side藍
「久しぶりの狩りだ...それなりに楽しめるかもな」
薄暗い祠の中...
白楽は振り回して私達に襲い掛かる...
「おっと!!」
紫様はスキマの中へ入り、薙刀の攻撃を避け背後の壁に刀傷がつけられる...
破壊力は、そこそこ...スピードも、そこそこというべきか...
「...能力か?」
白楽の言葉に反応し紫様はスキマから顔を出す...
「そう!私は境界を操る程度の能力!これくらいはできるわ...」
「良くは分からんが...空間移動か...なるほどな...的当てには丁度いいだろうな...」
白楽は薙刀を紫様を切るが、また避けられる...
「...遅いわ!この程度の早さなら目を瞑っても避けられるわ!」
紫様は光弾を白楽に飛ばす...
「無駄だ...」
彼女は避けることなく薙刀で光弾を次々と弾いていて光弾を防ぐ...
明らかにあの薙刀は能力で作られた代物...奴の能力が分からない以上...まだ観察する必要があるな...
「...ちぃ」
光弾を防いだ薙刀はボロボロになり消滅する...彼女は新たに札を出して新しい薙刀を手に持つ...
思ったより弱いな?奴の妖力も上がったとはいえ、そこらへんの妖怪並みだ...まだ本調子ではないのか?
紫様の方は彼女の方を観察している...
「武器は鈍らのようね?無駄な霊力の消費になるわよ?」
紫様は次々と光弾を放つ...
白楽は薙刀でそれらを弾いていくが、彼女が取りこぼした光弾が彼女の体を傷つけていく...
「...やるじゃないか」
白楽は後退していくが紫様は更に距離をつめ、彼女の周りにスキマが展開される...
「もらったわ!!」
スキマから矢が放たれ、白楽は瞬時に薙刀で矢を弾くが取りこぼした矢が彼女の体を貫く...
「っ!?」
白楽はフラフラと後退し床に自身の鮮血をまき散らしながら、彼女は薙刀を杖替わりにして何とか持ちこたえている...
「貴女の能力は分からないけど...攻撃に荒々しさが無いわ...封印される程の力はないように見えるけど?」
「長年の封印で鈍った体は言う事を聞いてくれないものだ...ワタシも随分と衰えたものだ...」
白楽は表情を変えずに体中に刺さった矢を引き抜きながら淡々と答える...
人間の体である彼女にとって、すでに致命傷のはず...もう戦えないはずなのに、彼女からは戦意が消えない...
...何か嫌な予感がする...私の九尾としての勘なのかもしれないが...
「...紫様!油断はいけません!」
「分かってるわよ♪」
紫様は傘を嘉玄に向ける...それを見た白楽は怪訝そうな顔を浮かべている
「...だが良い準備運動になったというものだ...あまりワタシを舐めるな!」
白楽の姿が消え、紫様の背後に現れる!!
「!?」
こいつまだ動くことが出来たのか?それどころか先ほどよりも速い!
「もらった!」
白楽は紫様へ薙刀を振り下ろす!
「紫様!!」
「...あらら...まだやるみたいだけど...やってることは脳筋ね...」
紫様は白楽の斬撃をヒラリと避けるが白楽は一瞬で紫様の前に現れる!
「!?」
「ワタシの速さは目で追うことなぞできん...少々甘く見たようだな!」
「甘く見てはいないわよ?」
紫様は白楽と至近距離で光弾を炸裂させる!
ボン!
軽い爆発音と共に奴の周囲は黒煙に包まれる...
「ふん...」
奴は一瞬で別の場所に現れる...
目で追うことができなかった...丸で高速移動...テレポーテーションしているくらいの速さだ...
「え~?今の避けるの?」
紫様は不服そうに言い白楽は新たな札を出す。
「お前の動きなぞ止まって見えるぞ?」
白楽は手にした札を投げる...その札は苦無に変化して紫様の方へ向かう!
「詰めが甘いわね?」
ざしゅ...
「!!?」
だが奴の放った苦無は奴自身の体に深く突き刺さる!
奴は驚いた顔をしながら自身の背に刺さった苦無を見つめた後、紫様の方を見つめる...
紫様の前にはスキマが開いており、白楽の背後にもスキマが開いている...
「ワタシの苦無...そうか...空間移動だけでなく...攻撃も受け流すことができるのか...」
白楽は蹲り、床に血だまりを広げる...
これはもう致命傷だ...
奴もこれで...
「...げほ」
奴は刃を引き抜く...全くもって表情に変化がない...ここまで痛みつけられれば、多少は変化があってもいいはずだが?
