艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』   作:サルスベリ

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 深海棲艦は今日も来ます。

 提督たちは今日も平和のために戦います。

 艦娘達は提督と海の平穏のために戦っています。

 でも、この鎮守府の提督は、毎日をストレスと戦っています。








ごく普通の日常のはずでした。

 清々しい朝っていうのは、とても貴重なのだと知った。

 

 提督になってから朝は自分の決めた時間に起きるなんてなくて、提督の学校の生活で体の芯にまで刻まれた起床時間に起きるようになってしまって、寝不足を感じながらも、意識は勝手に覚醒してしまう。

 

 今日も朝だ。もう少しと寝返りを打ったら、何故か気持のいい感触で動けなくなった。

 

「あれ?」

 

「ん、起きたか、提督」

 

「・・・・・・は?」

 

 思わず意識は覚醒、目を開けて相手を見ればエンタープライズがそこにいて。

 

「あれ?」

 

「ふふふ、ギルから『添い寝は男子にとって至上の理想』だと聞いたのでな。試してみたがどうだろうか?」

 

 魅惑的な笑みと、俺の腕を胸に抱いている彼女を見比べた後、俺は大絶叫を上げたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギル! ギルガメッシュ! てめぇよくも! よくやった! でかした! じゃなくてなぁ!!」

 

「ふむ、マスター。そんなに褒めるな。我が王の中の王であり、至高の財を持っていることは周知の事実。ならば、理想を集めるのもまた必然なのだ」

 

「うわぁ~~~」

 

 めちゃくちゃ決め顔で言うギルガメッシュと、呆れた顔で見てくるコナンを交互に見ながら、俺はグッと拳を握り締めた。

 

 確かに素晴らしい感触だった。エンタープライズも制服ではなく、シャツ一枚だったのもナイスだ。しかも、俺のシャツだ。朝方に起きて隣に女性が寝ていて、俺のシャツを着ている。

 

 もう世の中の男子が泣いて喜ぶシチュエーションではないか。美人でスタイルのいいエンタープライズが、朝からそんなことをしてくるから俺のテンションは天元突破を果たして、もうどうやって感情を下げていいか解らないくらいに、どうしようって感じだ。

 

「なら僕もやってみようかな?」

 

「女装って奴ですね!」

 

 乗るな、そこの『女顔の二人』。ソープとエルが男物のシャツを着たなんて、ただ寝間着に着替えるのが面倒で、シャツのまま寝ただけだろうが。

 

 あれ、変だな。『女性が着たように思える』のは、何故だろうか。俺の精神が不味くなってきたのか。やばい、俺は普通の人生を生きる。そういった禁断の中に入りこむことは、絶対にあり得ない。

 

「なるほど、マスター。ではエンタープライズでは物足りなかった、と?」

 

「いやそんなことはない」

 

 即答ですよ、もちろんです。ギルの質問にもう、電光石火の如く答えてやった。褒めてやる、よくやったと手放しで言いたい。でもな、朝からあの魅惑的なエンタープライズがシャツ一枚で隣に寝ていたら、俺はもうどうしていいか解らないじゃないか。

 

「襲えばいいと思うよ」

 

「てめぇ、コナン! おまえも裏切るか?!」

 

「いや、だってそうだろうが。あいつ、シャツ一枚しか着てなかったんだろ?」

 

「・・・・・・」

 

 え、そうなの?

 

 目線で疑問を伝えると、室内にいた誰もが深くため息をついた。

 

 あれ、俺が悪いのか?

 

「女性が隣にシャツ一枚で寝ていて、手だししないなんて」

 

 いや、ソープ、ちょっと待ってくれ。

 

「そこは押すべきです」

 

 エルもなんでそんな拳を作ってわけ?

