艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』   作:サルスベリ

13 / 18


 さてさて、最後の防壁(コナン)がアウトしました。

 もう主人公を護ってくれる防壁はありません。

 さあ、下り坂ではなく穴が空いたように落下してくれるかな。

 それとも持ち直すかな。

 的な話です。







ごく普通の提督になれた気がします

 

 

 今日も何処かで悲鳴が上がる。

 

「・・・・おい」

 

 きっと誰かが悲しんでいるのだろうが、今の俺には力がない。

 

「なるほど、そうなったか」

 

 力がないけど、出来ることはある。しっかりと書類を作成し提出し、戦術を考えて指揮する。

 

「怖いなぁ」

 

 今日の遠征書類はこれでよし、次は戦闘か。いや待った、確か他の鎮守府からの応援要請があったはずだから。

 

「こ、怖いですね」

 

 あったあった、これか。敵の予想戦力はこっちにあるから、向けるとしたら大和にイオナだな。エンタープライズは念のためにつけよう。

 

「決まったぞ! 『提督の逆上! 我が世の果ては来たれり!』だ!!」

 

 土佐と信濃は南方の調査に向けよう。深海棲艦の様子が怪しい、念のためにイムヤとゴーヤは海中からの調査を。コンゴウは鎮守府に残して、念のための予備戦力だ。

 

「・・・・・お、俺は間違っていたのか?」

 

「コナン、おまえはよくやった。よくやったが、やりすぎたようだ。見るがいい、あのマスターの顔を」

 

「うんうん、提督って顔しているね」

 

「そうですね、凄いです」

 

「素晴らしいぞ!」

 

 なんだかうるさいな、どうしたんだよ、お前ら?

 

 コナン、ギル、ソープ、エル、アインズ、そんなところで首を並べているなら仕事しろよ。

 

「マスターに言われた。マスターに言われた」

 

「コナン、落ち着くがいい。それ以上は止めておけ、我の愉悦センサーが盛大に動いてしまう。おまえを標的にはしたくない。今は、な」

 

 どうしたんだよ、なんでギルはそんな慈愛と笑みを含めたような顔して、何かを我慢しているんだよ。

 

「いいから仕事しろよ、おまえら。ただ飯ぐらいはいらないぞ」

 

 まったく。

 

「おまえが言うな!!」

 

 え、なんで俺が怒鳴られるの。俺、普通のことを言っているだけだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからな、なんでおまえはたった一週間でそんなになってんだよ? なんで普通に仕事してんだよ、何があったんだよ? 俺達が遠征に行っている間に何があったんだよ?」

 

「コナン、そんなにいきなり色々と聞かれても困るから、ちょっと待て。ジャベリン、遠征なんだけど、艦隊を二つに分ける。ジャベリンと吹雪を旗艦にして、二編成だ」

 

「解りました」

 

 よっし、これで艦隊二つ分の資材が確保できるな。編成はどうするか、駆逐艦だけでもいいが、念のために空母も入れないと。

 

 ジャベリンの方に電を入れて、後は如月と夕立。吹雪の方は天津風に睦月で組ませた方がいいな。艤装の能力値から考えても、吹雪のほうが速度を上げていくからな。

 

「よっし、いいぞ、コナン。で? なんだよ?」

 

「いや、いい。なんでもない」

 

 簡単に引き下がるなよ、気になるじゃないか。何か質問したいなら、俺がきちんと聞いてやるから。

 

「この状態のマスターが続けば、きっといいんだろうけど、なんだか何か大切なものを失ってしまったような」

 

「お~いコナン、いきなり考え事して何があったんだよ?」

 

「いや俺の気の所為だ。そうだ、今のままが一番なんだからな。よっし、じゃあマスター書類は終わってるんだよな?」

 

「ああ、終わっているぞ」

 

 見るかとコナンに差し出すと、彼はすっごい勢いで読みだした。うわぁ、あれくらいの速度で読める能力が俺にあればな、もっと効率的かつスピーディーに事務仕事ができるのに。

 

 そうなれば、他に出来ることが増えるのになぁ。

 

「すげぇ、完璧だ。あれだけできなかった書類が、こんなに完璧に終わっている。本当に何があったんだよ? 俺たちがいない間に何があった?!」

 

「何がって・・・・・ただ七草さんと高野総長が来て、俺に教えてくれただけだけど?」

 

 うん、いい思い出だな。

 

 もう震えが来るほど、色々と教えられた。二度と味わいたくないほどに、体の底から徹底的に叩きこまれた。

 

 資材管理から艦隊運用、近隣への対応から書類の作成・管理まで。色々あったなぁ。

 

「マスター、どうしたんだ?」

 

