艦これの世界で名探偵と英雄王に挟まれながら、艦娘っぽい娘達と頑張ってます。『完結』 作:サルスベリ
人の視界って広いようで狭い、見ているようで見てないことが多くありますが、最近はいかがお過ごしでしょうか。
やりたい放題に書きたいこと詰め込んだものですが、皆さまの日常の小さな楽しみになればと考えています。
ようするに暴走してます、ブレーキないです。
的な話です。
海域制覇って、実は簡単にできるんだなぁと思った最近です。
どうも、田中・一郎でございます。
「え、敗走?」
「らしいな」
珍しいこともあるもんだ。修一の艦隊が北海の一海域制覇中に敗退したって話らしい。
うん、コナンも予想外だったらしく、なんか悩んだ顔しているけど。
「やっぱ、次の遠征の艦隊、増やすしかないか。どっかに落ちてないか、十万単位の資材」
違いました。
今日も元気にうちの鎮守府は資材不足でございます。あれ、どうしてだろう、毎日のように駆逐艦達が頑張っているのに。
なんで毎度毎度、資材不足。
「マスター」
「なんだよ、ギル」
呼ばれて顔を向ければ、すっごい笑顔のギルが資材の山に座っている。ちょっと待て、お前。どっから持ってきた。
「フ、王とはすべてを見通す者。こうなる結末は知っていたぞ。どうだ、今なら盆踊りでくれてやろう、道化よ」
うわぁ~~上から目線で見下ろしてくれちゃってさ。
「盆踊りであれがもらえるなら」
「コナン待て! 待つんだ名探偵! 名推理どうした?! あの愉悦大好きギルだぞ!」
「離せよ! 離してくれ! あれがあれば! あれがなくちゃダメなんだ!」
なんだそりゃ! まるで劇場版のクライマックスみたいな叫びじゃないか、そんなに追い詰められてるの俺達?!
「ククククク、いいぞいいぞ、あのプライド高い名探偵が、泣き叫ぶ様が見れるとは。まさに愉悦! はっはっはっは!」
「最初から絶好調に飛ばしてんじゃないよ! ギルぅぅぅ!!」
くっそぉ! うちの鎮守府の頭脳が崩壊するくらいに、資材がないって言うのか。なんでだ、毎日のようにジャベリンと電を筆頭にして頑張っていてくれるのに、どうしてこう資材不足になるんだ!?
これは神が与えた試練というのか?!
「呼んだ?」
「神様って単語でなんで毎回、顔を出すかなソープ?」
「え? あれ、知らなかったの?」
まっさかぁって顔しているソープに、俺は何のことか解らずに無言で見つめた。
「一応、神様」
「・・・・・・はぁ?!」
「ほう、そういえば我の嫌いな神とは違うが、そやつも神であったな」
嘘だろ、噂じゃギルガメッシュって神様嫌いじゃなかったの? なんで二人して資材の上に座っているわけ。
「っていうかソープ! 何時の間にギルの隣に移動した?!」
「神様の特技はワープだからさ」
おおぅ。は?! し、しまった見惚れてしまった。くっそ、腐っても美人だ。もうすっごい絵になる。隣にいるギルも美形だから、二人していると本当に神々しいというか、一流の絵画のようというか。
この二人の間にエルとか入ったらもう、どっかの壁画にも勝てる光景になるからな。
密かな自慢にしてないからね。してないったらしてない。
「離せよぉぉぉぉぉ!!!」
「だから何があったコナン!?」
なんだかすっごい必死に振りほどこうとしているこいつも、何があったんだよ、本当!
「大和、イオナ、エンタープライズ、土佐、信濃、コンゴウで艦隊編成してしまったんだよ」
「おまえ本当に何があった?!」
「仕方ないんだよ! あの前の時のショックで本当にボーとして、気づいたら提督の確認書類の束に紛れ込んでたんだって!」
「なんてことしてんだおまえ!!」
「悪かった・・・・・っておまえも気づけよ! 中身見てないのかよ!?」
「見てない!」
自慢じゃないが、コナンから渡された資料とか書類とかって、中身を見たことはない。文字が多いなぁとか、図形とかあるなぁとか考えているけど、内容についてはまったく読んでない。
「お前は」
ああ、コナンの背後に紅蓮の炎が見える。激怒ってやつだけど、今回の俺は悪くない気がする。
気がする! 大事なことなので二度、繰り返す!
