【完結】いくら望まれたとしても、私はまどかに恋をしない   作:曇天紫苑

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03 仲良くしたいに決まってる

 放課後のベルが鳴ると、教室の中は「今日もやっと終わった」という空気で包まれた。

 

 緩んだ空気の中で、私は教科書を鞄に戻す。

 特別な変化は何も起きなかった。最後まで知っている授業を繰り返して、問題も同じ物が使われていた。

 体育の授業もいつも通りで、焔もほぼ同等の成績を残している。性別が違っても、身体能力は変わりなかった。魔法を使うより前は、彼もまたひ弱だったのだろう。

 同じ教室で授業を受けた為か、私とあの焔に能力面での大きな違いはないのだと理解できる。

 

「帰りましょうか」

「そうだな」

 

 二人揃って席を立る。

 そんな時、まどかの気配が近づいてくる。

 

「二人とも!」

 

 鞄を両手で握りつつ、まどかは駆け足で私達に追いついた。

 今日出会ったばかりの私達だというのに、向けられる表情は友好的。好感触を抱かれるような事は何もしていないのに、昔からの友達みたいな扱いだ。

 

「あのね、一緒に帰ってもいい?」

「私達と?」

「うん、わたしと三人で……どうかな? 迷惑じゃなければだけど」

 

 迷惑なんてある筈がない。

 焔も同感らしく、念話の中だけで頷いた。

 

「他の友達とは一緒に帰らなくていいのかしら」

「今日は大丈夫だよ。それに、二人の事をもっとよく知りたくて」

「なぜかしら」

「どうして、って……うーん」

 

 きょとんとするまどかに、焔が口を挟んだ。

 

「君はそんなに僕達が気になるのかな?」

「そう、そうなの。どうしてだろうね、二人の事をもっと知りたいんだ。ほむらちゃん達と仲良くなりたいの」

 

 真心の籠もった声で私と焔の間に立って、また左右に視線を振る。

 やけにまどかが私達を構おうとする。距離を詰めに来る。

 本当に、彼女はどうしたのだろうか。

 

「良かったら見滝原の案内もするよ」

「……」

 

 善意と好意が詰まった声が届き、自然と泣きそうになって唇を噛んだ。

 彼女の気持ちを受け取りたい自分がいる。昔みたいな関係になりたいと泣き喚いている自分が、心のどこかで騒いでいた。

 そんな弱さはあっていい筈がないのに。

 

「僕達は学校に来る前に下見を済ませているから結構だ。それに、僕達にはこれから用事もある」

 

 私が言い出すよりも先に、焔が断りを入れた。

 同じ事を言おうとしていたけれど、横から聞くと思った以上に語気が強く、厳しい物言いに感じられた。

 気持ちはよく分かる。甘えないように、弱さに負けないようにと意思を強めると、まどかに語りかける言葉すらも厳しい物になってしまう。

 

「そ、そっか……」

 

 けれど、自分の言葉がここまで嫌な物だとは思わなかった。

 

 まどかは見るからにしゅんとして、声のトーンが落ちている。

 寂しそうに微笑むところを見てしまうと、それだけでたまらなかった。

 

「ごめん、ほむらちゃん達の都合があるもんね。じゃあ、また今度みんなで」

「いいえ」

 

 思わず言葉が漏れてしまった。

 撤回するにはもう遅い。息を整え、私の意思で彼女へ一歩近づいた。

 

「せっかく誘ってくれたのだから、私は甘えさせて貰うわね」

「えっ、でも用事があるんじゃ……」

「あなたの提案を蹴るほどの事ではないから、後回しにしても大丈夫よ」

 

 横から咎める意思が伝わってくる。

 だけど、まどかを落ち込ませる必要はなかった筈だ。

 そう念話で反論すると『君が言えた事じゃないだろ』と返ってくる。

 まったくその通りだった。

 

