評価バーが赤くなってる!? 更にランキングで上位に入ってるだって!?
ジャイロオオオオオオ!! これは『スタンド攻撃』だーーーー!!
評価してくださった方々、ありがとうございます。
今回は委員長決めからレスキュー訓練開始までを書いてます。
委員長を決めることになった。
相澤が教室に来て言った言葉を発端に、誰がA組の学級委員長をするかの騒ぎになった。上に立ちたいから、権力を使ってスカート丈を短くしたいから、目立ちたいから。様々なアピールをしていく生徒たちの中で、飯田は声を張り上げた。
ここは投票で決めようじゃないか。その案に、
「まだ知り合って短いのに、信頼もクソもないと思うわ」
辛辣! しかし事実だった。
入学して日が浅いのに信頼して誰かに投票するなど、結果は見えていた。
「ぐっ……やはりダメだったか…………」
ジョニィを含めたクラスの殆どが自分に票を入れていた。言い出しっぺの飯田は、真面目に他の人物に投票した結果、0票という悲惨な結果となった。その中で緑谷に3票、八百万に2票が入った。
委員長決めは緑谷が委員長で、八百万が副委員長という結果に落ち着いた。
昼休憩。ジョニィ・ジョースターは食堂でサンドイッチを食べていた。オニオンと卵も入ったローストビーフサンドイッチだ。
車椅子の見た目のせいでジョニィのテーブルには彼1人だったが、もう慣れっこだったので特に気にせずサンドイッチに舌鼓を打っていた。
もちろん、その間にもジョニィは回転の練習を止めない。ビー玉を転がしながら、ジョニィは広い食堂を見渡していた。
「流石は雄英だよなぁ食堂までBIGだ。おっ、ありゃ『ランチラッシュ』か! けど僕はパン派なんだよなあ、声をかけ辛い……」
くだらないことを考えながらもうひと齧りした。その時だった。
ジリリリリリリリリリリリリリリリ
「は?」
食堂に、雄英高校の学園全体に喧しい非常ベルの音が響いた。途端に食堂にいた生徒は食事を止めて、我先にと非常口へ走った。
雄英高校は食堂も広い。更に今は食事時だった為、あふれんばかりの生徒が食堂からの出口に敷き詰まってパニックを引き起こした。
「おい! どけよっ! がっ、前を塞ぐんじゃねえ!」
車椅子に座ってるジョニィだろうと例外じゃない。移動が遅かった為に人混みの後ろになってしまったが、人混みに押し潰されることはなかった。不幸中の幸いだった。
スローダンサーなら蹴散らして進めるのに。目の前の人の壁を見て歯噛みしていた。
「いっそ……」
非常時だから許されるだろうと、窓ガラスを撃って破ろうと考えた。だが、自分の爪弾で割れるほど
「みなさんっ! だいじょおおーーーぶ!!!」
どうするか考えていたところへ聞き覚えのある声がした、飯田の声だ。
「ただのマスコミです! 何もパニックになることはありません!! だいじょーぶっ!」
「前を塞ぐなよ!」
目の前の人混みを分けると、非常口の上に非常口の
「ここは雄英! 最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」
このほんの少し前に遡り、雄英高校を不審者から守る壁、通称雄英バリアが突破された瞬間の出来事である。
「いまだ いまだ!」
「突っ込めェェー!」
「一言おねがいしますゥー!」
マスコミが我先にと、雄英バリアを越えて敷地に入ってきた。もう誰も止めるものはいないと、ズカズカと駆け込んだ。
ズテェエエエエ
「おっ! な、なんだあ?」
突然、先頭を走っていた女性記者が転んだ。
だが、そんなことおかまいなしに、他社のマスコミは倒れた記者を避けて進む。
「デッ!!」
ガシャアン
「あだぁ!」
今度は避けて進んだ記者が転んだ。転んだ拍子に担いでいたテレビカメラが壊れてしまう音がした。
明らかに普通じゃないとマスコミが気づき始めた時、扉の方から男が歩いてきた。
「よーーし、そこで止まれッ! それ以上こっちに近づくと、怪我しても知らねーぞ」
男が、ジャイロが視線を促すように地面を指差した。そこでようやくマスコミたちは気がついた。
シルシルシルシルシルシルシルシルシルシルシルシル
「なんだあれ……回って…」
地面には小さなガラス玉が回転しながら留まっていた。それも一つや二つじゃなくいくつも、まるでトラップのようにガラス玉が回転していた。
「お話を聞かせてください!! オールマイトがいるんですよねェ!?」
進めないとわかると、マスコミは大声でジャイロに質問をした。だが本人はまるで聞く耳を持たずに小さな包みに手を突っ込んでいた。
「これは明らかに報道妨害です! いますぐ止めてくださいっ!」
報道陣の1人が回転するガラス玉を指差して抗議する。それに賛同してそうだそうだと、他のマスコミも騒ぎ出した。
