実は勘違い小説なんです(小声)
もうギャグ全振りの方が良いんじゃないかと思い始めた今日この頃。
Re;Qさん、誤字脱字報告ありがとうございました!
柱合会議。
それはお館様と鬼殺隊最高位の隊士である柱が一同に集まり、鬼殺隊の方針について議論する、半年に一度行われる会議。
場所は秘匿されし鬼殺隊本部。
終わった後には柱同士の稽古や会食などがあり、いつもは(一部を除き)和気あいあいとしているのだが、今回は違った。
鬼を連れた隊士、竈門炭治郎の処遇について話しているからである。
「鬼を連れた隊士など言語道断!斬首する!」
「煉獄の言う通りだ。今この場で首を切ればいい」
まず最初に口を開いたのは炎柱の煉獄杏寿郎、蛇柱の伊黒小芭内もそれに賛同する。
「まあまあ、お館様が来るまでは保留にしましょう。それよりもわたしは竈門隊士に話を聞きたいです」
中立な意見を述べたのは蟲柱胡蝶しのぶ。
だが、内心は
(早く会議を終わらせて冨岡の野郎をシメてやる!!)
と憎しみに燃えていた。
しのぶ的にも鬼は殺した方が良いと思っているが、姉のカナエに頼まれたので、嫌々この立場についてるのである。
「竈門君、怪我をしているところで申し訳ありませんが、話を聞かせて下さい。なぜ鬼を連れていたんですか?」
「はい!禰豆子は俺の妹で、鬼ですが、人間を食べた事がありません!俺は妹を人間に戻す為に鬼殺隊に入りました、必ず鬼殺隊の役に立ってみます!どうか認めて下さい!」
がばりと頭を下げる炭治郎。そこまで酷い怪我をしておらず、意識がはっきりしている上に、カナエと練習していたのだ。
「まあ」しのぶは非常に感心した。あの水柱と鮭大根バカの弟弟子であるのに、受け答えがしっかりしている。錆兎や真菰に近い性格だ。いや彼らも変に言葉を濁すところがあるから、この少年が特別なだけだろう。
もう認めてもいいかも。お館様が容認していたってことは事実なのだから。
先ほどからしのぶの頭にはさっさと帰って冨岡を叩きのめす事しか浮かんでいない。
「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ」
木の上からネチネチと話す伊黒。
「でも伊黒さん、お館様は二年前から彼の事を知っていたみたい。今ここで何かするのは不味いと思うわ……」
すぐさま炭治郎に助け船を出したのは恋柱甘露寺蜜璃。
(この子、目がステキ!嘘は言っていないみたいだし、こんな子を殺してしまうのは可哀想だわ!)
蜜璃はやるときはやる女である。
柱の中でも若輩者とはいえ、勇気を出した。
伊黒はどもる。彼は蜜璃に弱かった。
「哀れな子供……殺してやらねば可哀想だ……」
「俺もそう思う!だが悲鳴嶼殿!甘露寺の言うことにも一理ある。お館様を待とう!」
「南無……」
なんとか丸く収まった柱達の会話。しかし、彼らはいまだ異常な緊張に包まれていた。
話に加わらず砂利の上に正座をしている一門流が、かつてない程の気の張りつめようで屋敷を見つめていたからだ。
お前なんか喋れよ。砂利の上に正座はさすがにきついだろう。というか何をそんなに警戒しているんだ。
柱一同そう思うも、一門流とはこういう男である事も知っていた。
自分の意思を悟らせず、周りと馴れ合わず、ただひたすらに鬼を滅する男。
鬼の頸は目に見えない速さで斬り、失敗した任務は一度もない、古参の水柱。
彼とその継子で全てが完結してしまう為に他の柱との共同任務も非常に少なく、その人柄を知るものは殆どいない。
そして何より彼を語る上で外せないのは一門家に代々伝承する秘術の体現者であるということだ。
『記憶による呼吸の伝承』。噂によれば、歴代一門家水柱の記憶を持って産まれた人間だとか。眉唾ものであると誰もが最初は思うが、彼の佇まいを見ればそれが間違いではないのだと気づく。
育手に師事してから数ヵ月で並の隊士を上回る力量だったとか。
藤襲山の鬼を全滅させたとか。
七日間で新しい型を作り出したとか。
継子を取るときも厳しい試練を課し、それに合格したのは鱗滝錆兎しか居ない。その継子も柱と同等の力を有した、まさに次代の水柱に相応しいだろうという男だ。
非常に口数は少ないものの、お館様からの信頼は厚く、鬼殺隊の麒麟児時透兄弟を呼び込む任務についたのも彼だ。
もしや本当に何かあるのではないか……?
