・吸血鬼の定義
石仮面により我々に近い生態と能力を獲得した人間を、吸血鬼と定義する。以下、特記しない限り吸血鬼はそれを指すものとする。
・吸血鬼の特徴
A.犬歯を中心としたいくつかの歯に若干の伸長が見られる。
特に深い意味はないと思われる。
B.他者の体液を吸収することで自身の栄養とする。この行為は接触してさえいればどこからでも可能だが、固定観念により口からしか行えない個体もいる。
対象となる体液はなんでも良いが、血液が最もエネルギー効率が良い。限定的だが、妊婦の母乳はこれに匹敵するか場合によっては凌駕する。
C.Bを行うことで肉体は常に全盛期を維持する。外的な要因による病気や感染症などにも罹患しない。
ただし、精神的な疾患や先天的な疾患に関しては例外である。先天的なものについては一部治癒する症例もあるため、こちらについては調査を続行する。
この他、幼体に関してもこの限りではない。幼体を吸血鬼とした場合は、生物としての全盛期ではなくそのときの年齢で固定される。これは、まだ生物としての全盛期を迎えていない個体は、生態としての遺伝子がその状態を現状の全盛期として認識したまま固定されるからと推測される。
D.Cとやや重複するが、ほぼ不死身の肉体を持つ。怪我はするが、脳さえ無事であればどの部位も復元が可能。
ただし我々と異なりその効率は悪いが、その個体と適合し得る肉体を用意することで効率よく行うことが可能。
例外は頭部を破壊された場合で、このときは死亡する。
E.Bに伴い、吸血した対象に自身の体液を注入することで対象を隷属下に置くことができる。ただしこの行為は任意であり、吸血のみにとどめることも可能。
またこの処置を施されたものは限りなく自我を低減させられることに加え、肉体の生命活動が極限まで低下する。このため、人間の価値観で言えば「生ける屍」と称される状態に陥る。
F.人間の数倍の身体能力を持つ。これは個体差が激しいうえ、能力ごとにもばらつきが大きいため厳密な数値は個体ごとに見るべきものとなる。
現状では、およそ二倍〜十倍の範囲で収まっている。
G.肉体を操作する能力を持つことがある。ただしこれはあくまで技術であり、これは上記までのものとは厳密には異なる。各個体が意図して身につけようとしなければ身につかないものであり、我々で言うところの「流法」に相当するものと見なせる。
現状確認できたものは、眼球より行う体液の射出、自身の血液の物理的な操作など。
H.日光に極めて脆弱である。触れただけで当該箇所が灰化するほどであり、全身を焼かれた場合はほとんど間を置かず死滅する。
また、吸血鬼化してもこの弱点を認知することはない。このため、吸血鬼とはあくまで後天的な生物であると言える。
I.上記の特徴から、吸血鬼は理論上はほぼ不老不死である。
ただし、多くの個体は一定以上生きるとこの特徴を持て余すようになり、最終的に自ら死を選ぶ。この境地に達する目安はなく、完全に個体差である。
生を諦めない個体は生き続けるが、そこに限界があるかどうかは不明。
現在、自死を選んだ個体の寿命は確認できている最短は百年ほど、最長は八百年ほどである。
・特殊環境下における吸血鬼の実験記録
以下に、様々な状況での吸血鬼化がどうなるかを実験した結果を記録する。
1.人間以外の吸血鬼化
哺乳類に限って可能。これは哺乳類の「幼体が哺乳によって成長を行う」という特徴が、吸血鬼のそれに繋がるからと思われる。
この際人間同様に様々な能力の向上が確認できるが、現状では我々に及ぶ知能に至るものは確認できておらず、人間にも及ぶものではない。ただし、可能性はあるものと思われるため調査を続行する。
我々の食料と見た場合、人間ほどではないが栄養価が増大するため、そういう観点では有用である。
2.幼体の吸血鬼化
一定以上の年齢であれば可能。逆に言えば、極端に幼い幼体を吸血鬼化することは不可能である。
これは恐らく、幼すぎる肉体では石仮面の力に耐えられないからと思われる。
なお、可否の目安は生殖機能が充実し始める時期である。
3.吸血鬼化に我々の血を使用
若干だが日光への耐性が見られるなど、全体的に性能の高い吸血鬼となる。
食用としてもこちらのほうが質が良い。
4.吸血鬼の生殖行動
吸血鬼の親と人間の親:吸血鬼の特徴は一切遺伝しない。ただし、稀に親から受け継いだ遺伝的形質が成長過程で入れ替わることがある。原因は現状不明。
吸血鬼の親同士:吸血鬼の特徴は、Aを除き一切遺伝しない。ただし、知能に関してのみ最初から高度なものを持つ個体が現れることがある。それも初期値が高いだけで、最終的な到達点は人間と大差ない。
また、吸血鬼の親と人間の親の間に生まれた子供と同様、稀に親から受け継いだ遺伝的形質が成長過程で入れ替わることがある。
人間の妊婦を吸血鬼化した場合:特殊な変化が生じるため、別項目を設けてそこで説明する。
