人間戦記   作:イスカリオテのバカ

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 一体何ヶ月の間放置したのでしょうか。言い訳を聞いて下さるのであれば嬉しく思うと共に申し訳なくも感じます。
 詳細としましては自転車で高校へ登校している最中偶然にも曲がり角で他校の生徒が乗る自転車と衝突しその際メガネのレンズが割れ不幸な事に眼球に破片が侵入すると同時にフレームにより目が圧迫され内出血、結果網膜剥離という痛々しい現状へと至りました。
 完全に真っ暗闇という訳ではないのですが左目が煤けて視える状況なので歩行にも一苦労です。
 以上の理由により精神的に落ち込んでいたのと共に書いてはいたのですが元々目が悪い所に左目は使い物にならず右目も見えはせども痛みを伴うと散々な状態で書いた所で誤字脱字のオンパレードとなってしまい投稿が遅れてしまいました。

 最早あれですね、呪われてると思って良いんじゃないでしょうか?





fuckのところをScheißeに変えときました。


【Personal・First】

 ある魔導将校達の授かった叙勲、それは稀に現れる優秀な兵にのみ与えられる映えある勲章である銀翼突撃賞とそれには劣る物の大抵の場合、二階級特進者に贈られるものが殆どの片銀翼突撃賞がある。

 しかし今回のライン戦線にて名を挙げた二人の生存者は生きたまま授与するに飽き足らず、異例の速さで二つ名まで贈られるという晴れがましい決定が参謀本部にて行われた。しかし、戦勝とそれに伴う叙勲の例に沸きあがる一角を他所に参謀本部の一角、徹底して衛兵により部外者の立ち入りが排された参謀本部第一部(戦略)の会議室では重苦しい空気と共に激論が飛び交っていた。

 厳密に言えば二人の准将による大反対なのだが。

 

「断固として反対です!そのような集中投入ではメリット以上に即応性を失うリスクが余りに大き過ぎます!」

 

 軍人として名の恥じない成りをした軍人は立ち上がるなり反対を怒号してやまない。傲岸さを匂わせるほど、自信に溢れながらも薄い青みを帯びた彼の目。それは常に先を見据え、かつ現実も等しく見る慧眼を持っていることを悟らせる。才幹と自信の調和故に磨かれた俊才と参謀本部で評価されるルーデルドルフ准将。その彼が俊才の誉れも投げ捨て机に身を乗り出さんばかりに声高らかに反対を叫び続けていた。

 

「すでに現地にて展開されている部隊による追撃戦を遂行すれば事足りる問題です! 今のこの状況はまず何より戦略的柔軟性を保たなければなりません!難しい事ではなく順当に圧迫し続ければ良いのです!」

 

 いわく戦略的柔軟性を損なうべきでは無い、と。

 

「同じく、意義を申し立てざるをえません。優先順位の高い敵野戦軍の撃滅には成功したのです。これ以上犠牲を出してまで戦争に何を求めるのですか。国防する事に関しては果たされています」

 

 そして、戦略的柔軟性を保つべきと言うその視点に置いて物静かな物腰と学者然とした外見、真実を飾り気もなく語るルーデルドルフ准将に対し他者に分かりやすく、かつ的確に理解させる言動を見せる軍人として自らを律している者特有の印象を与えるゼートゥーア准将も反論の列に加わる。

 

「両准将の言は一理ある……ルードヴィヒ中将?」

 

 座長を務めるマルケーゼ侍従武官にしてみれば、両准将の言は理屈を通してみれば無視しえない程度に理が通っていた。マルケーゼ以外の侍従武官にしてみれば議論の場において反論者を無視していた事であろう。

 だが、マルケーゼにしても気になる点が無いわけでもない。参謀本部の見解が、最高統師府へ持つ支配的影響を見れば掘り下げるだけの価値は存在し得た。

 

「慎重な事は良いが、そもそも周辺国に動員の兆しすらない。この様な状況下において、我々が大規模攻勢を所与の上に束縛されず行えるとすれば絶好の好機ではないか」

 

 立ち上がった参謀長の顔色は、困惑。将来を有望視していた部下が二人揃って反旗を翻したことに対して戸惑いを感じた。その一方で怒気を孕み色を見定めている奇妙な困惑を見せる顔をしていた。

 

「中将閣下!せめて限定動員に留めるべきです!全面動員など、それではプラン三一五の前提基盤が崩壊します!」

 

