艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』   作:サルスベリ

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 キャラ崩壊注意です、と言っておくが最初から崩壊していた事実に気づき、何時も通りですと始めようと思いますです。

 あ、タグのほう追加しました。

 ちなみにですが、皆さんはどれが好きですか?

 犬? 猫? 羊とか狼? 海の話だからクジラとか好きですか?

 的な話となっています。







ごく普通のネコなどいるはずがない

 

 

 その日は朝から異様な雰囲気が漂っていた。

 

 思い返してみれば、あの時に気づくべきだった。もうすでに手遅れにだとしても、後悔しても何も変わらないのに、何度も繰り返し『気づいていれば』と思ってしまう。

 

「ハァハァハァ」

 

 呼吸が荒い、どうしてこんなことになったのか、そもそも今回の原因が何だったのか、俺はもう思い出せない。

 

 田中・一郎です。現在、かなりピンチです。

 

 資材が少ないから? いやいや、そんなこと『もう慣れました』ので。

 

 ソープとエルが悪のりした。違います、もうそんなこと些細なことと言ってやれますよ。

 

「す、すまない。もうここまでのようだ」

 

「ソープ! 死ぬな! 息をしろ! 目を開けるんだ!」

 

「もうすぐ逝くよ、ラキシス」

 

「誰だそれ?!」

 

 真っ白に燃え尽きて倒れるソープに、俺はかける言葉が出てこないから。っていうか、おまえ彼女いたの?! そんな女顔なのに!?

 

「ごめんなさい、僕も。もうダメのようです」

 

「エル?! なんでおまえまで!」

 

 だっておまえは明らかに『そっち側』だろうが!

 

「僕も、『男』だったようです」

 

「エルネスティ!!!」

 

 フッと笑って倒れた彼に駆け寄ろうとして、俺の体は弾かれるように連れされてしまった。

 

「ギル! 離せ! 離すんだ!」

 

「よせマスター! もう手遅れだ!」

 

 何時も以上に切羽詰まったギルが、全力で走る。鎮守府の建物の中を必死な形相で。

 

「すでにアインズが沈んだ」

 

「なんだって?! どうしてあいつまで?! なんで、なんでこんなことになってしまったんだ」

 

「許せ、マスター。我は、我にももう手が出せない」

 

 嘘だ、そんなはずがない。俺様が一番偉くて強いってギルガメッシュが、何が来ても負けなかった英雄王が、『撤退』するしかない相手なんて。

 

「さっさと行けギルガメッシュ! 俺が抑えている間にマスターを逃がすんだ!」

 

「コナン! 何でだよ! なんでおまえが!」

 

「俺の戦闘スキルじゃ足止めにしかならないんだよ! だから逃げろ! 逃げてくれマスター!!!」

 

 コナンが、あのコナンが。必死に叫んでいたコナンが、ふと『前を向いた瞬間』、血の海に沈んだ。

 

「あ、あああ」

 

「ここまでくるか! マスター、先に逃げよ。後は我が殿となろう」

 

「ギル!」

 

 そこまでなのか?! そんな相手だったのか?!

 

「フ、マスター。おまえと過ごした月日、悪くなかったぞ。誇るがいい、この英雄王に認められたことを」

 

「ギル!!」

 

 そしてギルガメッシュは、彼が最も信頼する鎖と剣を持って突撃していった。

 

 最初から全力全開の英雄王、世界広しといえど勝てる相手なんていないって俺は信じていたのに。

 

「す・・・ま・・・な・・い」

 

「しゃべるな! しゃべらないでくれギル!」

 

 今、俺の目の前で血の海に沈んでいる。

 

 どうしてだ?! なんでこんな『凶暴になってしまったんだ』。

 

 俺はそこでふと、顔を上げた。来た、あいつが来た、来てしまった。すでに鎮守府は血の海の中にある。誰もが動いていない、妖精さんたちでさえ止まってしまったこの場所で。

 

 動いているのは、俺と『あいつ』だけ。

 

「く、来るなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺はありったけの叫びを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い返そう、死ぬ前に過去を見るっていうから、俺はあの時のことを思い出していた。

 

 あの日は、朝から異様な雰囲気の中にあった。

 

「お兄ちゃん、ユニコーンね、改になれるよ」

 

「へぇ~~~・・・・・え?」

 

「練度が上がって改造可能になったって話だよ」

 

 そうなのか、そっか。 

 

 褒めて褒めてオーラを出しているユニコーンの頭を撫でてやると、隣からシャッターの音がしてきた。

 

 おい、ギル。

 

 黄金の波紋の中に数十はあるカメラが浮かんでるんだけど、なんで勝手にシャッターが下りてくのさ。

 

「我の中の何かが叫んでいる。ユニコーンを記録せねば、と」

 

「本当、おまえってユニコーンが絡むと人が変わるよな。いったい、何があったんだよ」

 

 こいつ、絶対中身が転生者じゃないのか。修一が言っていた、『変態紳士』とか『イエスロリータ、ノータッチ』とかって奴だろ。

 

