村雲さんが勘違いをするのは次回、鬼退治も次回。
問題行動は村雲さんが圧倒的に悪いので、前回のコソコソ話を書き直しました。貴重なご意見ありがとうございます!
玉藻loveさん、誤字脱字報告ありがとうございました!
俺って意外と弱いかも……。
鬼に切られ過ぎてあらゆる所に傷ができる。血が流れる。意識が朦朧としてきた。
手鬼倒して調子乗ってたけど、よく考えたら宇髄いたし。最終選別の時は宇髄が先行して警戒してくれてたから、俺は鬼を斬るだけでよかった。かろうじて錆兎と義勇には勝ってたけど、それは剣術歴の長さというか、むこうは年下だし。
極めつけは鬼に気付かなかったこと。後ろにいたのに分かんなかった。
そういえば水の呼吸も全部使えないわ。『捻れ渦』とかどういう原理?なんであんな水が見えるの?
体捻るだけ?うそーん。
考えれば考えるほど雑魚い理由が出てくるぞ。俺、初任務で死ぬんじゃね?
貧血で頭を持ち上げることさえ億劫だ。がくんと首を下ろしてしまう。あーもう考えるのもダルい。『見えない』って強すぎでしょ。どうして癸の隊士に血鬼術を使える鬼をあてるのか。
なんか砂煙でもたてれば形が見えるのか?ってここ森やーん。
……本当に思考が馬鹿になってきている。
とりあえず俺は刀を振り上げて積もっている枯れ葉を飛ばそうとしたが、出来なかった。ついでに鬼の攻撃が当たる。藍色の刃が少し、暗くなった。
ん……?影?
鬼は焦らず、じっくりとこちらをいたぶってくる。何も音を発さないのは能力か、それとも警戒心が強いのか。
思考を一旦止め、平正眼に刀を構えて月明かりで刃を照らした。
そのまま横に振る。何かを斬った感触。
「ギャッ!!」
そうか!鬼は月明かりで影を落とす!
地面は暗くて影が判別出来ないが、刀は光を反射するから分かる。
よし、このまま頸を――!!
切れるワケないじゃない。近くに来たら大体の位置が分かるだけなんだけど。
とりあえず刀をぶんぶん振り回して反射光を確認し続ける。
次は、左斜め後ろから!
水の呼吸、壱ノ――。
「危ない!!風の呼吸、壱ノ型・塵旋風――削ぎ!」
ものすごく強い風が俺を巻き込んで吹っ飛ばす。枯れ葉が顔に勢いよく当たって痛い。チクショウまたこいつかよ!
怒りで頭が逆に冴えてくる。そもそも俺は刀を振るう鬼殺隊士から一般人を守っただけで、責められる謂れは無い。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない。お前は少し周りを見ろ」
村雲宗治、暴走女。やっている事は正しかったとしても、やり方が雑だ。
「む……?」
「心底不思議そうな顔をするな」
首を傾げて俺を見つめる村雲。
「一般人に刀を向けたり、呼吸を使ったり……危険過ぎるだろうが」
「むぅ……。だが手加減はしたぞ、誰も骨を折っていないハズだ。それに、鬼があの小屋で食事を始めていたら全員死んでいた!」
一理ある、が呼吸はやり過ぎではないか?
「それに!お前に言われたくない!」
村雲は俺に指をさして高らかに言い放った。
「思い出したぞ、お前!最終選別の時に裸で全力疾走していた同期その二だろう!見ていて不愉快だったんだ!!」
エ"……。
まさかの黒歴史で正論を叩き返された。
そうか、表情は変わって無かったけどやっぱり変態に見えてたんだ……。俺の中のムカムカが萎んでいった。
なんというか、すごく……ショック……。
「構えろ!裸同期その二!」
「その呼び方は止めて」
「明日への道を諦めるな!裸同期!」
「止めて下さい」
「風になれ!裸!!」
「俺が悪かったです。だからその呼び方は止めてください」
村雲は再び技を放ち、枯れ葉を巻き上げた。枯れ葉が動く鬼に張り付き、鬼の形が露になる。
「いいな!枯れ葉を私は巻き上げるから、お前はその鬼の形が分かった瞬間に頸を切れ!」
俺は刀を持って立ち上がろうとしたが、すぐに体を傾けてしまった。血を流しすぎた。
「傷が深いなら寝てろ!私が一人でやる!」
こんな奴に気遣われる俺って……やっぱ弱いわ。グスン。
オリ柱(二人)は『水』と『雨』です。
読みにくい名前が思い付かない……。