 ルーデルドルフ准将の簡潔な異議は帝国の置かれた地政学的な事情によるものだ。帝国は周辺を列強諸国に囲まれた唯一の列強国、それは常に二正面以上の国防戦略を想定しなければいけない。比較的新興の軍事国家として名を馳せる歴史的な背景が存在する帝国。それはつまり、軍事面での面子として質的優位を確立しなければという潜在的な恐怖と地理的必要性に迫られての事だ。

 

「ゼートゥーア、戦力の逐次投入は何としても避けなければならん。それは誰の目からしても明白だ」

 

「逐次投入の愚は小官も承知しております。ですが敵野戦軍の殲滅に至るに主力を投じる必要性は疑う事こそが必要となります」

 

 イルドア王国を始めとした三つの列強国はいずれも本格的な動員の兆しすら見せない中協商連合を撃滅しうる環境は整っている。

 が、しかし『敵を叩くは今』という点においてゼートゥーア准将はそもそも論戦果拡張が既に果たされたと解釈する点においてルードヴィヒ参謀長と意見を異にする。

 

「ゼートゥーア准将に同意します。我々は現に勝利しつつあり問題はこの果実をいかに有効的に活用することができるかを考慮すべき次元です!明確な方針を示さず徒に動員しても戦略次元の目的が余りにも曖昧で国防に利するとは考えにくくありませんか」

 

 戦果拡張に関する次元ではなく、単純明快な事に今の現状を戦果と照らし合わせた上でその戦果の活用法についての疑問の提示であった。ルーデルドルフ准将の提言は、やや趣旨が異なるにしても軍が方針もなく徒に整えられた国防方針を危うくする事への危惧である。

 

「しかしだルーデルドルフ、最高総師府から方針が示されていない以上、参謀本部としては戦果を拡大するしかない」

 

「中将閣下、軍事において明確な戦略目標の欠落した行動は禁忌です。小官も思慮のない大規模侵攻で国防戦略を結果的に損ないかねない行動は断固として反対いたします」

 

 ゼートゥーア准将もルーデルドルフ准将に苦虫を噛み潰したような表情で同意する。

 

「機を見るに敏であれ!我々はこの行動によってノルデンの領有問題を解決する用意があります!さらには帝国の地政学的課題を解決しうる!」

 

 だが、一部の列席者が思わず叫び声を上げるのも全く根拠がないわけではない。それは、帝国を「常に苛む包囲が施されているという現実の課題」を断ち切る好機という甘美な未来図も用意されているからだ。隣国の協商連合打破できれば帝国を苦しめる脅威の一つが取り除かれる。それは長年の地政学的課題を解決する

機だった。

 

「異議あり!即定の防衛をしてまでも断行すべきではありません!」

 

 しかし、問題の本質はルーデルドルフ准将が断固とした反論を提示するように今の防衛計画を危うくしてまでも将来の安全を確保しに行くか否か、という点にある。

 

「帝国の目的は国防です。事実上の国境線もロンディニウム条約で確定してある以上、本質的には問題ないも同然」

 

 そしてゼートゥーア准将に至っては協商連合など捨て置けば良いとすら平然と言ってのける。いわく、ロンディニウム条約で解決済みの問題を態々拗らせる必要はない、と。

 

「敵の舞台に上がる必要はありません!それこそ、我々は我々の舞台で戦えばよいのです!その為にこれまでの準備を投げ仰せても良いと仰るつもりですか!?」

 

 なによりもルーデルドルフ准将がほとんど身を乗り出さんばかりに会議場に対して訴えるように本質は帝国の国防の根幹に関わる問題である。

 参謀本部の長らく整備し続けているプラン三一五。それは帝国の地政学的事情から、帝国が持ち得る唯一の国防戦略だった。どこから連鎖的に侵略されようと有機的に反撃し、防衛を断固として成し遂げるという帝国の防衛方針は四方を潜在的敵国に囲まれた帝国の窮余の結論だ。帝国はそれ以外に成算の高い防衛作戦を事実上見出すことが出来ない。

 

「ならばこの包囲されている現状を部分的にせよ打破できる好機を見逃すのかね?」

 

「幸い、列強諸国に動員の兆しすらない。今なら帝国の禍根を解決しうると私は信じている」

 

 その決断の是非について、彼らは知らない。少なくとも今、この時だけは。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 本日は晴天なれど、風は強し。双眼鏡を覗き込み()の銀翼を覗き見れば今もなお上昇中。予定された試験項目を半分ほどクリア済み。良く良く表情を見てみれば多少の引き攣りは見え隠れせども平坦な顔成りを保っている。

