…ここは…何処だ?何故俺はここにいる?
俺はたしか…そう、たしか家でタワーディフェンス系のゲームをしていたはずだ。というか、そもそも俺は誰だ?名前は…わからない。じゃあ、家族構成は…覚えてるな。家族の名前は…覚えていないのか…。何処に住んでたのかは…わかるのか…。ふむ、個人を特定するものがわからないって感じかな?
まぁ、何故かこの前世っぽいものへの関心が低いから、思い出したいだとか、戻りたいだとかは思わないんだけど…。うーん、なんか気持ち悪い。絶対誰かに操作されてるのに、それに対して関心を持てないなんて…。
まぁ、気にしていても仕方がない。とりあえず、このよくわからない部屋から出てみるか!
部屋から出てみると、そこには圧倒的な存在感を放つ、背中に虹色の羽根のようなものが生えた人がいた。そして、俺が部屋から出てきたことに気づいたようで、こちらを向き話しかけてきた。
「おお、ついに産まれたか!待っておったぞ!」
「あ、あなたは…?」
「儂は【鳥】の魔王、アドラメレク。お主は特別だ。名で呼ぶことを許そう」
アドラメレク?たしか悪魔の名前だったっけか…
「えーと、アドラメレク?とりあえず聞きたいんだけど、ここは何処だ?」
「ふむ…。自身の存在についてではなく、この場所について聞くか…。まぁ、良いだろう。ここは儂のダンジョンの水晶室と呼ばれる場所だ」
「ダンジョン?水晶室?」
「ふむ…。その説明をするのなら、まずはお主や儂について教えてやった方が良いな。…そうだな、儂らは魔王と呼ばれる存在だ。儂ら魔王は、悪魔や魔物を生み出し使役し、悪意の迷宮を作り上げ君臨する。お主は360番目に産まれた、最も新しい魔王だ。そして、あそこを見てみろ」
「あれは…水晶?」
「そう、それだ。あれは魔王にとって心臓とも言えるものだ。もしあれを破壊されるようなことがあれば、儂らの力は全て消えてしまう。…先に言っておくが、絶対に触るなよ」
えっ?それは触れってヴェ⁉︎めっちゃ寒気がした…。これが…殺気?…うん、冗談でも触るのはやめとこ。
「わ、わかった。それじゃあ、なんで俺はここにいるんだ?」
「お主は産まれたばかりで何もわからぬだろう?そんな状態でダンジョンを作らせようと、人間どもにすぐ攻略されてしまうのが目に見えておる。だから、儂のような寿命が近い魔王が親として1年間育ててやるんだ」
「えっ⁉︎魔王って寿命あんの⁉︎」
「300年ジャストだな。まぁ、場合によっては増減するがな」
「とりあえず、減るのについてだけでも教えてくれたりは…」
「安心しろ、普通に魔王をやっている分には、そう簡単に増減したりはしない。…一つだけ言っておこう。創造主には目をつけられないようにしろ。アイツに気に入られても良いことなどない」
「創造主?言葉的には俺らを作った人っぽいけど…」
「あぁ、儂らを作ったのはアイツだ。だが、アイツはひねくれもので、魔王たちの困惑と苦悩が大好きな、悪質な愉快犯なんだ。アイツから何か貰っても、それを使わなきゃ死ぬって状況か、強制されるかでもしない限り絶対に使うなよ。どこかに絶対罠が仕掛けられている。それもかなり悪辣なものがな」
「お、おう、わかったよ」
「よし、ではまず、お主が何をできるかから調べてみるか。今から魔獣を出す。お主が能力を使えれば簡単に倒せるだろうが、そこらの戦士程度なら軽く殺せる力がある。死ぬなよ」
その言葉と共に、ツノの生えた馬、いわゆるユニコーンみたいなのがどこかから出てくる。そして、そのまま、俺に向けて突進をしてくる。
待って⁉︎無理だよ⁉︎俺基本家でゴロゴロしてるタイプだからそんな戦ったりするなんて!って、とりあえず避けないと!っと危ねぇ!ギリギリ避けられた…ってまた突進してきやがった⁉︎とりあえず避けてっと、おっ今回はちょっと余裕を持って避けられた。というか、このままだと、俺の体力がなくなって終わりじゃね⁉︎と、とにかくなんとかする方法を考えないと…。っとまた突進か!っよし!さっき以上に余裕を持って避けられた。えーと、えーと、たしかさっきお主の能力がどうとかって言ってたような…。っと避けてっと。能力!能力を使う!能力を使わせて!死にたくないです!お願いします!
