艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』   作:サルスベリ

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 ごちゃごちゃした様相って、傍から見ていると楽しいけれど、当事者だとかなり怖いことになるよね。

 的な話だと思います、はい。






ごく普通の提督と鎮守府のはずです

 

 ヤッホー、皆、田中・一郎でございます。

 

 キャラが違う? いいじゃない、現実逃避したいんだからさ。

 

「大和が消費した資材が二万ずつだろ」

 

「グ」

 

「エンタープライズが消費した資材は、今回は少なくて四千ずつだな」

 

「ク、なんで空母なのに鋼鉄を使うんだろう」

 

 確か前に習った時は、空母はボーキサイトを使って鋼鉄はそんなに消費しないんじゃなかったかな。

 

「全装備だったからだよ。あいつ、主砲も持っていきやがった」

 

 コナン、そんなに半眼で言わないでくれ。現実逃避したかっただけなんだからさ。

 

「そ、そっか。使えたんだな、空母なのに」

 

「なんか、あいつだけ艦種が違くねぇか? それか種族が違うとか」

 

 あ、うん、時々そんなこと思うんだよね。だってさ、空母って弓とか銃とか使って艦載機を放つらしいんだけど、あの子は弓で近接戦闘とかやるからね。

 

「この間、弓の弦で艦載機を斬っていなかった?」

 

「何時の話だよ、それ」

 

 いや、何時って何時だっけ。それより頼むからコナン、小学生の姿で半眼で睨むって止めてくれ。

 

「止めてほしかったら、報告くらいきちんとしやがれ」

 

「アイサー。じゃ、資材消費はそれだけだよな? 他ないよな?」

 

 頼むからと願っても、世の中は無情なものだった。

 

「資材はな。喜べよ、マスター。イオナが資材調達に行った先で、盛大な花火を上げたらしいぜ」

 

「うううう」

 

 もう本当に勘弁してほしい。なんだろう、あの子は。最初の紹介の時に『戦艦、みたい?』とか首を傾げていたのが、嘘なんじゃないかって思えてくる。

 

 可愛かったけど。

 

「総合計でな、四万の資材を確保してきた」

 

「よっしゃぁぁぁ! さすがイオナ!」

 

「で、五万の資材を消費した」

 

「イオナぁぁぁぁ?!」

 

 上げて落とす、うちのコナンはこんな子です。

 

「それで、残りが。おお、良かったな。今月はプラスだ」

 

「よっしゃぁぁ! ありがとう皆!」

 

「五十ずつな」

 

「お前本当に上げて落とすよな?!」

 

 すげぇ楽しそうに笑うコナンの額に、青筋を確認した俺だった。そしてその向こうですげぇ楽しそうに笑っているギルがいて。

 

 まあ、今月も変わらない鎮守府生活だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本海軍には主だって二つの組織がある。艦娘を指揮する鎮守府と、それ以外の海軍軍人たちの組織。

 

 実働部隊と補助部隊なんて分ける人たちがいるけど、俺たちが鎮守府をまともに運営していられるのも、こういった人たちが資材管理しているためって俺は思うわけだよ。

 

 本当、足を向けて寝れない人たちばかりなんだよな。

 

「へぇ、田中君、またなんだ?」

 

「はい、ごめんなさい」

 

 海軍主計科は、何時からか鎮守府への資材配分を行うようになったって、提督学校で習ったな。

 

 鎮守府が艦娘を使って独自に集める資材以外に、国家から分配される資材はここで管理されて、各地の鎮守府に送られる。その量は、鎮守府が挙げている功績で決められている。

 

 高い功績を上げていれば資材は多く、少ない功績なら少なく。この功績は海軍の軍令部が各地の鎮守府の成績によって決めている。

 

 戦闘、海域制覇、それだけじゃなくて民間船の護衛、周辺地域の人達の評価といったものも含めて、総合的に下している。

 

 だから、艦娘に酷いことをしていたり、また周辺地域の人たちに迷惑をかけていると、怖い人たちが提督室へ突撃して問答無用で捕まえる。それか、蜂の巣で抹殺ってのもあるらしい。

 

 今の御時世、海軍の面子はかなり重くて、人類の先鋒を務めている自覚がない人は瞬殺らしい。いくら提督の資質を持つ人だろうと、海軍軍人のプライドを汚すようなら許さないって、断固とした態度を示しているんだけど。

