僕のお父さんは円卓最強の騎士   作:歪みクリ殴りセイバー

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メリクリ!(手短な挨拶)
みんな二部五章はどうだったかな?私はCMからヒロイン感ぱなかったあの子が本当にヒロインしてて、ストーリークリアしてすぐに聖杯とスキル上げをしたよ!
今回は味方に別にいらなくね?って鯖がいなくて、本当に死力を尽くした感が凄かったぜ!あと何気に主人公に友情を感じる鯖は初で、キャラ的にもあの新キャラは良かった!で、エウロペどこ?
ガチャはどうだったか?……ハハッ!(乾いた笑い声)


幕間
円卓第七席と円卓第十三席


 それは、ブリテンの新たな円卓の騎士の誕生であった。

 かのガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガヘリス卿の兄妹であり、その美しい白い手からボーメインとも呼ばれた彼女の名はガレス。

 

 円卓第七席ガレス。

 

 それが彼女に新たに与えられた役職であった。

 

 

 

 

 

 

 

 後輩というのは可愛いものだ。その認識になったのは自分にできた今までの後輩たちが、皆素直でいい奴らばっかりだった、というのが大きい。

 円卓の騎士として……いや、ギャラハッドとして初めて出来た明確な後輩の名前はガレスというそうだ。あの太陽があると三倍の強さになる円卓の騎士屈指の強者であるガウェイン卿の妹である。……多分。男尊女卑の風潮が強い今のブリテンでは、アーサー王を始めとする数人の騎士が男として振舞っているため、女性でも男らしい格好をするのだ。ガレス卿もその例だろう。ただ単に女っぽい男という可能性もあるが。

 正直、円卓の騎士においてマトモな人はあまりいない。強さにおける話ではない。……いや、やっぱ強さにおいてもおかしいな。じゃなくて、性格的な話だ。

 ランスロットは言わずもがな、ガウェイン卿も大概戦闘狂というか脳筋なところがあるし、モードレッド卿もヤンキーみたいな性格をしている。宮廷魔術師ことマーリンさんもほぼ全員に好かれていない。

 まぁマトモと呼べる人がアーサー王、ベディヴィエール卿、あとはギリギリケイ卿くらいなのである。特にベディヴィエール卿はマジで心のオアシスである。

 そんな円卓に新しくマトモ(そう)な人材が入ったのだ。後輩ができたこととのダブルの嬉しさで小躍りしているところをマーリンさんに見られたのは生涯忘れないだろう。

 だがしかし、嬉しいことがあれば悲しいことがあるのが世の常。なんとこの子、ランスロットに憧れているのだそう。

 

————あかん! 

 

 この数年で同じ円卓の騎士として働いてきて、意固地になって認めないほど子供な年ではない。ランスロットは間違いなく【騎士としては】ほとんど完璧な存在であると言っていい……だがしかし! 男としては断じていいやつとは言えないのだ! 

 それでなくても、もしもガレスがランスロットに惚れでもしたら人間関係図はぐちゃぐちゃになってしまう。よもや原典でアッー♂な展開があったわけではなさそうだし……うん、というかなんでガレスも女体化してんだよぉぉぉぉぉぉ! 

 もう懲り懲りなのだ。あまりに円卓の騎士達が原典と違って女体化しているため、最早原典に従う必要があるのかを日々自問自答しているくらいだ。まぁ従うんだけどね。

 とりあえず、軽くランスロットから引き離すくらいの工作をしてみよう。オラァ、ガレス! 円卓の騎士には馴染めたんか!? 訓練するぞ付き合えオラァン! 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてぼろ負けである。なにこの子強すぎとか思ったが、よくよく考えればあのガウェイン卿の妹(弟?)だったことを思い出せば納得だ。即堕ち2コマである。くっ、殺せ! 

 

「ギャラハッド卿は凄いですね!」

 

 !? 

