Muv-Luv Alternative✖️機動戦士ガンダムOO 地獄に降り立つ狙撃手   作:マインドシーカー

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今回は短めの内容になっています。

次の話に繋げるための繋ぎのお話です。はっきり言って。

あの「御方」が登場です。




story02「邂逅」

前線から離れた場所に臨時設営された斯衛の野営基地。

 

野営地の外には戦術機が何機も鎮座しており、野営地内には其処彼処に大小様々なテントが設置されている。

その中を、ロックオンは斑鳩とそのそばに付いている月詠に誘導されながら歩いていた。

奥の方にあるのは、仮司令部となっている大型テント。

その前で斑鳩は止まると、入り口にいる警備兵に話しかける。

 

「斑鳩だ。紅蓮閣下へ取り次いでくれ」

 

斑鳩はテントの入り口に立つ警備兵と二三言会話を交わす。

少しして、戻ってくると、これから会う人物に関する説明を手短にしてくる。

 

「これより会うのは、斯衛においてもかなり上の立ち位置におられる人物だ。失礼のないよう、頼む。」

 

「了解。」

 

ロックオンは、少しおどけてみせながら斑鳩へとそう返した。

斑鳩に促され、ロックオンは後に続くと入り口を通って中へと入る。

ロックオンの前に立つ斑鳩は奥へ行くと、そこに立っていた人物へ敬礼した。

 

「紅蓮閣下。第十六大隊、斑鳩。殿の任を終え、只今帰還致しました。」

 

2mはあろうかという巨漢が、斑鳩の声を聞くと同時にこちらへ振り返る。

 

「殿の任、大儀であった。」

 

巨漢―――――紅蓮醍三郎は、そう答えた。

そして、視線をこちらへ向ける。

 

「して、こちらの者がお主の部隊と我が軍の崩壊を救った謎の戦術機の衛士か?」

 

「左様で御座います閣下。」

 

紅蓮の問いに、斑鳩は肯定をもって答える。

ロックオンは、こちらへ顔を向けた紅蓮へ向けて言った。

 

「(―――――即興の芝居だが、切り抜けるしかない。)」

 

内心そう考えて、ロックオンは直立不動の姿勢をとり敬礼する。

 

「”国連軍”特務部隊所属、ロックオン・ストラトス。階級は大尉です閣下殿。」

 

紅蓮は、鋭い視線を向けながら静かに返した。

 

「国連軍、とな。」

 

当然といえば、当然の反応。斑鳩の疑問に間接的に答えた形になったが、次の問題が浮上する。

 

―――――何故国連軍所属の人間が、1人で、しかも単機であの場にいたという事。

 

それに対して、ロックオンはこう答えてきた。

 

曰く、ロックオンが乗っていた戦術機は国連参加国の一つが独自に開発・試作した新概念の兵器であること。

 

曰く、非公式ながら国連軍の特務部隊としてその機体の実戦テストを目的にこの地に訪れていたこと。

 

曰く、あのタイミングで居合わせたのは、日本における実地試験の際に機体調整に手間取ったため、実戦データをとるために実戦テストを強行したためであること。

 

また、実戦テストを強行したため、防衛戦における帝国軍の援護を優先した結果、今現在ここにいるという事。

 

それと、自分の所属していた試験小隊とは連絡がとれず、恐らく全滅したということもロックオンは付け加える。

 

だが、今の情報は全てロックオンがでっちあげたことだ。

つまりは、嘘八百。

 

ようは、「任務の大まかな内容は説明できるが、自分の素性などの詳しいことについてまでは、任務の性質上、説明しかねる」ということ。

 

しかし、極秘任務とはいえ単機で戦場に向かうのは自殺行為に等しい事だし、ロックオンの乗ってデュナメスは、「新概念の試作兵器」だ。

おいそれと、あのような危険な場所に出てくる代物ではなく、後方の安全な場所で評価試験を行うのが常というものだ。

 

「そのような任務を帯びながら、なぜ其方はここにいる?」

 

「本来ならば、安全である後方で万全の準備を整えつつ、試験項目を消化していく予定だったのですが、何分状況が状況で、やむなく戦闘に参加しました。」

 

紅蓮からの問いに、臆することなく淡々と答えるロックオン。

 

「では、その極秘任務とやらは誰の命令だ?」

 

「それも、任務の性質上、お答え―――――」

 

「ですが、せめて最低限の事前通告程度はするべきでは?」

 

さらなる質問に対して、ロックオンは「お答えしかねます」と続けようとしたところで、新たに現れた第三者に遮られる。

紅蓮の背後。そこから姿を現した第三者。

それは、まだ幼さを残した少女だった。

彼女は、凜と下眼差しをロックオンへ向けている。

流石に、こんなところに彼女のような存在が突然現れるとは思っておらず(先程外で別れた月詠もまだ年若い女性であったが)、一瞬だけ動揺の色を見せるロックオン。

 

