ネイア・バラハの聖地巡礼!   作:セパさん

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・このお話は後日談であり、蛇足です。ネイア・バラハの聖地巡礼!本編を前提とした話しとなっておりますので、ご了承下さい。


番外編・後日談
【後日談】南貴族の詫び証文


 ローブル聖王国首都ホバンス。そこに居を置く『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』総本部。今や聖王国はおろか、他国ですら無視出来ない存在となった政治結社とも新興宗教団体とも言える組織の総本山。

 

 20万を越える武装親衛隊を持ち合わせ、中でも教祖ネイア・バラハ肝いりの弓手部隊・騎馬弓手部隊・レンジャー部隊の腕前は、聖王国軍の正規軍を遙かに凌駕し、冒険者レベルで言えばほぼ全員がシルバーやゴールドクラス、女性や子どもでもアイアンに届く。元軍士の信徒となれば、プラチナやミスリルに並ぶほどだ。

 

「……伯爵。やはり狂信者の巣に直接飛び込むというのは。影武者に代役させる手もあったのでは?」

 

 ローブル聖王国南部よりはるばるやってきた大神官は、目の前の髭を蓄えた壮年の男に震えを隠せず口を開いた。

 

「相手が影武者も見破れない節穴ならばそうするだろう。……途中、レンジャー部隊と思わしき者達に見張られているのには気がついていたか? いや、途中からではなく、出立時からかもしれないな。なんなら四六時中だ! そんな中嘘偽りを言ってみろ、刎ねられる首が増えるだけだ。」

 

 現在ローブル聖王国は北部と南部が睨み合い、内戦の寸前と言っても過言ではない。そんな中、南部貴族や大神官が卒倒するような大ニュースが飛び込んできた。

 

『ローブル聖王国南部神官、ネイア・バラハを魔導国にて暗殺未遂。』

 

 勿論ネイア・バラハを邪魔に思う南部の人間は枚挙に暇が無い。暗殺計画だって何度も立ち上がった。だが聖王国内でネイア・バラハが殺害されたとなれば、殉職者として祭り上げられ、武装親衛隊が狂気に染まり南部へ攻め込んでくることなど火を見るよりも明らか。何より屈強な親衛隊に護られているネイアの暗殺など容易ではなく、結局計画は頓挫していた。

 

 そんな中、多くの貴族や神殿が知らないところで、スレイン法国の使者により、魔導国でアンデッドに殺させるという案が提唱されたという。たしかに魅力的だった。

 

 スレイン法国からの莫大な武器供与(レンドリース)や情報提供もあり、成功すれば〝魔導国は死のアンデッドが支配する、恐怖の国であり、魔導王も人類が団結して倒すべき死を振りまくアンデッドに過ぎない〟という大義名分が出来上がる。ゆくゆくは人類による大連合を造り上げることもでき、ローブル聖王国南部にはスレイン法国という強国のバックもつき、人類救済の旗手となれる。

 

 ……尤も、これは〝成功していれば〟という画餅に過ぎない。

 

 結果は暗殺部隊として向かった神官達は帰らぬ人となり、挙げ句最強戦力である座天使(オファニム)はネイア・バラハ自身に討ちとられた。

 

 南部の世論は魔導国の報復を恐れ、貴族や神官達を一斉に糾弾した。多くの貴族や神官からすれば全く身に覚えがなく青天の霹靂なのだが、民からすれば激しくどうでもいいことだ、知らなかったでは済まされない。ヤルダバオト襲来の悲劇を知る部隊からは、辞表の山が届いたほどだ。トドメとばかりに肝心のスレイン法国からは【事実無根】と声明を出されて切り捨てられ、国交断絶まで視野に入れられている。

 

 幸いにも魔導国からは『ローブル聖王国内の厄災の火種が我が国に降り注いだことは大変に遺憾である。しかし我が国の被害は皆無であり、二度とこのような事態が無いことを望む』という声明が出されたのみで、戦争行動へ発展することはなかった。そして声明は『謝罪は我が国ではなく、被害者となったネイア・バラハ氏へ行って欲しい。』と続いた。

