この妖怪の血を引く者に祝福を!   作:ゆっくり妹紅

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なんか寝れないので、執筆してたら1話分がいい感じにできたので投稿。

今回はオリジナル回です。

それでは、本編の方どうぞ!


第15話

あれから、僕らは冒険者ギルドへ戻り、僕は白狼討伐の報告、カズマ達はクエストの中断を報告した。

 

そして、今現在はギルドの食堂のテーブルの一角で話し合いをしているところだ。

 

「魔法を扱うウェアウルフとゴーレムか…ホムラはやっぱり強いよなぁ」

 

「前も言ったけど、僕なんてまだまだだよ。今の僕が黒化使っても、師匠には絶対勝てないと思うし」

 

「ホムラの師は一体何者なんだ…?」

 

ダクネスが喜びそうな攻撃力と性格の持ち主です。と言うのを堪えて笑ってやり過ごす。こんなことを言った日には、間違いなく色々と面倒くさいことになるのは明白だからね

 

「そういえば、その刀。結局どうするの?」

 

「あー…」

 

アクアさんがテーブルに立てかけてある、冷気を出して白銀の鞘に収まっている刀を指さす。

 

これは、あの冬将軍が置いていったものだ。なんでも、話によると立ち去る前に僕の近くに放り投げたらしい。自分の武器をなぜ?と思ったが、冬将軍は精霊のためその体は魔力でできている。刀も例外ではなく、それも魔力で出来ているため、損失してもすぐに作れるらしい。

 

──もっともこの刀は何故か実体のある物体なのだが──

 

それは置いとくとして、何故冬将軍が僕にこの刀をくれたのか、という疑問に関してはよく分からないということで終わった。

 

そして、問題はここからだった。

この刀、持つと発する冷気があまりにも冷たすぎて、めぐみんの見立てだと、長期的に持ってると全身が凍る可能性があるらしい。

アクアさん曰く、刀自体が認めないと使えないような加護があるとのこと。

他のみんなにも持ってみてもらっても結果は同じ。そして霊術や妖術をフル活用してみても、ほんの数秒ならギリギリ使えるというもの。結局、バフなしではこのパーティでは誰も扱うことはできないと判明。(なお、その内1名は「こういうジワジワとクルのもいい…!」と言っていた)

では、売り飛ばすかという話にもなったが、ここはめぐみんとダクネスが、呪いの武器(失礼だけど)みたいなのをこの街の武器屋が買い取るとは思えないと言い、僕個人としても売りたくないので却下。

無論、武器として扱うことができないため普段から持ち歩くのも避けたい。

しかし、預けるにしても、この刀を預かってくれそうな人も思い浮かばないのも現状だ。

 

結局、これといった案が出ないため暫くは普段から僕が持ち歩くことになった。

 

 

****

 

それから数日後のこと。

 

「おい、もう一度言ってみろ」

 

カズマは怒りを抑えながら、静まり返るギルドないでその男に問い返した。

死んでしまったカズマと腕を斬り飛ばされた僕は、数日ほど休養を取り、今日になって戦闘行為が禁止されているカズマと、条件付きとはいえ、戦闘を控えるように言われてる僕は簡単な荷物持ちみたいな仕事でもないか、ギルドの掲示板を見ていたんだけど…

 

「何度だって言ってやるよ。荷物持ちの仕事だと?上級職が揃ったパーティにいながらもう少しマシな仕事に挑戦できないのかよ?大方お前が足を引っ張ってるんだろ?なあ最弱職さんよ?」

 

そう言って同じテーブルにいた他の仲間と笑い合う戦士風の男。

僕はカズマを馬鹿にされたことに我慢できず、その人に声をかけようとしたが、カズマがそれを目配せして止めた。

 

恐らく、カズマはこの男の言うことも一理あると思っているのだろう。けど、この凸凹パーティを他に効率的に動かせる人はカズマぐらいしかいないと僕は思ってるから、そこまで卑下しなくてもいいのに…

 

そんな無言でいるカズマをその男は萎縮してなんも言えないでいると思ったらしい。

 

「おいおい、何か言い返せよ最弱職。ったく、いい女3人も引き連れて、ハーレム気取りか?しかも全員上級職と来てやがる。さぞかし毎日、このお姉ちゃん達相手にいい想いしてんだろうなぁ?最近は1人で依頼を受けてる荷物持ちの獣人をそっちのけでなぁ!」

