ネイア・バラハの聖地巡礼!   作:セパさん

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・この話は後日談であり、蛇足です。ネイア・バラハの聖地巡礼!本編を前提とした話しとなっておりますので、ご了承下さい。

・IF設定が更に独自の進化を遂げた世界を舞台にお送りしております。

・キャラ崩壊注意です。

 以上を踏まえた上でお読み下さい。


【番外編】黄昏のぬくもり

 秋の終わりは近く吹く風は肌を震わせるほどに冷たい。吐く息は白く染まる。静かな秋の草原は黄金色となっており、横殴りとはいかないまでも強く吹く風がススキを揺らす。そんな草原に胸章や腕章を佩用する武装した一団が見えた。

 

 ネイアは射手の小手から漲る力で、アルティメイト・シューティングスター・スーパーの弦を絞った。アルティメイト・シューティングスター・スーパーから流れる力は精神を昂らせ感覚を極限まで研ぎ澄ませる。得られる膂力は弓と全身が一体化したかのように不思議なオーラで包まれたかのようだ。そしてバイザー型ミラーシェード越しに狙いを定め、一拍おいて矢に聖騎士の力を宿して放つ。

 

 ピュンと風切り音を後ろに残し目標の的……2kmは離れた岩のど真ん中に命中し、矢は何事もなかったかのように岩を貫通し粉々に砕いた。バリスタや破城槌を使ってもこうはいくまい。後ろからは喝采が湧き〝流石はバラハ様!〟という賛美の声が聞かれる。

 

「なるほど良い矢ですね。遂にオリハルコンの加工と魔法の付加に成功しましたか。」

 

「はい、【魔導王陛下鍛冶同盟】と共同し開発した品となっております。未だアダマンタイトの加工・魔法の付加は発展途上ですが、この魔法を付加したオリハルコンの矢であれば月に50本までならば量産できる算段が付きました。現在使者を送っている段階ではありますが、今後ドワーフの国と正式に技術交流会・採掘される鉱石の交易等、より良い国交が結ばれれば更なる量産が可能です。」

 

「それは素晴らしい事です!ドワーフの国はアインズ様……魔導王陛下への正しい忠義を持ち合わせている国でもあります。きっとお互いの交流は実りあるものとなるでしょう。」

 

 かつてローブル聖王国において<魔法詠唱者(マジック・キャスター)>といえば神官を指す言葉であり、軽度の治癒魔法を扱える聖騎士でも魔法の知識を持たなかった。しかし【魔導王陛下へ感謝を送る会(仮)】は既に多くの元神官や元冒険者といった魔法詠唱者(マジック・キャスター)を同志に引き入れている。

 

 そして元神官などは天使召喚や治癒といった武装親衛隊に回しているが、研究者の才能を見出された者は【魔導王陛下魔法具(マジックアイテム)開発同盟】に加入し、魔導王陛下より賜った聖典(ぐんじしょせき)に記載された未知の魔道具や武装親衛隊の強化につながる武具・防具を開発すべく研究職に回っている。

 

 ヤルダバオト襲来以前まで魔道具の製造に関してはリ・エスティーゼ王国やバハルス帝国に後れを取っていたローブル聖王国ではありえない進歩で、既にその技術はバハルス帝国の超越者フールーダ・パラダインの弟子たちが技術交流会にやってきても目を回すほどに独自の進化を遂げている。

 

 しかし偉大なる魔導王陛下の慈悲深き御手に包まれようと活動している(仮)が他国からの称賛如きで満足するはすもなく、その技術力は躍進していく一方であり、(仮)からすれば課題が山積していく一方だ。

 

「今後も魔導王陛下に恥じぬよう、弱きを脱するため、同志の皆さまには大きな期待をしており……イタい!」

 

 懸命に働いてくれた同志の皆に労いの言葉を掛けようとネイアが話を紡いだ直後、ネイアの額に小さな衝撃が走る。そして数秒遅れパァンという破裂音が響き渡った。

 

「おのれ賊か!バラハ様、御下がりください!」

 

「どこに隠れている、<溶け込み(カモフラージュ)>による位階魔法か!?」

 

 親衛隊がネイアを囲むが広い草原に人影は一切見えない。そしてネイアは自分の額に直撃した弾を見る。それはワインの瓶詰に使われるような軽いコルクだった。そしてこんな軽い弾で超超遠隔狙撃が出来る存在などネイアには一人しか――正確には人間ではないので一人と数えていいかわからないが――思い浮かばない。

 

「皆さま大丈夫です。警戒を解いてください。」

 

「…………射手としてまた練度を上げた。先輩として褒めるべき。」

 

 しばらくして現れたのは赤金(ストロベリーブロンド)の長い髪をした非常に整った顔立ちをした美少女。その左目はアイパッチで覆われており、右目に宿る瞳は翠玉(エメラルド)を思わせる。

 

「やっぱりシズ先輩でしたか。どこから狙ったのですか?凄いですね。」

 

「…………ん~。ずっとずっと向こうから。狙撃手の気配に気づかないとはまだまだ未熟。」

 

「うぅ……精進します。」

 

 難度150のメイド悪魔を発見できる日など来るだろうかと思いながらもネイアはガックリと項垂れる。周囲からは〝シズ様!〟という崇拝の声が聞こえてきた。

 

「同志の皆さま、改めてご苦労様です。今後も魔導王陛下のため励んでください。わたしはシズ先輩と総本部へ戻ります。」

 

「かしこまりました。ではシズ様、粗末な馬車ですがどうぞ。」

 

「…………いらない。ネイアと歩いて帰る。」

 

「え?」

 

「…………ネイアは嫌?」

 

「そんなことありません!では同志の皆さま、ここで解散といたしましょう。わたしとシズ先輩は歩いて戻ります。」

 

「さようでございますか、では失礼ながらお先に総本部へ戻らせていただきます。」

 

 本来であれば絶対指導者ネイア・バラハの身に何か起こってはと止めなければならないのだが、救国の英雄シズ様がご一緒となれば口出しするなどおこがましい真似はできない。同志一同は馬車に乗って草原を去っていった。

 

「…………それにしてもこの前までミスリルに手こずっていたのにオリハルコンの加工までいけたのは偉い。」

 

「ありがとうございます!これもアインズ様が我々に聖典(ぐんじしょせき)を託してくださったおかげにございます!」

 

「…………そう。でも形にしたのはネイア。アインズ様も独自のマジック・アイテムに大きな興味を示されていた。」 

 

「アインズ様がですか!?」

 

 思えば従者として近侍していた際、アインズ様は香辛料を作る魔法や下水処理の魔法などに大きな関心を寄せられていた。自分たちの作った稚拙なマジック・アイテムに関心をもっていただけるなど、これほど畏れ多く、同時に光栄なことはない。

 

「…………だから今後も頑張るよう先輩として応援する。ネイア寒そう。休む?」

 

「いえ、大丈夫ですよ。」

 

「…………う~ん。」

 

 シズ先輩は何か悩んでいる様子を見せ、しばらく考え込んだあと、ネイアを自分に近づけて首元に巻いている迷彩柄のマフラーをネイアにも巻いた。ネイアはそのマフラーの温かみとシズ先輩の温もり、そして紅茶にも似た良い香りに陶酔しそうになる。

 

「…………これなら寒くない。ネイアだから特別。」

 

 ネイアは寒さなど吹き飛んで顔が赤くなりそうになる。きっと、本当に特別なことなのだろう。シズ先輩の温もりを感じながら、ネイアは秋風の吹く黄金色の草原で、いつもよりも温かな気持ちになっていた。

 

「はい、これなら寒くありません。」

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