勘違い鬼滅奇譚   作:まっしゅポテト

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宇髄と流の藤襲山冬合宿

 

 結局、俺は宇髄天元と行動する事になった。

 

「つまり、この選別の目的は『生き残る事』だ。別に鬼を倒す必要は無いし、逃げ回っていても構わない。要は最低限自分の身は守れる位になれよ、って事だな。それすらできない奴は任務の足を引っ張る」

 

 宇髄は俺を見下ろす。

 

「ぶっちゃけ俺がここで死ぬ可能性は派手に無いが、最低限の事はしとこうってワケだ。誰かと一緒にいるだけで死ぬ確率は段違いに減る。この山には雑魚鬼が集められているし、良い鍛練にもなるだろ?そこであのなかじゃまあまあ強そうなお前を選んだんだ」

 

 さすが未来の柱になる人間は言うことが違いますわー。俺がビビりまくってる間にこいつは超堅実な計画を立てていた。

 そんなんだからお前『音柱って周りに比べて地味じゃね?』とか言われるんだよ。ハッ!

 

「一門、お前さんはどうなんだ?こう言っちゃあ何だが、初対面の人間を訳もなく信用するのはどうかと思うぞ?」

「別に、お前強いだろうし。良いよ。俺も誰かと一緒に行動する事は予定していた」

 

 実際、宇髄天元は今回の選別に来た人間の中でダントツ一位に強いだろう。彼が居ればだいぶ安心である。いいやつだし。ケッ!

 

「お前、服を剥かれた事、まだ怒ってんのか?」

「別に怒ってなんかねぇよ。全然普通だよ。俺超冷静」

 

 なんだその哀れみの目線は……!

 

 

 

 

 数年後……産屋敷邸にて。

『お母様。最終選別の儀式は今年から私が行きなさいと、お父様が仰っていました』

『心して掛かりなさい。最終選別はとても過酷。追い込まれた受験者が変態行為に走ることもあります。くれぐれも気を付けるのよ』

 

 

 

 

 アーーーーッ!!!!

 

 いや落ち着け流。平静心、平常心。

 あの良妻賢母、産屋敷あまね様が子供の教育に悪いことを言うわけがない。俺の弱みを握るのは実質宇髄天元のみ!

 宇髄天元を抹殺できれば俺の黒歴史は永遠に葬られる。

 

 でも、どう考えても殺る前に殺られるわ。

 

 

「別に上半身をさらけ出したぐらい、大したことないだろ。逆にその位が派手でちょうど良い!!そのまま脱いでいるのはどうだ?」

「お前……今は十二月だぞ?」

 

 寒いわ!

 俺は素直にバカだなこいつと思った。

 

「で、さっきから何処に向かってるんだ?」

「どこって、川だよ。水が無きゃ死ぬだろ。お前バカか?」

 

 …………。

 

「事前にこの山の地理は把握しているからな。取り敢えず水辺で今日は待機だ」

 

 お前やっぱ地味だよ(褒め言葉)。

 

 

 

 

「作戦会議だ」

 

 空が白んできたが、鬼が全く現れないので俺たちは警戒を解いてどっかりと座った。

 そろそろ大丈夫だろうと、宇髄が火を着ける。あー暖かい。

 

「運が悪いことに俺らは全く鬼に遭遇しない。これじゃ時間の無駄遣いだ。仮眠を取ったら仕掛けに行くぞ」

「え、なに言ってんのお前」

 

「事前の調査で鬼が居るであろう洞窟、洞穴は確認済みだ。俺たちが優位な昼にそこに飛び込む」

「アホだろ」

 

「穴に火を投げ込もう。そうしたら熱くて入り口に出てくるだろう。既に検証済みだ」

「え、ちょ、人の話を聞いて」

 

「ざっと入手した情報によるとこの山にいる鬼は五十体ほど……。一日十体、それで最終日は森の中心で派手に焚き火をあげる。残りの奴らはそれに集まって来るだろうな」

「お前、頭おかしいわ」

 

 

「そして朝焼けと一緒に祝砲だ!デカイ花火を上げるぜ!!そりゃもう派手派手にな!!」

 

 

 今までこんな計画を立てて最終選別に挑んだ馬鹿がいただろうか、いやいない。

 

 宇髄はビシッと俺に指を向けてウインクをした。

 

「もちろんお前も強制参加な」

 

 俺、こいつと組むんじゃなかった……。

 

 

 




大正コソコソ話

 今の宇髄天元は忍びを抜けた直後で、取り敢えず派手派手を連呼するハイテンション状態です。


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