この話が中々上手くまとまらず、息抜きで違う小説投稿してたら結果としてこのように遅れてしまうことになってしまいました…
待っていてくださった皆様に、改めて謝罪の言葉を。
大変、申し訳ございませんでした。
ある日の朝、カズマに稽古をつけようとした気だった。
『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!機動要塞デストロイヤーが、北西方面から現在この街に向かって接近中!冒険者各員は、装備を整えてギルドへ!街の皆さんは、直ちに避難して下さーい!!』
そんな警報が鳴り響き、とりあえず装備を整えるためにカズマと一緒に屋敷に戻ると、そこは既に阿鼻叫喚としていた。
「逃げるのよ!早く遠くへ逃げるの!!」
色んな物をひっくり返しながら、アクアさんが言った。
その隣では、荷造りを終えためぐみんが小さな鞄を一つだけ置き、達観した様子でお茶を飲んでいる。
その二人を見て、唖然としていたカズマを置いて、僕は装備を整えるために自室へ向かっていると
「ん、ホムラか。警報の通り、早く支度してきてくれ、私は先に行っている」
見たことも無い重装備に身を包んだダクネスが、僕を見るなりそう言ってきた。
「分かった。それじゃ、また後で」
僕はそれだけ言って、自室に入って装備を整えた。
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「皆さんお集まりいただき、ありがとうございます!早速ですが概要を説明いたします!放送でも述べたように、機動要塞デストロイヤーが現在北西方面からこの街に接近中です!皆さんには、デストロイヤーの討伐を依頼します!全員参加でお願いします!レベル制限はありません!無理と判断した場合はには、街を捨て全員で逃げる事になります。皆さんがこの街の最後の砦です。どうか、よろしくお願いします!」
ギルドに入ると、中はざわめいており、その中でも声が通るようにギルドの職員の人が声を張り上げた。
その間にも、他の職員達が酒場になっている部分のテーブルをギルドの中央に寄せ集め、即席の会議室みたいな空間をつくりだす。
空気が予想以上に張りつめていることから、そのデストロイヤーというのはそれほどやばいものなのだろう。
その後、職員の人がそのデストロイヤーについて説明を始めた。
曰く、デストロイヤーは元々は対魔王軍の兵器として魔道技術大国ノイズで作られた超大型ゴーレムとのことで、外観は蜘蛛のような形状をしており魔法金属をふんだんに使われているためか、小さな城ぐらいの大きさにも関わらず、かなり軽量でその速度は馬を超える。そして、凄まじい速度で動いているため、蜘蛛のような八本足で踏まれれば大型のモンスターをあっさりとミンチにし、体は常に強力な魔力結界をはられている上、金属なので弓矢などは効かず攻城用の投石器は速度的に当てるのは不可能。さらには、対空用の小型バリスタを操作する自立型ゴーレムと戦闘用ゴーレムが胴体部分の上に配備されているとのこと。
なるほど、スペックは驚異的の一言に限る。
その後、色々とデストロイヤーの策を止めるために意見が飛び交っているがどれも前例があり、そして失敗したとのこと。
難航する会議に飽きたのか、僕らのそばに居たテイラーさんが
「なあ、ホムラとカズマは何かいい考えないのか?」
そんなことを言ってきた。
「うーん、魔法結界さえ何とか出来ればって話になるからなぁ…僕だと力不足だから破れないだろうし」
「…いや、ウィズの話じゃ、魔王の城に貼られている魔力結界ですら幹部二、三人が維持してる程度のものならアクアでも破れるって聞いた…なあ、アクア。デストロイヤーの結界もホムラの力を合わせれば破れるんじゃないか?」.
