艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』 作:サルスベリ
前回、鎮守府が壊滅しました。
敵の攻撃だったら怒りを燃やせるのに、身内の攻撃だったからもう大変です。
軍人たちは優しかったです。
でも、艦娘達は?
的な話を送りたいと考えています。
地面って暖かいって知ってます?
田中・一郎でございますぅ。
はは、笑ってくれ。今の俺、地面に寝てるんだぜ。なんでかって? それはね、もうね、情けない話になるんだけどさ。
鎮守府が更地になったのよ。コンクリートとかで舗装されていた場所も、もう見事に土色。
立派な建物があったんだよ。工廠もあったんだよ、艦娘の寮もあったんだけど、すべてが消えたさ。
「遺言は終わったか、エル?」
「待ってください! 確かに僕がやらかしたのは認めます! しかし科学の発展に犠牲は付きもの! 人の命を護るために鎮守府は犠牲になったんです!」
何この子。すっごいいいこと言っているのに、なんでか『可愛い子、虐めてます』って気分にさせるんだ?
俺、悪いことしてないよね? 普通にお説教しているだけだよね? あれ、俺がいじめっ子なのか? 鎮守府を壊滅させたのはエルが作ったデスザウラー(重火力モリモリ)だったはず。
だから、俺はお説教するべき。提督として、鎮守府のトップとして、やらかした部下をしからないといけないのに。
しかも相手、男。見た目、かなりの美少女でも男。サラサラの銀髪で、服装がちょっと可愛いヒラヒラに見えなくもないけど、男だから。
「僕を怒るんですか、提督?」
「う・・・・・」
このオーラ、そこら辺の美少女が霞むくらい可愛いって、何こいつ。本当に最初に会った時に、『え、男、嘘だろ、馬鹿なこと言ってんな』とか思った俺は悪くない。
解った、今回だけな。なんて言えない、何故って俺は提督だ。一部隊のトップとして部下は教育しないといけない。
「なのです」
決して! 決して後ろにいる電が怖いわけじゃない!!
絶対に! 後ろにいる駆逐艦達のすっごい笑顔が怖いわけじゃないからな!
あ、胃が痛い。胃薬、飲もう。
「なるほど。壊滅した理由は解った」
あ、はい。というわけで、全員が戻っての説明となりました。うん、仕方ないよね。俺が悪いわけじゃないからさ、今回は完全に俺が悪いわけじゃないっていうか、俺が止めている暇なかったといいますか。
「提督?」
「あ、はい、エンタープライズ。そのね、あのね」
「何か言いたいことがあるなら、私の目を見て言ってくれないか?」
おう、ジッと見つめてくるエンタープライズ、マジでイケメン。なんでうちの鎮守府って、男らしい女の人とか、女以上に女の子の男っているのかな?
「実は鎮守府が消えた」
「ほう?」
「なのです」
「待って! 待って電! ゴジラは俺が死ぬ! 本当に死ぬから!」
怖い、本当に怖い。あの連れてるゴジラ、すっごい背びれが放電してた。もうそこからビームとか撃ちそうな気がするくらいに、光を纏っていたから。
ゴジラって、口からじゃないの。あれ、修一が『シン・ゴジラだと背びれだぞ』って言っていた気が。ま、まっさかぁ。電のゴジラは普通のゴジラだから背びれからなんて。まさか、大和みたいに『ゴジラなら全部』はないはず。
そう信じている!
「司令官さんは、本当にダメダメなのです」
「解っているさ。けど、俺は何時までもダメなままじゃない。これからは俺が提督として頑張るから、俺を支えてくれ」
今までの俺がどんだけ最低だったかは思い知った。これから頑張っていこうと決めて、頑張ってみたのに。最初の出だしで転ぶなんて。これじゃ何を言っても皆は納得してくれないかもしれない。
最悪、俺の鎮守府は艦娘を集めることから始めるしかないかもしれないが、言っておかないといけない。うやむやになんてできない、俺は真っ直ぐに切実に艦娘達に向き合う。
もう二度と、自堕落な提督の姿なんて見せない!
