この妖怪の血を引く者に祝福を!   作:ゆっくり妹紅

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データが消し飛んだせいで早く出せないという事態…大変申し訳ございません。次からよく気をつけねば……

ちなみにタイトルの⑨は間違いではなく、わかる人に分かるネタなので気にしないでください。

それでは本編の方どうぞ


第⑨話

僕らが街の正門まで行くと、前回みたいにデュラハンと大勢の冒険者がいた。

だが、前回とは違いデュラハンの後ろには鎧や兜を身につけたアンデッドが沢山いた。

 

「やっぱりあいつか。今度は何しに来たんだ?」

 

「さあ?けど、後ろにアンデッドを連れてる辺り穏やかな用件ではないと思うよ」

 

僕らがそんな会話をしてる中、ダクネスを除いた僕らを見たデュラハンは体をプルプルと震えさせ…

 

「何故城に来ないのだ!この、人でなし共があぁぁぁ!!」

 

怒りの言葉を叫んだ。

 

「なんで城に行かなきゃならねーんだよ。それに、爆裂魔法だって撃ち込みにすら行ってねえぞ」

 

「あと、人でもないデュラハンに人でなしって言われる理由とか根拠はないよ?」

 

僕とカズマの言葉を聞いたデュラハンはわなわなと身体を震えさせた。

 

「撃ち込みにすら行っていない…?撃ち込みにすら行っていないだと!?よくそんな嘘がつけるな!そこの頭のおかしい紅魔族の娘が毎日欠かさずに通っておるわ!」

 

デュラハンはそういい勢いよくめぐみんを指さす。僕らや周りの冒険者もつられてめぐみんに視線を向ける。すると、めぐみんはふいっと視線を逸らした。

 

「お前行ったのか!もう、行くなって言ったのに、あれからまた行ったのか!!」

 

カズマが怒りながらめぐみんの頬を両手で思いっきり引っ張った。

 

「ひふぁい!ひふぁいです!ち、違うのです!聞いてください!その…前までは何も無い荒野に爆裂魔法を放つだけで満足してたのですが…城に撃ち込んでからは、その…大きくて硬いものじゃないと我慢できない体にぃ…」

 

「も、モジモジしながら言うな!そもそもお前、魔法撃ったら動けなくなるだろう!という事は、共犯者が居るな!いったい誰が…」

 

カズマが辺りを見回すと、アクアさんが口笛を吹きながら顔を背けた。

……………。

 

「わぁぁぁぁぁ!!ホムラさん!なんで私の襟首を掴むの!?」

 

「アクアさん、僕は怒っていませんから、正直に答えて下さい。めぐみんつれて爆裂魔法撃ち込みに行きましたね?」

 

「分かった!正直に言うからその顔で怒らないで!こわいからあぁぁぁぁ!」

 

曰く、まともなクエストを請けれない腹いせにやった、店長に怒られるのはあいつのせいだからとのこと。

「いや、店長に叱られるのはお前の働きぶりのせいだろ」

 

「わぁぁぁぁぁ!」

 

カズマのツッコミにアクアさんが叫ぶ中、デュラハンは言葉を続けた。

 

「この俺が真に頭に来ているのはそこの頭のおかしい小娘の事だけでは無い!貴様らには仲間を助けようという気は無いのか!?俺はモンスターに身を堕としたとしても元は騎士。その俺から言わせれば、仲間を庇い呪いを受けたあの騎士の鑑のようなクルセイダーを…!」

 

デュラハが言い終わる前に、件の騎士の鑑(実態はドM)のダクネスがおずおずと前に出てきた。

 

「や、やあ…」

 

「……え?」

 

「騎士の鑑などと、照れるな……」

 

「あっれえぇぇぇ!?」

 

珍しくまともな理由で頬を赤く染めるダクネスと狼狽するデュラハンの図である。

 

 

「え、なになに?あのデュラハン、一週間ずーっと待ってたの?帰った後すぐに呪いを解かれたとも知らずに?プークスクス!ちょーうけるんですけどー!」

 

デュラハンを煽るように笑うアクアさん。

それを見てプルプルと震え出すデュラハン。聞かなくても、怒りで身体を震えさせているのが分かるほど、怒気が滲み出ている。

 

「貴様、俺がその気になればこの街の住人を皆殺しにすることだって出来るんだ。この俺がいつまでも見逃すとでも思うか?」

 

「見逃してあげたのはこっちの方よ!今回は逃がさないわよ!アンデッドの癖に、注目を集めて生意気よ!消えちゃないなさい!ターンアンデッド!」

 

デュラハンが何かする前にアクアさんが浄化魔法を突き出した手から放つ。

対して、デュラハンはそれを見ても全く動じず避ける素振りすらしない。

 

 

「仮にも魔王軍の幹部であるこの俺が、こんな街にいる低レベルなアークプリーストに浄化されるとでもぎゃぁぁあぁぁぁ!!」

 

自信たっぷりなセリフを吐いていたデュラハンだったが、体のあちこちから黒い煙を立ち上らせながらも持ち堪えていた。

 

……嘘だろ?