『この時間軸のまどかは驚くほど友好的よ。関係を維持すればインキュベーターとの接触を回避できる可能性もある。そして、魔女の被害にあってもすぐに助けられる』

『それは君の言い訳だろう』

『ええ、きっとね。だけど、彼女の心を傷つけずに済むのなら……その方が良い筈よ』

 

 顔に出さないように抑え込みながら、焔と私の間に感情が飛び交った。

 あんな顔をさせてまで誘いを断る理由がない。甘える訳にはいかないけれど、それは私の都合でしかない。そして、私の都合に彼女を巻き込むのは愚かだ。

 伸ばしてくれた手を理由もなく拒むのが、ワルプルギスの夜との戦いに、そして彼女を契約させない事に何の利益をもたらすだろう。

 

 

 私が一人しか居ないのであれば、まどかと仲良くなると行動が難しくなるかもしれない。

 でも、この時間軸に暁美ほむらは二人居る。魔女との戦いやワルプルギスの夜の対策は交代でやればいい。

 

「あの、二人ともどうしたの?」

 

 黙って話し合っていた私達に、まどかの不思議そうな声が響く。

 それが決め手となった。

 

「……せっかくだから、僕も行こうと思ってね」

 

 焔が冷たい面持ちで頷いた。私は、もう少しくらい愛想良くした方が良いのかもしれない。

 こんなそっけない反応であっても喜ぶ彼女に申し訳なかった。

 

「一緒に帰っていいかしら」

「うんっ!」

 

 声を弾ませ、まどかは私の手を握る。

 焔とも当たり前のように手を繋いでいるが、幸せそうな笑顔を見てしまうと、何かを言う気は一瞬で消し飛んだ。

 

「ほむらちゃんの家はどの辺りにあるの?」

「そうね、ここからだと……」

 

 繋いでいる手から彼女の気配が伝ってくる。

 どんな時も優しすぎる指先が、今は私の指に絡まり包み込んでくれている。

 気を抜けば涙が流れてしまいそうだった。ぐっと堪えて表情を整えるが、こんな私ですら仲良くしようと頑張ってくれる事実で、余計に涙が漏れかける。

 私への視線が逸れた一瞬の間に目を拭った。気づかれていなければ良いけれど。

 

「焔くんと一緒に住んでるんだよね?」

「そうなる。二人暮らしだから一部屋に二人で寝ると狭いんだ」

「へええー、同じ部屋を使ってるんだ」

「本当なら分けたいんだけど、部屋数が少ないからな。ベッドが二つあって助かった」

「最初の頃は寝苦しかったわ」

 

 私達の話に耳を傾けつつも、まどかは私達を先導する。

 その歩みに身を任せるのは何とも心地よくて、油断すれば力が抜けそうだ。

 

『分かってるよな』

『ええ』

 

 まどかとの約束も、想いも、ちゃんと覚えている。私がなすべき事を忘れる気はない。

 目的を忘れてはいけない。自分の幸福にかまけていれば、代償になるのは私の命ではなく、まどかの命だ。

 だから、後から後から溢れるこの幸せに拘泥するべきではないのだ。

 まどかに甘えきる訳にはいかない。

 

『あなたこそ、分かっているわよね』

『ああ。大事なのはまどかで、僕達じゃない』

 

 頭の中での会話を済ませ、意識を定めた。

 楽しく手を引いてくれる彼女の存在を、どうしようもなく懐かしい気持ちで受け止めながら。

 

 

 見滝原を楽しく歩いて、時間は消え失せるように過ぎていった。

 時の流れを加速させる感覚は私の魔法にはないもので、かつて契約する以前は持っていたものだ。ここ最近の時間経過は、むしろ恐ろしいほど遅かった。

 

「ここがわたしの家なんだ」

 

 胸を張って紹介してくれるその家は、私もよく知っている外観をしている。

 外からでも明るい雰囲気がひしひしと伝わって、彼女がどれほど温かな人に囲まれているかを証明しているかの様だ。

 