 

 ……要するに〝お前の国の厄介事に、これ以上俺の国を巻き込むな〟ということであり、ローブル聖王国内の対応如何では、いつでも戦争行動に発展させうる手札を逆に与えてしまった形だ。

 

 カスポンド聖王陛下も即日、正式にネイア・バラハへ謝罪文を提出し、魔導国から戻った彼女に直接の謝罪を行った。対立状況にある南北であるが、明確な敵対にはまだ至っていない。未だ南部は表面上【聖王家に忠誠を誓っている】ことになっている。

 

 聖王陛下が頭を下げた以上、当事者である南部の権力者も謝罪に赴く必要があり、生け贄の首も必要になった。……そんな超弩級の外れクジを引いたのが大神官数名を伴った伯爵である。

 

 南部貴族でも立場が上であること、しかし公爵や侯爵になすりつける力までは持っていなかったこと、南部で保有する領地に多くの大神官を抱えていたこと、生け贄の首となった、神殿に借金をしてまで博打に嵌った馬鹿な放蕩貴族と昔仲が良かったこと、生きて帰ったとき情報を知るため魔法の知識を有していたこと、伯爵自身今回とは別のネイア・バラハ暗殺計画を企てた過去があること……などの不幸が重なり、こんな死の行軍に赴くはめとなった。

 

 伯爵が脳内で悪態を吐いている内に、『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』総本部が見えて来た。建物そのものは、北部貴族の屋敷をそのまま利用しており、よく言えば歴史有る、悪く言えば草臥れた外観をしている。屈強な兵士達が一糸乱れず並ぶその先の門には、頭頂部が禿げた恰幅の良い執事然とした男性が待っている。

 

「遠路はるばるお越し下さりありがとうございます。わたくし『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』にて書記次長を任されております、ベルトラン・モロと申します。中でネイア・バラハ様がお待ちです。どうぞ。」

 

 伯爵と大神官達は、門前の兵士に武器を預け……、一切の希望を捨てて、門を潜った。

 

 屋敷の内部に入った一同を待っていたのは……。

 

「んな!?」

 

「おお!」

 

 内部は一切の贅沢を排除した清楚なものだった。しかし伯爵と大神官達が驚いたのは、その【空気】だ。外観から感じる古びたかび臭さも、ほこりっぽさも一切無い。掃除が徹底されていることもあるだろうが……、それだけではない。まるで森林浴でも行っているかのような荘厳とした独特な空間が広がっており、安寧と爽快感に充ち満ちて、力が湧いてくる。

 

 そして感じるのは、神官たちにとっては未知とも言える、異常なまでの信仰系魔法の気配。その気配を探ると、部屋の隅で祭壇に祀られている、ゴウゴウと小さな音を立てるよく解らない素材で出来た不思議な白い箱があった。

 

「こ、こちらは……。」

 

 第2位階魔法を駆使できる大神官は、思わずその箱に釘付けとなる。

 

「ああ、こちらはバラハ様が聖地へ赴いた際持ち帰られた神器、聖地における空気清浄機に御座います。」

 

 ……その言葉に皆絶句する。空気を清浄化するのは第1位階魔法清潔(クリーン)で行うのが普通で、それでも小さな部屋を浄化出来るに過ぎない。だが目の前のマジック・アイテムは根底から仕組みが異なっていた。まず宿している力が第1位階どころか、かつて見た第4位階を遙かに超えている。

 

 更にはその能力は単に埃やゴミの除去ではなく、屋敷内の空気全体……瘴気と呼ばれるような気配の一切を除去しているようで、治癒・療養の魔法さえも感じ取れる。

 

「神官、これはどうなっている。」

 

