勘違い鬼滅奇譚   作:まっしゅポテト

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 戻ってきたよ、勘違い!
 勘違い好きの皆さん、お待たせしました!!
 そして沢山の方々に読んでもらえてとても嬉しい。嬉しすぎて地味に活動報告にリクエスト板を作りました!覗いてみてね。感想欄では受け付けられないので、よろしくお願いします。

 クオーレっとさん、クズユ ロキさん、誤字脱字報告ありがとうございました!
 



戻ってきた勘違い!流は実家に帰りたい!

「流、狭霧山ハ今ヤ魔ノ山トナッテイル。決シテ油断スルナ……」

 

 昨日の夜、文を届けて帰還したおつうちゃん(鎹鴉)の言葉がよみがえる。

 

 

 響き渡る獣の叫び。

 俺が出発した時には絶対に無かった罠の数々。

 

――狭霧山って、こんな不穏な気配がする魔境だったっけ……。

 

 

「これは……故郷のからくり屋敷を思い出します」

「死亡率六割を越えた修羅の山が他にもあるなんて……」

「一門さん。あなたも相当厳しい訓練を積んでいたんですね」

 

 顔を真っ青にして俺を見つめる宇髄の嫁達。

 

「一門。頑張れ」

 

 今までで一番神妙な顔で宇髄が肩に手を置いた。

 

 

――――

 

 

 鱗滝は小屋の外に人の気配を感じ、扉を開けた。

 

「先生。ただいま戻りました」

 

 扉の前で、一門流が疲れながらも笑みを浮かべる。

 

 ああ、帰ってきた……。生きて、戻ってきた。

 

「お帰り、流。よく戻ってきてくれた……」

 

 鱗滝は流を抱きしめた。流は少し驚きつつも小さく声を出して笑った。

 この子はこんな風に笑う事もあるのかと意外に思う。弟弟子達を見て、小さく笑みを溢す事はあっても、あまり人前で感情を表に出さない人間であったから。

 しばらくして流を離す。

 

「先生。すいません、刀を折ってしまいました……」

 

 流は頭を下げた。

 流が刀を折る。それほどの相手は藤襲山にはいない筈だ。流の剣技は水の呼吸をしっかり掴めている。

 

「山で何があった?」

 

 流は俊巡し、言葉を紡いだ。

 

「鬼を切るときに、刃を入れる方向を間違えてしまいました。俺の不手際です」

 

 嘘では無いが、何か隠している匂いがした。

 

――最終選別中、流は誰かを庇って刀を折ったのでは無いか?

 

 そんな考えが鱗滝に浮かんだ。

 今年の死者が異常に少ない事は、鱗滝の聞き及んでいるところにある。

 流は弟子達の中でも頭一つ抜けて強かった。守る為に鬼殺隊を目指す心優しい子だ。そんなことがあっても不思議ではない。

 

 しかし流はそれを『己が未熟だから』と思い、口にしない。

 これ以上尋ねるほど鱗滝も野暮ではない。

 

「そうか。とにもかくにもお前が無事でよかった」

 

 流はホッとした顔を見せると居間に上がった。

 

「あの、先生……これは?」

「その文は錆兎と義勇からだ。あの子達も、お前が居ない間に鍛練を重ね、より強くなった」

 

 兄弟子の存在がどれほど彼らの礎になっただろうか。

 

 義勇が罠の作り方の教えを乞うてきたのも、流のあり方に起因している。

 

『流が言っていたように、俺も誰かを守れるように強くなりたい。その為には俺が出来ることは何でもしたいです』

 

 鬼に全てを壊された義勇がこの言葉を言った。義勇は大きく変わったのだ。過去を受け入れ、前を見つめた。

 過去に拭いきれる深い悲しみや怒りがあったとしても、大切なのは今だ。

 

 復讐心で鬼を滅する者は早々に身を滅ぼす。

 

 流は一人でいることが多かったから気づいていなかったかも知れないが、罠のいろはを習得した義勇は訓練用の仕掛け作りも出来るようになっている。

 特にここ数日は凄い。

 

 そろそろ彼らが流から一本取る日も近いかもしれない。

 

 

 流は文を開き、目を丸くする。

 

 本当に表情を見せる子になった。

 何か良い出会いがあったのだろう。

 

 いつも孤独であるかの様だった流を変えた『誰か』に鱗滝は感謝した。

 

 

――――

 

 

 とうとうこの日が来てしまったか。

 錆兎と義勇からという文を開いて俺は他人事の様に思った。

 

 『山頂の訓練場にて待つ』とだけ文には書いてある。

 

 これ絶対果たし状だわ。とうとう本気で命を取りに来たんだ。

 

 なぜか俺の方を向いて幸せオーラを出している先生。俺、先生にも嫌われてた感じ?さっき『無事でよかった』って言ってたじゃん。あれは嘘なんか?

 

 しかし思い返せば納得できる事が多々ある。

 

 型を全て修めてないのに最終選別に送り出したこと。

 錆兎と義勇に真剣を持たせて俺を襲わせたこと。

 襲われた俺は容赦なく二人をボコボコにしていたこと。

 

 極めつけは『最終選別に行け』と言った時だ。

 

 何の脈絡もなく言われたが、あの時俺は錆兎と義勇をぶん殴っていた。最早稽古でもなんも無かったのである。

 当時の俺は嫌われる為に色々努力をしていたが、全て悪手だった。

 

 もう宇髄にダチ認定されたから『原作キャラに関わらない』もなにも無くなったが……。

 

 だが、優しい先生はそんな俺を見て、とうとう我慢できなくなったのだろう。

 俺を合法的に抹殺しようとし、それでもしぶとく生き残ったので、訓練中の事故に見せかけようとしているのだ。

 

 

 いきなり増殖した罠も暗殺計画の一つに違いない!

 

 

 俺は新しい刀を断りを入れてから手に取った。

 

 体がガタガタの今、訓練場に行くのは止めた方が良いのだろう。

 しかし、寝ている間に殺られれば抵抗もできない。

 

 

――今までの事を謝ろう!そして、すぐに山を出て実家に帰ろう!

 

 

 藤の家で隊服と日輪刀を受けとれば問題無いだろう。

 今の俺はもう鬼殺隊士と言っても良いし、家の敷居を跨げるはず。

 

 というか久しぶりに妹達に会って癒されたい。殺伐し過ぎなこの世界の数少ない平和を数日くらい堪能しても、バチは当たらないだろう。

 

 




『次回予告』

 弟弟子たちに果たし状を渡され、絶対絶命の流!!
 今までの事を謝ろうと決意するが、長い年月をかけた勘違いが解消するはずもなく……。

 次回、流覚醒!!


(冗談です)
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