「なるほど。提督は気持ちを新たにしたわけだ。ならば、私達も新しい気持ちで向かい合うべきだな」
「エンタープライズ」
「司令官さんがそういうなら、電達は司令官さんについていくだけなのです」
ああ、ありがとう。俺はいい艦娘に恵まれたようだ。こんな愚かな提督についてきてくれるなんて、本当にありがとう。
「ありがとう」
「うう、いい話を見させてもらいました。このエルネスティ! 貴方達の住み家を壊した責任を取ります!」
「はい?」
あれ、いいことを言っているはずなのに、どうしてなんだろう。
妙に寒気を感じないか?
今のエルは本当に責任を感じて、どうにか今の状況を対応しようと考えていてくれるのに、どうしてか寒気が止まらない。
「ほう、ならばエル。私の要望を聞いてくれるか?」
「もちろんです!」
「電達のもあります」
「朝飯前です! 見事とやり遂げて見せましょう!」
あれぇ~~なんで俺を余所に話が纏まっていくのだろう。俺、提督だよね、この鎮守府の責任者だよね。なんで俺を通り越して、話が纏められていくのだろうか。
あ、胃が痛い。胃薬、胃薬。
そして、俺は一夜を地面で寝て過ごした。うん、地面って暖かいなぁと思って起きて見ると。
なんてことでしょう、目の前に執務室が出来上がっていました。
「さあ! 提督、こちらへどうぞ!」
「・・・・エル、何した?」
「ただ、最初に提督の執務室から造っていこうと考えただけです」
「へぇ~~」
なんか嫌な予感するけど、エルの顔に嘘はない。本当に執務室から造るつもりでいるのだろう。
きっと! ギルの姿が見えないことやコナンがいないことが気になるけど。
よっし、執務室に入ってイスに座る。ああ、懐かしい感触だ。ここから心機一転、やり直しておこう。
「では僕は引き続き、鎮守府の再建を頑張ります!」
「おう、頼むな」
気合が入っているな、エル。なんだか、あの小さな背中が頼もしく見えてきた。あれ、でも寒気が止まらない。風邪でも引いたかな?
「提督、いいかな?」
「ソープ、どうした?」
「実は鎮守府の中の警報装置と配線とかを、新機軸のものに変えたいんでね。許可をもらいたいのさ」
「今までのじゃダメなのか?」
「新しく造るからもっと効率的なものにしたい。僕たちの鎮守府だからね」
ソープ、そうか、おまえもそう言ってくれるか。ありがとう。
「任せる。けれど、資材は大丈夫か?」
「それならば問題ない」
ギル、おまえがそんなに優しい顔で入ってくるって、何か裏があるんじゃないのか?