「素敵ね」

「あははっ、そう?」

「僕達の家は狭いからな。こういう明るくて良い雰囲気の家は凄くいいと思うよ」

 

 口元に手をあて、まどかは華やかな雰囲気を纏った。

 気を抜いてしまえば作り上げた心の城塞もドロドロに溶けてなくなってしまいかねない。

 

「ほむらちゃん達の家にも行ってみたいな」

「僕は構わないが、何も面白い所なんかないぞ」

「そうね。貴女の家と違って見所はないわ」

「でも、二人が住んでいる家が見てみたいの。それに、ほむらちゃん達の住んでいる家なら、それだけで見所になるよ」

 

 殺風景さをスクリーンで誤魔化しているだけの部屋だ。そんな何もない所でも、かつてまどかは楽しく遊びに来てくれた。

 

「二人とも家にあがっていく?」

「いや、悪いが僕達も帰らないといけないな」

「そっか。じゃあ、また今後遊びに来てね!」

「ああ。そうする」

 

 あらためて私達の前に立ち、彼女は幸せそうな微笑みを浮かべた。

 

「今日は一緒に来てくれてありがとう」

「お礼には及ばないわ。私がそうしたかっただけよ」

「でも、わたしは嬉しかったんだ」

 

 胸に手を当て、まどかは頷く。

 

「なんだか、初めて会った気がしないの。まるで昔から友達だった様な」

「……」

「……」

「って、変だよね、ふふっ」

 

 まどかが語る所に胸を突き刺された。

 痛みはないが、衝撃は残る。彼女が私をどこかで知っている様な素振りを見せるのは以前から幾度かあった。が、そんな事前の知識なんてまるで通り抜け、彼女の言葉は胸の中に鈍く響く。

 

「あのねっ」

 

 そんな私の内心には気づかないまま、まどかは照れた風な表情で私の手を握った。

 瞳がきらきら輝いていた。

 

「ほむらちゃん達と一緒に学校へ行きたいな」

「それは……」

「時間はわたしが合わせるよ。もちろん、二人が大丈夫ならだけど」

 

 素直に表現すれば、とても嬉しい申し出だ。

 一人なら他にもやらねばならない事があるから受けられない。が、二人居れば交代制が可能だ。

 ……それに、出来るだけまどかの居た方がいい気がした。どうしてなのか理屈は追いつかなかったけれど、その方が、まどかを救える気がしたのだ。

 

 ちらと焔の様子を見てみると、彼はこくりと頷いた。 

 

『君がまどかと一緒に登下校すればいい。その間にやるべき事は僕がやる』

『何故? 交代でいいわ』

『……いや、君に任せる。精々まどかと楽しい時間を過ごせばいい』

『あなただって気持ちは同じ筈よ』

『一緒に行動するのなら、僕よりは君の方が自然だろう』

 

 短い念話を終えて、まどかに向き合った。

 

「まどかさえ良ければ、そうさせて貰うわ」

「わ、いいの!?」

「でも、こっちの焔は朝が弱いから一緒に行くのは難しいのよ。私だけでいいかしら」

「そうなんだ? ちょっと意外。じゃあしょうがないね」

 

 理由を勝手に捏造したからか、横から視線を感じるが、無視する。

 

「待ち合わせ場所と時間を決めておこっか。さやかちゃん達と合流する所でも……」

「それには及ばないわ。時間になったら私がここまで迎えに行く」

「ええっ!? そんなの悪いよ。ほむらちゃんの家ってここから少し距離あるんだよね?」

「でも、あなたを待たせるよりは効率がいいから。いつ頃行けばいいの?」

「んー……本当にいいの? じゃあ……」

 

 まどかの登校時間は知っているが、念のため聞き出しておいた。

 知っていた通りの登校時間を改めて耳にし、まどかに「分かった」と頷いてみせる。

 