「殿下、なぜこの場に・・・?」

 

紅蓮にとっても想定外だったようで、歩みを進めて徐々にロックオンとの距離を近づけていく彼女を止めようとするが、彼女はそれを手で制してロックオンの方へと歩を進める。

 

「会話を遮ってしまい、申し訳ありません。」

 

そう言うと、彼女は凛とした声で、ロックオンに自分の立場と名を告げる。

 

「日本帝国政威大将軍・煌武院悠陽と申します。この度は、我が忠臣の1人の窮地を救って頂きました。其方に感謝を・・・・・。」

 

一礼し礼を述べるとともに、彼女―――――煌武院悠陽は、ロックオンへ向き直る。

 

「殿下・・・?」

 

殿下、と呼ばれた少女。政威大将軍と名乗った少女。

それはまるで、かつて見たアザディスタン王国第一王女である、マリナ・イス・マイールを連想させた。

早い話が、祭り上げられた偶像、象徴。

目の前の少女は、彼女に似ていた。年若い幼い女の子がそんな立場にいるという現実を知って、一瞬だけ苦い表情を浮かべるが、すぐに「礼には及ばないよ」と返す。

 

「いえ。私は、あなたに感謝しなければなりません。外にある貴方の乗る戦術機で、何人もの帝国軍衛士と、臣民を救うことが出来ました。」

 

彼女は謝辞を述べるとともに、先ほどの疑問の続きを口にする。

 

「国際法上、他国の軍隊ともいえる国連の介入は、正式な通告をもって行われるのが常です。しかし、私は勿論、この紅蓮も、そこにいる斑鳩も、共に貴方の存在をこの瞬間まで知らないでいました。」

 

「・・・・・」

 

ここにいる二人よりも位が上であり、マリナのような立場だとすれば、軍の最高指揮権を持っている人物か、あるいは国家元首か。

兵士でも、それなりの階級の人物だとしても言いくるめようはいくらでもあったが、ロックオンが考えていたプランでは、ここまでの大物が出てくるのは想定されていなかった。

無言のまま、答えに窮するロックオンに対して、悠陽が更なる疑問をぶつけようと口を開くと同時に部屋のドアが開き、一人の女性が入ってきた。

 

「失礼します!紅蓮閣下、斑鳩閣下はおられ―――――で、殿下・・・!?」

 

「控えよ月詠、なぜ其方がここにいる。ここに来ることを許可した覚えはないが?」

 

それは、先ほど外で一旦別れた月詠だった。

 

「も、申し訳ありません。この月詠の無礼、お許しください・・・」

 

すぐに片膝をつき、どのような罰にも応じるという絶対服従の姿勢を取る月詠に、悠陽が告げる。

 

「良い。先ほどの無礼、不問に伏しましょう。して、ここにきた理由は?」

 

悠陽がそう問うと、月詠は「この場で発言することをお許しください」と言い、こちらへ顔を向けると一礼し、3人にあることをを伝える。

 

「其方におります未確認機の衛士の所在を調べたところ、帝国軍柏陵基地駐留の国連軍関係者、「香月夕呼」博士直属の部下である事が判明いたしましたことを、報告させていただきます。」

 

そして、月詠が述べた内容は、先ほどロックオンがでっちあげた「嘘」を「真実」に見せる確かな裏付けになっていた。

 

「・・・・・ほう、あの「横浜」と」

 

「・・・・・」

 

「つまるところ、貴官はかの「魔女」の差し金であの場所にいた、というわけか。」

 

斑鳩は1人納得した様子であり、悠陽は黙ったまま、紅蓮もまた得心がいったのか、ロックオンへと言う。

 

「一応だが、其方の身元保証人が現れた、というわけだな」

 

「・・・ええ、そうなりますね。」

 

少し冷や汗をかきながら、表面は平静を保ちつつ答えるロックオン。

 

「それと、ロックオン殿。貴方には、即時帰還命令が出ています。」

 

月詠は、ロックオン自身にそう告げた。

 

「・・・・・良いでしょう。腑に落ちない点は多々ありますが、このような状況です。今回の其方の功績を考慮し、今現在はこの件は不問としましょう。下がることを許します。」

 

悠陽はそう言い、ロックオンと斑鳩はその場から立ち去ろうとする。

 

「最後に改めて、深い感謝を。我が祖国のために献身していただき、ありがとうございます、ロックオン殿。」

 

その言葉に彼は、こう答えた。

 

「礼には及びません。人として、正しいことをしただけですから」

 

 

 

 

 

 

