ネイア・バラハの聖地巡礼!   作:セパさん

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・この話は後日談であり、蛇足です。ネイア・バラハの聖地巡礼!本編を前提とした話しとなっておりますので、ご了承下さい。

・IF設定が更に独自の進化を遂げた世界を舞台にお送りしております。

・キャラ崩壊注意です。

 以上を踏まえた上でお読み下さい。


【短閑話】影武者の脅威

 【魔導王陛下に感謝を送る会(仮)】総本部の執務室。絶対指導者ネイア・バラハの座る机の対面には、麗しい金髪をもち、整った鼻立ちをした少女3名が並んでいた。身長もネイアと同じ程度であり、その並ぶ姿は皆やる気に満ち満ちていた。

 

「バラハ様、同志たちよりバラハ様の御命を護られます、誉れを賜りたいと志願された3名をお呼びいたしました。」

 

 書記次長ベルトラン・モロが恭しく頭を下げ、ネイアへ告げる。ネイアは確かに未だアインズ様をよく思わぬ南派閥や聖騎士たちから怨敵とされており、実際一度聖地アインズ・ウール・ゴウン魔導国で暗殺未遂に遭っており、至高の御身を煩わせてしまった苦い経験がある。

 

 それ以降同志たちでも練度の優れたレンジャー部隊がネイアの周囲を、弓手部隊が遠方から索敵をし、刺客に目を光らせている。正直カスポンド聖王ですらここまでの護りを受けていないだろう。

 

 そんな暗殺対策において、何度か立ち上がった議題が〝影武者〟の運用だ。ネイア自身、自分如きにそこまで厳重な警備もいらないし、そんなことを考える暇があったら1秒でも魔導王陛下に挺身して欲しいと思っているのだが、〝魔導王陛下の代弁者たるバラハ様の代わりなどおりません!バラハ様の御命を守ることは即ち魔導王陛下に挺身すると同義です!〟と言って聞かない。

 

 そして何より影武者の運用をする上で一番の懸念とされるのは……

 

「同志3名の皆さま、皆さまのお心遣いには言葉もありません。しかしながら皆様の命をむざむざと危険に晒す真似は慈悲深きアインズ様への背信となりましょう。お気持ちだけ受け取らせていただきます。」

 

 思わずベルトランと少女たちに『鏡を見てこい!』とさえ言いたくなるが、ネイアは喉元でグッと堪える。3人の目はネイアの〝凶眼〟と称される殺人鬼のような目とは似ても似つかず、皆美しい瞳をしている。アインズ様より賜ったバイザー型ミラーシェードを装着すればまぁ似ていないこともなくなるだろうが、アインズ様より賜った神代の品に偽物を作るなどという不信心を行うつもりは毛頭ない。

 

 何より同志たちの前に偽りの自分を晒すという真似そのものをネイアは好きになれなかった。同志たちが苦心してくれたことには申し訳ないが、今回も断りを入れ、今後〝影武者〟を探す案は却下させよう。そう考えていると……

 

「…………あ、ネイア。仕事中。邪魔をした?」

 

「シズ先輩!」

 

「「シズ様!」」

 

 虚無の空間から姿を見せたのは赤金(ストロベリーブロンド)の長い髪をもち、アイパッチのない右目には翠玉(エメラルド)を思わせる瞳をもつ非常に整った顔立ちをした美少女。アインズ・ウール・ゴウンと同じくローブル聖王国では救国の英雄として名を轟かせているメイド悪魔シズその人だった。

 

「いえ!お久しぶりです、シズ先輩!また歓迎もできず……同志の皆さま、お話は後にいたしましょう。一度退室を願ってもよろしいでしょうか?」

 

 〝畏まりました。〟という声と共にベルトラン・モロと3人の少女が執務室から退室しようとする。しかし、3人の少女、その中でも比較的目つきが鋭い少女の腕をシズがつかんだ。

 

「…………ネイア。どこにいく?」

 

「「 え? 」」

 

 腕を掴まれた影武者志願の少女とネイアが同時に言葉を発する。

 

「…………話は少しだけ聞いていた。暗殺対策に影武者の運用は確かに重要。こっちで話をする。」

 

 そう言って影武者志願の少女をシズが無理やり引っ張りソファーへ座る。少女は救国の英雄であるシズ様がこれほどまでお近くにおられる光栄と、シズが持つ高級な茶葉のような匂いに陶酔し、顔が真っ赤に染まる。

 

「あ、あの、シズ様……。」

 

「…………テロリズムに対し有力者が影武者を運用することは紀元前から行われてきた話。連綿と今に至るまで実用されてきた。それ故有用性は説明するまでもない。ネイアの目は確かに味があるから同一人物に等しい者を探すのはほぼ不可能。でも姿かたちの一切を似せる必要性はない。何故ならば狙撃・毒殺・爆殺を企てる暗殺において相手はそこまで詳細に相手をみる余裕はない。なので背格好が似ていれば十分。」

 

「あのー、シズ先輩?」

 

「…………それとネイアは欺瞞作戦を軽視しすぎる傾向がある。アインズ様の高潔さに追いつこうとする熱意はいい。ただアインズ様の御名前を冠しながら敗北することこそ最も不敬であると理解するべき。」

 

 影武者志願の少女は滔々と語られるシズ様の美しいお顔が話していくうちにどんどん近くなっている事実に気が付いて顔どころか身体全体を真っ赤に染める。対して執務室の机の椅子から立ち上がったネイアはどこか泣き出しそうな顔になっていた。

 

「…………冗談。意地悪しすぎた。」

 

 そう言ってシズは影武者志願の少女と共に座っていたソファーから離れ、ネイアの元に歩いていく。少女は顔を真っ赤に染めながら一目散に部屋を後にした。

 

「もう……何の悪戯ですか!」

 

「…………でもさっき言ったのは本当。ネイアは欺瞞作戦の重要性について無知すぎる。アインズ様も戦闘においては如何に相手に偽りの情報を与えるかを重要視される。戦闘の基本であるとも仰っていた。」

 

「アインズ様が!」

 

「そう。敗者はすべてを失う。それはネイアも知っているはず。だからこそアインズ様は油断なさらず。確実な勝利をお求めになる。」

 

 ネイアの目に熱が帯びてくる。弱きは悪であると常々説いている身でありながら、自分はなんて些末な先入観を抱いていたのだろうかと恥じ入る。

 

「わかりました!同志たちに情報収集の重要性は常々説かせておりましたが、欺瞞作戦についても同じように重要課題として提起させていただきます!」

 

「…………うん。その意気。」

 

「あ、でもわたし如きに影武者はやっぱりいらないと思うんですよね。」

 

「…………確かにネイアの目には味がありすぎる。偽物を作っても流石にバレる。」

 

「さっきと言っていることが違うじゃないですか!?どっちなんですか!?」

 

(バラハ様……いつもはあんなにも凛々しく美しいのに、今日はとても楽しそう……。)

 

 影武者志願の少女は未だバクバクと高鳴る心臓を胸に抱き、絶対指導者ネイア・バラハと救国の英雄シズ様の会話を扉の外から不敬と思いつつも盗み聞きし、シズ様とご一緒にまるで友人の如く歓談できるネイア・バラハに対し羨望と尊敬を覚えていた。

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