艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』   作:サルスベリ

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 普通って何かを模索中。

 普通って意味を考える日々の中でありました。

 けれど、普通って自分が思っていることは、他人からみたら『非常識』だったことありませんか?

 あ、ない、そうですか。

 的な話です。







ごく普通の遠征任務でした

 

 その日は朝からやけに鎮守府が騒がしかったのを覚えている。

 

 どうも、田中・一郎です。

 

 こんな出だしの話が前にあったような、なかったような。あ、あの時はユニコーンの可愛さが炸裂して、鎮守府が沈むところだった。

 

 いやいや、可愛いって罪であり兵器であり、最強最悪の原罪だよね。

 

 言い過ぎ? 言い過ぎじゃないって、目の前にしてみれば可愛さの凶悪さは十分によく解るって。

 

『ふ、くくくく可愛いは正義』 

 

「止めようか、妖精さん、俺は貴方を殺したくない」

 

『くくくく、可愛いこそ我が王道! 時の王者、かかってこいや!』

 

「どうしてそこにケンカ売るかなぁ?!」

 

 最近、うちは艦娘だけじゃなくて妖精さんも普通じゃなくなりました。

 

「く、普通の鎮守府運営してたいのに」

 

「・・・・・」

 

 なんだろう、コナンが半眼で見てくるんだけど、普通の鎮守府運営したいだけなのに。

 

「大切なことなんでもう一度、普通の鎮守府・・・・あれ?」

 

 待った、ちょっと待とうか。俺は何か大切なものを忘れている気がする。もっと重要で、俺のもっとも大切な、そう魂のようなものを忘れてないか。

 

 思い出せ、思い出すんだ、田中・一郎!

 

「マスター、あのな」

 

「なんだよコナン、俺は今、大切なことを思い出そうとしてだな」

 

「それより先にやるべきことがあるだろ?」

 

 やるべきこと? なんだっけ?

 

「本当に、ほ・ん・と・う・に! 覚えてないのか?」

 

 あれ、なんだろう、いつになくコナンがすっごい怖い笑顔している。え、そこまで、激オコになるくらいのこと?

 

「え、あれ?」

 

「書類だよ、しょ・る・い!」

 

「・・・・・・ああ! あれか!」

 

「思い出したか、まったく余計な世話を・・・・・」

 

「間違えてシュレッダーにかけた!」

 

 フ、人は失敗するものだよ。こんなこともあるものさ、書類の整理していたら間違って『ガー』って。

 

「・・・・・・・てめぇは何してんだよ?! 馬鹿なの!? アホなの!? 死ぬの!?」

 

「さりげなくマスター殺しを宣言するなよ、コナン。弱く見えるぞ」

 

「あああああああもう!! おまえいっそのこと潰れちまえ!」

 

 くくくくく、君が悪いのだよ。俺を怒らせるから。

 

 そしてその後、俺は軍令部総長から直々に呼び出しをくらって、二時間もの説教を貰うのでした。

 

 解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 懐の深い高野総長でも、今回の一件はすっごい激怒していました。

 

 『おまえ、死にたいのか?』。笑顔を浮かべた高野総長が怖いって、初めてだなぁって思いました。

 

「えっと、『提督とは艦娘を指揮する者のことであり、何よりも海の平和と平穏と自由を愛し、常に危険の中に飛び込み、困難を愛し苦労を省みず、常に苦難の道を進む軍人を示す』と」

 

「・・・・・・・・はい?」

 

「なんだと?!」

 

 いやコナン、ギル、うるさい。

 

「『また海軍の軍人である以上は、提督はいついかなる時も紳士的であり。悲運に嘆く者あれば速やかにその身を救い、絶望に沈む者あれば傍らに立ち支え続ける矜持を持つ者でも有る』

 

「え? えええ?!」

 

「なんですとぉ?!」

 

 ソープとエルも悪のりするなって。

 

「『私にとって提督としての心構えは、五省を尊び、あらゆる困難苦難から逃げず、常に紳士的であること。そして自分を律し厳しく、他人に優しくしていく者を示す』と」

 

「この世界に終わりが来たというのか?! ならば我が歌をささげよう!」

 

 アインズ、最近、形振り構わずに歌うようになったな。

 

「よっしできた。後は送信して」

 

「待った! ちょっと待ったマスター!」

 

「なんだよ、コナン。俺は今やっと書類が終わってだな」

 

「なんだその建前と綺麗事だけの文章は?! 場末の脚本家でももっとマシな言い訳をかくぞ!」

 

「いや提督としての心構えを書いたんだけど、なんでそんなに否定的かな?」

 

「普段の自分をよく省みるがいい」

 

 ギル、そんな真顔で言わなくても。普段の俺、普段の俺って言うと。

 

「間違ってないな」

 

 おい、なんだよ、お前ら。なんでそんな『この世の終わり』って顔しているのかな? 間違ってないだろ、俺は普段からこう紳士的かつ努力家だろうが、どうしてそんな『え、馬鹿なの、アホはの、いい加減にしろよ』って顔しているかな。

 

「グータラ提督、仕事しない馬鹿、書類丸投げ軍人」

 

