月が落ち、暗闇が広がる幻想郷の森の中に荷台を引きずりながら森を歩く少女がそこにはいた...
黒い髪・赤いリボンに変わった巫女服を身に着けた少女こと幻想郷の守護者である博麗霊夢の姿がそこにはあった...
荷台には様々な食料品やお布施の金品が入った袋があり、彼女は満足気にそれを眺めながら荷台を引いていく...
side霊夢
「今日の晩御飯は豪勢にいきたいわね!」
久々の妖怪退治の依頼が入り、まさかの大量の謝礼金!!
一月は生活に困らないわ!
「ふんふーん♪...ん」
...血の臭いがするわ...それもまだ新しいわね...
道はずれの獣道を観察すると、血痕が点々と続いているわ...
私は獣道に入り血痕を観察する...進むにつれ...血痕が少しずつ大きくなっていく...
「...」
しばらく歩くと、その血痕の持ち主に遭遇する...
「...すぅ...すぅ」
白い髪にボロボロの着物を身に着けた女性...その女性は木に寄りかかって寝息を立てている...年は私より少し上くらいかしら?死んでいる訳ではないみたいね...
「人間...外来人かしら?少なくとも生きているみたいね...」
外来人...それは外の世界から幻想郷へと迷い込んだ人の事を指す...
だいたいの原因は分かっているけど、それを元の世界に返すのも私の役目なのよね...
「...」
良く観察すると彼女のお腹や胸からは血があふれだしている...このままでは不味いわね...
「妖怪に襲われたのかしら?...でも」
...でもどちらかというこの傷は...爪で切り裂かれたというよりも刀や矢による傷だわ...妖怪・妖獣のものではなく人為的な傷...
「...気にする必要はないかしら」
まだ息があるみたいだし神社に運んだ方がいいわね...
後で話も聞かないと...
私は荷台に彼女を乗せて神社へと向かう...
3時間後...
ここは博麗神社...幻想郷と外の世界を分ける境界に位置する神社...
その大きな神社のとある一室で、如月白楽が布団の中で目を覚ます...
side白楽
「...ここは?」
目を開けると布団の中に我々はいた...
確か...あのスキマなんたらにやられて...森の中で休眠をとっていたはずだが...
「...」
体を確認すると包帯がまかれている...
誰かが治療したのか?誰が?
「...運がいいのか...悪いのかだな...」
まだ我々が助かったと決めるわけにはいかないな...また変なのに捕まったら、もう術は使えん...
...確かに...警戒するに越したことはありません...
鼻孔を擽る匂いを感じる...
「...スンスン...何か良い匂いだ...」
腹がぺこぺこだ...
封印明け故にどうしても腹が鳴る...
身を起こして匂いのもとまで向かうと、そこには巫女のような格好をした人間の少女が台所で何かをしているのを見つける...
「ふんふん♪」
呑気に鼻歌を歌いながら料理とは...無防備にも程があるな...
しかし...人間か...まだ我が目覚めたことに気づいてはいないみたいだ...怪我を治してくれたことは礼をいうが...
「...人間は信じられん」
...長い時が経過しようとも...我々の怒りと恨みが収まることはない...君に恨みはないが...この怒りを抑えることは出来る訳がない...
札を手に取り少女の後ろを取る...
「ん?あ?アンタ起きたのね...」
「!?」
少女が振り向き、ワタシは札を引っ込める...
何て運が良い奴でしょうか...おかげで...
少女はお玉をもって我々に近づく...
「...」
「...?何だ?」
「こら!」
かつん!!
お玉で頭を小突かれる...
「い!?」
「怪我人何だから寝ていなさい!とりあえずおかゆが出来たら、起こすから!」
「...すまん」
我々は強制的に布団へ戻される...
「...」
衝動が収まった...年下に叱責をされた事はショックだが...これはこれで良かったかもしれん...
何故かは...分からん...とうの昔に分からなくなってしまった...でも...この人間は我々を助けた...何故助けたというのだ?
「...お暇するか」
本当に宜しいのですか?
傷が癒えていないが私達は、その場を離れる...その方がワタシとしても...都合が良い...
我々が...我々であるために...我々を抑えることをできない。それに我々は絶対に人間を許したりしない...
side霊夢
「よし!」
鍋のおかゆが出来終わり、私はそれをもってあの子のところへ向かう。
大きな傷だけど、このまま治療すれば命には関わらないわ。
ゆっくり治療していかないと...
「できたわよー!」
部屋の戸を開けて私は布団を目にして固まる。
「...!?」
いない!?
さっきまでいたのに!?
まさかあの子出て行ったというの?
傷も癒えていないのに!!
鍋を置いて神社の近くを散策するが全く姿が見えない!!
このままでは彼女は!!
「...ぐぐ!!ぬかったわ」
外を見るとすでに日が落ちている...
これでは探すことすら困難になるわ...
「...全く...せっかく助けたのに」
冷めていくおかゆを見ながら私は外を眺める...
でもまたあの子に会える気がするわ...
私の勘だけどね...
繋ぎです
ではこれにて