 

「あ、あの、その申し訳ないのですが」

 

 で、彼女がそんな主計科のトップ。長い少しウェーブがかかった黒髪と、印象的な瞳。昔なら小悪魔っ的な少女だったんだろうけど、今は立派な女性。

 

 見た目まだ学生に見えなくはないけど。

 

「何かな。田中君?」

 

「なんでもありません、七草主計長」

 

 そう言って頭を下げると、七草・真由美さんは深くため息をついた。

 

「まったくもう。貴方の鎮守府は確かに色々な『艦娘』がいて大変でしょうけど、もう少しやりようがあるんじゃないの?」

 

「申し訳ないです」

 

「アルペジオとアズレン、それにガンダムにマクロスが入っているだけで異常なのに、Fateまであるなんて」

 

 転生者って分類の人らしく、俺に会うたびにそんな愚痴をこぼしているんだけど、俺は転生者じゃないから意味が解らないんだよな。

 

「名探偵コナンのコナン君がいるのに、鎮守府の成績が上がらないっていうのは、貴方の怠慢って映るわよ?」

 

「そうは言われても」

 

 怠慢って言われても、頑張っていると思うんだけどな。普通の生活が送りたいから、普通に頑張って、頑張って。

 

 あれ、なんだか目から汗が。

 

「英雄王が出陣ってことにならないといいけど」

 

「ギルが? ないですよ、そんなこと。今日もソファーに寝そべっていましたけど」

 

 まさかぁと顔の前で手を振っていると、七草さんがとても『あり得ない』って顔しているんだけど、何で?

 

「先日、中部海域の中ほどで巨大な炎の剣が降ってきたらしいのだけれど」

 

「え? そうなんですか? あれ、修一のところに斬魄刀があったから、それじゃないですか?」

 

「流刃若火じゃないわよ」

 

 え、違うの? 確か、修一が持っていたと思ったけど。

 

「柴田君もさすがに斬魄刀は持ってないわよ。流刃若火なんて何処で聞いたの?」

 

「修一が話していましたよ」

 

「そんなわけない、はずよ。彼の転生特典は『英霊召喚』であって、武器までは持ってないはずなのに」

 

 あ、転生者の転生特典って転生者同士だと教え合うことあるらしい。だから修一の転生特典も知っているのか。

 

「・・・・英雄王が出かけたってことはないの?」

 

「まさか、そんなことないですよ。最近のギルは引きこもりですから」

 

 絶対にありえない話に俺が笑っていると、七草さんは小さくため息をついて何かを見つめた。

 

「知らないって素敵ね」

 

「はい?」

 

「何でもないわ。とにかく、もう少し頑張りなさい。評価が落ちると、さすがに資材を止めるしかないからね」

 

「善処します」

 

 うん、善処しよう。あれ、でも、資材が止まって鎮守府の運営ができなくなれば、俺は提督を止めて普通の生活に戻れるのでは?

 

 いや、ダメだ。そんなことになったら、コナン当たりに精神的に殺されそうだ。

 

 はぁ、どうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戻っていく背中を見送って、私は深くため息をついた。

 

 本当にもう。あの子、本当に転生者じゃないの?

 

 私はチラリと報告書を見つめる。

 

 明らかに英雄王の反応があって、その近場には『血の十字架』らしいものを掲げた機体が動いていた。

 

 あの子の周囲にいるのって、ギルガメッシュとコナンだけよね? なんでこんなMHがあるの?

 

 え、待って。本当になんでこんなものが出てくるわけ。

 

 私たち転生者は自分が願った転生特典が与えられるんだけど、それでも自分の魂に収まりきらない願いは却下されることがある。

 

 柴田君は最初は『英霊全部』って願ったらしいけど、『魂に収まりきらないから却下』って言われた。

 

 私も『魔法科高校の劣等生の魔法とCAD』って言ったけど、『個人一人分』って返されて、悩んだ末に七草・真由美の容姿に『分解・再生』を入れてもらって何とかしてもらった。

 

 なのに、彼は転生者じゃない。転生者じゃないのに、英雄王と名探偵を引きつれて、アズレンとアルペジオのキャラまで引っ張ってきた。

 