仮司令部である大型テントを後にし、ロックオンは再び外にいた。

斑鳩や他の衛士達が乗っていた機体(82式戦術歩行戦闘機(TYPE-82)「瑞鶴」というらしい)の横に並ぶ、ガンダムデュナメスの足元までやってくる。

 

「それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。」

 

ロックオンは後ろへ向き直り、ワイヤーフックに足をかけると、自分を見送るよう命じられた目の前の女性へ言った。

そこに立っているのは、赤い衛士強化装備に身を包んだままの月詠だ。

 

「・・・あ、ああ。送る者が、私だけですまない。」

 

少し申し訳なさそうに言う月詠。

最初に言葉を交わした時の敵意の向けようとはずいぶんな温度差だ。

 

「謝るなよ。いきなり現れて、場をかき乱しちまったのはこっちなんだからな?」

 

彼は、気まずそうな月詠にフランクに返す。

月詠はどこかやるせないという表情で、こちらを見る。

 

「ああ、そうだな。・・・確かに、正直に言うと、貴方は怪しい。」

 

「・・・おっっと。随分ストレートに言ってくれるな?」

 

苦笑混じりにロックオンが言うと、彼女は更に言葉をつづけた。

 

「だが、貴方が我々を・・・斑鳩閣下を救ってくれたのは紛れもない、事実、なのだ。それを、追い出すような形で・・・」

 

「―――――ツクヨミさん、だっけか?」

 

俺は、ツクヨミの言葉を遮り彼女の瞳を真っすぐに見つめる。

 

「あんまり考えすぎるなよ。眉間に皺がよっちまう」

 

「え・・・?」

 

少し俯きがちに喋っていた月詠は、驚いたような様子でこちらを見る。

 

「こんな情勢だしな。そうなるのは分かる。だが、あまり考えすぎるな。ある程度は、割り切っていかねぇと」

 

「・・・」

 

彼の言葉を、どこか憂いを含んだ表情で聞いている月詠。

 

「もうちょっと、気楽に生きていかないとな。やれる事も、できなくなっちまう。」

 

脚を駆けたフックと、捕まったワイヤーが上昇を始めた。

 

「それにな、そんなに眉間に皺をよせてたら、折角の美人も台無しになっちまうぜ?」

 

「・・・・・なぁっ!?」

 

最後にロックオンが言った一言に、顔をバッとあげて真っ赤にしながら素っ頓狂な声をあげる月詠。

 

「なんだ。可愛い顔もできるじゃねえか。」

 

コクピットに入りシートへ腰を落ち着けると、ヘルメットを被る。

システムを待機状態から、巡行モードへ移行。

コクピットを閉じると、動き出したメインカメラにこちらを見上げる月詠の姿が映る。

デュナメスの頭部を月詠へとむけて、メインカメラが彼女を一瞥する。

 

「離れてな!ハロ、海上に出るぞ。」

 

『了解!了解!』

 

外部スピーカ越しに月詠に呼びかけ、離れさせる。

GNドライブが独特の駆動音を鳴らし始め、緑色の粒子を散布しながら浮き上がるデュナメス。

 

「さて・・・蛇が出るか、或いは、だな。さぁて、行きますかね?」

 

『マカセタ!マカセタ!』

 

彼はそう言うと同時にレバーを引き、機体を上昇させ、その場から離脱した。

 

 

 

 

 




余談ですが、先ほどの話において即座にロックオンの身分の裏付けができたことに関する補足をしておきます。
ロックオンが国連軍の所属だという根拠の無い裏付けができたのには、夕呼先生が斯衛にロックオンが拘束されていることさる筋から仕入れた情報で知り、即座にアクションを起こしたためです。
彼女は、京都防衛戦の最中に現れた「謎の戦術機」であるガンダムデュナメスのことを予めマークしていました。
ロックオンは最初の武力介入から何度か戦闘に参加しては帝国軍の撤退を散発的に支援しており、撤退した帝国軍の衛士が書いた報告書の中に、「粒子光線兵器を用いる謎の戦術機」などの、似た記述が多数あったため、夕呼先生はAL4に出資する大投資家であり優れた研究者でもある、とある人物が中心となって計画と並行して研究・開発が行われている「特殊粒子(後のGN粒子)」及び、その粒子を生み出す「太陽炉」を動力とした新たな技術に夕呼が目を付けていたのが、デュナメスがマークされていた大きな理由です。

以降、いつもの次回予告。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

そして、狙撃手は出会う。
魔女と呼ばれる一人の女と。
それは、人類救済のための計画。

彼女は「救済の聖母」となるべく、孤独に戦う。
出会いは偶然か、或いは必然か?

次回「横浜」

その出会い、果たして何を生み出すのか。


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