 

「ヘタレが」

 

 久しぶりにギルの目が冷たい。

 

「どうしょうもないな」

 

 コナン、そんな呆れた顔で来たんだ。

 

「・・・・・・・今日の執務を開始する」

 

 俺はなかったことにした。ヘタレだと言われようとも、男じゃないと言われようとも、今回のことはなかったことにしたい。

 

 必死にそう思い込もうとする俺だったが、世の中は無情なものである。

 

「そうそう、我はこんなものをエンタープライズから預かっていたぞ」

 

 凄く楽しそうにギルは一枚の紙を俺に向けてきた。

 

 いやだ、あれを受け取ったら俺の中の何かが崩れるか、悲鳴を上げるかしてきそうだ。第六感は大切なものだ、生きていく上で危機回避は重要だと教えられてきた。

 

 一流の提督は、危機に対して敏感であり、的確な対処を行うべきである、とか学校で習ったな。

 

 しかし、俺の意思に反して俺の体はその紙を受け取った。

 

「・・・・・」

 

 ク、エンタープライズが、あの清くて優しいエンタープライズが毒されているなんて。

 

 最初に建造で会った時は戦いだけで、他のことなど気にしていなかった彼女が、まさかここまで侵食されていたなんて。

 

「何が書いてあったんだよ?」

 

 隣からコナンが覗きこむが、俺は止められなかった。

 

「月間添い寝表?」

 

「ギルガメッシュぅぅぅぅぅ?!」

 

「ブハハハハハハハ!! いいぞマスター! その顔が見たかった!」

 

「お前ってやつはぁぁぁ!!」

 

 その日、俺は泣きながら笑いながら、ギルをひたすら怒鳴っていたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そろそろ海域制覇でもいかがですか、と俺はあいつを誘いに来た。

 

 田中・一郎。俺の幼馴染であり、俺が唯一といっていいほど信頼し頼りにしている奴だ。

 

 幼い頃、俺の転生特典に巻き込んで英雄王を引き立てた時は、『こいつも転生者か』と思ったものだが、しばらく付き合ってみると『あ、違うな』と確信できた。

 

 行動が年相応過ぎるし、他の作品についても知らな過ぎる。

 

 知らないふりをしていた、って可能性はないな。もし知っていたなら、あんなに英雄王に失礼な態度取れないだろう。

 

 だって、あのギルガメッシュだぞ。それを普通に怒鳴りつけたり、叩いたりなんて命がいくつあっても足りないだろうが。

 

「でだ、一緒に海域の解放に行かないか?」

 

「いや散歩に行くみたいに言わないでよ。俺はまだ中部海域の先なんて行けないって」

 

 少し嫌そうなあいつに、嘘つけと言ってやりたい。言ってやりたいが、本当にそう思ってるようなので諦めるか。 

 

 こいつは昔っから、自分の実力ってものが解ってない。

 

 中学校のテストは平均点、運動も平均点。こいつは常に平凡な成績を収めていたんだけど、ここぞって時は絶対に譲らなかったし、負けることはなかった。

 

「いや、おまえんところの艦娘達なら大丈夫だって。この前も助けてもらったからな」

 

 そう、俺の中部海域の制覇は、実は俺の鎮守府だけの成果じゃない。こいつんところの艦娘が、通りがかった時に助力してくれた。

 

 でもな、その当人たちが『内緒に』って言うからこいつにも言ってないんだよな。軍令部にも報告してないし、何なんだろうな。

 

「助けてもらった?」

 

 おっと、口が滑ったな。

 

「助けてもらうだ。おまえさんのところのエンタープライズに、イオナ、大和の三人に来てもらうだけでも、俺は助かるぜ」

 

「いや、その三人はちょっと。資材が吹き飛ぶから止めた方がいいって」

 

 資材が吹き飛ぶって、大げさな奴だな。

 

 空母一に戦艦一の、戦艦らしいものが一だろ? 