「ふ、ふふふ、コナン、俺はもう二度と前には戻らない。ビバ普通だ!」

 

「お、おう。本当に何をどう教え込んだんだよ、高野総長。あのマスターがこんなに立派になって」

 

「ふふふふふふふ、俺はもう二度と書類を投げ出したりしない。あの地獄をもう一度なんて絶対に嫌だ。毎日毎日、一時間睡眠とかあり得ない。人間は七時間の睡眠が普通なんだぞ、それを居眠りしたら撲殺されかけるって」

 

「ギル、よせ」

 

「コナン、王の決定である。さがれ」

 

「ダメだ、ギルガメッシュ。今は駄目だ」

 

「下がれ、我の中の愉悦が叫んでいる。今のマスターに何かしたら、もっと面白い何かが来る、と」

 

「いやそれ元に戻るだけだろうが!」

 

「どけ! 名探偵! 王の前を塞ぐとは何事か?!」

 

「俺が絶対に阻止してやる! もう二度とあんなことは嫌なんだ!」

 

「よかろう、ここで決着をつけてやろう。来るがいい、名探偵よ」

 

「その傲慢さを打ち砕いてやるよ、英雄王」

 

 あれ、なんだろう、何か震えている間にうちのサーヴァントが凄い気配で睨み合っている。

 

 あれぇ~?

 

 なんで二人とも宝具を抜いているのかな、どうしてそこまで殺気だって笑顔になっているのかな。

 

「いや、ちょっと待て、二人とも。ここ鎮守府、ここでやったら資材が」

 

「行くぞ『エア』よ! おまえに相応しい舞台が整った!」

 

「来いよ! 俺の全部をかけておまえを砕いてやる!」

 

「だからちょっと待てって!」

 

 なんかヒートアップしてるんですけど?! 

 

 だれかいないか、誰かこの二人を止められる奴は。どうにかして止めないとせっかくの資材が。

 

「そうだ! 妖精さん!」

 

『呼ばれました』

 

『飛び出しました』

 

『何か御用ですか?』

 

「あの二人を止めろ!」

 

 もうなりふり構っていられない! どうなってもいいから資材だけ護れたら! 護れたら!

 

『ではこのカードです』

 

「・・・・・え?」

 

『タイムベント(仮)』

 

『時は巻き戻りますです』

 

 はい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そして、時は動きだす』

 

 あれ? 何この妙な恰好の妖精は? 

 

 妖精様って呼ばないといけないのかな、どうしてそんな変な恰好しているのかな。

 

「マスター、何したんだよ?!」

 

「この我を出し抜くだとぉ?!」

 

「え、いや何したって?」

 

 何が何やら。えっと、この妖精、背中に『でぃお』って書いてあるけど、何ものなんだろう、初めて見たけど。

 

「今、時間を操作したの誰?! すっごい三次元が不安定になったんだけど?!」

 

「え、ソープ、何がなんだって? 時間って操作できるの?」

 

 うわぁ、何それ。時間操作ってどんなチートなのさ。

 

「時間操作とは高等技術を使うものだな。フフ、このアインズ・ウール・ゴウン、久しぶりに全力で戦えそうだ」

 

「いや待った。なんで昔の『魔王』スタイルに戻っているわけ?」

 

「違うのか? ならばこのニュースタイルだ!」

 

 おう、なんだか一瞬でアインズが豪華絢爛な極悪魔王から、カウボーイスタイルの若大将になったんだけど。

 

「フ、やはり私はこういったスタイルがもっともしっくりくるな。どれ、この格好のまま街角で流しの歌手でもしてみようか」

 

 いや止めて、なんで嬉しそうに歩きだしているのさ。待って待って、本当に待って、せっかく街の人たちが『あ、ようやく普通の鎮守府になった』って喜んでいたのに。

 

 せっかく、普通の鎮守府になれたのに。

 

 ビバ普通だったのに。

 

 あれ? あああ!

 

「そっか! 俺は普通の生活をしたいだけで、普通の鎮守府生活がしたいわけじゃないんだ!」

 

「今そこかよ!?」

 

「遅い! 遅すぎるぞ道化!!」

 

 やっと思い出した。俺は普通の生活を送りたかった、それだけなのに。

 

「マスター、落ち着け」

 

「コナン、俺は何をしていたんだろう、提督なんて俺には無理だ」

 

「いいか、よく聞けよマスター。今のまま深海棲艦がいたままの世界で、『普通の生活』が送れると思うのか?」

 

「は?!」

 

 な、なんてことだ。俺は何を思い違いをしていたのか。そうだよ、そうだったんだ。このまま深海棲艦がいたら、普通なんてできるわけがない。戦争をしなければいけない、物資が集められない。