 前回パラシュートが雲の湿気で開かず危うく死にかけたのに比べまだマシだが気が乗らない事は察せれる。まして、少し集中力が乱れれば演算が崩れ宝珠が炎上すると言う空中で生身の人間が行うには中々に酷な条件での実験となっている。

 被験者では無いにしろその苦労を想像するのは一言に()()()と言えようか、欠陥だらけで信頼性の欠片もない「新型」という犠牲者を生み出すことに特化したクソの様なガラクタで、だ。

 世界に一つの個として鑑賞できる喜び、というのだろうか。宝珠に込められた小さくも膨大な情報量の詰まった新世界の未知の理に対する干渉はミリ単位で狂えば一巻の終わりとなる緻密な作業が請求される。

 細心に細心の注意を払わねばならない作業を、遊びが一切ない代物で行なえと言われたターニャ・デグレチャフ(尊き犠牲)の人形の様に繊細な手はズタズタにされていた。

 あともう少し私と救護班の到着が遅ければ、医療技術の進歩が遅ければ彼女は左腕一本で生きて行く羽目になっていた。

 

 信頼の置けない宝珠など安全ピンの外れた手榴弾を爆発しないように握り締めているのと大差ない。結果など誰からしても分かりきっていることだ。だから高度四千の上空で放たれた溜息を白く煌めかせる彼女の気苦労は計り知れない。

 

『機関部爆発!出火を確認!試験中止!繰り返す、試験中止!』

 

「………Scheiße!!!!!!」

 

 そして今日も、予定通り管制の悲鳴じみた叫び声とターニャの零す苦悶の呻き声、ティアナの呆れを含む叫び声が晴天に溶けて行った。

 

 どうして被験者じゃ無い私がターニャの実験に付き合わなければならないのか?それは北方で二人仲良く負傷し、後方へ下げられた時まで遡る。

 当時、療養中のターニャ・デグレチャフ及びティアナ・ヘルシング魔導少尉にとって復帰後の配属先は死活問題だった。奮戦し、一定の戦績を上げて受勲までなしている……これは、昇進において有利になると共に、前線(後方)に縛られかねない絶妙な問題を含んでいた。

 

「「拝見いたします」」

 

 二人揃って差し出された人事書類、その時浮かんだのは心中前線への再配置だけを願うイカれた思想と勘弁願いたいと想像する常識的思想。だが、ターニャの懸念は杞憂に終わる。中には上記二名の本国勤務を命じる発令日の日付の無い人事書類。つまり正式ではないものの、日付を記入し上官がサインすれば何時でも有効になる代物だった。

 

「喜べ。本国戦技教導隊付きの内示と総監部付き技術検証要員、及びそれの補佐としての出向要請だ」

 

 その話を聞き双方の少尉の意を総括せども結果的に悪くない提案だった。本国配置で、それも事実上の後方勤務。

 心理上の違いはあれども双方にとっては本国戦技教導隊へ配属ということは多くのメリットを含ませている。帝国軍最高精鋭として装備面で最恵待遇の部隊である上に、戦技研究のメッカとして技量を磨く(特にティアナ)としては適している。生き延びる確率、そしてキャリアを獲得する確率を少しでも上げるにはこの上ない環境であるのは間違いなかった。二人としても、他者の指導を兼ねねばならないとしても周りから技術を盗む目安や媚を売る意味では最高の席だろう。

 

「可能な限り貴官等の意向を尊重するつもりではある、だが異議を申し立てるかね?」

 

 形式上は意向を尊重するとはいえ事実上の内定。こちらが申し立てを拒絶するとは先方も想定してはいない。ここまでお膳建てられたということは配属拒否など許されることではない選択肢は先の質問に肯定の意を含む答えしか無い。

 

「はい、異議を申し立てません。配属命令を授与します」

 

「同じく異議はありません。技術検証補佐としての任務を全うします」

 

 司令はその言葉を聞き満足げに頷くと、私とターニャが同意したことを書類に書き込む。その時点で書類上は転属が完了した。

 その後説明された事を要約すれば新型の宝珠の開発に貢献せよとの事である。ただ、宝珠が如何様な性能を所持しているかを問いただしたところ大部分が機密事項に該当し聞き出す事はできなかった。