「うーん、そうねぇ…確約は出来ないけど可能性としてはないことはないわ」
アクアさんは、カズマの提案に少し悩みながらもそう返した。
「デストロイヤーの結界を破れるんですか!?」
「いや、確約はできないって話です」
アクアさんの発言に、ギルドの人が大声を上げて反応し、カズマはそれを慌てて訂正するように言った言葉にギルド内がざわついた。
「一応、やるだけやって貰えませんか?それが出来れば魔法による攻撃が…!いやでも、この駆け出しばかりのこの街の魔法使いではあの機動要塞相手では火力不足ですし…」
「めぐみんの爆裂魔法じゃダメなんですか?」
職員さんの悩みに僕が質問するように言うと、ギルド内が再びざわめき出した。
「そうか、爆裂魔の嬢ちゃんが…!」
「頭のおかしい紅魔族の子がいたな!」
「おい、その頭のおかしい紅魔族が私のことなら今ここでどれぐらい私の頭がおかしいかを証明することになる」
あんまりな呼び方にめぐみんが杖を持って立ち上がって目を赤く光らせると、冒険者の皆は一斉に目を逸らした。
しかし、勢いで立っためぐみんは周りからの期待の眼差しを受けて顔を赤くしてボソボソと自信なさげに言葉を発した。
「わ、我が爆裂魔法でも、流石に一撃では仕留め…きれないと、思われます…」
再びに椅子に座っためぐみんに加えてあと一人だけ、爆裂魔法の使い手が居れば──とギルド内がそんな空気になった時、入り口のドアが開けられた。
「すみません、遅くなりました…!ウィズ魔道具店の店主です。一応冒険者の資格持っているので、私も手伝いに…」
「店主さんだ!」
「貧乏店主きた!これで勝つる!」
「勝ったな、トイレ行ってくる」
入ってきたのはウィズさんで、彼女を認識した冒険者たちは熱烈な歓声を上げた…1人、何か不安になるようなこと言ってた気もするけど。
しかし、何故冒険者の皆はウィズさんが来ただけで勝てると騒ぎ出したんだろう?
「なあ、なんでウィズってこんなに有名なんだ?人気ありそうだがどうなってんだ?てか、貧乏店主はやめてやれよ…そこまで儲かってないのか?」
「知らないのか?あの人は元々は高名な魔法使いでな。凄腕のアークウィザードとして名を馳せてたんだが、引退して暫く姿を現さなかったかと思うと、突然この街に現れて店を出したんだ。そんで、あの店が儲かってない理由は、駆け出しが多いこの街では高価なマジックアイテムを必要とする冒険者がいないのが原因だな」
同じく疑問に思ったカズマの質問にテイラーが答えてくれた内容に、そんなことがあったのかと1人納得している一方、デストロイヤーを倒す案がまとまり始め、左右の脚を爆裂魔法が使えるウィズとめぐみんがそれぞれ吹っ飛ばし、仮に失敗した場合はハンマーを持った前衛職の冒険者が脚を破壊。その後、本体に突入できるようにロープ付きの矢を持ったアーチャーがこれを使って中に入れるようにして、身軽な装備の冒険者は突入準備を整えるという形で作戦は纏まった。
****
街の前には、街の住民も集まって突貫作業で即席のバリケードが組み上げられており、デストロイヤーを迎え撃つ予定の平原では罠を設置をできるものたちが無駄とは知りつつも即席の罠をしかけていた。
「ねえ、ダクネスの固さは知ってるけど今回は流石に無理があるから後ろで待機して欲しいんだけど…」
僕は、街の正門前のバリケードのその更に前で立ちはだかるダクネスを説得していた。
しかし、どんなに説得を続けてもダクネスは先程からここから動かないと言って聞かず、新品の大剣を地面に刺し、柄に両手にかけて遠くにいるであろうまだ姿を見せないデストロイヤーの方を見ている。
「……ホムラ、私は聖騎士だ。そして、それ以外にも私にはこの街を守る理由がある。その理由は、いずれ話すかもしれない」
先程まで黙っていたダクネスが口を開き、僕がその言葉に頷くのを横目で見ると彼女は話を続けた。
「今はまだ言えないが、私にはこの地の住人を守る義務がある。この街の住人たちは気にしないだろうが、私は少なくともその義務があると思っている。…だから、何を言われようともここからは何があっても一歩も引かん」
そう言った彼女の目は見たことがないほど真剣で、何があっても揺るがない覚悟が秘められていた。
僕はこういう時の目をしている人は何をしても動かないことを身をもって知っているので、説得を諦めることにしため息を吐くと、ダクネスは少し困ったような不安気な顔で口を開いた。
「……こんなワガママで頑固なやつは嫌いか?」
「……いや、今のダクネスみたいに覚悟を決めた人のワガママなら嫌いじゃないよ」
僕の返事にダクネスは安心したような表情を見せた。
*****
「ごめん、カズマ。説得するのは無理だったよ」
「まあ、お前で無理なら俺でも同じだっただろうし気にすんな。めぐみん、という訳であの頭も固い変態を守るためにも成功させるぞ」
「そ、そそ、そうですか…!わ、わわ私が、絶対にやらなきゃ……!」
「お、落ち着け!最悪装備をスティールでひん剥いて連れてくるから!」
「…とりあえず、僕は向こう行ってるね」
あ、ホムラの野郎逃げやがったな!?