「なに勘違いしてんだ? ここに勝手に入ってきたのはおたくらじゃねーか。それにここは元々俺の訓練所だったんだ、ホレ」
包みに突っ込んでいた手にはいくつものガラス玉が握られていた。それを地面に放ると、すでに回転していた玉が弾かれて他の玉を弾き、連鎖的に全ての玉が立ち止まるマスコミたちの方へ迫っていった。
「おおおっ!」
慌てて下がる者、プロ根性で逃げつつそれを撮る者。様々な反応があるものの、慌てて後ろに下がり出す光景にジャイロは笑う。
「ニョホッ、そのままお尻向けて帰りな〜」
完全にコケにされている。
プロとしてのプライドを傷つけられた1人の女記者が、迫りくるガラス玉を見て気がついた。こっちに迫ってくる分、さっきより危険地帯が減っている。
これなら自分でも飛び越えられると確信した記者は、ジャイロの方へまっすぐ走って大きく跳んだ。
「やった! 思った通り飛び越えられる!!」
「へぇ〜〜、やっぱ日本の記者は根性あるねぇ……でも、そこも『危険地帯』だぜ?」
「えっ?」
ギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャル
ガラス玉の一つが有り得ない動きで戻ってきたのだ。それはちょうど収まるように、記者の着地地点で止まった。足をとられ、落下の勢いも加わって顔面から地面に倒れる。
「きゃああああああ!」
「おっと! 流石に痛そうなのはごめんだぜ。
咄嗟にジャイロが抱き止めたのは、最初に転んだ女記者だった。涙目になり若干放心していた彼女だったが、ジャイロの顔を見て目の色を変えた。
「どうか一言おねがいします!!」
「……………その根性だけは、もう尊敬するしかねぇな」
マイクを向けてきた記者に対してのジャイロの呟きは、やってきた警察のサイレンの音にかき消された。
壊された雄英バリアの前にジャイロと数名の教師が立っていた。その中のネズミか熊かわからない者がジャイロに話しかけた。
「いやぁ助かったよツェペリ君。でも、もう少し穏便な方がよかったかな!」
「ケチ付けんなって……それよりこれは一つ『貸し』だかんな。今度、分厚いステーキ肉でも奢ってくれたらチャラだぜ」
「ところであの壁、どう思う?」
「話を逸らすな! いいか、ステーキ肉だからな。それも特上の!」
「ただのマスコミにこんなことができるとは思えない……そそのかした者がいる」
「………………ヴィランか?」
「まだわからないが、その可能性は高いだろうね」
「面倒なことになってきたなぁ……俺はどうすりゃいい?」
「君は予定通りに動いてくればいいさ!」
激動の1日の夜。ジャイロの事務所に帰宅したジョニィは目の前の光景に動きを止めていた。
「お〜、やっと帰ってきたかジョニィ。喜べ、今日はご馳走だ!」
ジャイロがいまかいまかと、ナイフとフォークを擦り合わせて座っていた。そこはいい。いつもの光景だ。
だが、そのいつもの光景に、いつもとは違うものがあった。
「おいジャイロ、なんだその肉……いや、ステーキか? そのステーキはどうした」
「別にって買ってきたのよ。お前さんは何で食べる? ソースもいいが、やっぱシンプルに塩と胡椒が良いよなあああ〜」
「……………お前が何を言ってるのか理解できない。こんな高そうな肉…どこにこんな金があったんだ」
「ん〜〜〜……臨時収入ってやつだな。 おっと!勘違いするなよ、別に悪事に手を染めたとかじゃあないぜ。正真正銘、オレが汗水流して得た報酬だ」
邪な方法で手に入れたものではないと聞いて、ジョニィの心配は若干だが薄れた。安心したそこへ、特上の肉が焼けた香りが入り込んできた。
ゴクリ……
「おっ! ジョニィイイイ〜〜、いま唾を飲み込んだな? 安心しろって、ちゃんとお前の分もあるからよォォォ〜〜」
肉の香りとジャイロの甘い誘惑に、ジョニィは何も言わず、ソファに向かい合って座った。目の前には極上の肉、それも自分の分だけでも充分なほどあった。
何も言葉は要らなかった。
ジョニィの疑問も、頭から吹っ飛んだ。
ジャイロも同じだった。
これまで味わったことのない味に、今日の騒動のことや、ジョニィへ伝えるべきことも頭から吹っ飛んだ。
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
そして夜は深まり、2人は満足感に溢れて眠りについた。
ジョニィは日々の疲れを忘れて、ジャイロは伝達事項を忘れて。
翌朝、登校の準備を済ませたジョニィが事務所の一階に作られた厩舎に向かった。すると、愛馬のスローダンサーの隣にいるはずのジャイロの馬が居なくなっていた。
そういえば朝からジャイロの姿が見えなかった
こんな朝から用事か?