 気がかりは残る。技術試験のために新型演算宝珠の各種技能試験、一言たりとも嘘はつかれていない。ただその宝珠がポテトマッシャー並みに使えるかはたまたイタリア製の赤い悪魔並みに厄介な代物か伝えられなかっただけだ。

 その結果、素敵な我が幼馴染は今、この瞬間も苦しんでいる。

 

 

 帝都ベルンより南西方面空域、行動八千百。従来の演算宝珠では昇ることの困難極まりない、それこそターニャやティアナの様な異常とも取れる才能を有さない限り昇ることの不可能な高度に在していた。酸素濃度は一万二千に比べれば幾許マシとは言え正直なところ心許なく何より体温の低下が深刻だった。

 必要な高度順応を行うために、開発担当者殿(尊き犠牲)と共に六千八百付近で時間を取りすぎたのが裏目に出ていた。もともと高高度というのは生身の、それも十代にも届かない子供が来て良い場所では断じてない。

 これ程の高度に達したのはDeus ex machinaに乗ってあの青い空を、黒と赤に染められた懐かしい戦場を翔けた時ぐらいだろうか。

 

「デグレチャフ少尉、意識は健在か?デグレチャフ少尉?」

 

 たかが四千、されど四千。その差は症状の差異に直結する。おそらく全身の倦怠感はティアナのそれを大きく上回るだろう。かくいうティアナ自身想像を絶する環境下なのだ、通信を寄越すのも億劫などと言う言葉で表すのすら烏滸がましい。

 二人の脳裏は偶然にも一致した。新型の実験だか何だか知らないがこの高度に生身の人間を送り込もうと考えた連中は一度がん首揃えて体験して見るべきと言う恨み言である。

 

『一応にはある。……が、長くは持たない。はっきり言って生身でこれ以上の高度は不可能と判断する』

 

「了解、管制室にはそう伝えよう。健闘を祈る」

 

 ターニャが飛行している場所は地上より二十一・六度も低い。空戦機動で辛うじて滞在できるかどうかの瀬戸際な高度は、明らかに人間の侵入を拒絶している。そもそも従来の演算宝珠は高度六千が限界、ティアナの様に才能に満ち溢れたものであっても八千を少し超えた所が上昇限界。それ以上は推進力が足りずに重力を振り切れない。

 だからこその新型演算宝珠の実験であった。詳しい事は何一つとして説明されていない為にティアナには分からないが少なくともまともな物で無い事は先程爆風に巻き込まれ燃死体となり掛けたターニャを見れば見て取れた。

 

『何より、魔力の消費が凄まじい。魔力の変換効率は常識外にも程がある』

 

 ガソリンの代わりに魔力を餌にする演算宝珠は変換機関にて活発させるのだがこの最新型、四発化を図る事で魔力の消費を四倍にする代わりに出力を四倍に強化している。ただそれは、元々半端ない魔力消費量を加速度的に飛躍させているという事だ。

 そしてそんなモンスターマシーンを恐ろしいまでの小型化を達成した事に対して敬意を払うに然るべきなのだろう。しかし、使う側、そしてそれを間近で見守り爆発した際に引っ剥がす役割の二人からすればたまった物じゃない。精密機械を小型化するという事は遊びが無くなるわけだ。

 

「あー、ドクトル・シューゲルからの伝達だ。少尉、もう少し高度を上げれないか?とな。理論的に一万八千までは行けるとの事だが」

 

 双眼鏡を覗き込み顔色の悪そうな幼馴染に対して些か酷であるのは承知の上だが中間観測者として為さねばならない仕事のため、都合を配慮する気の無いあっけらかんとした技術者の言葉を伝える。

 流石の私でもこんな馬鹿げた命令は下さない。今までだってそうだ、死ぬ気になれば光明が見える程度の命令しか下した事はなかった。でなければリップバーン少尉にあの()()()()()()()吸血鬼を相手させるものか。

 

「ヘルシング少尉、管制機に直接繋げれるか?」

 

『多少のノイズは入るだろうができなくも無い、繋げるぞ?』

 

 そろそろ限界なのだろう。声に含みを感じる震えがあった、かく言う私もあの様な無理難題を押し付けられよう物なら例のDQNの乗る管制機を渾身の魔力を乗せた砲撃で撃ち抜いている。

