言い訳としては、出された課題が余りにも手間がかかるもので、そのせいで執筆の時間が取れずにこんなに空いてしまいました…
とりあえず、本編の方どうぞ
12/27:、黒化についての解説に追記。
「ぬ!?」
ベルディアはホムラの攻撃を大剣で受け止めたが、先程よりも重い剣戟に驚きの声を出した。
ホムラはそんな驚くベルディアを待たず、横薙ぎ、袈裟斬り、斬り上げ、左斜め斬り、大上段斬りとラッシュをかけていく。
「くっ!?(この小僧、スピードもさっきより上がって…!)」
ベルディアはホムラの乱舞のような剣戟を何とか捌いていくが、大剣という武器の関係上取り回しが悪いため段々ホムラの攻撃に防御が合わなくなっていき、そして…
「せやっ!」
「ぐおっ!?」
ホムラの繰り出した横薙ぎを防御できず、まともに食らってしまった。
だが、ベルディアは攻撃を受けてなお、ホムラに向けて大剣を振り下ろした。
ホムラはこれを後ろに跳んで避け距離を取るも、標的を捉えなかった大剣は地面を砕き、その破片の一部が左腕に当たってしまった。
一方、先程攻撃を食らったベルディアの心境は驚愕で満たされていた。
だがそれは攻撃を食らったことではなく、自身が受けたダメージにだ。
ベルディアはホムラが変化する前の攻撃を何度か貰っている。だが、それもベルディア自身の防御力と魔王の加護をうけた鎧の効果で、大したダメージは貰っていなかった。
しかし、先程受けた攻撃はその防御力を貫いてベルディアに少なくないダメージを与えた。いくらまともに食らったとはいえど、ここまでのダメージを負うとはベルディアは予想していなかった。
ふと、何故か仕掛けてこないホムラに視線を向けた。
「ハア…ハア…」
ベルディアの視界には肩で息をしながら左腕を抑えているホムラがいた。
そこで、ベルディアは確信した。今のホムラは筋力、スピードと剣に纏わせてる魔力の出力が先程より上がっている代わりに防御力が低下していると。
ホムラの左腕は先程確かにベルディアが振り下ろした大剣の衝撃で砕かれた地面の破片が当たった。勿論、それなりに勢いもあったがあの程度の威力ではそこまでのダメージは与えられない。
だが、ホムラは左腕を苦しい表情で抑えていることから防御力は下がっていると見ていい。
無論、ベルディアはそんなスキルを持つ者がいるという話は聞いたことはない。だが見たことない物体から魔力砲を放ったり、魔力を剣に纏わせながら戦ったりと色々規格外なのだから、そんなスキルをホムラが持っていてもおかしくは無いだろうと判断した。
一方、ホムラはというと先程から鈍い痛みが走っている左腕を抑えながら、どう攻めるか考えていた。
このスキル…【黒化】は、ベルディアの推測通り筋力やスピードなどの能力が上がる代わりに、防御力が下がる…正確に言えば感覚がいつもより敏感になるというデメリットがある。
だが、デメリットはもう1つありそれは体力と霊力の消耗の激しさ。この状態はその消耗の激しさのために、余力を残すことを考えるともって1分半とあまり長続きしない。いや、余力を残さない前提ならさらに1分ほど保てるが、解除したあとに暫く動けなくなるという大きすぎるデメリットがある。
事実ホムラは度、それをやって彼の育ての家族や姉のような人達に説教されたことがある。
(さっきの攻防で30は使った。残りは1分未満。その間にやつを倒しきるのは正直いって可能性は低い。なら俺がとるべき策は…)
ホムラは考えをまとめると剣を右手のみで持ち構える。
「随分と辛そうだが、休まなくていいのか?」
「そんな野暮なことはしないさ。それより、再開するとしようか?」
ベルディアの挑発を軽く流し、ホムラは剣に雷を纏わせて突進した。
****
「武雷突!」
ホムラは地面を蹴った勢いを殺さずに雷を纏わせた剣をベルディアに突きを繰り出した。
黒化の効果でスピードが上がっているホムラの突進突きはかなりの速さだ。が、ベルディアはそれを楽々と躱す。
どんなに速くてもただ真っ直ぐ来るだけならそれなりに経験を積んだ戦士であれば、フェイントを混ぜた攻撃と比べると躱すのは容易いこと。
しかし、それはホムラも承知だ。本命は次の攻撃。
「雷神昇!」
「ぐっ!?」
ホムラは雷風を撒き散らしながらジャンプ切り上げをベルディアに向けて放った。ベルディアは追撃を予想して、距離はある程度取っていたため剣にこそ当たりはしなかったものの、雷を纏った風には当たってしまう。
だが、ホムラの攻撃はまだ終わっていない。