「誰だそのいい加減な奴は、俺がしっかりと説教してやる」

 

「お・ま・え・の・こ・と・だ・よ!」

 

「ええ?! ちょっと待てよおまえら! 俺の何処が」

 

 と言いかけたところで、皆が凄く怖い笑顔を浮かべて近寄って来たので、俺は速やかに言葉を引っ込めてジャンピング、土下座しました。

 

「ごめんなさい」

 

「解ればいんだよ、バーロ」

 

 ううう、なんだか初めてくらいにコナンが怖かった。ソープもエルも、あんなに怖いわけ。アインズは普通に魔王って感じだから、怖い時は怖いからいいけど。いやよくないか。

 

「コナン、あいつがああなのはおまえが頑張り過ぎだからじゃないか?」

 

「アインズ、それはどういう意味だよ?」

 

「けどな、鎮守府が沈むぞ?」

 

「なんで無視?」

 

 俺を余所に会話するコナン達に、ちょっと半眼で睨みつけてみたら、すっごい殺気が戻ってきました。

 

 うううう、俺は提督なのに。

 

「今は軍令部直轄。迂闊な運営をしても、何とかなるだろう?」

 

「いや、そりゃそうだろうけどよ。あのマスターだぞ?」

 

「僕もアインズに賛成だよ。ちょっとやらせてみようよ」

 

「僕もです。ここはビシっと現実を突きつけないと」

 

 うわ、ソープもエルもあっち側についた。なんだよ、なんだよ、俺は何時だって真剣にな。

 

「・・・・・やらせてみるか」

 

「おい、コナン」

 

「マスター、ガンバ!」

 

 なにおまえ、そんなにいい笑顔するほどのことなの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、俺が一人で鎮守府を回すことになりました。

 

 えっと、これが遠征の申請書と、遠征航路図と、遠征用の艤装持ち出し許可証に、不意な遭遇戦の時の戦闘許可及び撤退許可と。で、艤装内部への実弾の装填許可と、遠征時における戦術及び相手側の情報の添付。

 

 あれ?

 

 遠征だよな、戦闘じゃないよな?

 

 俺はもう一度と書類を確認してみた。確かに遠征って書いてある。え、戦闘関係の書類も必要なの? 普通、遠征って戦闘しないんじゃないの?

 

 あれぇ?

 

 遠征用の艦隊編成申請書、遠征時における燃料の消費、弾薬の消費、それに関係する非常時の資材の保有数及び消費資材の確保。

 

 ん、なんだか違う書類が混じっている気がする。前にコナンが書いた遠征関係の書類はこっちにあったから、参考にして見よう。

 

「・・・・・・おうシット」

 

 間違ってないや、本当にこれだけの書類をやっていたんだな。ああ、コナン、おまえの偉大さが今になってよく解ったよ、俺は何をしていたんだろう、気の迷いじゃ済まないな。

 

「よっし、気を取り直して。遠征用の書類を頑張って作成しましょうか」

 

「え? まだできてないんですか?」

 

「うん、もうちょっと待ってね、ジャベリン」

 

 今がんばってやっているから、もうすぐ終わるから。

 

「・・・・・・申請書類って遠征前提出ですよね?」

 

「そうだね」

 

「私たち、もう遠征に行く時間なんですけど、大丈夫ですか?」

 

「ん、大丈夫、大丈夫」

 

 だと思うよ、本当。軍令部直轄なんだから、遠征なんて行かなくても資材もらえればいいのに。前に大和と電が改二になってから、資材の消費量が一気に跳ね上がるから、『時間を見て遠征やれ』とか言われたし。

 

 よっし、これで全部。なんだ、やればできるじゃん。

 

 というわけでキンジに。

 

『却下だ、馬鹿野郎』

 

「なんだとこの野郎」

 

『遠征申請書類は二日前提出だろうが、鎮守府法をよく読んでおけよ、この馬鹿間抜け』

 

「てめぇ、いい度胸だ。大和けしかけるぞ」

 

『七草さんを送り込んでやろうか?』

 

 チ、あいつのほうが口が上手いじゃないか。こんな時の論争は俺じゃなくて、ソープとかやるとすっごいいい結果になるのに。

 

「第一さ。なんで遠征書類に戦闘関係の書類がつくんだよ。遠征って資材確保だけじゃないの?」

 

『不意な遭遇戦の時に艦娘が戦えませんじゃ、犠牲が出るからだ。そんなことを知らないのかよ?』

 

「知ってます。でも、あれは非常事態で戦闘行為は事後報告でいいって話じゃなかったっけ?」 

 

『ああ、そうだな。でもおまえんところの鎮守府の遠征は『安全な内地及び海域』じゃなくて、『敵中枢及び敵の勢力圏内の奥』だろ?』

 

 え?

 

 いや待って、何それ。どういうこと?