『ユニークスキル:【善】を使用開始しました。あなたが正しいと思うことをしている限り、5秒毎に身体能力を1.1倍していきます。消費魔力は1秒につき10』
うわっ⁉︎なんだこれ⁉︎急に頭に浮かんで来たんだけど…。ってとりあえず避けなきゃ!うん、生き残るために戦うのは正しいことだよね!うん!
おっ、少しずつだけど相手の動きがしっかり見えるようになってきた。さっきまでは半分勘で避けてたけど、今ならハッキリと見える!これならアイツのツノを持って投げ飛ばせたりもできそう!…流石にしないけどね?もし、力が足りなかったりして吹き飛ばされたりでもしたら、恥ずかしすぎるし。避けた後に腹にでも蹴り入れようかな?っと、とりあえず避けてっと、ココッ!よし!吹き飛んでった!って流石にこれだけで死んでくれたりはしないか…。まぁ、これを繰り返していけばいつかは倒せるでしょ!それに、こっちはだんだんと強くなってくんだし!
ハァハァ、長く苦しい戦いだった…。つ、疲れたぁ…。これで良いのかな?
「よくやった。途中から、少しずつだがスピードが上がっていたし、おそらくユニークスキルを使えるようになったのだろう?」
「あ、あぁ。なんか、5秒毎に身体能力を1.1倍していくものみたいだ。そういえば、俺にユニークスキルがあるってことは、アドラメレクにもあるのか?」
「気になるか?まぁ、お主のユニークスキルを教えて貰ったしな。特別に教えてやろう。儂のユニークスキルはな、『飛べる』ただこれに尽きる」
「…え?それだけなのか?」
「まぁ、これだけ聞けばその感想でも仕方ないだろう。だが、儂のこのスキルは強力だぞ?他にも飛べるユニークスキルはあるがな、それらは全てプラスで何かがついておる。それにくらべ、儂のは飛ぶことに特化してるからなぁ。空中戦で、一対一で儂に勝てるやつはおらんよ」
「はぁ、なるほど」
「まぁ、とりあえずおめでとうと言っておこう。これでお主は真に魔王となった」
「え?さっきまでは違ったのか?」
「ユニークスキルを使えて初めて魔王と言える。お主は今から【善】の魔王 アンドロマリウスとして生きていくことになる。頑張れよ」
前世の名前は流石にそんな名前ではなかったはずだ。というか、そんな名前だったらキラキラネームって言われてる。それなのに、何故こんなにもしっくりくるのか。それに嫌悪感っぽいのもないし…。これってさっき言ってた創造主ってやつがやってんのかな?
「アンドロ…マリウス…」
俺は確認するようにそう呟く。
「あぁ、俺は【善】の魔王 アンドロマリウスだ。1年間よろしくな!アドラメレク!」
「任せておけ!」
書いてて超楽しかった。
アンドロマリウス(ピクシブ大百科より)
地獄の36の軍団を率いる序列72番の大いなる伯爵。世にも珍しい正義を司る悪魔である。巨大な蛇を持つ人の姿をしている。
名前はギリシャ語で「雄々しい男」という意味があるらしい。
自らが司る『正義』の名に恥じず、悪人やあらゆる不正を見つけると正義の力で罰を下し、悪を懲らしめ盗品を取り戻す……のだが、召喚者が取り返した盗品の中からちゃっかり自分の取り分を取ったり、なぜか魔術師限定で財宝を全て取り上げてしまうというどこかずれた正義感に準じて行動しているのは悪魔らしいところか。
元々はカナンに伝わる、盗賊の神が零落した姿とも伝えられており、どことなく義賊やダークヒーローな雰囲気を漂わせる。
主人公にチートほしい?
-
ほちぃ!
-
いらない!
-
大量にくれ!(強欲)