今まで一言も発しなかった音柱宇髄天元が一門に近づく。
「まずい」
一門は宇髄を見定めると、沈痛な面持ちになって呟いた。
――――
「まずい」
俺はそろりと近寄ってきた宇髄に小声で告げた。
宇髄はそれを聞いて焦りの表情を浮かべる。
「やっぱりか、どれくらいだ?」
「上限は越えている……。もうすぐ来そうだ」
めっちゃトイレ行きたい!
昨日の夜からずっと行っていなかったツケが今来てしまった。
柱が周りにいる緊張で一気にその、来ている。砂利が脛に食い込んでめちゃめちゃ痛いが、俺は動けない。
全集中の呼吸でどうにか筋肉が縮小し過ぎないように抑えているが、とうに誤魔化せる上限を越えていた。
「本当に動けないのか?」
「どうにも出来ないな。周囲に柱がいなければ……!」
柱がいなければ、我慢せずにトイレ行けるのに!!
「こちらからできる事は何もないぞ?」
「それはそうだが……現状では……」
今からめっちゃプルプルしながら立って、屋敷の裏側まで行って厠に入るのは流石に難易度が高すぎる。
しかしこのまま漏らすのは最悪だ。やるしかないのか。
「無残に漏らすくらいなら……」
「はぁ……肩なら貸してやるよ」
俺はふらふらしながら立ち上がった。
「宇髄だけじゃない、俺も一門についてく!」
有一郎君が唐突に言い放った。
エ……?
――――
「まずい」
「上弦は越えている」
「どうにも出来ないな。周囲に柱がいなければ……!」
深く語られずとも、柱達はこれらの言葉で全てを察した。
最低でも上弦の鬼が近々現れるということを。
ずっと一門を鋭く見つめていた有一郎は、やはりかと息をついた。
有一郎が離れた数時間内に何があったかは知らないが、目前の鬼を連れた隊士が鬼側からしても不都合な存在であり、狙われるのだろうということは予想がつく。
一門をもってして己以外の柱がいなければ倒せない鬼。歴代の柱達が何人葬られたことか。
「それはそうだが、現状では……」
有一郎達は弱くない。しかしそれでも足りないというのは、記憶を持つ為に始まりの呼吸の剣士達と比べてしまうのだろう。
まだ、足りないのか。
「無惨に漏らすくらいなら……」
それでも、鬼舞辻無惨に他の柱の情報を漏らすくらいなら、かつて何度か上弦と戦い手の内がばれている自分が挑むのが良い。
そう言いたいのだろう。
有一郎は憤りを覚えた。
有一郎はそもそも自身を犠牲にしてでも周りを助けようとする人間が大嫌いだ。
そんなことをさせない為、弟より才能が無いのを努力で補い、柱は自分にしてくれと自分から頭を下げに行った。
全ては庇われない為、柱になって、誰よりも強くなれば、変われると思ったから。
「はぁ……肩なら貸してやるよ」
宇髄が動く。
そうだ、相手が聞かないならこちらから押し付ければ良い。
「宇髄だけじゃない、俺も一門に着いてく!」
一門は動きを止めて、目を丸くする。
有一郎の隣にいた煉獄も、笑って一歩を踏み出した。
有一郎の心は他も同じとするところであった。
「ああ、一門!一人で背負いこむ必要は無いんだぞ!」
「そ、そうだわ、一門さん!一緒に行きましょう!ね!しのぶちゃんも」
「え、ああ、そうですね?」
「南無阿弥陀仏……お前とは付き合いも長い……力になろう」
「あまり俺たちを見くびるなよ」
次々に柱達が賛同する。
「一門、テメェ……!」
禰豆子の箱を持ってきていた不死川が、その箱をぼとりと地面に落とす。
「そういう事は先に言えやァ!柱はお前だけじゃねえんだぞ!一人で行くな!」
今、確かに柱達の心は一つになっていた。
((え、全員厠に付いてくるの……?))
流と宇髄の心も確かに一つになっていた。
大正コソコソ話
しのぶさんは冨岡さんへの復讐プランを考えていたので、ちゃんと話を聞いていませんでした。