 その上にガンダムやマクロスの機体を所持しているって話もあるし、その上でこの『ファイブスター物語』のレッド・ミラージュ。

 

「イレギュラーが多すぎよ、この艦これの世界って」

 

 思わず私は頭を抱えてしまう。転生者がこんなにいるだけでも厄介なことがあるのに、その上に異常って言えるイレギュラーがいるんだもの。

 

 未確認だけど、田中君の周囲に『レディオス・ソープ』らしい人物と、ガイコツのコスプレした変人がいたって話もあるけど。

 

 何よ、レディオス・ソープって。『ファイブスター物語』の主人公じゃない。天照よ天照。マジもんの神様じゃないの。

 

 しかもガイコツって、まさか『アインズ・ウール・ゴウン』じゃないわよね。他にもガイコツっているけど、他のキャラであってほしいわよ。

 

「本当、貴方は転生者じゃないの、田中君」

 

 深くため息を共に、私はそんなことを吐きだしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、御帰り」

 

「・・・・・・・・」

 

「おーい、どうしたの?」

 

 いきなり、鎮守府に帰って最初に会ったのは、おまえって。

 

「何してんだよ。ソープ」

 

「何って、見て解らない?」

 

 言われて相手を見るが、まったく解らない。細見に栗色の髪を三つ編みにした美女。つなぎの作業服を着ているのに、何故かドレスを纏っているような雰囲気を持つ美女。

 

 でも残念、こいつは男なのですよ。

 

「解らない」

 

「そっか。なら発表しよう。じゃじゃじゃーん!! 今そこで拾った車に二十六センチ砲を搭載して深海棲艦に対抗できるかやっている途中なのさ!」

 

「なにしてんだよおまえ!」

 

 本当に何してんの、馬鹿なの、死ぬの。死んじゃうの。車に二十六センチ砲って詰めるわけないだろうが。

 

 あ、詰めてる。

 

「いや、通常兵器は深海棲艦に聞かないって話なんだけどね。それは砲弾が通常物質だからであって、そこに通常じゃない物質を含めれば聞くんじゃないかなって思ってさ」

 

「思ってさ、で作るなよ。ただでさえ近所からは『怪しい鎮守府』って言われてるんだからさ」

 

 本当にもう、怪しいって噂されて大変なんだぞ。

 

 なんか真夜中に紫色の光が出たとか。

 

「あ、それはエンタープライズが新型装甲を試してたから」

 

「まさかのエンプラ?! じゃまさか、夜中にお経が聞こえるって言うのは?」

 

「そっちはアインズじゃないかな? 最近、仏教の境地に辿り着いたって言っていたし」

 

 辿り着いたらダメだろうが、ガイコツだぞ、あいつ。

 

 ソープもアインズも自由すぎだろうが。『拾ってください、頑張って役立ちます』って言って来たから鎮守府に置いているけど、こう最近の二人を見ていると胃のあたりが痛くなるんだよな。

 

「じゃ、じゃあさ。なんだか人型の兵器が出たって話は?」

 

「人型? それってどれのことだろう?」

 

「思い当たる節が多々おありのようですね?!」

 

 待て待て、なんだよ、その考え顔。ただでさえ女の顔なのに、憂いを秘めた瞳までしていると、めちゃくちゃ美人に見えるじゃないか。

 

 く、俺はノーマル。ノーマルなんだ。

 

「ん~~~僕だけじゃなと思うよ」 

 

「『僕だけ』じゃない?」

 

 い、嫌な予感がする。こいつ以外にそんな大それたことするのは、一人だけだ。明石や夕張って艦娘じゃない、この鎮守府にはソープともう一人のためにそういった裏方の艦娘が『嫌がって着任したくなくなった』から。

 

「つまり僕のことですね?!」

 

「出たなエルネスティ!!」

 

 後ろからポッと飛び出す銀髪の坊主に、思わず俺は振り返って叫んだ。

 

 叫んだんだけど、目線は徐々に上に上がっていく。

 

「戻ったぞ、指揮官」

 

 すっごいいい笑顔のエンタープライズがいて。

 

「戻りました、提督」

 

 キラキラと輝いている大和がいて。

 

「試運転は完璧です。このまま仕上げを行っていきましょう。幻影騎士ではないので最初は不安でしたが、機械はやはり機械。僕の知識も役に立ちました。ソープさん、あとでデータ検証に付き合ってください。やはり、未知の技術は素晴らしい」

 

「オッケー、いいよ」

 

 俺の後ろでソープが綺麗な笑顔で親指を突き出していた。

 

 次第に俺の視界は上に上にと上がっていき、ようやく元凶の顔が見てきた。

 

「・・・・・・なんだこれ?」

 

 巨大な漆黒の恐竜がいて、その背中には七色の翼があって、その腰当たりには小さなパーツがついている。 

 

 本当になんだこれ?