「直前くらいには迎えに行くわ」

「うん。ありがとう! 明日からよろしくね!」

「ええ、お願いするわ」

 

 さっきから手を握られたままで、彼女の両手から好意が注ぎ込まれているような錯覚すらあった。

 まどかが気づいて手を離すと、どうしようもない寂寥感が襲いかかってきた。もちろん、顔には出さないけれど。

 

「時間を取らせちゃったね。用事があるのに付き合わせちゃってごめんね」

「いいえ、問題ないわ」

「ありがとう、それじゃ、また明日!」

「ええ、また」

 

 まどかは私達に声をかけてから玄関の扉を開け、小さく手を振ってくれた。

 

「またあした、ね、まどか」

 

 釣られて私も手を振って返してしまう。

 まどかは小さく目を見開き、もう一度私達に挨拶をして中へ入っていった。

 

 魔力で強化された五感が、勝手に家の中から漏れる声を拾う。まどかと、まどかのお父様が話をしている。弾んだ調子で、私の知っている通りの家族が感じ取れる。

 家に魔女や使い魔が近づいている気配はどこにもなく、平穏そのものだ。

 家の全体像を眺めてみても、そこに別の時間との差異は見られなかった。

 

 まどかが、まどかのままで居てくれて本当に良かった。

 

 

「……」

 

 どちらともなく、無言でまどかの家を離れた。

 隣の焔はまるで喋らない。私も似たようなものだ。まどかと一緒に居る時とは違い、時間が過ぎるのは非常に遅い。

 なんといっても、私達を繋げているのはまどかの存在に尽きる。

 

 共に歩いているのに一言すら口にせず、無限のような時間の果てに家へ辿り着く。

 今日は焔が先に玄関の鍵を開け、中に入っていく。私もその背後へついていき、よく見知った部屋の中に足を踏み入れた。

 以前と変わらない内装で、やはり二人暮らしは大変だ。両親に文句はないけれど、歳の近い姉弟とはいえ部屋数が一つしかないのは中々に狭苦しい。

 

 鞄を置いて脱衣所へ向かい、私服に着替えて戻ると、焔は既にリビングの椅子へ腰掛けていた。

 彼もまた着替えを終えており、私が来るなり一瞬だけ目をやった。

 机の上に並べているのは今日のやっておくべき宿題だ。先に学校関連を片付けてから行動するつもりらしい。

 私も同じ気分で、鞄から出してきた宿題の紙をテーブルに並べ、ペンを片手に小さな机へ向かった。

 

「……」

「……」

 

 前にも同じ宿題をこなした為か、知った通りの事を記憶の通りに書くだけで終わる。時間にして数分ほど、間違いがないかを確認しても問題はなく、無言のまま立ち上がった。

 冷蔵庫から水を取り出しコップに注いで飲み干すと、焔が隣で全く同じ事をしていた。

 傍目からはまるでお互いが視界に入っていない風な動きに見えるかもしれない。無視している訳ではないのだが、どうしても接触は事務的な物に限られてしまう。

 何かを話そうにも基本的に考えている事は同じで、やまびこの様に言葉を繰り返すだけで終わる。もう少し互いをよく知れば距離は縮められるかもしれないけれど、その気にはなれなかった。

 彼を見ていると、自分の欠点を見せつけられている気分になるのだ。

 

「……」

 

 焔は幾つかの資料に線を引き、この時間軸で起きている出来事を整理し始めている。背後から覗き込むと、気難しそうに眉を寄せていた。

 

 私達はほぼ完全に別々の生活をしている。

 同じ暁美ほむらとはいえ、お互いに覚えのない異性と同じ部屋で過ごすのは抵抗があった。最初の頃はどちらかが玄関で生活する事すら検討したほどだ。

 

「まどかとは」

 

 そんな状況だったから、部屋の中で彼の声を聞くのは非常に稀で、聞こえてきた時には驚いてしまった。

 彼は私の顔を見もしないが、それでも話しかけてきた。

 

