勘違い鬼滅奇譚   作:まっしゅポテト

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俺は女の子が好きだ。決してそっち系ではない。

 

「へぇー!じゃあ一門さんは最終選別中はちゃんと服を着ていたんですね!良かった……」

 

 『最終選別どうでしたか?』と聞かれ答えたら、ご覧の反応である。手鬼の事とかも話したのよ?反応するのそこ?

 服を着るのは人として最低限の常識であると思うのだが。

 

 宇髄は今風呂に入っている。

 

「本当に大変だったんですね。ご苦労様です」

 

 雛鶴さんの反応が心のオアシス。

 大浴場なのに風呂の時間を宇髄とずらしたのも、一人の方が寛げるとかそういう理由だろう。絶対。

 

 

 

 久しぶりにまともな食事を取り、寛ぎながら俺は足を包帯でぐるぐる巻きにされていた。地味に折っていたらしい。

 普通に走ったりできるが、変に骨がくっつくと大変なので二週間は絶対安静との事だ。

 

「大事にしてくださいね」

「ありがとうございます」

 

 雛鶴さんは優しく微笑んだ。お姉さんタイプ、好みです。

 俺が感謝を伝えると、少し声を潜めて話しはじめる。

 

「天元さまがご友人をお連れしたと聞いて、実はとても驚きました。あの人はいつも私達の事ばっかりで、自分は二の次ですから。『友人』というのも実はあなたが初めてなんですよ?」

 

 宇髄天元、実は友達のいないリア充だったことが判明。

 

「そうそう。わたしも驚きましたー。天元さま、里を抜けてからずっとわたしたちの安全確保に奔走していましたからね。鬼殺隊の選別を受けたのも、もちろん鬼から人を助けたいっていうのもあったんですけど、組織に属する事によって立場を安定にするという目的もあってですねー」

「須磨っ!」

 

 まきをさんが咎めるような声を出した。里とか、あまり初対面の人間に話しても良い内容では無いのだろう。

 

「故郷には同い年の人間がいなかったんですか?」

「いるにはいるんですけど……私たち、少し特殊な事情でして。友人とかは、あまり歓迎されるものではありませんでした」

 

 雛鶴さんは悲しそうに目を伏せた。

 

 

 

「だからとても嬉しかったんです。あなたの様な人が友となってくれて。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうか夫をよろしくお願いします」

 

 

 なにを言えばいいのか困ってしまう。

 

 そもそもボッチの理由がかっこよすぎるんだが。

 『実は俺もずっとボッチだったんですー。周りからなぜか遠巻きにされていて、旦那さんと同じですね(笑)』とか絶対に言えない。

 というか出会いの状況からして、俺が友達になってもらったという方が正しい気が……。

 

 

 やっぱり変態でも宇髄は根っから優しい奴なんだな。

 

 

「あ、雛鶴さん!今すごく奥さんぽい事をしてる!わたしからも夫をよろしくお願いします!」

 

 須磨さんが慌てたように割って入って俺に頭を下げた。なんかなー、この子だけ宇髄の娘感すごいよね。

 

「旦那の事……よろしく」

 

 まきをさんがデレた。『旦那』と敢えて言葉を変えている。

 

 

 

「随分仲良くしてるな」

 

 ホクホクと湯気のたっている宇髄が上機嫌で襖を開けて入って来た。

 

「一門、明日帰るのか?」

「ああ。歩いて一日かからない位だし、明日の朝に出るよ。向こうには既に伝えてある」

「狭霧山だよな。少し遠回りになるが俺達も着いていくぜ。足、痛めてるだろ?」

 

 

 やだ宇髄優しい。嫁達から溺愛されているのも、悔しいが納得だ。

 

 

 

 

 

 

 

――その頃、狭霧山にて。

 

「錆兎!流が明日帰ってくるって!先生が言ってた」

「良かった。流は最終選別に受かったんだな!よし。明日、早くに起きて手順を確認しよう」

 

「うん!俺は先生と作った罠を確認してくる。猪とかが掛かってたら可哀想だし」

「俺は型を最後まで練習する」

 

 錆兎は水色の刃に反射する己の顔を見つめた。

 

「水の呼吸、捌ノ型・滝壺改――濁流。俺はこの技で、明日こそは流から一本取る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 流超逃げて。

大正コソコソ話

 同期のあと一人は風の呼吸を使う女の子。感想の方でポロポロと情報を落としてます。


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