ホムラは空中で左足に足に炎を纏わせると同時に右手の剣をすぐに鞘にしまい、ミニ八卦銃を後ろに向けて発砲、その反動でベルディアに向けて勢いよく急降下蹴りを繰り出す。
「炎降脚!」
「甘いわ!」
しかし、その攻撃をベルディアは大剣の腹で受け止めホムラを空中へと押し返した。
「くっ…!」
ホムラは空中へ押し返されながらも、体勢を整えるとミニ八卦銃を構え、ベルディアに向けて3回ほど引き金を引く。それをベルディアは大剣で全ての光弾をはじき飛ばすという芸当をこなした。
ホムラはその間に着地すると、剣を構えまたベルディアに走り出した。
一方でホムラの戦いを見ているカズマはベルディアを注意深く観察しつつも頭を働かせていた。
カズマはホムラが様々な属性を纏わせた攻撃をしているのを見て、彼がベルディアの弱点を探っているのだと気づき、そこからベルディアの様子を観察し弱点を探しつつも、自分が持てる知識を振り絞っていた。
(今のところの感じだと、炎、雷、氷は弱点じゃなさそうだ。炎はまともに食らってはないけど、弱点ならもっと慌てて反応するはずだから除外していい。そうすると、ゲームで残ってる属性と言えば光、闇、水、風、地だ。どれだ?どれが弱点なんだ?)
「円水斬!」
ホムラはそんなカズマをよそに水を纏わせた剣で水平に回転斬りをベルディアに向けてはなった。
「ちっ!」
それをベルディアは後ろに跳んで避けた。
(……?なんで、アイツはあんな慌てて…そういや、俺が足を凍らせるために放ったクリエイトウォーターもあんな感じで避け…て……)
そこまで考えたカズマはベルディアに有効打になるであろう魔法を放った。
「クリエイトウォーター!!」
「ぬっ!?」
ベルディアはカズマが放ったクリエイトウォーターを慌てて避けた。
それを見たカズマはベルディアの弱点を確信したと同時に周りの冒険者に向かって叫んだ。
「水だー!!コイツの弱点は水だぁぁぁぁ!!」
****
カズマの言葉を皮切りにほかの魔法使いたちがクリエイトウォーターをベルディアに向けて放つ。
もっとも、そんなことをすれば近くで戦うホムラにも当たるわけだが、ベルディアと違ってホムラは水が弱点という訳では無いため、出てる被害はずぶ濡れになって、インナーが透けてるぐらいだ。
一方でベルディアは弱点がバレたことにより胸中は穏やかではなかった。もし、ただ弱点がバレただけだったらまだ良かったのだが、今回に関して自身に食らいついてくるホムラの存在のせいで事態は最悪だった。
今は何とか捌いているが、それも時間の問題だ。いつ崩されて殺られるか、そんな焦りをベルディアは持っていた。
一方で、焦っているのはホムラも同じだった。
何とか弱点をカズマが突き止めたが、この状態で居られるのももう短い。
魔法使い達が打っているクリエイトウォーターのおかげでベルディアの隙は多くなったが、それでも決定打を中々与えられない。
(どうすれば…)
一瞬、ほんの一瞬だけホムラは集中を切らせてしまった。その一瞬がベルディアが欲しかった時間だった。
「隙あり!」
「ぐうっ!?」
ベルディアの袈裟斬りをギリギリでホムラは剣を頭上で横にして受け止めたが、がら空きの腹にベルディアの蹴りが突き刺さった。その衝撃でホムラは後方へ吹き飛ばされ地面を転がるも、すぐに体勢を立て直したが…
「ハア…ハア…こんな時に限って…!」
「ホムラ!?くそ!」
黒化が解けてしまい、しかも先程の一撃で受けたダメージは予想以上に大きく、ホムラは体をふらつかせていた。そんなホムラを守るようにカズマ達はクリエイトウォーターを放つが、ベルディアはそれを的確に避けながらホムラに近づく。
「そこまでだ!!」
「ダクネス!?」
「ほう、貴様が俺の前に立つか」
そこへ、ホムラを守るようにダクネスが立つ。それを見てベルディアはダクネスの評価を改める。やはり、この聖騎士はおかしい所はあるが騎士の鑑であると。
「貴様たちのような者と戦えたことに魔王様に感謝を」
ベルディアはそう呟くとダクネスへと斬りかかろうとした──瞬間だった。
ベルディアに悪寒が走った。その発生源はいつの間にか戻ってきていたアクアからであり、彼女の周囲には霧のようなものが漂っており、それは段々と小さな水の玉となって辺りを漂っている。
「この世にある我が眷属よ…」
その小さな水の玉からはかなりの魔力が魔法に疎いものでも分かるほど濃密に込められている。
「水の女神、アクアが命ず…」
(っ!撤退しなければ!!)