 

「はい! 未知の技術を合わせてみました!」

 

「ゾイドに他の技術はつけられるのか、の技術検証だね」

 

「その通りです。デスザウラーにヴォアチュール・リュミエールとミノフスキードライブを搭載して、亜光速に到達できるかどうか、それを検証してきました」

 

 美少女も負けるほどの綺麗な笑顔で告げるエルネスティに、俺はもうどういっていいか分からずに引きつった笑みを浮かべ、崩れ落ちる。

 

「なあ、マスター」

 

 で、俺の肩にポンっと手を置いて、妙に優しい声をかけてくるコナン。

 

「こいつら拾ったの、間違いだったな」

 

「う、ううう」

 

「悪気があれば少しは言えるんだろうな。けど、こいつらはまったくの善意と興味本位でやってるからな。止められなったさ」

 

 嘘だ、絶対に嘘だ。コナンなら二人を止められたはずなのに、どうしてと顔を向けた先の彼は、何処か自嘲気味に笑うのでした。

 

「俺、さっきまで作戦計画と周辺の治安維持の草案やってたんだよ」

 

「コナン、疑ってすまなかった」

 

 そういえば丸投げしていた。俺が追い詰められていても、必死にならずに済むのはこいつがそういった『事務処理』をやってくれているからだ。

 

「いいさ。一緒に考えようぜ」

 

 そっとコナンは紙を差し出す。そこには、この鎮守府の資材が書かれているはずなのに、おかしいな。

 

 すでに主計科から資材が運び込まれているはずなのに、おかしいな。 

 

「アレレー、おかしいな。資材が一桁しか残ってないよ」

 

「それ、俺のセリフな」

 

 溜息交じりのコナンの声に、俺は答えられず笑うしかない現実を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜は、遊びに行っていた駆逐艦達が戻ってきて、笑顔のまま駆け寄ってきて、拳を振るってきたのでした。

 

 俺、嫌われてるかな。嫌われて当然だよな、駆逐艦達が頑張って集めた資材が吹き飛んだから。

 

「がんばるのです」

 

「行きましょう!」

 

 電とジャベリンが元気に海に行く、海に行く? あれ、二人は駆逐艦だよな。遠征部隊は駆逐艦だけのはずだよな。船体って持ってないし、艤装を纏っているだけだから人の大きさだよね。

 

「待って! 本当に待って! 何あの船!?」

 

「アイランドって船体らしいぞ」

 

 大型船舶並に大きい貝のお化けじゃなくて?!

 

「あれに資材を詰めて戻ってくれば、提督が救われるって教えてやったのだが、本気にするとはな」

 

「ギル?! 何してんの?! おまえ本当に何してんのさ?!」

 

「喚くな、マスター。資材が集まればおまえも嬉しい、駆逐艦達は提督の役に立ててうれしい。どちらも幸福ではないか」

 

 ニヤリと笑う男に、感謝の気持ち、なんてものは出てこない。

 

 だって、あのアイランド型の船体の周囲に、うちの鎮守府の主力艦の姿があるのだから。

 

「フハハハハハハ! あれだけの船体ならば、十万は持って来れるだろう!」

 

「ああ、残ってれば、だけどな」

 

 高笑いするギルと、呆れているコナンの間で、俺は港に膝をついて泣き崩れていた。

 

 後日、十五万の資材を集めて喜ぶ駆逐艦と、その護衛部隊達。

 

 そして、十六万の資材が消えたことを知った俺だった。

 

 

 

 

 

 





 借金は雪だるま式に増えるらしい。

 でも、強力な部隊を運営すると、落下するように資材を消費するらしい。

 的な話です。




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