でも今回は違うんだ。俺のせいじゃない。水柱のせいなんだ。
たとえ、名前が水の呼吸でなかったとしても!薄く水が見えるはず!!
アールオーエムさん、誤字脱字報告ありがとうございました!
結局俺は水柱の継子となった。
まずあの空気で断れないという前提の下だが、継子となることで得られる利益を考えた上での結果である。
強くなれる。柱と一緒に任務に行くので単独任務じゃなくなる。昇進がはやくなる、そして給料が上がる。この三つである。
お館様のヤヴァイ勘違いによって難しい任務がぶっこまれそうな気がする。と察した俺は取り敢えず生き残る為に強くなるのが急務なのである。誤解を解く、それが出来たらどんなに楽だろうか。でも無理である。解いたら解いたで『じゃあなんでお前裸になったん?』と聞かれたらまさにジ・エンド。つらすぎ。
単独任務じゃないのも俺の生存率上昇に繋がっている。柱に入る任務はおそらく難しいものが多いだろうが、一人であたるより断然マシだ。一人で挑んだら死にかけたの本当にトラウマだ。
そして最後の給料について。もちろん家族への仕送りの為である。道場は心配が無くなったが、やはり妹達には楽をさせたい。まだ師範代の露葉ちゃんは家を継いでどうにかなりそうだが、攸花ちゃんには学を修めさせたい。女性の立場が基本的に低い時代ではあるが、教養があるのと無いのでは全く違う。あの子は真面目だし、環境さえあれば絶対に大物になるぜ。
兄バカとか言わないで。
「では一門君、打ち込み千回の後、踏み込み素振りを五千回。そうしたら屋敷の周りを三十周してください」
原作において『継子のいる柱が少ないのは稽古が厳しすぎて皆逃げてしまうから』と言及されていたが、別にそこまででは無いというのが俺の感想だ。水柱の加賀見さんは見た目がインテリだからかわりと常識人である。逆になんで俺以外に継子がいないのか不思議。
「食事をしたら常中の訓練です。君はまだ精度が低いので、体の隅々まで意識する練習をします。腕の筋肉を一本一本感じながら型の練習です。不意打ちで私が叩きますので避けて下さい。くれぐれも気を抜かないよう」
木刀で叩いてくれる優しさに涙である。
狭霧山でだと全て真剣を使い、気を抜けば首を切られるような鱗滝流稽古を積んでいたのだ。あれ本当に怖かった。いつ死ぬのかと思って毎日枕を濡らしたものだ。
そして継子になること早一年。
俺は拾壱ノ型『凪(仮)』を完成させたのである。
加賀見さんに拾壱ノ型の原理と効果をかくかくしかじかと説明したところ、色々と改良を加えて練習させてくれた。どうやら雨柱さんも元は加賀見さんの継子であったらしく、『雨の呼吸』を監修したのも加賀見さんらしい。
伍ノ型までしか使えない俺は『流流舞い』くらいしか回避技が無かったからこれはかなりの進化である。
「立っているだけでは追撃を許してしまいます。相手との距離を調整できた方が良いのでは?」
「いっそのこと雷の呼吸の足さばきを応用して、敵の懐に入るとか。君なら出来ますよ」
「なんとなく炎の呼吸の奥義に似てますねぇ……」
そうして俺は間合い全てを切り裂きながら雷の如く一気に距離をつめ、相手の首を腰に力を溜めて叩き切る技を作り出したのだ――!
これを見た加賀見さんは、
『なんか当初の予定と全く違った技になってしまいましたが、強いので良しとしましょう(笑)』
と言っていた。
(笑)じゃねえよ!!!!
どこらへんが凪!?凪の意味分かってる!?
海上での無風状態の事を言うんだよ!無風どころか暴風が吹き荒れてるんだけど!?
もはや凪ではなく嵐!という感じになってしまったこの技を加賀見さんは拾弐ノ型『炎雷』と名付けた。もうこれ水の呼吸じゃないよ。雷と炎の複合型だよ。ごめん義勇。お前なら本当の『凪』を作り出せると信じている。
そういえば義勇と錆兎は最終選別を無事に突破したらしい。お祝いに実家の道場で使ってる竹刀袋を贈った。どうやら死傷者は一人も居なかったようで、さすがあの二人である。
俺も頑張らないと!主に命と金のため。
そうして地味に階級が『甲』まで上がった時の事。
俺に恐らくは十二鬼月と思われる鬼の討伐任務が入ったのだ。命からがら逃げ帰った隊士によると、相手は下弦の弐。
ちなみに加賀見さんは体調不良でパスである。
う、う……うそーん。
次回予告
水柱の興奮。『やはりコイツ……できるッ!!』と
久しぶりの派手忍者、でお送りします。