アクアさん達がなにか言っているが僕の耳にはしっかり入っていない。

そもそも神の力は凄まじく、女神であるアクアさんが放った浄化魔法はかなりの威力だった。あのデュラハンも中々の力をもっているが、アクアさんが放ったあれで消えるだろうと予想していたから余計に驚いている。

そんな中、デュラハンがよろめきながらも言葉を続ける。

 

「ク、クク…。人の話は最後まで聞くものだ…我が名はベルディア!魔王軍幹部の1人、デュラハンのベルディアだ!この鎧には、魔王様からの加護により浄化魔法に対して耐性がある。そのため、そんじょそこらのアークプリーストの浄化魔法など効かぬわ!そう、効かぬはずなのだが…お前、本当に駆け出しか…?」

 

なるほど…確かに、感覚を研ぎ澄ませばあの鎧から変な力を感じる。それもかなり強力だ。これなら、アクアさんの浄化魔法が聞かなかったのも頷ける。

 

一方、デュラハン──ベルディアは予想外のダメージに不安になりながらも話を続ける。

 

「まぁいい。この街には強い光が落ちて来たらしくその調査に来たのだが…。面倒だからこの街ごと無くしてやろうか…」

 

 

物騒なことを言い出しベルディアは、右手を高く掲げると…

 

 

「わざわざこの俺が相手をするまでもない。さあお前達!この俺をコケにした連中に、地獄を見せてやれ!」

 

後ろにいるアンデッド達に命令を下した。

 

 

「あ!あいつ、アクアの魔法が予想以上に聞いてビビったんだぜ!自分だけ安全なところに逃げるつもりだ!」

 

すかさず、カズマが叫んでベルディアを動揺させる。

 

「ち、ちちち違うわ!最初からそのつもりだったのだ!魔王軍の幹部がそんな腰抜けなわけないだろう!あれだ、いきなりボスが戦ってどうする!こういうのは、雑魚からだと相場が決まって…!」

 

「セイクリッド・ターンアンデッド!」

 

 

「うぼあぁぁぁ!?」

 

ベルディアの必死の弁解を無視してアクアさんが先程放ったものより上位の浄化魔法を放つ。

直撃したベルディアは大量の煙を立ち上らせ、地面を転げまわっている。

うん、これは流石にあんまりだと思ってしまった僕は馬鹿なのかもしれない。

 

「やっぱりおかしいわ!効いてないみたいだわ!」

 

「いや、うぼあぁぁぁ!?って言ってたし、効いてると思うぞ?」

 

カズマとアクアさんがそんな話をしている中、ベルディアはフラフラ立ち上がりながらも後ろの部下たちに命令を下した。

 

「アンデッドナイト!この街の人間を…皆殺しにしろ!」

 

*****

 

アンデッドナイトが解き放たれ、冒険者達と戦闘を始めてから数分。

 

 

「くそっ!数が多すぎる!プリーストはまだか!」

 

 

「誰か教会から聖水をありったけ持ってきて!」

 

 

「早く街の住人を避難させろ!」

 

 

アンデッドナイト達が街へと侵入し、大混戦になっていた。

 

「せやっ!」

 

ホムラは1人、特にアンデッドナイトが沢山いるところに向かい、アンデッドナイト達を怒涛の勢いで首を切り飛ばしたり、ミニ八卦銃で消し飛ばしたりとしていたが、数が多すぎてキリがないのが現状だった。

 

(くそ!数が多すぎる…!マスタースパークや滅閃光で一掃出来れば…!)

 

 

ホムラはそう考えるが広範囲をカバーする技が使えないのが今の状況だ。

もし使えば、家屋に被害を与えるのは勿論、戦っている冒険者達にも当たる可能性がある。

結局、地道に一体ずつ倒していくしかない。

ホムラは考えを纏めると、後ろからホムラを斬ろうとしたアンデッドナイトを振り向きざまに横に一閃し首を斬り落とすと、脚に力を込め地面を蹴って近くのアンデッドナイトに接近。ホムラに気がついたアンデッドナイトは、持っている剣で袈裟斬りを仕掛けようとするも遅かった。

 

「疾風牙!」

 

ホムラは勢いを殺さずにそのまま剣をすれ違いざまに一閃。そして、上半身と下半身が別れたアンデッドナイトの上半身に、ブルータルアリゲーターに放ったのと同じ通常より霊力を溜めた霊力弾…言うなれば、チャージショットを放ち、上半身を消し飛ばした。

 

「とりあえず…ここら辺はとりあえず何とかできたかな」

 

ホムラは呟くと、先程戦況を確認するために放った使い魔と視界を共有し、苦しいところの応援に行こうと考えたが…

 

(……!?アンデッドナイト達がカズマとアクアさんを追っかけ回してる!?)