 魔法の知識はある伯爵だが、〝理解出来ない魔法が使われている〟ことしか理解出来ない。思わず大神官の中でも一番の知者へ問う。

 

清潔(クリーン)を基盤とし、第4位階魔法の雲操作(コントロール・クラウド)と第6位階魔法の大治癒(ヒール)を併用・応用し、尚かつ、大々的な改造が施されていると推測出来ますが……。ただ天候操作ほどの力を特定範囲に留め、単体を回復する治癒を精緻かつ広大な範囲へ広めております。それに特定の瘴気を払うよう作製がなされている上、これ程小さくまとまっている。更には単発式ではなく永続性のマジック・アイテムとなると……。とてもその価値を推測出来ません。」

 

「第4位階と第6位階!?それに魔力系と信仰系魔法を併用し、挙げ句に改造だと?そんなことが可能なのか!?」

 

「不可能……と言いたいところですが、実物が目の前にあります。」

 

 たかだか空気の清浄機械に生け贄の儀式が必要な大魔法レベルを宿すなど正気の沙汰ではない。更には付加魔法でない3つの魔法を併用・応用させる技術など、聞いたことさえない。

 

「ん、んん!」

 

 興奮しきっていた伯爵と大神官達へ、書記次長の咳払いが響き、自分たちが何をしにきたか思い出す。それほどの衝撃だった。

 

「当会が魔導王陛下より賜りました神器に御座います。ご考察はそこまでにしていただければ幸いです。」

 

 口調こそ丁寧だが、まるで射貫くような鋭い眼差しだった。その目は〝神聖な品に汚い息を吹きかけるな〟という敵愾心がありありと宿っている。そして案内されるまま、一同は会議室へと入室する。

 

「バラハ様、ご予定にありました使者の方がお見えです。」

 

 出迎えたのは、お付きも近衛も居ない、噂に名高い【凶眼の伝道師】ネイア・バラハ本人だけだった。しかしその顔の上半分は、不可思議なバイザーの様なマジック・アイテムで隠れている。そして背中には白金色に輝く、神聖な力を宿した弓を背負っていた。

 

「初めまして、『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』代表、ネイア・バラハです。立ち話もなんですから、どうぞお掛けになって下さい。」

 

 少女は溌剌な声を挙げ、笑顔で言った。そして一同を案内した執事はそのまま一礼して扉を閉めた。

 

(護衛の1人もいない?どういうことだ?こちらは暗殺未遂の謝罪に来ているのだぞ?)

 

 伯爵は相手の意図が読めずに困惑する。何かの罠か?と疑うのも無理はない。

 

「そう固くならないでください。アインズ様は寛大にもあなた方の罪を御赦しになられました。アインズ様が御慈悲をみなさまへ給うた以上、わたくしが言うことは何ひとつとして御座いません。アインズ様が仰ったように、今後二度とアインズ様へご迷惑となる事がないよう居て下さればそれで十分です。」

 

 ネイア・バラハからは、自分の命を奪おうとした者への怒り、その気配すら感じられなかった。

 

「え、あ、いあ。」

 

 目の前に自分の命を奪おうとした人間がいるとは思えない、あまりにも無防備な少女の発言……。多くの神官を領地に抱える伯爵だ、こういう清廉な神官はたまに見るが、目の前の少女は20万の武装親衛隊を持つ長なのだ。だが本人を目の前にするとその傲慢さも威圧感も覚えない。……それが逆に不気味だった。

 

「長い旅路でお疲れでしょう。よければお飲み物とお菓子をご用意いたしますね。」

 

 目の前の少女が立ち上がった先の扉、開くと祭壇があり、その上には小箱ほどの銀の箱が祀られていた。そして別の棚から飲み物を取り出し……銀の箱から氷を取り出して入れ、別の容器に見たこともない菓子を乗せ持ってきた。

 

「氷が?何故こんな場所に普通に……。」

 

 真冬でもないこの時期に、氷入りの飲み物や冷たい菓子を口に出来るなど、近くに冷洞窟を保有している貴族か、採掘された大きな氷塊を運ばせる権力がある大貴族・王族くらいだ。かの魔法先進国にして超越者フールーダ・パラダインを有するバハルス帝国が、似たような凍結魔法を宿した品を持っていると噂で聞いたことはあるが……。

 

 改めて『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』の保有する力が解らなくなってきた。

 

 (武力だけでなく、魔法技術にまで長けていると見せつけるのが目的?生活用品にさえこれほどの魔法技術を有しているなど、その技術を武装に回していると考えればどれほどの脅威か!)