「ふ、失礼なことを考えているようだが、マスター。今日の我は気分がいい、特別に許してやろう」

 

 ダメだ、こいつは放っておこう。そのうち戻ってくるだろうからさ。

 

 英国関係で何か嫌なことでもあったんじゃないのかな、まさか英国系の女性に嫌われたかフラれたか。

 

 まっさかぁ、あの天下の英雄王の声をうけて拒否する女性がいるわけがない。だって見た目よし、半分神様なんだからもう美形中の美形で、それなのに女性っぽさがないかっこいい男だからな。

 

「グ」

 

 財力もある、この世の財宝のすべてを集めたって逸話があるくらいだ、ギル以上の財力がある奴なんて、過去現在未来を通していないさ。

 

「う」

 

 で、知識も凄い。古今東西のすべての書物や図書館よりも、その深い知能と知性は、本当に凄い王様だなって感じさせてくれる。

 

「・・・・・」

 

 その上でだ。

 

「マスター、そのあたりで止めておいてやれよ。そろそろギルが死ぬ」

 

「はぁ? なんでだよ、コナン。なんでギルが死ぬんだ?」

 

「自覚ないのかよ、バーロ」

 

 どういう意味だよ、お前。ギルは・・・・ってギル?!

 

「何があった?! なんでそんな生まれたての小鹿みたいにプルプルしているんだよ?!」

 

「フ、マスター、貴様は本当に我を楽しませてくれる。精神的に我を追い込むのは、おまえが初めてだぞ」

 

 いやマジで意味が解らないんだけど、精神的に追い込んだつもりなんてないからさ。

 

「お兄ちゃん、改造してもいい?」

 

 コテンって可愛く首を傾げるユニコーンに、俺は思わず顔を抑えた。

 

 うわ、可愛い。本当にユニコーンって仕草が危ないっていうか、儚げって言うか。もう抱きしめていい子いい子したいって欲求がわいてきて、無意識に近づいてしまいそうになる。

 

「こ、この威力は予想外だな」

 

「我の精神防壁を一瞬で貫通するだと?」

 

 あ、うちの馬鹿二人も倒れそうになっている。

 

「いいよ、してもらってきな、ユニコーン」

 

「はぁ~い」

 

 歩く姿も可愛い。あれで人見知りがなければ、もっとファンが増えるだろうに。どうしても写真とかビデオとかから逃げるから、うちの鎮守府の中でも知名度が最も低いんだよな。

 

 それに何故か外に映像を流そうとすると、ギルが『エア』抜くし。

 

 軍令部直轄になってから広報がユニコーンに取材を申し込もうとすると、もう最初から『エア』抜いたギルガメッシュがお出迎えするから、誰もユニコーンをメインにしなくなったんだよな。

 

 この時の俺はまだのんびりと鎮守府運営していた、と思う。コナンから回された書類にサインとかハンコしていて。コナンは難しい顔で資料とにらめっこしていて、ギルガメッシュは黄金の玉座に座っていた。

 

 というより、俺の執務室で最も目立っているのがギルっていいのかな?

 

 いいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その瞬間がやってきた。

 

「お、改造が終わったみたいだぞ」

 

「へぇ~~速いや。で、資材は・・・・」 

 

 資材を確認しようと立ち上がった俺は、非常警報を聞いた。

 

「なんだ?!」

 

「バイオハザード警報? 工廠の方だぞ!」

 

 コナンに言われて俺はすぐに通信を工廠に繋いだ。何時もなら妖精さん達が映像を送ってくれるはずなのに、この時は何故か『音声のみ』だった。

 

「何があったんだ!?」

 

『て、提督、私達は間違えた』

 

「は?」

 

 なんだ、この弱々しい声は? 妖精さんたちは何時も元気一杯で、楽しそうに仕事しているのに、こんな小さな今にも消えそうな声なんて。

 

『ごめんなさい、提督』

 

『もう二度と会えなくてもごめんなさい』

 

『僕たちは提督と一緒で楽しかったよ』

 

「何があったんだ?! 妖精さん?!」

 

 俺の叫びに事態を察したコナンは、速やかに第一艦隊を工廠へと向かわせてくれた。

 

 でも、第一艦隊からの通信は来なかった。続いてジャベリン達も送り出し、イムヤ達まで向かわせた。

 

 けど、誰からも通信は届かなかった。

 

「何が起きたんだ?」

 

「艦娘が全滅する事態なんて、想像もつかねぇよ。とにかく、行くしかないな」

 

「我も共に行こう、ユニコーンが心配だ」

 

 ブレないよな、ギル。

 

 そして俺達は工廠に向かった。向かってしまったんだ、行かなければ知らなかった、見なければ苦しまなかった。こんなことになって、誰もが傷つかずに平穏な鎮守府生活を送れたはずなのに。

 

 ソープ達も合流してしまい、そのまま全員で工廠に向かったのが、俺達の末路を決定してしまった。

 

 そこで見たのは、血の海に沈んでいる妖精たち、艦娘達。

 

「何があったんだよ」

 

「マスター!」

 

 呆然としていた俺の腕をコナンが掴んだ。なんだ、なんで俺を連れ出そうとするんだ!