「このままだと死んでしまうわね?私の式神になることをお勧めするわ!」
紫様は白楽に近づき負けじと勧誘をする...
(まだ勧誘する気でいたのか...)
「何故する必要性がある?」
白楽は片目を閉じて私達を見る...
「ええ!今なら貴女は助かるわ!もっとも選択肢は残ってないけどね」
「確かにワタシでは...勝てないだろうな...だが...これは我々が決めた道...その歩を止めることは許されない」
「決めた道?」
「...貴様に伝える必要はない...しかし...」
白楽は体を確認して目を光らせる...
「...これで終わりですわ!!!」
彼女の目が紫色に変色し、嬉々とした表情を浮かべる...
グァパ!!
刹那...紫様の周りの影が蠢きだし、大きな髑髏となり紫様を呑み込む!!
何だこれは!?奴がさっき見せた能力ではない!
「くぅうう!!?」
「紫様!?」
紫様の体は黒い髑髏の中に入ったまま出てくる気配がない!!空中に浮いた巨大な髑髏を白楽は見つめている...
「くくく!!あっははははは!!!...これでまずは1人...か」
白楽は笑みを浮かべる...奴が見せた表情は...嫌らしい嘲笑だった...
「貴様!よくも紫様を!」
「ふん...実力を測り損ねたみたいだな...おっと...そんな顔をしてもらいたくはないな...ワタシはあくまで自己防衛をしただけだ...」
白楽は薙刀を手に取り、私にそれを向ける...
「!?」
「次は貴様だ...苦しまぬようにバラバラにしてやるからな」
奴から少しずつ、殺気に混じり濃い妖気が出てくる...
ピシ...
何かが割れる音が響いた瞬間...風切り音が私の横を通り過ぎる...
ざしゅ...
「かはっ!??」
そして目の前の白楽の体を風切り音の正体が貫き...奴は表情を崩して、吐血する...
奴の胸には小刀が深々と刺さっている...
そして飛んできた方向には、巨大な髑髏...先程とは違い、ひびが入り割れている...
まさか!
「まさか...術の中から!?」
「ええ...一か八かの賭けだったけどね...」
球体から紫様が出てくる...怪我らしいものは見当たらない!良かった無事なようだ!
「うぐ...」
だが紫様は少し歩を進めると、その場に倒れてしまう!!?
「紫様!」
私は紫様を助け起こすが紫様はぐったりしている!何故!?傷らしいものはないというのに!
「ふん...トドメを刺したと思ったが...しぶといものだ...まぁいい...浸食した呪いは...しばらく続くぞ...げほ...」
「貴様!!」
私は白楽に光弾を仕掛けるが奴は光弾を薙刀で弾く...
「...これ以上は...妖力の無駄だな...お暇すると...しよう...か」
白楽は倒れこむようにドロドロとなった影への中へと呑まれる...
それと同時に奴の気配が完全になくなってしまった
「くっ!!」
私は紫様を抱えるが...このままでは不味いか...
奴を追うにしても...紫様を守りながら戦う程私には余裕はないし、能力にしても正体が掴めていない...異常なまでの高速移動と彼女が呪いと言っていた力...追撃するのは...危険か...
「くそ!!」
私は紫様を抱いてその場を離脱する...
あれだけの傷...死にかけだろうが...
生きていたら時期を見て...封印してやる!!
side白楽
祠から離れた、深き森にてワタシは影から出て、地面に倒れこむ...
「...全く酷い目にあった...が...げほ!!!」
迂闊だった...本調子ではないとはいえ、術を打ち破って攻撃を仕掛けてくるとは...厄介な奴に目を付けられたものだ...それにワタシの力も弱くなっている...いつまで続くか...
「...げほ!!!......まぁ...笑えない状況ですね...これは」
...目が覚めたと思ったら...ボロボロになってるわ...踏んだり蹴ったりです...不躾な妖怪がいたものですね...
「げほ......問題は...ない...か」
だが...止まるわけには...死ぬわけにはいかない...
我々は...成し遂げなくてはいけない...恨みを晴らさねば...怒りを...怒りを開放しなくては...
「ぐぐ...少し...休むぞ...」
我々は深い森を眺める...日は落ちてしまった...下手に動くとまた襲われかねん...
時間さえあれば...傷を癒すことができるかもだな...
「...少し...眠るとしよう」
知るはずもない森の中...
我々は休眠につくことにした...生きねば...止まることも死ぬことも許されない...皆のために...
今作はほかの作品と比べて少々ダーク系です
ではこれにて