

「あー...俺は大岡から聞いたんだけど...」

「誰だそいつ」

「...ヒキタニくん、同じクラスでしょー...。ほら、俺や隼人くんとよく一緒にいる背が小さくて野球部でー」

 

 ちなみに戸部がいるクラスにヒキタニってやつはいない。戸部から提供された断片的な情報を元に脳内で該当人物を照らし合わせる。ああ、童貞風見鶏か。それならそうと言ってくれ。

 

「なら事実をそのまま伝えるべきだ。そいつが元凶で俺等は何も悪くない」

「わ、わかった。そうする...」

 

 話し合いは終わり、お互い近づけていた顔を話していく。

 

「話し合いは終わったようね?では言い訳を聞きましょうか」

 

 俺達に凍てつくような笑顔を向ける雪ノ下。おかしいなぁ...本来の笑顔はポカポカ暖かいものなんだけどなぁ...。完璧に絶対零度なんだよなぁ...。

 

「まあ待て雪ノ下。大変ご立腹なのはわかるが俺も戸部も悪くない。俺はここで初めて聞いた話だし戸部は他の人から聞いた話だ。そうだろ?」

「そ、そうだべ!俺も大岡から聞いただけで、なにも俺が思ってることじゃなくて!」

 

 俺と戸部の言い訳に雪ノ下は首を傾げる。

 

「大岡ー...誰?」

 

 完璧に雪ノ下に忘れられている大岡。まあ、大岡と雪ノ下の接点なんてほぼ皆無だしな...。名前はチェーンメール事件時に聞いた程度だし、顔は戸部の海老名さんへ告白大作戦の時に見た程度だもんな。ちなみに割と高頻度で会っているはずの材木座のことをこいつはまともに覚えていないし、俺もよく存在を忘れられる。

 

「まあ、いいわ。その大岡くん...彼?で間違ってないのよね?その彼を追い詰め...問い詰めればいいのね」

 

 言い直しているようだがはっきり聞こえたぞ...。追い詰めちゃうのかよ...。

 

「戸部、早いとこ大岡に別れを済ませておけ」

「うん、そうするわ...」

 

 大岡、あいついい奴だったよ。知らんけど。

 

 

 それはそうと先ほどから気になっていたことを雪ノ下に訊いてみた。

 

「ってか雪ノ下がサ〇ゼリヤとは珍しいな。というより飲食店とかあまり行かないだろ?」

 

 そう雪ノ下に訊いてみたところ、急に雪ノ下は急に落ちつきを無くし、あちこちへ視線を泳がせる。

 ...訊いちゃまずいことだったが?

 

「あ...」

「あ?」

「貴方が部室で延々とサ〇ゼリヤの魅力について語るからっ...!」

「あー...」

 

 そういや週末の部室で由比ヶ浜にずっとサ〇ゼリヤの魅力について語ってたわ。こいつ、ずっと本を読んでたと思ってたのだが聞いていたのか。

 

「ほーん...。それで行きたくなった訳と。...ファミレスに一人でか?」

 

 俺のその言葉にキッと俺を睨みつける。しかし先ほどの眼圧に比べれば弱弱しく、顔はほんのりと赤くなっている。

 

「別にファミリーレストランだからと言って一人で来てはいけない制約などないでしょう!...それに由比ヶ浜さんを誘ったのだけれど、彼女は今日は忙しいらしくて」

 

 語尾がどんどん小さくなっていく雪ノ下。うん、なんかごめんね?

 

「別に深い意味で訊いた訳じゃねえから気にするなよ。俺もサ〇ゼリヤには一人でよく来るし。まあ、ほら、食べに来たんだろ?なんか注文しときな。戸部が奢ってくれるらしいし」

「あら、そうなの?では遠慮なく」

「あ...あんれー?」

 

 雪ノ下はベルを鳴らして店員を呼び、料理の注文を済ます。そして俺と戸部はその間にピザを何枚か食べていた。「これが最後の晩餐にならなくて良かったわー...」って戸部が呟いてたが俺も同じ気持ちだ。俺の最後の晩餐は小町の手料理と相場が決まっている。

 

 

「それはそうと珍しいといえば比企谷くんと戸部くんとは珍しい組み合わせね。とくに比企谷くんが家から出ているだなんて。それにまだ昼間よ?ゾンビは総じて陽の光に弱いと聞いたことがあるのだけれど」

「人をゾンビ呼ばわりするのやめてね。まあ、あれだ、俺は戸部の相談に乗ってるだけだ。飯奢ってくれるって話だし」

「そうそう!ヒキタニくんにモテる秘訣を教えてらおうとしててさー」

「モテ...?比企谷くんが...?」

 

 おっと、そこで首を傾げるのは失礼だぞ雪ノ下。お前は知らないと思うが俺はモッテモテだからな。主に警察官に。

 

「残念だけれど、彼が教えられるものは独りでいる寂しさの誤魔化し方ぐらいよ」

「ほんと残念だが、俺は独りでいても別に寂しいと感じたことは無いから教えれるものではないな」

「...本当に残念な話ね」

 

 とは言ったものの、雪ノ下の言った通りなんだよなぁ...。俺がモテるとかは大岡や戸部の勘違いしで別に俺はモテはしない。それどころか大半の女子から認識されていないまである。飯まで奢って貰っておいて俺から何も提供できないってのは何か申し訳ないな。

 

「まあ実のところ雪ノ下の言う通りなんだわ。最初にも言ったと思うが俺がモテるってのはガセネタでな。悪いが俺から戸部に教えれるものなんて何もないぞ」

「そうかー...。まあ、最初っから藁にも縋るぐらいの感じだったし?今日はとりあえず一緒にお食事でも楽しましょーってことで!ああ、お金はちゃんと俺が払うよ。そこは気にするなっしょ」

 

 おい、誰が藁だ。...いやまあ藁か。ってか何でこいつは藁にも縋る勢いでモテたいとかぬかして...、まあ海老名さん関係が妥当か。ちなみに料金ことは別に気にしていない。端っから戸部に支払わせる気満々だ。

 

 

 

 タイミングよく雪ノ下が注文した料理が届くと、そこから俺たちは会話をしながら食事をした...ってのはちょっと語弊があるな。ちゃんと言うと戸部が一方的に喋って俺はそれに相槌を打つ程度だ。雪ノ下はガン無視だ。

 

 そんな感じに食事を楽しんでいると。

 

「あれ、戸部?...それにヒキオに雪ノ下さんまで。なにこれ、どういう集まり?」

 




戸部出してみたいな...という軽い気持ちで書いてみたのですが、思いのほか戸部の口調がわからず、とりあえず「べー」とか「うぇーい」とか言わせておけば戸部になるんじゃね?ってこれまた軽い気持ちでやってみせたら

奇行種が爆誕しました。

ちゃんと原作引っ張り出して戸部の口調をちゃんと見てきました...。

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