 

「アインズ様……魔導王陛下より賜りました神器に御座います。そちらの菓子は聖地魔導国の名物で、アイスクリームというものです。我々では完全な味の再現は出来ておりませんが、よければお召し上がり下さい。お飲み物は冷たい紅茶をご用意しました。」

 

 毒入りを一瞬疑ってしまうが、そんな真似をしなくても殺せる機会は幾らでもあった。疑念を振り切り……口にする。

 

「これは……乳を使ったものですか?」

 

「はい、羊の乳を使用したものです。当会が運営している飼育場から今朝搾りたてのものをご用意しました。」

 

 旨かった。

 

 冷たい甘みが舌から脳に突き抜け、停滞していた思考を冴えさせる。目の前の少女は純粋にその様子を楽しんで見ているようだった。まさかこんな歓迎を受けられると思ってもいなかった伯爵と大神官達だが、そろそろ本題に入らないといけない。冷たい飲み物と菓子は、決心を固める良い機会だった。

 

「ああ、大変に美味でした。さて、この度我々が来訪させて頂いた目的ですが……。」

 

「お話は聞いております。無知蒙昧にもアインズ様の国である魔導国を襲うという愚かで非人道的な行いをした貴族の処刑を行われたと。ですが、先に話したように、アインズ様は寛大にもあなた方を御赦しになられています。ですので、その首はどうか丁寧に供養してあげてください。」

 

(謝罪さえも受けてくれないということか!?何が目的だ?魔法技術は有り得ないとして、金?物?武具?いや……、どれも彼女の会が保有する物に比べれば特段劣る。意味が解らない。)

 

「今回の悲しい事件は、あなた方の無知によって行われたと考えております。もし良ければ我々の活動を少しでも見て頂ければ、誤解も解け、アインズ様の偉大さに気がつくと思います。これからわたしは同志達の訓練風景を視察に行きたいと考えています。ご一緒しませんか?」

 

 

 〝嫌だ〟

 

 

 そんな脳内でけたたましいほど鳴り響く警報を、目の前の少女は許してくれないだろう。この屋敷に来た時点で、一行の返事は〝はい〟と〝わかりました〟しか許されないのだ。

 

 

 

 

「……神よ!」

 

 大神官達が一斉に膝を折って、祈りを捧げ始めた。伯爵も訳が解らなかった。〝これより真なる神器を使います〟とネイアが言い、500名ほどの祈りを捧げる老若男女の弓手に囲まれた。そしてネイア・バラハが分厚い片眼鏡(モノクル)のようなマジック・アイテムの紐を引っ張った。……そこまでは理解出来る。

 

 その後何が起こるか解らなかった、その後何か起こったが、何か解らなかった。ただ味わったこともない信仰系魔法の光が覆い、気がつけば広大な草原が広がる場所へ転移させられた。

 

 噂に名高い極地の魔法第八位階……否、それ以上の神聖な信仰系魔法であった。

 

 その力は【天地創造】というまさに神代の魔法であり、祈りを捧げる神官達の目は完全にアッチへ行っている。伯爵だけが辛うじて正気を保っている-頭が追いついていないと言った方が正確か-が、訓練に参加する弓手兵達は、魔導王に祈りを捧げた後、慣れた様子で持ち場に走っていった。

 