5.一度吸血鬼化したものへの石仮面の再使用
特に変化なし。
ただし、エイジャの赤石を用いる完成した石仮面を使用した場合どうなるかは現状不明。
また、Cの状況における妊婦に対しては効果がみられる。この詳細は当該の項目で説明する。
・半吸血鬼の定義
先述の通り、妊婦を吸血鬼化する場合には特殊な変化が起こる。具体的には、吸血鬼の特徴がある程度遺伝する(この表現は厳密には正しくないが、わかりやすくするためこう表現する)
ただし必ずしもこの変化が起こるわけではなく、どうやら妊娠中期に入る少し前の段階で行うと遺伝すると思われる。
仮説だが、これは恐らく石仮面の効果がある程度及ぶほど胎児が成長しており、かつ母体とは別個体という認識が完全にはなされていない時期がこの時期に当たるからではないかと思われる。
以下、この吸血鬼の特徴を受け継いで生まれる個体を半吸血鬼と定義する。
半吸血鬼が発現する特徴は個体ごとに異なる。また、その程度も個体ごとに異なる。ただし、一部共通する特徴もある。
・半吸血鬼の特徴
基本的には吸血鬼のものと同様だが、一部異なる部分もある。基本的には人間と吸血鬼の中間くらいの特徴を持ち、全体的に人間以上吸血鬼未満と言ったところ。
吸血鬼とは異なる特徴は以下の通り。
a.歯に特に変化はない。人間のものと変わらない。
b.吸血鬼ほど柔軟に体液を吸収できず、口でしか摂取できない。
ただし、それによって吸血鬼同様に栄養を確保できる。
c.bを行っても成長・老化する。外的要因による病気や感染症などは、罹患するものとそうでないものがある。
逆に、吸血鬼が発症するもので半吸血鬼が発症しないものは今のところ存在しない。
d.人間よりは頑丈な肉体だが、吸血鬼よりは脆弱。切り傷や打撲、骨折程度は早期に回復するが、部位欠損が回復することはないし一度切断された部位同士が簡単にくっつくこともない。
また、その適合し得る肉体を用意しても効率よく回復することはできない。失血死も起こり得る。
e.Eに該当する行為は不可能。
ただし、半吸血鬼がEを施されても生ける屍と化すことはなく、逆にそれを吸収して一時的に強化する。
f.身体能力は人間より少し強い程度。個体差が激しいうえ、能力ごとにもばらつきが大きいため厳密な数値は個体ごとに見るべきという点は変わらない。
現状では、およそ等倍〜三倍の範囲で収まっている。
g.肉体を操作する能力は一切持たない。
h.日光に対しては人間寄りであり、我々より日光に強い。人間よりは弱いが、
i.半吸血鬼は当然幼体として生まれるが、その成長は心身ともに人間より遅く、また寿命は人間より長い。
おおよそ人間の三倍の時間をかけて成体へとなり、最長でも二百歳ほどで死を迎える。寿命については、人間同様技術の進歩などで伸びる可能性が高いがその点は保留とする。
・特殊環境下における半吸血鬼の実験記録
以下に、様々な状況での半吸血鬼がどうなるかを実験した結果を記録する。
1.半吸血鬼の吸血鬼化
問題なく可能。ただしこの場合、普通の吸血鬼と特に変わらない存在と化す。
このため、食料として考えた場合は費用対効果に見合わない。
2.幼体の半吸血鬼の吸血鬼化
問題なく可能。吸血鬼と異なり、生まれたての幼体であっても吸血鬼化することができる。
幼体時の吸血鬼化による外見年齢の固定も変わりなく起こる。
3.半吸血鬼の吸血鬼化に我々の血を使用
普通の人間を同様のプロセスで吸血鬼化するより、さらに全体的に性能の高い吸血鬼となる。
日光耐性に至っては半吸血鬼よりも弱くなるものの、吸血鬼や我々よりも高い耐性を依然として保持する。
食用としてもこちらのほうが質が格段に良い。
4.吸血鬼の生殖行動
現在調査および実験中だが、半吸血鬼同士を交配させることでその特徴を保持した子供ができることがあるようだ。
今後代を重ねて行けば、人間という種の品種改良種として成立し得る可能性がある。
もしこれに成功すればより我が王国の力は増す上、この身より血を分け与えればさらに使い勝手のいい吸血鬼を量産可能となるだろう。
さらに調査と実験を重ね、より確かな成果としたい。
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あのあと、サンタナから渡された研究レポートが冗談抜きで笑えない件について。
紙を持つ手が震える……。
「……え、サンタナこれ、……ホントに?」
「そうだ。今俺の城に詰めている子供は大体が半吸血鬼だな。実験用に飼っている」
「へ、へえー……、そ、そうなんだぁ……」
だ、誰がここまでやれと……!
この凝り性めー……!
こいよコルテス、銃なんか捨ててかかってこい。
今回はマジで独自解釈の塊なので、あんまり深く気にしないでいただけるとありがたい。
飛呂彦先生の中でどうなってるのかはわからないので、この件についてはあくまで本作における設定と思っていただければなと。