特に疑問が続くこともなく、ジョニィはいつも通り雄英高校へと向かった。
いつも通りの授業を終えて、次の教科はヒーロー基礎学だ。
今度は何が行われるのかと考えていたところへ、担任の相澤が教室に入ってくる。
「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう1人の三人体制で見ることになった」
「はい! 今回は何をするんですか?」
「災害水難なんでもござれ、『レスキュー訓練』だ」
「レスキュー……今回も大変そうだな」
「ばっか! これぞヒーローの本分だぜ。なるぜェー腕がっ!」
「水難なら私の独壇場、ケロケロケロ」
「おいまだ途中……」
静かな苛立ちの込められた声に、沸き立ち出したクラスがしんと静まる。
「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな」
相澤がリモコンを操作すると、壁からコスチュームの棚が出てくる。もちろん僕は着用する
「訓練場は離れたところにあるからバスで移動する。以上、各自準備開始」
要点だけを伝えた相澤が出て行き各自が動き出した。
クラスメイトたちがバスで移動する横で、ぼくはスローダンサーに乗ってバスと併走していた。バスの中の爆豪がこちらを見て、バスの中はラクチンだとアピールしてきたので、
「アメリカ方式……フランス方式……日本方式……イタリアナポリ方式……世界のフィンガー『くたばりやがれ』だ」
途端に爆豪が顔を真っ赤にして、窓を開けようとしている。とてもヒーローとは思えない顔だな……おっと、相澤が目を光らせてやがる。
「おっかないヤツだ……」
逃げるように加速して、ぼくは一足早く訓練所に着いた。中に入ることが出来なかったので待っていたら、バスが到着してクラスメイトが降りて来たのだが。
「あーー、その…………悪かったな爆豪」
「てめえいつかぶっ飛ばす……」
まるで鎖で繋がれた猛犬…いや、狂犬だ。相澤の拘束マフラーに巻かれた爆豪を見て、ちょっと悪いことしたなと思った。
手を焼かせるなと念押しされて爆豪が解放され、僕らは訓練所に入った。
出迎えてくれたのは、スペースヒーロー13号だ。
「『スペースヒーロー13号』ッ! 主に災害救助で活躍している紳士的なヒーローだよ!」
「わーー!! わたし好きなの13号!」
「では、早速中に入りましょう。でもその前に………」
13号は振り向いて後ろの木陰の方を見る。
「貴方も隠れてないで、自己紹介してください」
「えっ、もう一人いんの?」
「ケロッ、でも教師はオールマイト先生を含めて三人のはずよ?」
パカラッ パカラッ
「馬だ! ジョースターと被ってる」
「なあなあ、あいつ知り合いか?」
峰田に問われるが、ぼくは返答できずにいた。
出てきた男は馬に乗ったまま、自己紹介を始めた。
「オレは『ボール・ブレイカー』だ。今日は急遽、お前さんらの世話をすることになった。よろしくな」
「「「よろしくおねがいします!」」」
「では、早速中を案内しましょう。着いてきてください」
みんなが13号に着いて行き、残されたのは僕とそいつだけになった。
「…………何やってんだ『ジャイロ』」
ジャイロは無言のまま、目を合わせようとしない。だが、これで納得がいった。昨夜の豪勢な飯はこういうことだったのだ。
「黙ってないでなんとか言えよ……」
「……………………………………ニョホ」
ドバドバドバドバドバドバドバドバアアアアアア
「おーーい、遅かったじゃねーか。どうしたんだ?」
「べつに大した用じゃないよ。ちょっと話してただけさ」
「ふ〜ん。あっ、さっきの人も来た」
「なんか疲弊してる!?」
緑谷が驚くが無理もない。A組の前にやってきたジャイロは、怪我こそしてなかったがひどく疲れた様子だった。
ジャイロは回転の力で、自身の体の皮膚を硬質化して、弾丸程度なら弾くことができる。だが当然痛みは消しきれないので、ここまで疲労してるのだ。
「ジョースター君には、『ボール・ブレイカー』から今回の演習に向けての注意事項は伝えられたかな?」
「はい。ぼくらの個性は人を傷つけるためにあるのではなく助けるためにある、ということですよね」
「はい、その通りです。ちゃんと伝わってて安心しました」
13号の表情がーーー表面上は特に変化はないがーーー嬉しそうになった。
「よぉーし、そんじゃまずは…………ッ!!!!」
相澤……抹消ヒーロー『イレイザー・ヘッド』は体全体でその気配を感じ取った。普通に生活していたらまず身につかない感覚。ヴィランと戦うヒーローだからこそ、それの出現をいち早く察知した。
訓練場の電気が消え、大階段下にある噴水を中心に黒いもやが広がる。もやは濃さを増してどんどん広がり、その中心から人間が一人現れた。
「全員ひとかたまりになって動くな! 13号、ボール・ブレイカー、生徒を守れっ」
事態についていけない生徒たちがどよめく。
身体中に手のオブジェをくっつけたそれに追従して、広場を覆い尽くすほど広がった黒いもやから、一人、また一人と数えきれないほど現れる。
「なんだあれ? 入試の時みたいな、もう始まってんぞパターン?」
「動くなっ!」
イレイザー・ヘッドの声には、呑気していた切島も驚いた。
「あれは…………『ヴィランだ』」
マスコミのシーンについては、『回転には無限の可能性がある』からです。
これくらいのことだったら余裕でしょう。蓋を開けてない缶詰の中に鉄球を入れられるくらいですから。