切島VSジョニィです。
感想や高評価などありがとうございます。
「昼休憩が終わり、最終種目の時間だあ! だがその前に失格者の皆に朗報だ。あくまでも体育祭! 全員参加のレクリエーションがあるぞ! そして会場を盛り上げるために、本場アメリカからチアリーディングのみんなが……おや? A組女子もチアの格好ゥ〜? どんなサプライズだこりゃ」
プレゼントマイクの疑問も最もだろう。僕も何が起こってるのか全然理解できてないんだからな。
ありのまま起こったことを話すと、『A組女子がチアの格好をしていた』。何が起こったのかわからなかったし、理解もしたくなかった。
まあどうせ、鼻の下を伸ばしてサムズアップしあってる峰田と上鳴が何かしたんだろう。
「騙しましたわね峰田さん上鳴さん!」
八百万が怒って2人の名前を呼んでいる。やっぱりそうか。
正直言ってその姿は眼福だった。表には絶対に出さないけど感謝しているよ。こんな光景滅多に見られるものじゃないんだからな。
「気を取り直してレクリエーションの後には最終種目! 決勝進出者4チームからなる14名によるトーナメント方式の一対一のガチンコバトルが待っているッ!」
「それじゃあまずは、トーナメントの組をくじで決めちゃうわよ! 組が決まったらレクリエーションを挟んで最終種目に移ります。進出する14名は、レクに参加するもしないも個人の自由です。体力を温存したいって人もいるだろうからね」
なるほどな…参加しなくてもよさそうだ。
スローダンサーが出られない以上、僕の最終種目での相棒はジャイロのヴァルキリーになる。少しでも連携をスムーズに行えるようにしておきたいからな。
「ではくじ引きの結果、こうなりました!!」
第一試合
緑谷VS口田
第二試合
轟VS瀬呂
第三試合
発目VS飯田
第四試合
上鳴VS芦戸
第五試合
常闇VS八百万
第六試合
ジョースターVS切島
第七試合
麗日VS爆豪
最初の相手は切島か。たしか個性は硬化だったはず。爪弾は弾かれるだろうけど、強化した
ジョニィが切島に対して作戦を練っている時、切島もまた作戦を考えていた。
自分にできるのは硬化すること。だったら下手に考えて小細工をするよりも、弾を撃たれる前に懐に入るのが良さそうだ。
「それじゃあ最終種目のことは一旦置いといて! 全員楽しみまくれェェ! レクリエーションの時間だあー!」
花火が上がり、レクリエーションの時間がやってきた。借り物競走や玉転がしなど、規模は大きいが一般的な競技が問題なく進行されていく。
盛り上がる競技場とは裏腹に、レクリエーションに参加せず体力を温存する道を選んだ上位14名たちは各々の時間を過ごしていた。
ある者は対策を立てる。集中する。備える。緊張を誤魔化す。自分の世界に入る。
いつもなら十分にあると思える時間が、この時の彼ら彼女らにとっては刹那に等しかった。そしてあまりにも短すぎる休息は終わりを迎えた。
レクリエーションは終わり、競技場の真ん中には教師のセメントスの個性によって舞台が形成される。
生徒たちは専用の客席に座り、今か今かとその時を待っていた。その中には車椅子に乗ったジョニィ・ジョースターの姿もあった。
第一試合は緑谷出久VS口田甲司。しかしジョニィはこの試合に興味はなかった。プレゼントマイクの選手入場&紹介により会場は大盛り上がりだ。
(生き物を自在に操る男VS超パワーの持ち主の対決……そこだけを考えるのなら口田に勝機がある。さっきの準備時間に大量の生き物を操っておいて、それを一気に食らわせる。緑谷といえどひとたまりもないだろう)
「それでは第一試合!
