文体が堅苦しいけど、飲み会みたいなノリで、あと、原型のまま想像して読んでほしい。
アン・イシュワルダ、マム・タロト、凍て刺すレイギエナ、イヴェルカーナ、ジュラトドス、ボルボロス、それから、ラドバルキン、ウラガンキン、ジンオウガ、さあ、彼らの共通点とは?
長年、その地に住んでいたかの生物は、嘆いていた。「身ぐるみ剥がされた」と。
長年、その地に住んでいたかの女王は、嘆いていた。「あたくしも、身ぐるみ総てを剥がされましてよ」と。
人類の一部、そう、ハンター達から〝アン・イシュワルダ〟と呼称されることとなった其れが、聞き覚えのある声に振り向いた先に居たのは、マム・タロト。
「あらやだ、あんた。色薄くなったんじゃないン?」
「貴方は瘦せこけましたわね」
「それより、聞いてよお! あの小さき生き物ったらヒドイのよン! 開拓し易いように着込んでたのに、いきなり血眼になって脱がしてくるのン! 脱げちゃったらはしゃいじゃって」
「わかりますわ。彼ら、あたくしを脱衣させる度に大歓びで」
彼女は艶やかに溜息を大きく吐いた。
そこへ――。
「わっかるー! あたいもせっかく着飾ったのにバキバキ剥がされたんだよ!」
と、よく通る声で同意したのは、
深く何度も頷いていることから、この者も同じ被害に遭っていると分かる。
「自慢の翼も破かれますし……」
「尾羽切られてみ? 風に乗れなくて、超絶飛びにくいから」
次々と出てくる被害体験。特に、丸裸にされたアン・イシュワルダとマム・タロトの意気投合といったら!
そんなメスの様子を、少し離れたところで集まっているオスは「難儀だなあ」と話していた。それぞれが持ち寄った食品を、食べ比べしている。
「尾が切られるのは、なんかもう、当たり前になったよな」
「たしかに。オスで良かったー! 脱がされることねーもん! あっはっはっはぁ」
空の王者リオレウスに続いて、同じ赤い体表のオドガロンが
「え? なんて言った?」
と、真顔で彼を見た。
「いやだから、オスだから脱がされる心配なくて良か――……あっ」
前脚で口を隠すオドガロンに、ジュラトドスとボルボロスは、尚も無言で圧をかけた。
「悪ィ。悪かったって。――ごめんて」
そのやり取りを苦笑いで見つつ、この三体もヒトの所業についてぼやきを出す。
「ウラガンキンさんも、ウチと同じ被害に遭われてるんですよね」
「ああ……。転げて動けない時に、背中叩かれる」
「なにゆえヒトは叩く?」
「集めた鉱石を盗んでいく為だ」
「ウチら、鉱石をタールに絡ませて、走りやすいようにしているんです。ウチらというか、ウラガンキンさんは。ウチは骨ですわな」
「成る程、成る程」
「ジンオウガさんも、背中からなにか盗まれてたそうですね」
「うむ。調子が良くなる虫だ」
「どんな虫なんだ? 俺も欲しい」
「おしゅうらの地域におるだろうか。腹が光る虫ぞ。少し痺れる」
その単語に一際反応するのは、麻痺が大得意なドスギルオスで、神々しい雰囲気のジンオウガを遠巻きに見ていたが、俊敏な動きで近寄り、詳しく聞き出そうとした。
「ぼくなんて、メシ運んでただけなのに、ワッ! って驚かしてきて! タマゴ落としちゃったんだ……! うわぁああああん!」
「あーあーあー、よしよし」
おーいおいおいと泣くクルルヤックを慰めるリオレウスは、さすが妻帯者というところか。
これは、ヒトが未到達の地の、ある日の模様である。
「寂しくはないよ……うん、他の子が大変になっちゃうからさ。それでもね、外に出掛けたくてね、でも、瘴気吸ってないと苦しいからね、じゃあ携帯しちゃえばって助言もらったし、胞子しょってみたんだよ。太陽が眩しいから目にも胞子掛けてね。僕もハンターに、それ取られちゃうんだよね。だからね、あの食事会に参加して、語り合いたかったよう……」
太陽光があまり届かない瘴気の谷で、特製の器に注がれた酸の飲み物を、静かに飲んで、静かに涙する〝死を纏うヴァルハザク〟に、肉片を纏う〝ヴァルハザク〟が寄り添い、盃を交わしていた――。