 

それを受け、ギルド内に爆笑が巻き起こった。

男が言った内容に憤りを感じるも僕は手を強く握って耐える。

この街で1人で依頼を受けるとしたら大抵は簡単なものが通常であり、そう思うのは仕方ないこと。それに、僕の未熟さのせいで暫くは荷物持ちしか出来ないのは事実だから言い返せない。

ただ、中には前のベルディア討伐の活躍と、僕が1人で難易度が高めの依頼を受けているのを知る人達の一部は、その言葉に顔を顰めて注意しようとする人もいた。

 

こういう人達がいるなら耐えられる。

歯を食いしばって我慢を続けるカズマと僕に向けて、その男はさらに言葉を続ける。

 

「優秀な上級職におんぶに抱っこで楽しやがって、男二人は苦労知らずで羨ましいぜ!おい、俺と代わってくれよ兄ちゃんたちよ?」

 

「大喜びで代わってやるよおおおおおおおっ!!」

 

ついに、耐え切れなくなったカズマが大声で絶叫した。

突然の事態(と内容)に冒険者ギルドの中が静まり返る。

 

「……えっ?」

 

絡んでいた戦士風の男が、ジョッキを片手に思わずマヌケな声を出す。

うん、気持ちは僕もわかる。

 

「代わってやるよって言ったんだ!おいお前、さっきから黙って聞いてりゃ舐めた事ばっか抜かしやがって!ああ、そうだ、確かに俺は最弱職だ!それは認める。……けどなあ、お前!お前その後なんつった!」

 

「カ…カズマ?」

 

ブチギレてるカズマに、アクアさんがおろおろしながら声をかけるも、カズマは止まらない。

 

「確か、いい女3人も連れてハーレム気取り!?おいお前、その顔にくっついてるのは目玉じゃなくてビー玉かなんかなのか?どこにいい女がいるんだよ!俺の濁った目ん玉じゃどこにも見当たらねえよ!お前いいビー玉つけてんな、俺の濁った目玉と取り替えてくれよ!」

 

「「「あ、あれっ!?」」」

 

カズマの言葉にアクアさん達が、それぞれ自分を指しながら小さな声でそう呟いた。

…うん、確かに3人とも実態を知らなければいい女性に見えるよ……うん(精一杯のフォロー)

 

「それとホムラが荷物持ちでそっちのけだと!?ふざけんな!あいつは俺らんとこのメインアタッカーだぞ!それにお前は1人で、白狼の群れ討伐を達成したり、魔王軍幹部や冬将軍とタイマン張ってそいつらに攻撃当てられんのか!?しかもそのあとは上級職におんぶに抱っこで楽しやがって!?俺らが苦労知らずだぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「……そ、その、ご、ごめん……。俺も酔ってた勢いで言いすぎた……。で、でもあれだ!隣の芝生は青く見えるって言うがな、お前さんは確かに恵まれてる境遇なんだよ!代わってくれるっていったな?なら、一日。一日だけ代わってくれよお二人さんよ?おい、お前らもいいか?」

 

男はそう言ってテーブルの仲間達に確認をとる。

 

「お、俺は別にいいけどよお……。今日のクエストはゴブリン狩りだし」

 

「あたしもいいよ?でもダスト。あんた、居心地がいいからもうこっちのパーティに帰ってこないとか言い出さないでよ?」

 

「俺も構わんぞ。ひよっこが1人や2人増えたってゴブリンぐらいはどうにでもなる。その代わり、いい土産話を期待してるぞ?」

 

絡んできた男と同じテーブルにいた、その男の仲間達は口々に言った。

 

「ねえ、カズマ。その、勝手に話が進んでるけど私達の意見は通らないの?」

 

「ホムラはともかくお前らは通らない。おい、俺の名はカズマ。今日一日って話だが、どうぞよろしく!」

 

「「「は、はあ……」」」

 

絡んできた男の3人の仲間は若干戸惑い気味に返事をした。

ところで、僕はどうすればいいんだろう……

 

 

****

 

結局、僕はダクネス達といることにした。

理由としては…

 

