勘違い鬼滅奇譚   作:まっしゅポテト

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 自分でも書いてて『え、今自分はなに書いてるんだ?二次小説?そうだ鬼滅だった』となりました。
 田中というモブがめちゃめちゃ勘違いしています。
 このモブ……思考がぶっ飛びすぎてるぜ。


どゆこと!?

「よくない風が吹いていると思えば、嘆くお婆様にお爺様。恥を知れ!!」

「公衆の面前で刀を振り回してる奴に言われたくない!!」

 

 まあ結果的に言えばどんちゃん騒ぎ。もちろん仲裁しようにも出来るわけが無いし、新人と言えども呼吸を使う鬼殺隊士にそこらの人間が勝てる訳がない。

 この女も刀を逆手にして一応は峰打ちをするつもりらしいが、刀なんて切れなくても鈍器として充分な活躍をする。呼吸込みの一撃なんて死人が出るかもしれないのだ。流石に人殺しはヤバい。

 

「なかなかの腕前!だが何故罪無き人をいたぶる!」

「俺はお前を止めようとしてるだけだ!」

 

 俺は道場破りどもを背に、村雲宗治と戦っていた。

 道場破りどもは一部気絶、一部傍観、気合いのあった者は逃げ出している。戦意を喪失している相手に刀を向ける意味がない、と村雲を止めようとしたら敵認定されて今に至る。木刀を持っていたのが悪かったのかもしれない。

 

「そいつらからは悪い風を感じる!今にでも叩き伏せるべきだ!」

 

 俺は村雲の刀を捌きながら思考を続ける。峰とはいえ、鉄に対して木刀で挑んでいるのだ。いつか折れるだろう。

 村雲は振り方自体は雑だが、体力が底なしだ。ずっと全力で刀を振っているのに、全く疲れる気配がない。

 

「悪い風ってどういう事だ!?」

 

 というか、さっきから何でも風に例えて話すのこの子。意味が分からない。

 

「悪い風は悪い風だ!私がこれを感じた時は絶対に何か良くないことが起きる!」

 

 村雲の力が一層強くなる。あ、やべっ。

 

「風の呼吸、伍ノ型・木枯らし颪!!」

 

 木刀が折れる。薄緑の刀の峰が、俺の脳天に直撃した。

 

 ばたんきゅー……。

 

――――

 

 

「おい皆!一門の兄貴が起きた!!」

 

 田中は一門流がうっすらと目を開けたのを見て、仲間に叫んだ。仲間達が駆け寄る。

 

「すいやせん、兄貴!俺たちが不甲斐ないばかりに……!」

 

 田中が代表として頭を下げる。

 一門は布団から体を起こすと、無表情に周りを眺めた。田中と同い年だというのに、一門は幼い頃から纏う風格が違った。子供の時はその姿を恐れ、遠巻きにしていた田中だが、今なら分かる。その風格は人の上に立つ者として備わっていたものだ。

 

「頭をあげろ」

 

 一門流はここいらでは知らない者が居ない程の天才だった。十三で実家の師範代を倒したのはもちろん、他にも齢僅かにして言葉を話し、尋常小学校でも常に成績は一位で、人々はその才を妬みつつも将来を楽しみにしていたのだ。

 しかし、一門流は常に一人だった。余りにも成熟していた為、大人でさえも彼には付いていけなかったのだ。

 

(実際はコミュ力の低さの為です)

 

 実家の師範代を倒し、風の様に姿を消してしまったと聞いた時、田中は絶望した。一門流は周りの程度の低さの為に家を出ていってしまったと分かったからだ。それは田中にかつて経験したことのない悔しさを生んだ。

 田中は自分を鍛えた。農作業の傍ら毎日木刀を握り、自分を叩き上げた。全ては一門流と並ぶ為である。

 

 一門流が消えた一門道場は活気が無くなり、田中と同じ様に人から学ぶ事をやめて自分で鍛える者が増えた。心を同じとする人間は意外にも多く、お互いに稽古をつける事もあった。

 

 そんなある時、一門の道場破りをしようと誰かが言った。

 

 言われた当初、田中は訳が分からなかった。何故尊敬する一門流の生家を侮辱するような事をするのか。それを言った人間を田中は詰った。そいつは田中の親友とも呼べる間柄であった。そいつは泣きながら言った。

 

『一門家は、流さんを捨てた』

 

 一門家は戦国から続く由緒正しい家である。その家が代々継いできた土地をそこらの農民にあけ渡したというのだ。田中もそこらの農民に入っていた。

 代々継いできた土地を手放す――、それは一門流に何も相続させないとの意図のあらわれだろう。一門家には他に男児がおらず、家を継げる者が居ない。つまり、一門家はこの代をもって断絶することを選んだのだ。

 田中は激怒した。必ず現当主を懲らしめなければならないと思った。

 

 田中達は最低限の礼儀として、まず周りの道場の看板を奪い取った。田中達に勝てる人間は誰も居なかった。

 一門家に行った時、道場には当主しか居なかった。

 

『看板は渡すから、娘達には何もしないでくれ』

 

 当主は何も持たずにそう言って頭を下げた。田中は熱が急に冷めるのを感じた。ただ、聞きたかった。

 

『何故土地を明け渡した?』

 

 当主は何も答えずに、頭を下げ続けていた。

 その頭を踏みにじろうとする奴も居たが、田中はそれを止めた。

 

 そのあとは皆燃え尽きていた。何をしようにもやる気が起きず、町に繰り出しては酒を飲んで酔っぱらっていた。

 

 本当に愚かな事をした。田中は反省する。

 田中達を叩きのめした女の言っていた事は何も間違えていない。

 

 約二年ぶりに見る一門流が、一門家の羽織を着て、歩いて来た事に田中は感激し目が覚めたのだった。そうだ、一門流は俺たちの予想を遥かに越える人間だ。

 そして一門流は田中達を守り、負けてしまったものの、木刀で真剣に立ち向かう偉業を成した。

 

 

 田中は目蓋に熱が込み上げてくるのを必死に抑える。

 

 一門流に比べて己らのなんたる小さな事か。今までしてきた悪行、到底許されるものではない。

 

「本当にすいませんでした!!」

「俺に謝っても仕方がないだろう……」

 

 看板を奪い取ったというのに一門流は田中達の事を気にしていないとする。

 

「俺達は今まで迷惑をかけてきた人全員に謝りたいと思います。でも、それでも俺達を助けてくれたあなたに」

「なんの事か分からないな」

「気遣いは無用です。ここの人間はかつて、一門家に仕えた者の子孫です。そんな俺達が一門の看板を奪うなど、謀反と同じ。斬首も甘んじて受け入れたい!」

「いや、なんの事か分からないな……」

 

「寛大なお心で、許して下さるのですね……」

 

 田中は不器用ながらも、何度も許す一門流に涙ながらに礼を述べた。後ろにいるものたちも、田中と同じようにしていた。

 




 次回やっと鬼の気配がします。
 またせてごめんよ。ちなみに鬼退治したら皆大好きお館様がでてくるよん。
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