「おまえって奴はなぁ」
拳を握ったまま、コナンは項垂れて止まった。
あれ、殴ってこない?
「さすがに可哀そうだよね、ギル」
「我もさすがにそこまで追い込むことはないというのに、どうしてこうマスターは予想外のところから追撃するのか」
「資材、倉庫に入れてくるね」
「我も行こう。さすがに今回はコナンがな」
あれれ、なんだか資材がもらえた。よっし、良かった。やっぱり、人間っていうのは誠心誠意、働いてこそだな。
「俺、いつかマスター殺しに走らないかな?」
「ええ、コナンって意外に優しいから、それはないって」
「は、はははは。ヤバい、今の俺なら殺人犯の気持ちが解る」
名探偵、どうしたのさ、そんなに乾いた笑顔して。
まあいいか、資材がもらえた。これなら海域制覇がやれるな、そろそろ主計科の七草さんが怖いから、きちんとした功績を出さないと。
「さて、資材はどのくらい・・」
「戻ったぞ、提督」
うん、エンタープライズ、いい笑顔だね。なんでか、艤装の所々が焦げているけど、何があったのかな?
「お、おい、まさか」
コナン、復活したんだね。やった、この苦しみを俺一人で受け止めるのかって、ちょっと怖かったんだ。
「あの~」
「あれ、エルじゃん。どうしたのさ?」
よっし、生贄が増えた。でも、なんでエンタープライズと一緒に来たのかな?
「清々しい戦いだった。久しぶりに燃えた海戦だったぞ」
「へぇ~~エンタープライズがそこまで言うなんて、どんな戦いだったの?」
「強敵だった」
なんか、気合いの入った答えだけど、その後にエルを見るのはどうしてかな?
「待った、ちょっと待った。少し気持ちの整理をつけてからにしてくれ」
「コナンも焦ってどうしたのさ?」
「マスター、とりあえずお茶を飲んでからにしような? な!」
「いや、まあお茶くらいならいくらでも。後でもいいんじゃないの?」
戦果報告を受けなくていいなんて、どうしたのさ。資材の残量も気になるし。
「おまえって、悪い結果に向かっていくからすげぇって思うよ」
「はい?」
何の話だろう。さてと、エンタープライズの話を聞こう。
「その前にこれを」
「何この紙? 始末書? エルネスティ? あれ、エルのフルネームが書いてあるけど、何で?」
研究とか開発とかの申請書類はエルって書くのに。しかも、事後が全部ってことで色々と怒りたいけど、今回は最初に持ってきたのかな?
「いえ、事後です」
「はぁ?」
事後ってまた勝手に開発したのか、あれか今度も異文化技術の集大成とか。
あれ?
「え? えっと、破損物品、艤装六隻分? 恐竜型兵器一式?」
「はい、すみません」
「原因が『誤射』?」
「正確にはフレンドリーファイヤだ」
へぇ~~~そっか。フレンドリーファイアか。そっか、そっか。
「ん? フレンドリーファイアって確か」
「同士討ち、あるいは味方を撃っちゃいました」
「コナン、ありがと。へぇ~~~え?」
「ごめんなさい、帰還中の艦隊と鉢合わせしまして。そのデスザウラーのテスト中でハイテンションだったので」
「あまりに海域での戦闘が物足りなくてな。不満を抱えての帰還だったから、ついというわけだ」
あ、うん、そっか。
「コナン、被害確認、行くか?」
「おまえ一人で行ってこいよ」
「解った」
机に突っ伏している彼に小さく敬礼して、俺はゆっくりと執務室から外に出て、全力で港まで走った。
結論として、港が半壊していました。で、凄いいい顔した残りの五人と会いました。ギルとソープが腹を抱えて笑っていたのが、とても印象的でした。
「うん、今日も鎮守府は平和だ」
ジャベリンと電が崩れ落ちていますが、こうでも言わないと俺の精神が持たないので許してください。
資材倉庫直撃したって、気にしない。艦娘達の発進口が損壊していても気にしない。
今日もいい天気だ。現実逃避さ、当たり前だろ。
資材倉庫が吹き飛びました。どうしましょうなんて話、主計科に言えるわけがないので早急に資材を確保しなければなりません。
下手すると軍法会議です。
「困ったことになった」
「なるほど、困りましたね。実験ができません」
元凶その一が何か言っているけど、無視しよう。まったく自覚ないって許したがい。
「盛大にブーメランだけどな」
「うるさい、コナン。俺は自覚している。時々は」
「ダメだこいつ」
「俺の学力とか能力で提督やっているんだから、それだけで奇跡だと思う」
「言い切るなよ」
「人は生きているだけで奇跡みたいなものだ。それ以上、何を望むって言うんだ」
「いいこと言ったみたいな顔して、何を人様のセリフをしゃべってんだよ、バーロ」
え、写真家の名言だよ?