 通信設定を変更ししばし経った頃、観察を続けているとどうやら無事繋がったらしい。遠目で見てもわかりやすい程に怒鳴り散らしてる。

 しかし程々科学者という者は()()()()()()。大博士含めこのドクトルも不可能とひと目で分かる代物を卓上のデータが成功を叩き出す限りたとえ倒れようと機材に手をやる。そういう所は素晴らしいのだが如何せん理論観念が壊れ過ぎているのも困り物、特に今頃ターニャに負けない程の大声で怒鳴り散らしてるであろう主任は大博士(グランドプロフェッサ)以上に壊れた節がある。

 

「……っ!!」

 

「……!?…ッ!!!!」

 

 おぉおぉ、どうやら相当仲良く演っている様子でターニャに関しては身振り手振りで怒りを表現している。ちらりと管制機を双眼鏡で見ればこちらも部下を退けてマイクを破壊する勢いで握っている。

 酷く嫌な予感が背筋を通った。第三者視点で道化二人のコントを観察していようと見ている此方側が頭の痛くなる光景はターニャの集中力の乱れにより打ち切られた。

 

『機関部、宝珠核温度急上昇!?』

 

 管制機から聞こえる警告音声、未だ爆発しないだけ儲け物と思うか思わないかは個人の自由として最終的に命綱であったターニャの宝珠核制御のテクニックもこうも波乱とした現状では意味もなく結果は制御を喪失。一刻の猶予もない状況下において魔力供給をカットしつつ並行して演算宝珠内部の魔力を緊急排出。

 様子見をして感じた事として、思った以上に前回の教訓を取り入れた安全機構は有効に機能するらしい。前回は爆発、炎上共に使い物にならなくなった回路と比べれば急遽要請した外殻の強化が間に合い吹き飛ぶ事には至らなかった。

 

「管制。救援の出動の許可は降りるものか?現在デグレチャフ少尉に異常が発生」

 

 腕がセラス・ヴィクトリアよろしく無くなり掛けた前回に比べてガラクタ一つが犠牲になった今回の実験、毎度の事ながら誤作動による予備の演算宝珠の起動を懸念してか持ち合わせのないターニャを拾いに行くのは何時もティアナの役割だった。

 ここは帝都、チビ二人が抱き合って地上に降下しようと撃ち抜かれる心配は無用。故に今ターニャにとって重要なのはティアナに大人しく、それでいてきちんとした体制で抱かれるよう備える程度の事だった。

 

『了解しまし、ちょっ、ドクトル!止めてください!離れて!はなr』

 

 だが高度を上げターニャを救出する準備に取り掛かった瞬間。無線越しにろくでもない揉め事を耳にし強制的に通信を切られたティアナは今頃パニックであろう幼馴染に小声で気を紛らわせる為に国際問題待った無し(Matrosenlied)を歌い現実逃避をやってのける。こうでもしなければ何時飛び火してくるか分かったものではない。

 

「頭の働く馬鹿とはかくも恐ろしいとは、認識を改める必要は……ハハハ、忘れていた。私自身が頭の働く愚か者ではないか!」

 

 アーデルハイト・フォン・シューゲル主任技師という人物は良識というものと引き換えに才能を得たのでは無いだろうか?才能と人格が一致しない事例は数あれどこれほどまでにズレが生じた人物はティアナの知り合いでも例の大隊隊員達と英国国教騎士団の愛おしい屑共、そして裏切りの13課メンバーと限られている。

 とは言え世間一般からすれば異常なほどに知り合いに居ると認識できるがそれは閑話休題。




 とんでもなく中途半端な終わり方で申し訳ない、このまま行くと一万文字を軽く越す勢いなので此処で切らせて頂きました。Secondはその内出せれば出します。目の治療が最優先なので……



 ティアナがDQNの実験に付き合う羽目になったフラグその壱、上官に質問せずにトントン拍子に事が進んだから。

 さて、今回から活動法告にてティアナには拷問シリーズをして貰う……予定だったのですが余りにも無頓着な内容だったので一つの作品として投稿します。
 ただし書くのは私ではなく姉です。私はこっちの本編に集中いたしますので糞姉が不愉快な思いをさせると思いますが温かい目で見守って上げてください

諸君等は代用コーヒーならばチコリコーヒーとたんぽぽコーヒーの何方を支給して欲しい?

  • たんぽぽコーヒー(粗悪品)
  • チコリコーヒー(粗悪品)
  • お前はタンポポで俺はチコリだ!(粗悪品)
  • そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!
  • 違うのだ!!(珈琲は正規品に限る)

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