ベルディアは、止めるのは不可能だと悟ると撤退を図った。
「行かせるか!!」
「くっ、邪魔するな!クルセイダーのむす…ぬっ!?」
「逃がさない…!」
が、ダクネスがベルディアの前に立ちはだかり、それに足を止めたベルディアにホムラが痛みを堪えながらもその足にしがみつき、ベルディアの逃亡を防ぐ。
「くそ、はなっ…!」
「セイクリッドクリエイトウォーター!」
上空に浮かび上がった魔方陣からは洪水クラスの量の水が流れ出し、ベルディアを初め冒険者達を飲み込んだ。
「ちょ、おぼ、溺れま……!」
無論、その中には爆裂魔法を撃った影響で動けないめぐみんも例外ではない。
「めぐみん!」
カズマは咄嗟に溺れそうになるめぐみんの手を話さないようにしっかり握る。
「掴まってろ、流されるんじゃねえぞ!」
一方、ホムラはと言うと……
「は、っ…ガボガボボ……」
溺れかけていた。ホムラは実は水泳が苦手であり、先程まで何とか残ってる体力を振り絞って手足を降っていたが、黒化の反動と体に残るダメージのせいで長持ちせず、段々と水の中へ沈んでいった。
(…ら、ん…ねえ……さ…)
遠のく意識の中、ホムラは誰かに手を掴まれたのを感じた。
解説コーナー
黒化:元ネタはブラックゼロ。ブラックゼロ自体の初出はロックマンX2なのだが、これに関しては割愛。黒化の元ネタのブラックゼロが出てくるのはロックマンX5。簡単に言ったしまえば、ゼロの強化形態であり、ロックマンX5〜6では防御力とゼットセイバーの性能が上がり、8では攻撃力とダッシュの距離が上がる代わりに防御力半減、コマンドミッションでは攻撃力と素早さが上昇というふうになっている。ホムラが使う黒化はロックマンX8仕様の方で、素早さ、筋力、そして痛覚を含む、全ての感覚が上がるという効果で納まっている。ホムラ曰く、まだまだ未完成らしい。(露骨な強化フラグ)
なお、黒化中は口調が変わり、性格も好戦的なものへとなる。
武雷突:初出はロックマンゼロ4。元ネタはゼットセイバーに雷を纏わせて放つ刺突技。
ホムラが使うものも、原理は同じ。違う点はゼットセイバーかそうでないかぐらい。
雷神昇:初出はロックマンX7。雷風を起こしながらジャンプ切り上げをするというもの。こちらも、違う点はゼットセイバーかそうで(ry
炎降脚:初出はロックマンX8。この技は、Kナックルという武器を装備した状態で炎降刃を放つと、斜め下に炎を纏ったライダーキックをかますというものに変更される。ホムラの場合は、ミニ八卦銃の反動で加速で威力をあげるというアレンジを加えている。
円水斬:初出はロックマンX6。元ネタはその場で自身の周囲に高速回転斬りを放つというもの。ホムラが使うものは、剣(または刀)に水を纏わせて水平or垂直に回転斬りを放つというものに。