人生の銘にしたいくらいに、いい言葉じゃないか。だから今が奇跡なんだからこれ以上を俺に望まない。普通に生きたい人が、英霊とか艦娘とかと一緒に鎮守府にいて深海棲艦相手に、人類の先鋒なんてやっているだから、これは奇跡でしょうが。
「・・・・・・ああ!」
「なるほど、名言だ」
「へぇ~なるほどね」
「納得しました!」
コナン、ギル、ソープ、エルって四人が納得してくれて嬉しいよ。嬉しいんだけど、どうしてだろう、自分の何か大事なものを捨てたような虚しさがあるのは?
「さて、どうしよう。資材倉庫再建は妖精さん達が頑張ってくれて終わりそうですが」
「中身なんだよな。少ないっていっても四千あったからな」
「そうか。四千『しか』なかったか」
「困ったね、四千『程度』だったんだ」
「なるほど、何処からか『四千ぽっち』を集めてくればいいってことですね」
「うん、そうなるね。え? 四千しかなかったの?」
俺が聞き返すと、全員が考えるような顔をした後に、ポンっと手を打った。
「あ、四千しかなかったってことは、一回の遠征で集められるな」
「大丈夫じゃないか、コナン、何を焦ってんだよ?」
「悪かったよ。どうにも最近は数字ばっかり追いかけてたから、緊迫感が抜けなかったらしい」
「なるほど。名探偵も追い詰められると思考が鈍ると」
「サーヴァントとはいえ、元は人間だからな」
そっか、そうだよな。コナンも元は人間だから、いくらサーヴァントになって人間以上の耐性があるっていっても、思考が鈍ることくらいはあるか。
「というわけでジャベリンと電に頭を下げてくるよ」
よっし、そうと決まれば。
元気に歩きだそうとした俺は、扉のところでエルの声を背中に受けた。
「あれ? ですが、艦娘の発進口も損壊しているのでは?」
「あ」
あれ、あそこって確か艤装の装着に使われるから。あそこが使えないと、艤装が纏えないっていうか、艤装って装着するのに特殊な機械が必要だから。
つまり、出撃できない。
「ということは、八方塞がりってことだね」
嬉しそうに手を打ったソープと、その隣で爆笑しだしたギル。
「名探偵!」
「ちょっと待てよおまえ! いくら俺だってできることとできないことがあるんだぞ!」
「迷宮なしの名探偵! どうかこの難事件を解決して!」
「事件でもなければ難しくもないだろうが!」
「ク、やはり探偵は人が一人くらい死なないと実力を発揮しないのか」
「おまえ世界中の探偵にケンカ売ってんだろ?! そうだな?!」
まさかぁ。でもどうにかしてくれるんだろ?
「・・・・チックショウ」
すっごい苦い顔で頷くコナンに、さすがとほめたたえる俺でした。
「じゃ最初にマスター。おまえ、土下座してこい」
「へ?」
「主計科と軍令部と修一のところに」
「・・・・・オッケー! 俺が土下座して資材が貰えるなら安いもんだ」
よっし、まずは主計科に行くか。七草さんなら、怒りながらもくれるだろうから。その後に修一のところで、最後に軍令部だな。
高野総長がいたら、見事な飛び込み土下座したら、『馬鹿もの』と怒りつつくれるだろう。
「俺、マスターの凄さってあのプライドのなさだと思う」
「流石名探偵だな、我もそう感じている」
「うんうん、提督は今日も自尊心はないからね」
「あの態度は憧れます」
後ろで四人が変なこと言っているけど、俺が土下座して皆の資材が貰えるなら安いものよ。
ハッハッハッハ!!
「いいかげんにしなさい」
「見事な土下座だが、限度があるぞ」
「おまえなぁ、いいかげんにしないと不味いぞ」
だから『監査な』と言われました。
え?
遠足は家に戻るまでが遠足ですので、玄関先であっても油断しないように。
油断していると荷電粒子砲が飛んできますから。
なんてことはないけど、そんな話、的な?
次回は、『監査だよ、全員整列、迎え撃て』的な話になります。
予定ですが。