元は「炎と氷 ジョナサンとディオ」でしたね。
なんであんなセンスのいいタイトルが思いつくのか、荒木先生のセンスにはいつも驚かされます。
2020年パラリンピックのイラストが公開されましたね。荒木節のきいた素晴らしい絵でした。
この回は戦闘訓練の回です。あくまでこの物語の主人公はジョニィ&ジャイロなので、緑谷VS爆轟は省かせていただきます。
今後も関係あるところ以外は省いて、ジョニィ&ジャイロ中心に描写していきますので、苦手な方は申し訳ございません。
個性測定の日の翌日。プレゼントマイクの担当する英語の授業が行われた。
またとんでもない内容かと身構えていたらその内容は至って普通の、ちゃんとした授業だった。
時折、プレゼントマイクのテンションが高くなるとスローダンサーが驚いてしまった。宥めながら授業を受けるのは大変だったよ。
「おい、ジョースター。職員室に来い」
案の定だ。休憩時間に相澤から呼び出しを受けた。
職員室で言われたのはやはり、馬の管理についてだった。
スローダンサーは賢い馬だが、生理現象にだけは勝てない。もし授業中に
最もだった。正直今日の授業中もそのことを心配してたんだ。
だが流石は天下の雄英高校だな。簡易的とはいえ、あっという間に
じゃあ移動はどうすんだって、そしたら車椅子を借りることができた。実技試験の時に使ったのと同じやつかと思ったら、どうやらタイヤのゴムを強化したやつらしい。
これで問題なく授業を受けられると思ったら、相澤から、次の授業はヒーロー基礎学で、その時必要になると言い渡された。
車椅子の出番はもう少し先みたいだな。
休憩時間は終わり、次の授業が始まる。
みんな席に着くが、僕は馬に乗って待機していた。飯田が奇妙な動きで注意してくる。
「おいジョースター君! もう予鈴は終わっているぞ、早く席につかないか!」
「僕の場合はこれでいいんだよ……一応言っとくが、別に悪意がある訳じゃないからな。次の授業はヒーロー基礎学だろ? 僕はスローダンサーに乗って参加するらしい」
「そ、そうか。そういうことならすまない!」
飯田はそれだけ言うとガタッ、と着席する。なんだ、ただの真面目なやつか。
「わ〜〜た〜〜し〜〜がァーー」
あの声がした。映像越しじゃない!生の声だ!
抑えきれない興奮をスローダンサーが感じ取って、今にも飛び出しそうだ。どうどうと落ち着けながら、でも僕の目は教室の扉に釘付けになっていた。
「普通にドアから来たッ!!」
「「「おおおおおおおおおお!!」」」
歓声だ。学校ということで抑えられてはいるが、それでも教室中に響くクラスメイトと僕の大歓声だ。
本物だ。シルバーエイジのコスチュームだ。などなど、飛び交うコメントの中で僕の頭は目の前の
だがすぐに、その熱は冷まされた。皆んなの歓声を受けて立派に立つその姿は、僕の憧れだ。
馬を宥めていた手は気がつけば脚に添えられていた。
「Lesson2、『筋肉に悟られるな』……か」
ジャイロの顔がよぎった。
「私の担当はヒーロー基礎学。ヒーローの基礎を作るため、様々な訓練を行う科目だ。単位数も、最も多いぞ
早速だが、今日は戦闘訓練だッ!」
戦闘訓練! だからスローダンサーが必要だと言ったのか。
「そしてそれに伴ってこれ! 入学前に送ってくれた個性届けと、要望に合わせて作られたコスチューム!」
壁からコスチュームの入ったケースが出てきた。金かけてるな。
戦闘訓練が行われる市街地を模したステージ、入試で使われたのと同じようなステージに、コスチュームへ着替えて向かう。
そこに居たのは、僕よりヒーローらしいカッコいいコスチュームを着たクラスメイト達だった。
しかし、すげぇ格好だよな。特にあのポニーテールの女なんて、ほとんど裸同然じゃないか。
「ヒーロー科最高……!」
ブドウ頭の小さいやつが、嬉しそうに言っていた。
わかるぜ、その気持ち……。
これから行われるのは市街地のビルを利用した戦闘訓練だ。
実技試験のような破壊して『ハイ、終了』って簡単なやつじゃなく、今回は2人1チームになってチーム戦を行うらしい。
ヴィランチームはビルの中にある核兵器を模したハリボテを制限時間まで守り通すか、ヒーローチームを捕獲テープで巻いて戦闘不能にすれば勝ち。
ヒーローチームは外から攻め込んで、制限時間内に核兵器に触れれば勝ち。
そしてチームを分けるくじ引きをしようとなったところで、鎧のようなコスチュームを着た飯田がビシッと手を挙げた。