 

「————あの盾捌き!」

 

「……ああ、そっちか……」

 

「?」

 

 馬上槍試合で負けたのに褒めるから、「センパイお強いんですねぇwww」という痛烈な皮肉かと思ってしまった。こんな素直で可愛らしい子が実は毒舌だったら普通に泣きそう。恋愛シミュレーションゲームとかだと割りかしありがちな展開なんだけど、やはり二次元と三次元は違うのである。……そもそもアーサー王物語が二次元の話ではないのかという議論は置いておく。

 

「……何なら教えようか? 代わりに馬上槍試合の訓練に付き合ってよ」

 

「はっ、はい! 是非に!」

 

 もしガレスがイヌであったなら、きっと尻尾は扇風機にも劣らぬ速さでグルグル回っていただろう。屈託のない明るい笑顔は太陽のようである。……太陽っていうと無条件で頭の中にガウェイン卿が出てきちゃうな。

 まぁそんな感じでガレスとは接していたのである。

 馬上槍試合では己の馬術と槍術のみで戦う。つまり、ギャラハッドというチートボディでありながら、円卓の騎士に成り立てのガレスにあっけなく敗れたのは主力である盾と魔術が使えなかったからなのだ。そうだと信じたい。

 逆にガレスは攻め重視というか、守りがおろそかなので何でもありの模擬戦では負けることはなかった。さすがギャラハッドボディ。それに若干の脳筋ぶりでガウェイン卿と兄妹なのを実感できる。

 

「むー。やはりギャラハッド卿の守りが崩せません!」

 

「はっはっは。何で負けたか、明日までに考えてくるんだな。そしたら何かが見えてくるはずだ。じゃ、ガレスのおかず一個いただきます」

 

「くぅ……!」

 

 馬上槍試合の訓練の戦績が五分五分に近くなり、模擬戦は相変わらずだった頃には夕食を賭けることもあったし、何やかんやで一番模擬戦をした円卓の騎士であった。

 

「はは、ギャラハッド卿。随分とガレスと仲良くしていただいてるようで……」

 

「あ、はい」

 

「仲睦まじいことは良いことです……が、兄の立場は譲りませんよ! 

 

 なにを言ってるんだこの人は。

 

「兄様はなにをおっしゃってるのでしょうか……」

 

 ガウェイン卿曰く、よく模擬戦をしている姿を見て兄的ポジションを取られるのではないかと危機感を覚えたそうだ。改めて、なにを言ってるんだこの人は。それともブリテンにおける兄弟とは一子相伝の暗殺拳一家のように、ある意味戦うことが絆なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、このぉ!」

 

「ほいっと」

 

 今日もガレスと模擬戦をしている、いつもと変わらぬ日々の一幕だった。こんな日々がいつまでも続き、皆が幸せに暮らしていけるのならばどんなに良かっただろうか。近頃の国勢を夢想し、黄昏る。

 でも、僕は知っている。この国に幸せな結末は訪れないことを。どうしようもなく悲しい結末を迎えることを。滅亡という、最悪に近い形で終わることを。

 そんなことをぼんやり考えていたからだろうか。

 

「とぉー!」

 

「あっ……!」

 

 ガレス曰く、マーリンさんの魔術で幾重にも強化されたらしい槍が爆発的な推進力を生み、怒涛の連続攻撃を叩き出す。初手の対処が遅れ、段々と攻撃を捌ききれなくなったところに最後にして最大の一撃を打ち込まれ、盾は遥か彼方に消えていった。

 実戦であれば魔術で守りながら盾を回収することもできただろうが、模擬戦のルールとして得物を落としたら負けと条件をつけていたので僕の負けである。初めてのガレスに対する黒星であった。

 

「かっ、た……? や、やったー! やりました! イェーイ! ビクトリー!」

 

 初めての勝利に心の底からの叫びをあげるガレスに乙女の恥じらいみたいなものはなかった。

 負けたことがどうしようもなく悔しくもあり、自分(ギャラハッド)という存在が彼女にとって、ある意味でそこまで大きな存在となれたことを嬉しくも思った。

 

「こら、いい歳した女の子がいつまでも雄叫びをあげるもんじゃないよ」

 

