タイトル通り、クリスマスの内容となっています!いやクリスマス過ぎて何週経ってると思ってるの!?
すみません、なかなか忙しくて...。いやぁ、ドラクエ11S面白いですねー。
そして例の如くまた話が長くなってしまったので分割しました。4千~6千字程度で納めたいのに...っ
今日は12月23日、クリスマスイブイブとも呼ばれる日だ。いや、イブイブってなに?どれだけクリスマス待ち遠しいの?そのうち10日前からイブイブいい始めるぞ。困った。なにが困るってクリスマスなんていうリア充イベントに世の中が侵食されていく様をただただ指をくわえて見ていることしか出来ないこの惨状に困った。
だが俺こと比企谷家のクリスマスは妹の小町とチキンやらケーキやらを囲んでちょっとしたパーティーをするのだ。なんだ、俺もリア充だったわ。世界一可愛い妹とパーティーなんてそこらのリア充カップルが泣いて悔しがるレベル。いや知らんけど。
などと超どうでもいい事を奉仕部の部室内でただぼーっとしながら考えていると。
「ヒッキー!話聞いてた!?」
と、由比ヶ浜の声で強制的に覚醒させられる。
「聞いてた聞いてた。で、何の話だっけ」
「ぜんぜん聞いてないし!?」
由比ヶ浜はうがーっと叫びながら机をペシペシと叩き、雪ノ下はため息を吐きながらこめかみを指でおさえた。
いや聞いてましたよ?何か喋ってるなー程度には聞いてましたよ?ただ話してる内容が1ミリも頭に入ってないだけだから。いやそれ聞いてるとは言わないな。
「すまん。で、何の話だっけ」
「だから、明日クリスマスパーティーしようって話してたじゃん!」
俺が平謝りして再度話の内容について聞いてみると、どうやらクリスマスイブに開くパーティーの計画を立てている最中とのことだ。
「それで、まずショッピングモールでプレゼントを買ってゆきのん家で買ったプレゼントを交換するの!ヒッキーも来るよね?」
「雪ノ下のマンションで?前回みたくカラオケの個室じゃないんだな」
「うん、ほら、今年はこの3人でしたいから...」
由比ヶ浜はぽしょりとはにかみながら言い、くしくしとお団子髪をいじった。そんな由比ヶ浜にたいし、俺も雪ノ下もつい笑みがこぼれた。
高校3年にして卒業も間近に迫ってきているなか、この3人で過ごせる日々も終わりが見えてきた。だからだろうか、少しでも多くの思い出を作って今というこの日々をいつまでも思い出せるように目一杯の印を付けたいんだろう。
「そうだな、この3人で、まあ俺達なりのクリスマスってのをやってみるか」
「私たちなりと言われると何だか不安になるわね...」
「いいんだよ、俺達3人がクリスマスだなって思えるものであれば、それでいい」
自分で言っといてあれだがものすっごく謎な理論にたいし、雪ノ下は何かがお気に召したのか「そうね...」と一言残し、嬉しそうにこくこくと小さく頷いた。
「あたし達なりのクリスマスかー。えっとね、ケーキはゆきのんが焼いたものが食べたいなぁ。あ、あたしもケーキを焼こうか?」
「却下だ」
「却下よ」
「ひどいっ!?」
由比ヶ浜、それでは思い出に印ではなく傷が出来るだけだ...。まあいつでも簡単に思い出せそうではあるがな...。
それにしてもこの子達ほんと仲良いよね。「それはまた今度...一緒に作りましょ?」「ゆ、ゆきのんっ!」みたいなやり取りを眺めながら思う。ほんと仲良いよね。というか良すぎない?大丈夫?百合の花咲いちゃってるよ?俺は大歓迎だが。
その後の俺達はあーでもないこーでもないと部活の時間いっぱいまで明日のパーティーの過ごし方について話し合っていた。
ちなみに小町に電話で一緒にクリスマスが出来ないことを伝えたら「小町もクラスの子達とパーティーの予定だけど?」と言われた。おい、クラスの子って誰だ!女子だけだよな!?女子だけだと言ってくれ小町っ!