「先生!」
「はい、飯田少年! 何かな?」
「くじ引きとありますが、クラスメイトは21名です。これでは余りが出てしまうのではありませんか?」
「HAHAHAHAHA!! それなら心配無用さ! なぜならここにッ」
オールマイトが用意したカートの上には、ヒーローと書かれた白い箱とヴィランと書かれた黒い箱。そして白く何も書かれていない箱だった。
その何も書かれていない箱が誰の為にあるものなのか、僕にはなんとなく理解できた。
「ジョースター少年は特別枠だ。この箱からくじを引いてもらい、どこかのチームと組んでもらう!」
「「「特別枠!?」」」
クラスメイトの視線が一斉にジョニィに向けられた。
「特べ……いや、まあなんとなく察しがつくけどさ」
正直いうと、あまりいい気分ではなかった。だけどこれまでと比べたらマシだった
中学三年まで、足が動かないからという理由で学校では様々なことが禁止されていた。壊れ物のように扱われてきたジョニィにとって、戦闘訓練に参加できるだけでも御の字だった。
「やっぱ、舐められてるよな………」
ジョニィはクラスメイトの言葉に耳を傾ける。
「万が一馬から落ちたら、なんとかフォローしてやんねーと……」
「怪我させたら、俺が悪者みてぇになんねぇよな?」
「正直やりづらいよなぁぁ」
しょうがない。誰だって障害を持った人を見たらそう思う。
目が見えない代わりに他の感覚が鋭くなって普通の人間と同じ動きができるなんてのは、そういう個性を持ってるやつ以外じゃありえない。
だから、いい人ってのはそういう人に配慮せずにはいられない。だからしょうがない
「そう、『しょうがない』よなァ」
ドッバァアアアアア
トンッ……トンッ トン トン
爪弾が白い箱のど真ん中を貫いた。中に入っていたくじのボールが転がり落ちて散らばる。
「なっ、何をするだァー!!」
飯田が声を荒げた。クラスメイトの暴走にいてもたってもいられず、
右手の人差し指を向けたままのジョニィに注意するためひきづり下ろそうとするが、今度はその飯田に、左手の回転する爪弾が向けられた。
「なっ!」
「ほぉ〜〜? やる気マンマンって訳か? 上等だゴラア! ここでやるか!?」
爆豪が両手を小さく爆破させながら挑発する。
爆豪は本気だった。戦闘訓練と聞いてからうずうずしてしょうがなかった。早く戦いたいという欲が爆発しそうだった。
しかし、授業以外で暴れでもしたら成績に傷がついてしまう。
だからジョニィが撃った瞬間、爆豪は大義名分ができたと思った。
それに爆豪は、馬に乗って上から見下ろしているジョニィが気に食わなかった。だから、落馬させてやろうかとも考えていた。
どっかの骨が折れたとしも、攻撃したのは暴走したクラスメイトを止めるためで少し力が入ってしまったとでも言えば大丈夫だ。
両掌を後ろに向けて爆破、その勢いで急接近しようとした爆豪だが、途端に目の前が暗くなる。
「ああ!? なんっ……オールマイト!?」
目の前に現れたのは壁じゃなかった。オールマイトの頼もしい背中があった。
全く目で追えなかった。だがどうして……
「オイオイオイオイ………冗談にしても度が過ぎてないか? ジョースター少年」
「ーーーッ!」
オールマイトが現れた理由がわかった。
その手はジョニィの右手首をがっしりと掴んで、上へと向けていた。
その指先には爪弾が三発だけ残っていた。
まさかと思い振り返って見上げると、後ろのビルに弾痕がついていた。
「………謝る気はないからな」
「全く困った生徒だ……なぜこんなことをしたのか、聞かせてもらえるんだろうね?」
ギリギリと、ジョニィの腕を掴む力が強まる。
「ーーーーー僕のことをあまり舐めないでもらおうか。たとえ脚が動かなくても僕にはこの馬がある。個性だって攻撃力に関しちゃ自信があるんだぜ」
「だからといって、友達を撃つ理由にはなり得ないだろう。君の個性、爪弾が当たったらかすり傷ですまないんだぞ」
「リカバリーガールなら多少の怪我はすぐ治る。それに………当てる気なんて、無かったですよ」
爪弾の回転が止まる。オールマイトの手に強く握られた手をさすりながら、大袈裟だと言うジョニィの言葉に何人かは安堵するが、轟は安心できなかった。
あの目……やると思ったら必ずやる目だった
あのクソ野郎の顔が重なって見えた…
当てる気が無かった、だと?嘘つけ!