「まどかがどうかしたのかしら」

「まどかとは、友好的な関係で行くつもりなのか?」

「……状況を鑑みれば、それが最善の筈よ」

 

 言い訳じみているのは自覚がある。

 だが、そうすべきだという確信があった。

 

「それは美樹さやかと佐倉杏子が魔法少女だからか?」

「ええ」

 

 学校内で顔を見た時には気づいた。あの二人は既に魔法少女だったのだ。

 接触はしなかった。先に彼女達がどういった状況なのかを判断しておきたかった。

 確実なのは、二人がまどかと近しい関係にあるという一点だ。

 

「身近な友達が二人とも契約している以上、まどかが知ってしまえば魔法少女になる道を選んでしまう可能性が高いわ。出来るだけまどかの傍にいて、止められる……出来れば説得が可能な位置に居るべきよ」

 

 先ほどの直感を言葉にするなら、こういった所だろう。後付けの理屈ではあるが、この時間軸でまどかを守る為には必要だ。

 しかし、焔の声は続いた。不機嫌そうな声音だった。

 

「本当に、それだけか」

「何を言いたいの」

「……まどかと仲良くしたいんだろう?」

 

 心の中で何かが燃えた。

 

「そう思っていたのなら、あなたは何故止めなかったの」

 

 傍目から見て、自分の目的よりもまどかと一緒に居る時間を取ったのだと思ったのなら、私なら許さず止めた筈だ。

 珍しく顔を合わせたままでいると、先に彼が頭を下げた。

 

「僕もまどかと一緒に居る方が、あの子の身の安全を守れると思ったよ」

「……」

「ただ、まどかと仲良くしたい気持ちがないとは……言えなくてな。確認したかったまでだ。どういうの気持ちで選んだのかを」

「私はまどかを救いたいだけよ。それ以外は余計だわ」

「分かってる」

「でも」

 

 言葉を切り、顔を逸らす。

 目の前にいるのは私自身。同じ自分だから、隠しようもない感情もある。

 

「……仲良くしたくない筈がないでしょう。私にとって、まどかは大切な友達なんだから」

 

 仲良くしたいに決まってる。

 幾ら誤魔化したって、抑えたって、心の中の願望とはまるで関係ない。

 彼女と一緒に居られると思った時はやはり嬉しかった。それがどんなに許せない弱さでも、本当に幸せだった。彼女が喜んで私の手を握ってくれて、その時間が何より宝物だった。

 

 だから、彼の前では一緒に居たくないなどという嘘は吐けない。

 他の誰にでも嘘つきでいられるし、自分の心にだって嘘は吐ける。でも、彼にだけは気づかれてしまう。私自身が己の弱さを隠す為に作り上げた虚構は、私にだけは通じない。

 

「ああ、そうだろうな」

 

 焔が俯いた。

 

「まどかと一緒に居たいな」

 

 か細い呟きだったけれど、私の耳には届いてしまう。

 同じ自分の事だから、哀れとは思わなかった。まどかを助けたいと願ったのだから苦しくても耐えるのは当たり前だ。

 ただ、この話題はもう続けようとは思わなかった。

 

「ところでインキュベーターを見かけないのだけれど、あなたは」

「……僕も見てないな」

「そう」

 

 続けようとした会話はそれだけで途切れて、後は沈黙のまま各々の作業に戻ってしまう。

 こうやってみると本当に無愛想だった。当然ながら私にも跳ね返ってくるけれど、その上で考えてもやはり可愛げが皆無で魅力がない。

 こんな私達を見捨てず手を差し伸べてくれたまどかに申し訳なかった。

 

 心を強く持つために意思を硬く持っていたが、せめてまどかへの態度はもっと軟化させて良いのかもしれない。

 そう思って鏡を見ながら昔みたいな笑顔を作る練習をしてみたが、どう見てもぎこちない物しかできなかった。

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