「ええー。ゴブリン退治ー?もうちょっとこう、ドカンと稼げる大物にしない?一日とはいえ他所にレンタルされてるカズマに、ホムラが戦えなくても、私達がどれだけ有難い存在なのかを見せつけないといけないの」

 

「い、いや、あんたらの実力が高いのはわかるが、俺の実力が追いつかねえよ。アークプリーストにアークウィザードにクルセイダーに、ルーンナイト。これだけ揃ってればどんな相手でも楽勝だろうけどよ、今回は無難なところで頼むよ。……所でクルセイダーのあんた、武器も鎧も持っていないが、まさかその格好で行く気なのか?」

 

「大丈夫だ。硬さには自信があるし、武器を持っていてもどうせ当たらん」

 

「当たらん…?いやその……ま、まあいいか……」

 

このように、一時的とはいえこちらに来た絡んできた人…ダストさんと皆のフォローをしなくてはいけない。

正直、まだクエストにも出てないのにもう不安になってきたよ…

勿論、カズマの方も不安だけど、向こうは冒険者歴が僕らより長い人達でパーティが構成されているのと、念の為カズマには非常時の際には、僕の使い魔が封された札を飛ばすように言ったから大丈夫だろう、と判断したというのも理由の一つだけどね。

 

***

 

「そういえば、お前らってどんなスキルを使えるんだ?」

 

街を出て、クエストへ行く道中でダストさんが思い出したかのようにそう聞いてくる。

 

「私はあの最強の爆裂魔法が使えますよ!」

 

「へぇー!あの爆裂魔法をかぁ…すげえな、嬢ちゃん!」

 

めぐみんが胸を張り自信ありげに言った内容に、ダストさんがそう感心した様に呟くと、めぐみんはフッっと笑った。

 

「ふふ、褒めてもらったお礼として、我が力をお見せしましょう!」

 

「えっ、ちょ、待っ……!」

 

そう言うと、僕が止める前に詠唱を始め…!

 

「『エクスプロージョン』!!」

 

何も無い草原に意味もなく、ぶっ放して、満足気に倒れた。

 

「フッ…今日は中々の出来です…カズマ(爆裂ソムリエ)がいないので、解説と評価がないのが物足りませんが…」

 

 

「た、確かにすげえ威力だけど…!なんで、今出したんだ!?ってか、爆裂ソムリエって何だよ!?」

 

いきなりな展開にダストさんが喚く。うん、まともな反応だからこの人は変人ではないかもしれない(末期)

そんな時、僕の耳に何かが走ってくる音がした。それも複数。

 

「ダストさん!めぐみんを背負って!何かが近づいてきてるから、とりあえず撤退し…!」

 

僕が指示を出しきる前に、それは姿を現した。

一言で言えば、猫科の猛獣。しかし、それは虎やライオンを大きく超える大きさであり、全身が黒い体毛で覆われ、サーベルタイガーのような大きい2本の牙を生やしていた。

 

「しょ、初心者殺しだ!」

 

ダストさんが震える声で呟く。

『初心者殺し』そいつは、ゴブリンやコボルトといった、駆け出しの冒険者にとって美味しいと言われる、弱いモンスターを餌に弱い冒険者を狩る危険度の高いモンスター。しかも、ゴブリンが定着しないようにゴブリンの群れを定期的に追いやって狩場を変える等、狡猾な面もある。

無論、実力もかなりあり、駆け出しから中堅未満の冒険者は見かけたらすぐに逃げるようにとさえ注意されているほどだ。

 

しかも、今回はそれが2匹。1匹なら、今の僕でも皆を守りながら倒せるだろうが、2匹では流石に難しい。

 

「おい、お前ら!逃げるぞ!!アークウィザードが動けないし、そこのルーンナイトは本調子じゃないらしいからさっさとずらかるぞ!」

 

めぐみんを背負ったダストがそう大声で指示を出す。

こればっかりは、僕とアクアさんも同意見で初心者殺しに背を向けて走り出そうとした瞬間だった。

 

「うおおおおぉぉぉぉ!」

 

「ちょ、ダクネス!?」

 

ダクネスが声を上げて突撃して行った。

 

「え、ちょっ!?なんであのクルセイダーはつっこんでいったんだ!?俺、逃げるぞって言ったよな!?」

 