「こちらもアインズ様より賜りました神器の1つに御座います。このマジック・アイテムを、我々は〝真なる神器〟としております。本日は弓の鍛錬ということで人も少ないですが、最大2000人まで同志達がここで牙と爪を研ぐのです。」

 

「そ、それはその……凄い、でふ、ですね。」

 

 〝20万人の武装親衛隊を持つアンデッドを神と崇拝する謎の集団の長〟改め〝神代のマジック・アイテムさえも容易に使いこなす、何を考えているのかも解らない少女〟に、〝殺される恐怖〟とは別の、複雑怪奇な恐怖心を覚える。

 

 この屋敷で……『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』総本部で見た力は、確実にこの世にあってはならない類の力だ。

 

 だがこんなことを報告できるはずがない、打倒カスポンドを秘密裏に掲げ、聖王国南部貴族と南部神殿が団結している今、この事実を伝えれば自分はまんまと洗脳された憐れな犠牲者と思われ、閑職に追いやられる。下手をすれば不和を呼ぶ者として首が飛ぶ。

 

 この既に心酔している大神官(おおバカ)どもはどうすればいい?帰路で殺すか?いや、それも無理だ。会から監視が付いている。スキャンダルになるだけだ。

 

「さぁ、伯爵。アインズ様への……魔導王陛下への誤解を解くためには、まずお話をしませんと。」

 

 伯爵はバイザーを外した少女……ネイア・バラハの目を見た。見てしまった。それは見た者を恐怖で石化させると伝わる(いにしえ)の魔物メドゥーサを想起させる凶相で、歪な笑みは正にアンデッドへ魂を捧げる狂信者だ。何を考えているのか理解出来ないのも当然だ、思考基盤が人間と根底から異なっている。目の前にいるのは間違い無い……

 

 

 バケモノの中のバケモノだ。

 

 

 ●

 

 

「と、いうことがあったんですよ。シズ先輩。一応晩餐会も準備してたんですが、凄い勢いで帰られてしまいました。」

 

 会議室でストロベリー味を飲みながら、ローブル聖王国製アイスクリームを食べるのは、シズとネイア。シズはあの聖地巡礼の7日間以降、『魔導王陛下に感謝を送る会(仮)』に技術指南・活動観察をする〝仕事〟を任されたらしく、月に1,2回ほどやってくる。どう贔屓目に見ても遊びに来ているだけなのだが、シズもネイアもそれに気がつかない。

 

「…………ウエルカムドリンクで歓迎。アインズ様の慈悲深さと素晴らしさを説く。間違っていない。」

 

「ですよね!シズ先輩に言われたように頑張ったんですけれどねぇ。」

 

「…………ドリンクが好みでなかったとか?」

 

「う~ん、奮発した黄金紅茶のアイスティーだったのですが。」

 

「…………う~ん。難しい。」

 

「訓練の様子含め、わたしたちの活動も隠し立てしなかったですし。」

 

「…………謝りに来た人を許すのはいいこと。アインズ様も御赦しになっていた。」

 

「ええ、やはりアインズ様の偉大な慈悲深さを理解しても、わたし如きが伝えるのは難しいです。」

 

「…………む。わかった。」

 

「なんですか!?」

 

「…………ネイアの目。」

 

「ええ!絶対言うと思いましたとも!!」

 

 ネイアはふて腐れたように、大きくスプーンでアイスを掬い乱暴に口へ放りこんだ。

 

「そう言えばビンゴ大会でわたしが当たった空気清浄機ですが、凄いですね!文字通り本部の空気が一変しましたよ!」

 

「…………わたしはポーション詰め合わせだったのに。」

 

「同志皆で驚きました、あれから本部に身を置く同志は傷の治癒も早くなり、病はおろか、風邪を引く人間すら出ていないのですから!」

 

「…………ポーションと交換しない?」

 

「シズ先輩の頼みでもダメです!」

 

 ネイアはどこか誇らしげにそう言った。シズ先輩は「むっ」としたようだった。


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