どんな思考回路してんだ…プッツンしてやがる
オールマイトは気付いてんのか?
轟が心配するまでもなく、オールマイトはジョニィの嘘に気がついていた。ジョニィの目を見たとき、そこに灯る黒いものに気がついていた。
かつて戦ったオールフォーワンも、似たような黒いものを持っていた。どす黒く、目的のためならどんな手段もいとわない意思。
唯一の救いは、まだそれが小さなものだと言うくらいか……
爆豪を含むクラスメイトたちの静かになった空気を切り替えるように、オールマイトは手を叩いて自分に注目させた。
コンクリートで簡易的に作られた建物は、音を簡単に反響させる。自分の居場所を悟らせない為にも足音を出来るだけ抑えて動かなくてはならない。逆に言えば相手の居場所も音でわかるということ。
障子目蔵は個性の複製腕で、肩から生えた二対の触手の片方に耳を作り、壁に押し当てる。
完全に居場所がわかるわけじゃない。それでも相手の動きを察することはできる。
「動いた様子はない。今のうちだ」
片方の触手に複製した口が相棒へ指示を出す。
「わかった。巻き込まれるといけない、外に出てくれ」
「………?」
呆気にとられる。障子が組んだ轟焦凍の言った言葉がいまいち理解できなかった。巻き込まれるとは、『何に』なんだ。
まさか個性なのか
その考えに至った障子は入ってきたビルの入り口から外へ出る。
……寒気が、なんだ?
障子は僅かに感じた寒さの答えをすぐ目の当たりにすることになった。
「
さっきまで入っていた五階建てのビルが、一瞬で氷漬けになっていた。寒気どころではない、いきなり冷凍庫に入れられたような寒さが身を包んでいた。
だが轟はそんなのお構いなしに、ゆっくりとビルの奥へと歩いていった。
「寒くはないのか? いや、それよりも中の2人は大丈夫なのか?」
障子の心配はもはや轟ではなくヴィランチームへ向けられていた。核爆弾と一緒に建物の中にいる2人は大丈夫なのだろうか。
さっきのジョースターのように、リカバリーガールがいるとはいえ無茶しすぎじゃないのか。
「ん? この音は…………」
敵を心配する余裕ができたからか。複製腕に作っていた耳がある音を捉えた。
足音じゃない、だがつい最近聞いた音だ。どこで聞いた音だったか……
「まさかッ!!」
障子はビル上階を仰ぎ見た。音がどんどん近づいてきている。轟に知らせなくてはと、援護に行こうにも氷漬けの床は歩けそうにない。
ならばと、複製腕の耳を口へと変えて叫んだ。
「轟! ジョニィ・ジョースターだッ! まだ動いているぞォォーーーー!!」
障子の声はビルの中へ響き、優然と歩いていた轟まで届いた。
「知ってるさ」
だが、それでも轟は動じない。ジョニィがなんらかの方法で馬ごと凍結から身をかわすことを予見していたわけじゃない。
「どちらにしろ……すぐ終わらせる」
過剰なまでの自信。それを裏付ける強い個性。轟にとってはどんな敵だろうと通過点でしかない。全く眼中にないのだ。
例えその相手が憎い男のような目をしていたとしても。
馬の蹄の音が、勢いを増して近づいて来た。
轟は軽い分析をする。いま自分の現在位置は一階、奥に広間があり窓がいくつかある通常の通路だ。分かれ道はあるが、階段はここだけ。
単純に突っ込んでくるとしても、策があるとしても、来るなら階段しかない。
降りてくるだろう階段へ、右手を向ける。
馬の鼻先が見えた。
「悪りぃな、レベルが違いすぎた」
ガシャアァァアアアアアア
轟の背後にあった窓ガラスが割れた。窓ガラスを破った爪弾は勢いを落とさず、轟に一直線に進んでいった。
「なにっ!?」
氷壁を作ろうとするが、一手遅れた。
爪弾は轟の体に撃ち込まれ、浅くないダメージを負わせた。
「ぐっ、おおおおおお!!!」
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ
推薦組に選ばれただけのことはあった。痛みに耐えて目の前に氷の壁を形成。追撃から身を守った。
「くそっ、手応えがなかった。ビルの外からッ!」
馬は囮だった。おそらく凍らされた直前に馬の足元を爪弾で抉り、氷を破壊したのだ。
「だとしたら、仲間もすでにか」
このままでは挟み撃ちにされるとふんだ轟は、すぐに左の力でビル全体の氷を溶かした。
だがすぐに全ての窓ガラスを氷で固めた。もう追撃されないようにと。
「轟! 大丈夫か」