…めぐみんを落ち着かせつつここで今の状況を改めて確認しよう。
まず、俺達やアクア達の周りにはゴーレムに対し効果がありそうなハンマーなどの打撃武器を持った冒険者たちが集まっている。
そして、アーチャーの人達は先がフック状にし、矢の筈の部分に細くて頑丈なロープをつけた矢をつがえ、万が一の時には動きを止めたデストロイヤーに乗り込めるようにしている。
そんなことを考えている中、魔法で拡大されたギルド職員の声が広い平原に響き渡った。
「冒険者の皆さん!そろそろ機動要塞デストロイヤーが見えてきます!街の住人の皆さんは、直ちに街の外に遠く離れてください!冒険者の各員は戦闘準備を!!」
機動要塞デストロイヤー。
それは転生したどっかのチート持ちの日本人が適当に着けた名前らしい。正直、なんでそんな名前をつけたのか気になっていたののが、デストロイヤーの姿を見た今なら納得出来てしまった。
遠く離れた丘の向こうから、初めにその頭が見え始め、同時に軽い振動を感じた。
そう、かなり距離が離れているはずなのにほんのわずかだけ大地が震えているのだ。
「なんだ…あれ……」
そう呟いたのは誰だったか分からない。だが、その通りデカい。そして、めぐみんとの爆裂散歩であの色んな意味でイカれた魔法の威力を知っている上で言ってしまうが…本当に爆裂魔法で破壊できるのか?
「お、おい、これは無理じゃねえか?」
「もうだめだぁ…おしまいだぁ…」
誰かが慌てたように言葉を発し、また違う誰かが某野菜王子みたいな絶望したような声を出した。
「「クリエイト・ゴーレム!」」
街のクリエイターの皆が地面の土でゴーレムを作り出し、そのゴーレムたちは街を守るように仁王立ちするダクネスの背後へと整列した。
「でけえし速えし、予想以上に怖え!」
「全員頭を低くしろ!絶対にデストロイヤーの前に出るなよ!!」
パニックに陥りかけているものの声や檄を飛ばす者の声が辺りに響くが、正直誰もそれを気にする余裕なんてなかった。それほどまでに、目の前の機動要塞デストロイヤーの威圧感は圧倒的だ。
「ちょっと、ウィズ!大丈夫なんでしょうね!大丈夫なんでしょうね!?」
「大丈夫です、任せてください。私はこれでも最上位のアンデッドの1人ですから。魔力結界を破った後はお任せを!……失敗しちゃったら、皆で仲良く土に還りましょう」
「冗談じゃないわよ!ホムラさああん!!」
「あー、もう!パニックになるのは分かりますけど落ち着いてください!余力があれば僕もマスパ撃ちますから!」
騒ぐアクアを必死に宥めるホムラを見ながら、俺は隣でさらに緊張してガチガチとなっためぐみんに声をかける。
「お前も少しは落ち着け。失敗しても誰も責めやしねえし、責めさねえよ。失敗した時は街を捨てて全力で逃げればいいだけだ。変に考えすぎんな」
「だ、だだだ、だい、大丈夫です!わわわ、我が爆裂魔法でけ、けしゅ飛ばしてくれるわっ!」
…どうやら人は目の前に自分よりめちゃくちゃ緊張してる奴を見ると落ち着くらしい。お陰でちょっと落ちついた。
「来るぞー!戦闘準備ー!!」
テイラーの声が響き渡る中、俺は渡された指示を出すための拡声器のような魔道具を持ちながらタイミングを伺った。
…そう、今回の作戦の要であるホムラ、アクアやめぐみんのパーティーのリーダーだからと魔法のタイミングと現場の指揮は俺に一任されている。
ふと意識を前に向ければデストロイヤーはすぐそこまで接近していて、見あげんばかりの圧倒的な存在感に押しつぶされそうになる。
もし、現場指揮を任されていなければ、ダクネスが留まっていなければ、そしてめぐみんが隣で震えてなければ諦めて今にも逃げていたと思う。
だが、逃げる訳には行かない。
デストロイヤーが仕掛けられた罠を物ともせずに地面を踏みしだく轟音を響かせながら迎撃地点へと突き進んでくる。
「アクア!ホムラ!今だ、やれっ!!」
「ホムラ合わせなさいよ!」
「分かってます!」
「「セイクリッド・スペルブレイカーッ!!」」
俺の合図で2人が魔法を放つ。
ホムラの銃から出た光線をアクアが放った白い光の玉が螺旋を描くように包み込み、デストロイヤーに当たった。