 

「原因が解った! 逃げろ! 今すぐ逃げろぉぉ!」

 

「何があったんだよ!? いったい工廠で何があったんだよ?!」

 

 訳がわらかない。俺だけ逃げていいはずがない、ソープもエルも置いてきた。アインズはさっきから動かないし、ギルも全身を震わせている。

 

「『あれは駄目だ』。ダメなんだ」

 

「コナン!」

 

 そして俺達は逃げ出した。俺は何も解らずにコナンに引っ張られて、そしてやがて一人、一人と『あいつ』の餌食になって倒れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長いこと夢を見ていたようだ。数時間前のことなのに、とても長いものを見てしまっていたのかもしれない。

 

 皆が血の海に沈んでいる。あの神様のソープも、改造馬鹿のエルも、魔王ってくらい怖い装備のアインズもだ。

 

 コナンも沈み、ギルも沈んでしまった。

 

 怖い、本当に怖い。このメンツを一撃で、一目で血の海に沈めることができるなんて。そんな相手がいるなんて信じられない。信じたくなんてないが、事実を受け止めなければ。

 

 しっかりしろ、田中・一郎。絶叫している場合じゃない、相手の正体をきちんと確認して、俺が皆を助けるんだ。

 

 まだ間に合う、間に合わせる! 俺が最後の防壁なんだぞ!

 

 立ち上がれ、震える足を叩きながら俺は立ち上がり、両手を広げて瞳をしっかりと開いて、口を大きく開けた。

 

「こい!」

 

「お兄ちゃん」

 

 そして俺の視界に『猫耳メイド服』のユニコーンが飛び込んできた。

 

 にゃ~んって言葉が見えたよ、ああ。俺はもうダメだ。全身から力が抜けていく、これが皆が見てしまった景色か、なんていう破壊力だ。一角獣のぬいぐるみを抱いて、何時もよりもちょっと赤い頬の恥ずかしそうな顔の彼女の破壊力が、俺の全身を貫いていく。 

 

 もう体の底から何かがわき上がってくる。白い肌に白いメイド服なんて邪道だって誰かが言っていたが、それもありではないだろうか。穢れを知らない白の重ねがけ、純白のメイド服に白い肌なんて邪道ではなく王道。これぞまさに真理だ、可愛い女の子が可愛いフリフリのメイド服を纏っているなんて、この世の理想ではないか。

 

 俺の体が震える。いや、待った。王道じゃない、その上だ。覇道だ。フリフリの白いメイド服だけでも破壊力は戦術級。ロリっ子が纏っているから背徳感まである、なんだこの威力は。世界を壊す気なのか。ロリっ子にメイド服は核兵器に匹敵する威力を持って、世界中を蹂躙してしまうではないか。 

 

 いやいや、俺よ、落ち着くんだ。よく見ろ、彼女の頭に『猫耳』が付いているではないか。

 

 グハァ!! 俺のライフをそこまで削るか、ロリっ子メイドの猫耳など都市伝説でしかないはずなのに、目の前にあるなんて。この絶大な威力は世界を破壊し再生する。まさに宇宙の誕生、ビックバンか。創世記とはこういったものを言うのか。ちょっと恥らしいつつも、期待のこもった瞳を向けてくる彼女には純粋な気持ちしかない、あざといものがない、そこにあるすべての白が彼女の心を示しているようで。まさに『純白にて純粋』、これ以上の白さなどこの世界のどこを探してもないだろう。まさに完璧、まさに王道にして覇道、神々さえも作れなかった、最高の奇跡が俺の目の前にいる。

 

「お兄ちゃん」 

 

 ダメだ、止めろ、ユニコーン待つんだ。近づくんじゃない、そんな警戒心ゼロの顔で近付いてきたら、思わず抱きしめてしまうじゃないか。そうなったら俺は、俺は。

 

 俺はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 こうして俺は血の海に沈んで行った。ごめんなさい、征服王。俺のオケアヌスは赤く染まってしまったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、きちんと改造し直されたユニコーンに、残念さ半分、嬉しさ半分といった俺達がいた。

 

「なあ、マスター、ユニコーンのスロットに妙な艤装があってな?」

 

「言うな、コナン。それは封印だ」

 

「ああ、そうだな」

 

 コナンが持っていた資料に、『ロリっ子猫耳メイド』なんて単語はなかった。なかったといったら、なかったんだ。

 

 『可愛いは世界を征服する』って単語ならあったけど。

 

 

 

 

 

 

 




 

 普通のネコはいませんでした。でも、猫っぽいものならいたなぁというお話でございます。

 暴走中につき、どうかご容赦ください。

 でも、暴走しているほうが書き易いってどうしてなんだろう?

 的な話です。




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