試合開始と同時に緑谷が走り出した。個性も何もない真っ直ぐな走りだ。対して口田は狼狽るだけ。
(彼の性格はあまりにも優しすぎる……さっきのカラスの突撃だって、僕が何度も発破をかけてようやく了承してくれたくらいだ)
そんな優しい男が、そう何度も動物たちを危険に晒すような行為に及べるわけがない。
がむしゃらに緑谷と戦おうとする口田だが、爆豪を相手取るほど分析能力に秀でた緑谷に敵うはずもない。
一本背負いで地面に叩きつけられ気を失ってしまった。
「勝者! 緑谷出久君!!」
その後の試合も対戦相手になるかもしれない生徒の戦力分析をしようと見ていたが、満足にできなかった。
第二試合。動き回る瀬呂に対して轟が大氷山を形成。開始1分程度で瀬呂は行動不能に陥る。
第三試合。発目のサポートアイテムをつけられた飯田が彼女の宣伝に散々利用された挙句、発目の辞退で決着。
第四試合。上鳴の大放電で芦戸は気絶。
第五試合。一番懸念していた八百万は、武器生成前にダークシャドウの押し出しで場外。
全く分析も何もできずに、あっという間にジョニィの出番が来てしまった。
「硬化はどこまで硬くなれるのか!! 1年A組! 切島鋭児郎!」
とにかく今は目の前の敵に集中しなくては。
「爪だと思って侮るな! 1年A組 ジョニィ・ジョースター!!」
歓声を浴びながら舞台に上がった。目の前にはやる気満々の切島がいる。ヴァルキリーも釣られて鼻息を荒げるのを、どうどうと落ち着かせる。
「それでは両者、準備はいいわね!! スタァート!!」
ミッドナイトの鞭が地面を叩き、それを合図に切島が全身を硬化して、更にクロスさせた手で顔を守りながら突っ込んできた。
単純だ。しかし、『単純だからこそ強い』
硬くなるということは刃物や銃弾が効きづらくなるという利点だけじゃない。常人ならただの手刀でも、切島がすればそれは立派な『武器』になる。攻防一体の個性だ。
それに対してジョニィの爪弾は切島の硬化した身体に当たっても、せいぜいが痛痒い程度のものだろう。だからジョニィに対して距離を詰めるというのは効果的な戦法だった。
「くそっ!」
鉄壁の壁が迫った。たまらず後方へ大きく回り込んだ。その間にも爪弾を発射するが硬い皮膚に弾かれる。牽制程度にはなるだろうが、決定打が無かった。
いいや決定打はある! 回転を正確にしたタスクならあの装甲も貫けるだろう。
それは回転に集中する時間があればの話だ。
難しいことは考えず突っ込む切島の戦法は、図らずもタスクの使用を阻止していた。
「痛くも痒くもないぜッ!!」
「1-A切島! 弾幕の中を無理やり突っ切っていくッ! 全く歯がたってねェェ!」
ジョニィの逃げが切島の勢いに拍車をかける。ヴァルキリーが避けてから、その場へ切島が到達するまでの時間が短くなっていた。
まだ一回戦だ。下手な体力の消耗があってはこの先の敵に勝つのも難しくなっていく
なにより馬を傷つけさせるわけにはいかない
「
切島がまた突撃して来たとき、その瞬間に勝負を決めるしかない。
馬から降りたジョニィを見て切島の動きが止まり硬化も解けた。ジョニィが機動力を手放したことに驚いているんだろう。
「ここで1-Aジョースターが馬から降りたー! まさか降参するのかァ!?」
プレゼントマイクの声は盛り上がりに欠ける決着を想像して不安そうだ。
シルシルシルシルシルシルシルシルシルシルシルシルシルシル
爪を回転させる。右手は前に突き出し、左手は引いて構える。会場が湧く。次の攻撃が決着だと誰の目からも理解できた。
切島が硬化して突っ込んでくる。もっと引き寄せるんだ。互いの位置は舞台の端と端。距離がありすぎる。
「ここだッ!!」
手を伸ばされたら届きそうな距離で、ジョニィは両手を思い切り水平に振り払った。
スパァアン!
手の動きの軌跡に合わせて切島の脚と腹部が裂けた。遅れて血が吹き出し、膝をついて切島は舞台に倒れた。
会場が騒然となる中でジョニィは人差し指の爪弾を回転させてタスクを撃てる状態になっていた。
「切島君戦闘不能、ジョースター君の勝利! 早く! 担架持ってきてッ!」
壇上のミッドナイトが大慌てで救急隊を呼ぶ。次いでセメントスが倒れた切島を舞台のセメントで覆い隠した。
しかし今更隠しても無駄だった。ジョニィが切った瞬間は生中継され、全国に広がってしまった。メディア陣も慌てて画面を変えるが、観客を含めて見ていた人数は少なくない。
「ヴァルキリー、こっちに来てくれ」
しかし当人は、馬を呼んでその背に乗り悠々とステージを後にした。
後悔は無かった。罪悪感も無かった。どんな手段だろうと、勝利することが重要だった。切島に向いていたジョニィの意識は、すでに次の対戦相手のことを考えていた。
(僕の爪の回転……やっぱり出来た。これなら接近戦もある程度は……)
馬を休める為に厩舎へと向かう。
次の対戦は爆豪と麗日だ。爆豪の能力を分析する為にも、麗日には頑張ってもらいたいな。
次回
ジョニィVS爆豪