さほど奥へ進んでいなかったお陰で、障子とすぐに合流できた。
「その傷は! すぐにリカバリーガールのところへ」
「いい! それよりやつがどこにいるのか教えろ!」
傷口を凍らせて簡易的な止血をした轟は、すぐに立ち上がって状況を把握しようとする。
推薦組といってもここまで痛みに耐えることができているのは、やはり鍛えられたお陰だろう。
「最悪だ……」
「確かにな、どうにか位置を探っているんだがはっきりしない。地面を削る音があちこちに反響している」
そうじゃない、と言おうとしてやめる。今は授業だ。こっちに集中しなくてはと、気を引き締め直す。
「相手チームはたしかジョースターと、葉隠だったな」
「透明か……だが透明だろうと足音はする。ジョースターは歩けないから、足音がしたらそれは十中八九、葉隠だろう」
「よし、じゃあゆっくり核爆弾のある階まで行くぞ。足音に注意しててくれ」
わかった、と返して二人は慎重に進んでいく。階段を登っていけば、先ほどからいる馬が二人を出迎えた。
「ウマ? こいつはジョースターの馬じゃないのか? なんでこんなところに………」
「してやられたんだ。そいつを囮に窓ガラスから一気に襲われた」
あまりいい気はしない轟は、馬と目を合わせずにさっさと通り抜ける。
「どうりで窓ガラスが全部……上の階も窓ガラスを凍らせるのか?」
「念には念をな………早く行くぞ」
今回の戦闘訓練は時間制限がある。だから慎重に行くとしても無駄な時間をとれない。足を止めている障子を急かすのも無理はなかった。
「ああ……にしてもうるさいな。さっきからずっと地面を削る音が止まらない…」
「俺にも聞こえる。おそらく回転させた爪で床を抉りながら進んでるんだろ。とんでもない鋭さってことだな、あの爪は」
階段を登り切るところで、轟は足を止めた。ジョニィを警戒してのことじゃない。侵入されるだろう窓ガラスはすぐに凍結できる。
違和感を感じていた。それも大きな何かを見逃しているとてつもない違和感を。
「なんでわざわざ、ジョースターは移動してるんだ」
「? それは位置を悟らせないためだろう、反響で全くわからないんだからな」
「それだったらどこかに潜んでいればいい。大きな音を立てる意味がないし、葉隠の足音を誤魔化すためだとしてもリスキーすぎる」
「お前探偵みたいだな……じゃあなんでわざわざ移動してるんだ?」
「それは…………………」
轟は考える。相手がどんな方法で攻めてくるのかを。
窓ガラスは氷で封じる
まさか床をくり抜いて襲いかかってくる? だとしても完全に上階の床が落ちるまでに氷漬けにできる。
一番あり得るのは待ち伏せだ
核のある部屋まで来て油断したところを捕まえる。
だが、どれもしっくりこない
この違和感はなんなんだろうか
「にしても、賢い馬だ。飼い主がいないってのに……」
「馬だッ!!! 早く離れろ障子! 葉隠は『もう来ている!』『馬に乗って来ているぞ!!』」
「まさかッ!」
馬の影から捕縛用テープが浮いて迫ってくる。
「あちゃー、バレちゃったか。でも大人しく捕まって頂戴ね!」
葉隠の呑気な声がした。障子は避けようとするが一手遅かった。捕縛用テープが触腕に巻きつけられようとしていた。
「くそっ!」
すぐに馬ごと葉隠を凍らせる。ギリギリ間に合うかもしれないと、右手を振りかぶった。その時だった。
バリィィィィィィィィ
後ろの窓ガラスが割れた。
「まさかッ!」
飛び込んできたのは爪弾ではなかった。
「「二手」……
ガラスで傷だらけになったジョニィ・ジョースターが、捕縛テープを持って飛びかかってきた。
正面からジョニィ、後ろからは葉隠、完全に包囲されていた。
《ヴィランチーム、
戦闘描写楽しかった。
なんでこんなアイデアが浮かんだのか不思議でした。
ジョジョらしい展開にできたでしょうか……
正直、キャラ崩壊してると思います。書きながら、「轟君も障子君もこんな話し方しないだろ」って思いながら書いてましたから。
あとここだけの話、SBRのキャラクターたちは出ます。エグいくらい出ます、てか出します。無理やりな展開になろうと、絶対に出します
現在確定してるのは、
リンゴォ・ロードアゲイン
サンドマン(サウンドマン)
アクセル・RO(ロー)
以上の三名ですね。彼らはジョニィとジャイロの成長に必ず必要だなと思ったので。
でもスタンド描写どうしよう……