 

 思わずジャベリンに顔を向けると、サッと反らされた。え、待って、何時からそんな無謀な遠征になったの? え、どういうこと? だって練度がそんなに上がってなかったじゃないの。

 

『薙ぎ払いって知ってるか、阿呆?』

 

「いや、なにその危険だけの単語」

 

『おまえんところの艦娘はな、全員が海域を『薙ぎ払えるん』だよ。もう一蹴だよ、一蹴。まあ、俺達も最近になって知ったんだけどな』

 

「え? ええええ?! ジャベリン!?」

 

 俺はおもいっきり叫んだ、叫んだまま彼女の両肩を掴んで引き寄せる。

 

「何したの?!」

 

「え、あの、その・・・・・・提督、明るいうちからは駄目ですよ」

 

「あ、はい」

 

 そっか、そっか。明るいうちは駄目か、じゃ夜になってからだな。うんうん、そっかぁ。

 

「って騙されるかぁぁぁぁ! 誰が最初にやったの?! 一番最初にそんな危ないことしたの誰?!」

 

 まさか、エンタープライズか。いや大和って可能性が高い、イオナやコンゴウもあれでプッツンブッパやりそうだ。信濃や土佐は安全だ、別の意味でイムヤとゴーヤも外せる。

 

 電は艤装が危ない気がするけど、あの子は優しいからな。ユニコーンも同じ理由で大丈夫だ。愛宕は微妙だろ、歩く弾薬庫って誰かが言っていたし。

 

 如月は防御は高いだけで遠距離攻撃や広域攻撃はできないはずだから、出来ないよね? レーザーとかビームとかやれる気がするけど、出来ないってことにしておこう。夕立は魚雷の種類だけだから、薙ぎ払いは無理だし。天津風は速度最優先のはず。睦月はもっと一対一の戦闘が主体だって言っていたから。

 

 フロンティアとエターナルは最近になって来たから外せる。これは簡単。

 

 え? あれ、誰も残らないけど、誰がやったの。

 

「本当に言わないとだめですか?」

 

「当たり前だ。頼む、ジャベリン、どの『艦娘』が最初にやったの?」

 

「え?」

 

「あれ?」

 

 ちょっと困った顔のジャベリンに、俺は色々と察してしまった。あ、これは『艦娘が最初じゃないな』と。

 

 ということは、だ。艦娘じゃなくて広域攻撃ができる存在っていうと、誰がいるかって言うと。

 

 ダメだ、当てはまる奴が多すぎて、割り出せない。

 

 コナンだって最大の宝具は、世界をひっくり返すし。ギルの宝具は確か『対界宝具』だ、それ以外もいっぱいあるから薙ぎ払い楽勝だろう。ソープも空間ごと崩壊させられるし、エルの最大攻撃はそもそも太陽を発生させる。

 

 で、アインズ。あいつの最大攻撃は一面が死に絶えて滅びるから、薙ぎ払うって表現にはちょっと遠いかなって気がするけど、あれが『あいつの中での最大攻撃』じゃないかもしれない。

 

 く、ダメだ。誰だ? 誰なんだ?

 

「教えてくれ、ジャベリン。誰が最初にやった?」

 

「解りました。最初にやったのは」

 

「最初にやったのは?」

 

「コナンさんに、ギルさんに、ソープさん、エルさん、アインズさんです」

 

 まさかの全員正解?! なんで?! なんでそんな全員でやっちゃったの?!

 

「提督が言ったからじゃないですか。『あ、この中で誰が一番、攻撃力が強いんだろうね』って」

 

「・・・・・・・・ああ」

 

 いや忘れた、ばっちり思い出したよ。うんうん、そうだ、確かに言った。あの時はちょっと眠くて油断していて。目の前に全員がいたから、『誰が強いの』的なことを言った。

 

「そっか、そっか。キンジ! 俺が原因だった!」

 

『へぇ~~~そうか、そうか。死ぬかてめぇ』

 

「ごめんなさい」

 

 俺は素直に通信機に向けて土下座したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日は、やたらと鎮守府が騒がしかった。

 

 誰もが嬉しそうな顔をして港に集まっていた。なんでそんな顔をしているのか疑問だったんだけど、怖くて聞けなかった。

 

 俺は臆病になったのかな?

 

 いや人間は元々が臆病なものだ。俺だけがそうじゃない、誰だって怖いものには近づかないだろ? 

 

 なあ、同士諸君。戦争の時間だ、とでも言えばいいのか。

 

「じゃマスター、ちょっと行ってくるからな」

 

「え、コナン、何処にだよ?」

 

「何処って・・・・・・」

 

 見なれたスケートボードの上に乗ったコナンが振り返る。並に揺られる彼は揺れることなく振り返って俺に笑いかけた。

 

「ちょっと遠征して資材を取りに」

 

「あ、はい」

 

 とてもいい笑顔で、とても怖い気配を持って。

 

 こうして俺は、うちの鎮守府の『全戦力の遠征』を見送ったのでした。

 

 後日、高野総長から『おまえ、苦労していたんだな』って言葉と、『海の資源の一人占めは禁止されているからな』ってお小言を貰いました。

 

 そっか、そうだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 




 

 艦これはゲームやったことないです。動画は見たことあります。遠征で資材が貰えますよね、あれって味方の海域だけなんですかね、戦闘とかないんですかね。

 え、敵の領海から貰ったほうが多くね?

 的な話でお送りしました。





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