そして迎えた12月24日、クリスマスイブ。集合場所である駅前の広場へとやってきた。時刻にして集合時間の5分前だ。遅れてとやかく言われるわけにも行かないのでな。
俺が集合場所へ着くと既に由比ヶ浜は来ており、何やら電話中だった。しかし大概集合場所に一番乗りでやってくる雪ノ下は珍しくまだ来ていないようだ。
そこでふと俺が近づいたことで由比ヶ浜が俺の存在に気付き、電話の最中にも関わらず挨拶をしてきた。
「あ、ヒッキー。やっはろー!」
「うす...」
「...うん、今ヒッキーが来たところ」
しかし挨拶も早々にすぐに会話を電話の相手に戻す。心なしか由比ヶ浜にいつものやけに高い元気を感じられない。
「うん、うん。え...?うん、わかった、ヒッキーに変わるね」
電話をしていた由比ヶ浜が自分のケータイを俺に渡す。急に渡されても困って「え?これ?え?」と困惑していると由比ヶ浜から「相手はゆきのんだよ」と教えられた。
この場にいない雪ノ下からの電話、珍しく寝坊でもかましたか?と考えながら受け取ったケータイを耳に当てた。
「もしもし俺だ」
『あ、比企谷くん、雪ノ下だけれど...』
お、おかしい、ここで「俺?俺とは誰のことかしら?平塚先生世代の詐欺常套句の電話かしら?今どきそんな化石じみた時代錯誤な詐欺に引っかかる人なんて世間から絶縁されているあなたぐらいよ。ごめんなさい、切るわね」ぐらいのことを言ってこないだと?いや電話切っちゃうのかよ。あとただただ平塚先生に失礼である。
セルフツッコミもそこまでにしといて、雪ノ下の一声をきいただけで雪ノ下に元気が無いことがわかった。なんかいつもの凛とした声の張りを感じられないし。
「どした?なんか元気が無いようだけど」
『...その通りよ、どうやら体調を崩してしまったみたい。由比ヶ浜さんにも先んじて伝えてはいるけれど、ごめんなさい、今日のパーティーには参加出来そうに無いわ』
電話越しからも雪ノ下が大変申し訳なさそうにしているのが感じ取れる。まあ体調不良なら仕方がない。いくら気を付けていたところで急激な気温の変化などで体がやられてしまうものだ。俺も、あと偏見だが由比ヶ浜もそこら辺に関してはかなり鈍感な類いだと思うので敏感な雪ノ下と比べちゃいかん。
まあ気にするな、仕方がない、と言おうとしたが雪ノ下の話はまだ続いていた。
『なので今日のパーティーは私抜きで行っても...』
「アホか、それじゃ意味ないだろ」
自分抜きでなどアホなこと言うもんだから、ついたまらず食い気味で口を挟んでしまった。
全員が揃わないと意味が無い。それでは思い出にはならないし、思い出したところでそこに雪ノ下がいなければ思い出とは呼べない。それはもう印ではない。だから、意味が無いんだ。
『でも...』
しかし雪ノ下はなおも食い下がる。きっと今日という日に自分のせいでパーティーが開けなくなることが申し訳なく感じているのだろう。
「いいか、この先俺達は大学生になってそのままなんやかんや就職して...して...嫌だ!働きたくない!...じゃなくて、就職して学生の頃のように直ぐに互いの都合がつくことなんて無くなるんだ。そうなってくるとな、この日にパーティーしようだなんてまず無理だ。だから皆が都合がつく日にパーティーを開くこととなる。それが予定された日からだいぶかけ離れても、だ。大事なのは揃ってパーティーすること。日付なんておまけだ。いつやろうがクリスマスパーティーと思えばクリスマスパーティーなんだよ!」
食い下がる雪ノ下にたいし、つい熱くなって途中なんか拒否反応も出たが超完璧な理論武装を披露してしまった。心なしか由比ヶ浜が引いてる気がするが、まあ些事だ。
「ヒッキーなに言ってんの...?超意味わかんない...」
などと由比ヶ浜が言っているがまあ些事だろう...些事かこれ?
『あ、あなた何を言っているのかしら...?意味の半分も理解するのに苦しんだわ...。それにその謎な理論からすると高校を卒業したその先もずっと会うことになるのだけれど...』
「え...、意味の半分もって...。え...?ま、まあ、その、そうなんじゃねえの?知らんけど。少なくとも由比ヶ浜はその気だろ」
俺がそう言うと電話から小さく笑う声が聞こえた。
『ふふっ、そうやって由比ヶ浜さんを盾に使うのは反則ではないかしら?』
「ぐっ...。まあとにかくだ、パーティーにはお前がいないと由比ヶ浜も...あと俺も納得しないんだよ。だから、あれだ、元気になったらやろうな」
『そう...あなたも...。わかったわ。もう私抜きでなんて言わない。すぐに元気になってみせるから...待ってて貰える?』
「安心しろ、俺に予定らしい予定が入ることなんてこの先まったく無いから。...じゃあ由比ヶ浜に変わるぞ」
『威張っていうことではないのだけれど...』
そう言って多分だが電話越しでこめかみに手を当ててるであろう雪ノ下を想像しながら由比ヶ浜にケータイを返す。
が、そこには何故か超ニッコニッコニーな由比ヶ浜がいた。ニッコニー♪なんで?