「フ、マスターよ。今回の件は我も思うところがある。我が財を投じてやろう、存分に使うがいいソープよ」
「ありがとう、ギル。さっそく、取り掛かってもいいかな、提督?」
そうか。ありがとう、ギル、ありがとう、ソープ。二人がこんなに協力してくれるなんて、いい鎮守府になるだろう。
「解った、頼む。後、特定の資材、特にボーキなんだが」
「そっちはもう大丈夫、話はつけてきた」
おお、コナン。さすが、俺に代わって鎮守府を運営してくれていただけはある、何処から貰って来たのか解らないが、鎮守府を運営するに十分な特殊資材があるじゃないか。
「マスターが頑張っているんだ、俺も頑張らないとな。軍令部と主計科に話をつけてきた、存分に使っていいぞ。足りなければ、俺がまた交渉してきてやる」
「ありがとう、コナン。さすが名探偵」
「よせやい、簡単な推理だろ?」
頼もしいことだ。さあ、資材は集まった、資金はギルが出してくれる。後はエルが設計をしてくれる鎮守府を作るだけだ。
『提督、我らも一命を賭して望む所存です』
『我らの新しい鎮守府のためです』
『提督と艦娘のために頑張りますです』
『世界に誇れる鎮守府を造って見せます』
妖精さん達まで。最初の時に、あの規格外の妖精さん達を見て、どうなってしまうのか不安だったが、こんな毅然とした態度を見せてくれるなら、安心して任せられる。
「艦娘達も皆、それぞれに得意なことで手伝ってくれているぜ」
「そうか、そうなんだな。俺は幸せ者だな。こんなに頼もしい仲間たちに囲まれて」
「これもマスターが提督として成長したからだろ?」
よせよ、コナン。俺はただ、普通の提督になっただけさ。昔のように、誰かに任せっきりで逃げない、それだけだからな。
「じゃ、俺も現場に行ってくるから、書類は任せたからな」
「おう、任せとけ」
よっし、ならば俺は書類を頑張ろう。新しい鎮守府は、皆が見事に作ってくれるさ。
と、考えていた数時間前の俺を殴りたいです。やっぱ、現場を見に行けばよかった。
執務室は完全防音されてないから、外の音ってとてもよく聞こえるんだよね。本当、嫌になるくらいにすっごくよく聞こえる。
「あれ? デスザウラーの骨格って使えませんか?」
「それだ!」
おい、お前ら。『それだ』じゃないって。何に使うんだよ、あんな巨大な恐竜うの骨格。
「核融合炉でエネルギーを」
「そんな低出力じゃなくて、対消滅機関とかでいいんじゃないの?」
「さすがソープさん、その技術は僕にはないので」
「やっておくよ。エルは壁に術式を刻むんでしょう?」
「はい! アインズさんと一緒に強化魔法を刻んでおきます」
なんだって、何が何をどうするって? 待っておまえら、どうしてそんなものが必要なの。強化魔法って何を強化するものなのか、俺は知らないんだけど。書類も出てないよ、本当に勝手に何をやっているのさ。
け、けど、俺は椅子から動かない。書類をやりながら、皆に任せると決めた自分の心を信じた。
信じてしまったんだ。
「ソープ、あの大砲だが、使えんのか?」
「ええ、ギルは何に使うつもりなの? バスター・ランチャーって出力的に空間を歪ませるんだけど?」
「外敵は薙ぎ払うものではないのか?」
「そうだね」
お~~い、そうだねじゃないよ。薙ぎ払うなよ、なんで最初の愚行を繰り返そうとしてんの。おまえらがそんなんだから、艦娘達が薙ぎ払うを覚えちまったんだろうが。
もうダメだ。止めてこよう。俺は立ち上がりかけて、皆の笑顔を思い出してしまった。任せてと言っていた彼ら、その信頼をここで止めたら裏切ってしまうのではないか。
俺は首を振って、イスに座る。いいや、彼らのことだ。そんなことを言いつつ、普通の鎮守府にしてくれるだろう。
「艦娘の出撃ドックなんだけど、カタパルトは必要だろ? 燃料の消費が抑えられるんじゃないか?」
「カタパルトですか、どれを使いますか?」
「電磁カタパルトなら遠くまで飛ばせるんじゃないか?」
おい、コナン。なんでおまえ、そこで電磁カタパルトを出した?
なんでおまえまで、そんな変な会話に加わっているんだよ。どうしてだよ、なんでおまえが止めてくれない。前は止めてくれただろうが。
あれか、ひょっとして俺の補佐で頑張った分、今ははっちゃけちゃったか。嘘だろ、名探偵。嘘だと言ってくれ。
「いっそのこと、グライダーで打ち出してくれないか?」
エンタープライズ! おまえは何があった!? グライダーで打ち出すって何処まで飛ばすつもりだ?!