 

 前の世界でやっていた艦これのゲームにも、イオナは出ていたけど、資材消費がそこまで高いものじゃなかったはずだ。

 

 それがあの映画版の最後に出てきた、『超戦艦大和』の艤装を持ったイオナであっても、馬鹿げた数字になるはずないよな。

 

「大丈夫だ、任せろ。俺がすべて持ってやるから、三人を貸してくれないか?」

 

「修一の鎮守府の資材量は解らないけど、それでもダメだ。他の艦娘に手伝ってもらったら?」

 

「他って、お前以外の奴の鎮守府のか?」

 

「そうだよ」

 

 まあ、他にも当てがないわけじゃないんだよな。各地の有力な鎮守府には伝手があるし、何よりその提督たちはだいたいが転生者だ。

 

 本当、この世界って転生者が多いよな。軍令部にもいるし、主計科にもいる、各地の提督はもちろん、政治家にもいるって話だ。

 

 ひょっとして、この世界は転生者達のたまり場じゃないのかって、疑問を感じる時もあるが。

 

「他かぁ。おまえのところ以外の戦力って、あんまりな」

 

「長門型戦艦を揃えた人もいるって話だけど」

 

「あいつのところか」

 

 元皇族、現提督の娘。桃園宮・邦子。転生者としての能力は、支配下の軍艦の能力の上昇、これは艦娘も例外じゃなくて練度1が練度80を下すくらいに上がるらしい。

 

 まあ、あいつのところは扶桑型戦艦と飛龍、蒼龍の二航戦と強力な艦娘が揃っているからな。その上に先日、長門と陸奥をドロップしたって話だけど、まだまだ訓練中だろうし。

 

 他ってなると、やたらと潜水艦の扱いが上手い奴がいたな。潜水艦ってなると、俺の金剛型と相性がな。

 

「やっぱ、お前のところがいいな。何か新型も出たって話だけど、どうなんだ?」

 

「え? いや、普通だよ」

 

 おいおい、顔色を変えるくらいなら、否定するなよ。それじゃ、嘘ついてますって意味にしか見えないぞ。

 

「幼馴染に隠しごとか?」

 

「いや、まあ、ちょっと問題があってさ。空母らしいんだけど、俺は聞いたことない名前で、艤装もよく解らなくて」

 

 空母らしいってなんだよ。艤装を見れば艦種なんて一発で解るだろうが。

 

「へぇ、名前は?」

 

「二人なんだけど、一隻が『エターナル』で、もう一隻が『フロンティア』って名乗った」

 

「ぶ?!」

 

「修一?! どうしたのさ?」

 

 おいおいおいおいおい、なんだそりゃ。

エターナルってあれか、ガンダムSEEDのエターナルか? 艦娘って第二次世界大戦の奴しか出ないんじゃ、ってこいつの前だと無意味か。

 

 何しろ、こいつのところにはアズレンの子がいる。その上にアルペジオのイオナまでいるし、大和にいたっては集合体だ。空母『大和』だったり、宇宙戦艦だったり、戦艦空母だったりと複合的な艦種を持っている。

 

 で、もう一隻が『フロンティア』? 軍艦にフロンティアなんて名前の奴会ったか? 第二次世界大戦か、それか近代か未来か。

 

 ちょっと待った。あったじゃないか、フロンティアって名前の船。

 

「そのフロンティアってやつ、『マクロス』って最初につけたか?」

 

「修一、やっぱり知っているんだ。確かマクロス船団の、って言っていたけど」

 

 マジかぁ。なんだこいつの建造の引きの強さ。艦これ以外からも引っ張ってくるってどういう強運だよ。

 

「画像あるのか?」

 

「あるよ」

 

 あっさりと一郎が出した画像は、エターナルが『ラクス』で、フロンティアが何故か『シェリル』だった。

 

 おいおいおい、本当になんだこれ。この世界って艦これだろうが、その世界に宇宙戦艦持ち込むか。

 

「はぁ、本当におまえってやつは。なあ、やっぱり一緒に海域制覇行こうぜ」

 