「...なんだよ?」
「んー?んーん、なーんにも♪」
由比ヶ浜はそうご機嫌な返事をして俺からケータイを受けとると雪ノ下とまた電話を始めた。
今さらながらすっごい恥ずかしいことを言った気がする...。帰ったら間違いなく布団にくるまって悶えることとなるだろうな、と由比ヶ浜が電話してる様を見ながらぼーっと考えてた。...というか今日の予定空いちゃったな。材木座とゲーセンでも行くか。どうせ予定無いだろ。
そしてぼーっとすること数分、由比ヶ浜は電話を終えてくるりとこちらに向き直った。
「話、終わったのか?」
「うん、ヒッキーにもよろしくって!」
「そうか...。んじゃあまあ、雪ノ下がいないんじゃ仕方ないし今日のところはお互い帰るか」
「...うん、そうだね」
由比ヶ浜の返事を聞いて帰路につくため踵を返す形で後ろを向いて一歩を踏み出す。
「...ヒッキー!」
が、しかしそこで由比ヶ浜に呼び止められた。
「ん?」
ゆっくりくるりと由比ヶ浜のほうに向き直すと、由比ヶ浜は自分のお団子髪をくしゃりといじいじして、その手を次第に下に降ろしつつ、そのままそ髪を耳にかけてはにかみ笑いを浮かべる。
「メリークリスマス!」
そう言ったその表情はいつもより大人びていて、つい綺麗だと思ってしまった。恥ずかしいのやら照れなのやら自分自身困惑しつつも顔が次第に熱くなっていくのがわかる。
「め、メリー...クリスマス......」
ついしもろどもろとなってしまった俺の言葉に由比ヶ浜は満足そうに頷くと顔を朱くしながら俺の隣を通ってそのまま駆けていった。
俺はただただその後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
帰路につき、帰った後どうしようかと考えようにも、どうしても頭は雪ノ下との電話の内容にシフトされる。
あれだけ申し訳なさそうにする雪ノ下は珍しく、そこまで今日のパーティーを楽しみにしていたのだろうと考えとれる。
もしかしたら楽しみにしすぎたせいで体調崩した可能性まである。なんだそれ微笑ましい。
電話で雪ノ下に言った言葉に嘘は無い。別に今日にこだわってパーティーをしなくてもいい。だがクリスマスイブという日に今も雪ノ下は一人で寝床にいると思うと、本来なら楽しい気持ちでクリスマスを迎えるはずだったのにと考えると、どうしてもやるせない気持ちになる。
出来れば寂しい気持ちのまま高校生最後のクリスマスという日を迎えて欲しくはなかった。今日という日を過去の傷として生涯残らせたくはない。
そして俺は雪ノ下に今日や明日という日に言わなくてはならない言葉を忘れてしまっていた。そのことを由比ヶ浜のおかけで思い出せた。伝えようにも雪ノ下の連絡先知らんけど。このことを小町に知られたら「未だに!?」とドン引きされる。
さて、どうするか...。いや、実は既に方法は思い付いている。しかし内容が内容なだけでやったら最後、新たな黒歴史が産声を上げながら爆誕する。とびきり大きいの。
...まあ、それでもやるんだけどね。
独り善がりで気持ち悪くて小っ恥ずかしくて、そして超似合わないものを。
先ほどから俺の中の冷静な部分が耳元でガンガンとやめろと抗議している。ぶっちゃけ俺だってこんなことやめたい。絶対に笑われて馬鹿にされてからかわれる。
でもいい。むしろそれが目的でもある。ならば盛大に馬鹿みたいにおどけて赤い帽子でも被りながら道化にでもなってみせよう。
恥も後悔も考えるな。冷静な部分なんて根っこから捨て置け。
今日という日を、クリスマスというこの日を、忘れられない思い出にするために。
今できる目一杯な印をつけてみせる。
......まあ、もう1つ問題あるとすれば、というか一番の大問題だが、