 

 ク、そんな簡単なことに気づかないなんて。修一に笑われてしまうじゃないか、キンジに呆れられる。

 

「そうだ。俺は平和な世界を、穏やかな海を取り戻す。そして普通の生活を送る」

 

「ああ、そうだ。マスター、そこがスタートラインだ」

 

「ありあとう、コナン、俺はようやく目的が定まった。よっし、これからも頑張っていこう、ついてきてくれるか、名探偵?」

 

「バーロ、おまえがついてくるんだよ」

 

 俺とコナンはがっしりと手を握り合った。

 

「よかろう、我も乗ってやろう」

 

「僕もいいかな?」

 

「僕もやりますよ」

 

「私も参加させてもらおう」

 

 ありがとう、ギル、ソープ、エル、アインズ。皆がいてくれるなら、俺は何処でも戦えそうだ。

 

「皆がいてくれて、本当に助かる。まずは深海棲艦を残らず駆逐して、平穏を取り戻す」

 

 俺の決意に誰も笑うことなく頷いてくれた。よかった、俺はいい仲間に巡り合えた。提督なんてものになって、不幸だなって思ったこともあったけど、こうしていい仲間に巡り合えたなら、こんな生活も悪くないな。

 

「では皆、暁の水平線に勝利を刻みに行こう」

 

 ここからが始まりだ、本当の俺のスタートラインだ。

 

 俺は決意を新たにして、提督として頑張っていこうと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? どうしたって?」

 

「うん、修一、俺はね、頑張ろうと思ったんだよ」

 

「へぇ~~~」

 

「がんばって、頑張ってさ」

 

「そっか、そっか」

 

 優しく俺の肩を叩く修一に、俺は顔を上げて涙を振り払おうとした。でも無理だった。

 

「一か月で何とかなるか」

 

 キンジ、それで何とかなるなら、どうにかしてくれ。

 

「ほっっっとうに、田中君は面白いことしてくれるわね」

 

 すみません、七草さん。俺はやるつもりなんてなかったんです。

 

「田中、おまえにいい医者を紹介してやろう」

 

 高野総長、俺もう痛くて痛くて胃薬じゃダメなんです。

 

「マスター、俺の苦労が解ってくれたんだよな?」

 

 コナン、すまん、俺は過去に戻れたら真っ先に俺を殴ってやるから。

 

「ふあはははははははは・・・と笑い話で終われんな、流石に」

 

 ギル、今回は笑ってくれ。もう盛大に笑い飛ばしてくれ。

 

「ごめん、僕も今度のことは悪いと思っているよ」

 

 てめぇソープ、悪いって思っているならやるなよ。

 

「凄いです! かっこいいです! 最強です!」

 

 エルぅぅぅぅ! 元凶がはしゃいでんじゃないよ!

 

「まさに魔王か。私が直々に認めてやろう」

 

 アインズ、それは嬉しくない、そんなことされても嬉しくない。

 

『まさに神!』

 

『まさに魔神!』

 

『まさに破壊神!』

 

『最高傑作の誕生です!』

 

 妖精さん達が憎らしい、本当に憎らしい。

 

 あの鎮守府を更地にしたデスザウラーを作ったエルもそうだけど、それに加担にした妖精さん達が本当に憎らしい。

 

 うう、集めに集めた資材が、あんな翼と大砲を生やした恐竜に消えるなんて、そんなことあっていいはずがないのに。

 

「司令官、あれはどうしたらいいですか?」

 

「吹雪、どうしたらいいかって。そうだなぁ、近隣に被害が出る前に破壊したいかな?」

 

 破壊できるのかな? なんか、第一艦隊の艤装データ使ったとか、他の艦娘の艤装データとか使っているって言うけど。

 

 強固で不可視な防壁を展開できる上に、装甲も厚いから一撃で倒せないって妖精さん達が行っているけど。

 

「解りました」

 

「え?」

 

 俺の目の前で、デスザウラーが崩れ落ちていく。もう粉々になって砕け散ったというか、爆発していく前に分割されたような。

 

「終わりましたよ、提督」

 

「あ、はい。ありがとう、吹雪」

 

 とても綺麗な笑顔の彼女は、何時の間にか持っていたナイフを逆手に持っていた。

 

 え? まさか、ナイフ一本で解体したの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 さて、普通の提督になった主人公ですが、そのために今まで抑えつけられていたストレスが、胃を直撃していきます。

 コナンを通していたからこそのストレス軽減もなくなり、直撃です。

 さあ、次第に苦しむことなった主人公は、どうなりますでしょうか。

 的な話となっています。





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。