「言ったよ!けど、あのドMはそんなんじゃ止まらないんだ!僕もすっかり忘れてた!!ああ、もう!!僕とダクネスで足止めするから逃げて!」

 

「お、おい!?」

 

後ろからダストさんから制止の声が届くが、それを無視して、左手にミニ八卦銃をだすと、僕は初心者殺したちの方へ狙いを合わせた。

 

 

****

 

俺、カズマと今回一緒に組んだパーティが冒険者ギルドの前に着いた頃には、時刻は既に夜半を回っていた。

ゴブリンの群れの数が多かったり、最後の最後で初心者殺しに追っかけられたものの、無事にクエストを達成出来た。

 

「つ、着いたああああっ!今日は、なんか大冒険した気分だよ!」

 

女の子の魔法使いである、リーンの声を聞きながら、俺たちは笑いながらギルドのドアを開け──

 

「ぐずっ……。ふぐっ……、ひっ、ひぐぅ……。あっ……ガ、ガズマあああっ……」

 

泣きじゃくっているアクアをみて、俺はそっとドアを閉めた。

 

「おいっ!気持ちは心底よーく分かるが、ドアを閉めないでくれよっ!」

 

閉められたドアを開け、半泣きで食ってかかってきたのは今朝俺に絡んできたあの男。

ダストという、アクアたちのパーティの新しいリーダーだ。

酷い惨状だった。

ダストは背中にめぐみんを背負い、ホムラは、白目を向いて気絶したダクネスを背負って疲れた顔をして、目のハイライトを出張させている。そしてアクアは先程も言った通り、泣きじゃくっている。

よく見ればアクアは頭に大きな歯形を残し、涎かなにかは知らないが、なんとなく湿っぽい。

 

「えっと何これ。いや、大体わかる。何があったかは大体わかるから聞きたくない」

 

「聞いてくれよ!聞いてくれよ!!」

 

半泣きのダスト曰く、めぐみんを褒めたら急に爆裂魔法をブッパして、その音で初心者殺しが二匹もきて、鎧を着てないダクネスが突撃して気絶して、ホムラが1人で初心者殺しを一匹倒して、もう一匹を何とか追っ払ったと。

 

…よし、ホムラ次第だがとりあえず……

 

「おい皆、初心者殺しの報告はこいつがしてくれたみたいだし、まずはのんびり飯でも食おうぜ。うちのホムラも入れて、新しいパーティー結成に乾杯しよう!」

 

「「「おおおおっ!!」」」

道中の俺の話とダストの話で、ホムラの有用性を理解しているリーンたちが喜びの声を上げる。

 

「俺が悪かったからっ!!今朝のことは謝るから許してください!!」

 

結局、パーティーは元通りになり、俺はまたアクア達のリーダーとなった。

余談だが、ホムラはそれが決定した時、とても安心した表情を浮かべていた。

 

曰く、「僕だけじゃフォローしきれないから…」とのこと…やっぱり無理矢理でも、パーティー交換のとき、ホムラも連れてくればよかったな。

 




解説コーナー

ダスト:職業は戦士。The・チンピラをまさに体現しているキャラ。なんやかんや、カズマ達とは交流が多い気もする。なお、今回の一件でアクアたち=ヤベー奴らと認識したため、カズマ(とこの小説ではホムラ)の苦労の理解人にもなった。実際、原作でもそのような発言見られたからね。なお、とある人物との関連性が疑われているが…

リーン:職業はウィザードの尻尾を生やしてる女の子。ダストのやらかしの後始末をやったりと苦労人気質。余談なのですが、タヌキ尻尾モフモフしたいと思うのは自分だけでしょうか?(お巡りさん、俺です)
なお、胸部装甲はう(これから先は赤く汚れている)

冬将軍の刀:まさか、ノーリスクで強力な武器が使えるとでも思っていたのか?そんなこと、読者が許すわけないだろう!というわけでデバフ持ちの呪いの武器的な感じに。
ファイナル○ァンタジー的には、スリップダメージ+死の宣告+スロウ、というトンデモ仕様。なお、あるクルセイダーのみ、死の宣告部分は効かずにスリップダメージが増えるだけの模様。なんでだろうね(すっとぼけ)
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