「はぁーい! すみませんでした! ……ンフフ」

 

 注意されても嬉しそうな顔をするガレスを見たら毒気も抜かれてしまう。僕に勝ったのがそこまで嬉しいのかと訊くと、当然のようにはいと返された。まぁ、先輩冥利に尽きる後輩であったことは間違いない。

 その時は無意識に言っていた僕はもちろん、変身の指輪で男に見えるように姿を変えていたガレスでさえ僕がガレスを【女の子】と言ったのを嬉しさのあまり気付かずにスルーしたあたり、本当に嬉しかったのだろう。

 ちなみにその試合もおかず一個を賭けていたのだが、積年の恨みと言わんばかりに僕の夕食のおかずはガレスの美しい手……いや、口によって食い尽くされたのであった。

 その時に交わした言葉が、ガレスとの最後の会話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから間もなく、アーサー王が治めるブリテンの戦争は激化していき、僕は方々に駆り出された。後にも先にも、あれ程忙しい日々はもうないだろうと断言できるほどに休む間もなかった。もしギャラハッドの体が前世の僕のような一般人と同じ強度だったら即座に死んでいただろう。その場合、そもそも子供の時によくしていた魔猪狩りで命を落としていただろうが。

 最終的にはパーシヴァル卿と————正確には途中で彼の妹さんも加わったのだが————聖杯探索をしている最中に内乱が起き、ブリテンは最期を迎えることとなる。……かつての同朋達と共に。

 各騎士の最期について、原典の知識がなかった僕がそれらについて詳しく知ったのは、カルデアでギャラハッド……ないしは円卓に関する書物を読んだ時だった。

 結果的に、僕はガウェイン卿やアグラヴェイン卿、そしてガレスなどの円卓の騎士達の最期に立ちあえることはなかったし、お世話になったシスターも同様だった。そのことに関して、当時は後悔しかなかったが、今ではそれで良かったのかもしれないと思っている。

 もし彼らの死に目を直接見てしまっていたら、僕は感情に任せて更に歴史をグチャグチャにしていたかもしれない。ランスロットと本気の殺し合いをしていたかもしれないし、モードレッドを殴殺するまで拳を振るっていたかもしれない。まさしく僕がモードレッドにかつて言ったように、子供のような癇癪を起こしていただろうことはないとは言い切れない。

 きっと、ギャラハッドに赦された唯一の反抗は最期にアーサー王を……いや、アルトリア様を一目見ることくらいだったのだろうと自分を納得させる。ブリテンの結末を知っていたのに何もしなかった薄情者という汚名から逃げるための理由づけだということも否定はすまい。

 

 

 

 

 

 

 

 ——————……まぁ、ガレスに関してはそんな感じかなぁ。基本訓練してた思い出ばっかりだったけど……あ、料理作ってもらったこともあったな。ガレス、最初は厨房で働いてたらしいし。

 

 前世とか、結末を知っていたことに関してはもちろん伏せて、かつての思い出を懐古しながらマシュに語り聞かせる。鮮明に覚えているのにも関わらず、遥か昔のような、夢で見た話を語っているような感覚に陥る。

 

「ふふ。……あの……、ギャラハッドさんは、もう一度彼らに会いたいと思っていますか?」

 

 ——————出来るならもう一度会ってみたいけど……。ま、現代にもなって同じ世代の人達が揃うなんてこと早々ないだろうしね! (フラグ)

 

「そうかもしれませんけど……いつか、会えたらいいですよね」

 

 ——————……そうだね。

 

 

 

 マシュと立香が出会うより、遥か昔の二人の会話の一幕であった。




ちなみにギャラハッド君に変身の指輪が効かなかったのは、ギャラハッドって自分に対して作用するもの(デバフとか)に耐性めっちゃありそうという作者の偏見によるもの

幕間でやるなら?

  • 円卓の騎士時代の話
  • 特異点の話
  • カルデア(事件前)の話
  • それ以外に出てくるキャラとの絡み

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