「つきやぶれええええええ!」
撃ち出された2人の合体魔法がデストロイヤーに触れると同時に、一瞬だけ薄い膜のようなものが張られ抵抗したが、ホムラが更に魔力を流し込んだのか、さらに大きくなった光線によってガラスが割れるように粉々に弾け散る。
めぐみんが指示を仰ぐように、微かに震えながら不安そうな表情で俺の顔を見上げてくる。
恐らく、コイツもさっき砕け散った膜が魔力結界ということに気がついていたのだろう。
俺はまず拡声器を使って大声でウィズに指示を出すことにした。
「ウィズ、頼む!そっち側の脚を吹っ飛ばしてくれ!」
続いて、未だに近著で震えながら変わらず不安そうなめぐみんに顔を向ける。
「おいおい、お前の爆裂魔法への愛は本物なのか?いつも爆裂爆裂言ってる奴がウィズに負けならみっともないぞ?お前の爆裂魔法はアレも壊せないゴミ魔法か?」
「な、なにおうっ!?我が名をコケにするよりも、いちばん私に言ってはいけないことを口にしましたね!!」
なるべく小馬鹿にするように言ったのも相まって、めぐみんは先程までの緊張は馬鹿にされた怒りで吹っ飛んだのか、力強く詠唱を始めた。
そして──
「「エクスプロージョンッ!!」」
同じタイミングで放たれた2人の魔法は機動要塞の脚を全て吹き飛ばした。
****
「く、悔しいです…流石はリッチー、私ではまだウィズの爆裂魔法に勝てないようです…」
脚を失ったデストロイヤーは轟音と共に平原のど真ん中を慣性の法則で街の方へ進んで行ったが、その巨体は最前線で立ち塞がるダクネスの目と鼻の先で動きをとめた。
そして、めぐみんは俺に支えられながら悔しそうに呻いている。
「も、もう一度…!もう一度チャンスが欲しいです!次こそ、私の爆裂魔法こそが1番だとの証明を…!」
「こ、こらやめろ!ズボンを掴むな!褒めてやろうとした矢先に騒ぐなよ、お前は!とりあえず安全な場所に連れて行ってやるからそこで休んでろ!」
めぐみんを近くの木陰まで引っ張って横たわらせて、改めてデストロイヤーを見やる。脚を失ったデストロイヤーはうんともすんとも言わずに沈黙を保っていた。
落ち着いて状況を把握できるようになってきた冒険者達からは感嘆の声が上がり始めた。
だが、この世界に来てから俺は何となく学んでいる。
大抵、こういう時に限って恒例の、やったか!?みたいなフラグになるような発言は慎み、油断せず決して驕らず様子を…!
「やったわ!期待外れもいいとこだったわね!さあ、帰ってお酒を飲みましょう!なんたって、一刻を滅ぼす原因になった賞金首よ、報酬は一体おいくらかしらね!!」
「アクアさん、それってフラグなのでは?」
「そうだぞ、このバカっ!そんなこと口走ったら…!」
「……?な、なんでしょうかこの地響きは……」
俺が迂闊なことを口にしたアクアを止めようとした途端、こちらに近寄ってきていたウィズが不安そうなデストロイヤーの巨体を見上げた。
大地が震えるようなこの揺れは、明らかにこのデストロイヤーから。
冒険者たちが不安げにその巨体をみあげる中、それは唐突に。
「この機械は、機動を停止致しました。この機体は、機動を停止しました。排熱、及び起動エネルギーの消費が出来なくなっています。搭乗員は速やかに、この機体から離れ、避難してください。この機体は…」
デストロイヤーの内部から流れ出した機械的な音声が何度も同じよう内容を繰り返し、それを聞いた俺は思わず。
「ほら見た事か!!お前ってやつは、1つ役立つと、2つ足引っ張らないと死ぬ病気にでも掛かってんのか!?」
「待って!ねえ待って!私、今回まだ何もしてないから!!私、なんも悪くないわよ!!」
クソッタレがあああああっ!!
解説コーナー
テイラー:ダストのパーティーリーダー。職種はクルセイダー。
セイクリッド・スペルブレイカー:ホムラとアクアによるオリジナルの合体魔法。簡潔に言うと、原作でアクアが放った「セイクリッド・スペルブレイク」とホムラが決壊破り様に術式を弄ったマスパを同タイミングでなおかつ混じり合うように撃つというもの。