「いや止めておく」

 

 どうしてそんな蒼白になるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修一が帰ってから、俺は執務室でホッと一息をついていた。

 

「あいつの誘いに乗っても良かったんじゃないか?」

 

「いやでもさ。コナンだって見ただろ、エターナルとフロンティアの資材消費量」

 

「バーロ、そんなこと言っていたら何時までも練度が上がらないだろうが」

 

 確かにそうなんだけどな。

 

 今日もジャベリンと電を先頭に、駆逐艦達は頑張って資材を集めているし、主計科からも『もう何度目ですか』とお小言を貰いつつ資材を流してもらっている。

 

 でも、だ。でも、それ以上にうちの主力の資材消費が激しくて激しくて。

 

 大和にイオナ、エンタープライズの三人はもちろんだけど、信濃に土佐を入れてコンゴウとか入った時の資材消費、コナンと見た時はもう『え、ゼロが二つほど多くないですか』って聞き返したよ。

 

「そういえば、なんでコンゴウはカタカナなんだろう?」

 

「知るか、本人に聞けばいいだろ?」

 

「そうだよな」

 

 なんだか、あのコンゴウも他で見かける金剛と服装も容姿も違い過ぎるんだよな。まあ、いいけど。

 

 それに、信濃と土佐って艦娘も他じゃ見たことないし。大和と同じく未発見なのかな?

 

「で、潜水艦も資材調達に向かわせたんだよな?」

 

「イムヤとゴーヤには悪いけど、行ってもらったよ」

 

 うんうん、潜水艦は資材の消費が低くていいな。全力で動かしても戦闘しなければ資材が三百で済むんだから。

 

「・・・なあ、マスター。資料ってみたことあるか?」

 

「資料? 最近はあまり確認できてないな」

 

 なんでと返すとコナンは小さな声で呟いた。

 

「イムヤとゴーヤ、外見はそっくりなんだけど、艤装が明らかに違うんだな。気づいてないのか?」

 

「はぁ? なんだって?」

 

 よく聞こえなかったけど、何だろう。

 

「ま、いっか。さて、マスター。資材も少しずつ回復していったから、そろそろ海域やって練度を上げようぜ」

 

「よっし、久し振りの練度上げだ」

 

 気合を入れていこうぜ。

 

「失礼します!」

 

 あ、吹雪だ。どうしたのさ?

 

「すみません! 間違えて全力戦闘やっちゃいました!」

 

「・・・・・・・」

 

「は、ははは。勘弁しろよ」

 

 なんでだろう、この子は駆逐艦なのに。どうしてだろうか、どうして全力戦闘すると戦艦以上の資材を消費するのか。

 

 これって、単純計算で空母一戦艦二の資材なんだけど、どうしてだろう。

 

 でも、大和たちに比べたら少ないから、いいとしよう。

 

 現実逃避だよ、馬鹿野郎。

 

 後日、俺は知ることになる。

 

 イムヤとゴーヤと名乗った少女たちが、実は『日本武尊』って潜水戦艦と『須佐之男』って潜水艦だったことを。

 

 その時の俺はまだ知らず、彼女達の言葉を信じていたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の朝、俺は再び絶叫を上げるのでした。

 

「当番制だ、諦めろ提督」

 

「コンゴウ?! なにそのドレス?! 普通に透けるようなやつを着ないでくれないかな?!」

 

「ネグリジェは男のロマンだと教えられたが?」

 

「ギルガメッシュぅぅぅぅ?!」

 

 俺の平穏な毎日は何処に行ったのだろう?

 

 

 

 

 

 




 

 女性に添い寝されるって嬉しいことかもしれないけれど、寝像とか眠れるかとかイビキとか色々と考えると、結構な大問題に発展しますよね。

 特に隣で寝て、腕とか抱きしめられると、痺れません?

 後、理性って何時まで持ちますかね?

 的な話です。





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