 

使い魔越しから飛び込んできた光景は、とてもまずいものであった。

早く2人を助けにいかないといけない、ホムラはそう考えるよりも早く、使い魔との共有を切り離し駆け出そうとした瞬間、轟音と揺れが街中に響いた。

 

何が起こったのか確認するため、ホムラは急いで使い魔と視界を共有すると、入ってきたのはとてつもなく大きいクレーターと、外傷はなさそうなカズマとアクアの2人。そして、満足そうな笑みで地面に突っ伏してるめぐみんだった。

ここまでの状況を見て何が起こったのか分からないほど、ホムラは馬鹿ではない。

恐らく、何かしらの手段を用いてカズマとアクアがアンデッドナイト達を街の外に誘導、そして街の外に出たところをめぐみんの爆裂魔法で纏めて吹き飛ばしたところだろう。

ホムラはそう予測すると、使い魔を呼び戻して札に戻し、街の外に行こうと剣を納めて駆け出した。

 

 

そうしている間にも事態が進んでいるとも知らずに…

*****

 

おっす、俺カズマ。

突然だが、今かなりやばい事態に陥っている。

アンデッドナイト達を纏めて消し飛ばしたまでは良かったのだが、そこにベルディアが宣言通り参戦。俺とおぶっているめぐみんに襲いかかってきたのだが、それを守るようにほかの冒険者達が立ちはだかり、ベルディアを囲んで一斉攻撃を仕掛け──全滅した。

 

やつは持っていた首を上に放り投げると、持っている大剣を両手に持って鎧をつけていた冒険者達を一太刀で鎧ごと切り捨てたのだ。

 

そのため、周りの冒険者も見てるだけしか出来ない状況に陥り、さらに最悪なことにこの街の切り札だと冒険者達が言っているミツルギは俺が魔剣を売り飛ばしたせいでどっか行っちまっている。

そして、ミツルギの代わりになりそうなホムラはこういう時に限ってここにはいないときた。ん?アクア?あいつはなんかやられてしまった冒険者達のそばでなんかやってるから助力は求められない。

 

「ほう…次は貴様か」

 

誰もベルディアに立ち向かおうとしない中、ダクネスが大剣を構えてベルディアの前に立った。

 

「安心しろ、2人とも。ホムラが来るまで私がこいつの相手を引き受ける。なに、仲間を守るのがクルセイダーの務めだ。それに私の頑丈さとやつの攻撃力、どちらが上か勝負してみたい」

 

ダクネスが真面目な顔で俺らを安心させるように言う。今のダクネスはどこに出しても立派なクルセイダーだ。てか、かっこよすぎて俺が女でこいつが男だったらトゥンク待ったなしだ。

 

「ふ、聖騎士であるクルセイダーが相手とは是非もなし!さあ、来るがよい!」

 

「はあああぁぁ!」

 

ダクネスはベルディアに真正面から斬りかかっていく。対して、ベルディアはダクネスの一撃が重いと予想したのか避ける素振りをしている。

そして、振り降ろされた大剣は──ベルディアの目の前の地面に叩きつけられた。

 

「……は?」

 

ベルディアが気の抜けた声を発し、呆然とダクネスを見る。他の冒険者も同じ視線でダクネスを見る。

ダクネスの顔を見ると、頬を赤くしていた

 

もう、やだ!さっきまでカッコよかったのにこんな変なことしないでくれよ恥ずかしい!

 

「ふん、つまらんな。期待外れだ」

 

そう言って、ベルディアはダクネスに大剣を振り下ろし斬り捨てた。

 

「ああっ!私の鎧が…!」

 

「…え?」

 

ベルディアはダクネスを鎧ごと斬り捨てたつもりだったのだろうが、結果はダクネスの鎧が少し壊れただけ。

ダクネス本人は無事であることに、ベルディアは動揺していた。

 

「ダクネス!攻撃は俺がやるからなんとか持ちこたえてくれ!」

 

「貴様は一体何者なんだ?攻撃はダメダメかと思えば、俺の一撃に耐える…意味がわからん……」

 

そう言い、ベルディアは再びダクネスに斬りかかっていく。

 

「ホムラあぁぁぁ!早く来てくれえぇぇぇ!」

 

俺の悲痛な叫びがどうかホムラに届きますように…

 




解説コーナー

チャージショット:ロックマンやってる人はお馴染みのもの。威力、範囲、貫通力共に高いエネルギー弾を放つ。本作では霊力を溜めたものとして出ている。なお、ロックマンXでは付けているアーマーによって能力が変わる

疾風牙:初出はロックマンX4。原作では、ダッシュしながらセイバーで斬りつけるというもの。本作でも仕組みほぼ一緒。
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