「あ、ワープ回路でもいいですよ」
まさかの電が裏切り、そんなことを言う子じゃなかったのに。なんでそんな転移とかしちゃう出撃を希望するかな。
「転送システムって、誰か組めませんでしたか?」
「私が出来る」
「私もできるが」
エル、おまえはやっぱふざけてるだろ。イオナとコンゴウもなんで、そんなシステムができるのさ。転送して何を送るつもりなんだ。武器か、燃料か。
「ふむ、自爆装置はつけるべきではないか?」
「さっすがアインズ、魔王様は解っているね」
「男のロマンですね」
「証拠隠滅みたいで俺は嫌いなんだけどな」
「致し方ないな。様式美というものは我も心得ている」
誰か本当に否定して! なんで鎮守府に自爆装置が必要なのか、誰か気づいてあげて。本当になんでそこに行ったのか、問い詰めたい。
もうダメだ。これ以上は俺の胃が持たない。決意を込めて俺は立ち上がり、ドアノブを回して扉を、開け・・・・・開かない?!
「あれ、あそこって執務室の扉じゃなかったですか?」
「提督ならば執務中だ。少しくらい『機動兵器を置いても』大丈夫だろ?」
「そうだな・・・・・・クククク」
おいてめぇ! どういうことだ?! なんで扉が開かないくらいの機動兵器が、うちの鎮守府にあるんだよ!? おまえら何を作った!?
特にギル! 含み笑いなんておまえのキャラじゃないだろうが、英雄王の誇りは何処行った。
「愉悦のためだ、提督。我が愉悦のため故にな、提督」
「てめぇ、やっぱり何か企んでやがったな」
「当たり前であろう。我は愉悦王だ」
ク、一瞬でもこいつを信じた俺が馬鹿だった!
こうして俺は、鎮守府の再建の間、執務室に缶詰となった。
長い夜だった。永遠の地獄に感じた、本当に俺はもう胃が痛い。
「見てください! やはり『基地』はこうでないと!」
「あ、そうだな。エル。おまえ、今後二度と資材に触らせない」
「何故です?!」
あのな、そんなに驚くなよ。当たり前だろ、お前以外は全員が逃げ出したんだぞ。まあ、逃げたって言っても、あっちの倉庫の隅で固まって笑っているけどさ。
「なあ、エル。鎮守府の壁が真っ黒なんだけど」
「はい! 最高品質のアダマンダイトを何層も重ねた上に、超合金Zが手に入ったので重ねてみました!」
「鎮守府がすべて二階建でしかないんだけど」
「それは密集させることで、防御能力を上げたためです。後、もう一つ理由があります」
「へぇ~~工廠の後ろに見えるしっぽななんだ?」
「そちらが最大の目玉でして。この鎮守府、いざという時は変形してデスザウラーになって移動できます!」
「そっか、そっか」
『がんばりました』
『最高傑作です』
『動力炉は対消滅に重力子エンジンと、縮退炉を搭載できました』
『この地球で出力で勝るものはいない』
「その上に荷電粒子砲は周囲を覆うフィールドをはわせることで、全包囲に攻撃できます」
「なるほどな」
「はい! その上にですよ! 何よりも!」
「おお、どうした?」
「はい! デスザウラーから人型に変形できます! ようするに巨大ロボットです!」
目をキラキラさせたエルが、とても楽しそうに語る。俺はそれを見つめた後、にっこり笑顔で右手に持ったハリセンを叩きつけたのでした。
「ふっざけんな! 何処の世界に恐竜になって人型になる鎮守府がある?!」
「いたぁぁぁ?! ここにあります!」
「開き直るなぁぁぁ!!」
真っ直ぐにブイサインして告げるエルをさらに殴った俺は、深くため息をついたのでした。
あ、今度に休みには医者に行こう。
本当に胃が痛い。
さらに追い詰めてくる提督の周り。今の彼に逃げ場はなく、防壁(コナン)もいないのでストレスが胃を直撃、傷を広げていく。
さあ、彼の胃は後何話持つでしょうか?
的は話でそろそろ終わり見えてきた、というところです。