この妖怪の血を引く者に祝福を!   作:ゆっくり妹紅

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何とか短い期間で投稿が出来た…これからもこんぐらいのペースで出来ればなぁ…

とりあえず本編の方どうぞ


第8話

 

 

「あ、ありのままに起こったことを話すぜ!クエストが無事に終わって、街の中を歩いてたら茶髪でいかにも高そうな青い鎧を着て、腰に剣を差したイケメンがアクアに話しかけてきた…!何を言ってるかわからねーと思うが俺も分からねえぜ…!」

 

「急にどうしたのさ、カズマ」

 

まあ、カズマが言ったように突然、アクアさんに、槍を持った戦士風の美少女と革鎧を着てダガーをこしにぶら下げてる美少女を引き連れ、茶髪でいかにも高そうな青い鎧を身に付け、腰に剣を差し、イケメンが話しかけてきた。

そして、当のアクアさんは…

 

「……?」

 

まるで、誰だこいつと言わんばかりにキョトンとしていた。

でも、アクアさんを見て女神様って言ってるってことは転生者なのだろう。

 

「おい、急に出てきて私の仲間に何の用だ?気安く触れるな」

 

ダクネスが真剣な顔で男の肩を掴む。ど、どうしよう…

 

「ダクネスがダクネス(ドM)してない!?」

 

「だな、普段からあんな感じなら苦労しないのにな」

 

僕とカズマの会話を聞いて、ダクネスは顔を赤くした。普段の自分があれなの自覚してるんだね…

 

「んんっ!!おい貴様。アクアの知り合いという割には、肝心のアクアがお前に反応していないのだが」

 

咳払いをしたダクネスが言う通り、アクアさんは全く反応していない。それを見て、男はアクアに詰め寄るように言う。

 

「アクア様!僕です!御剣響夜です!あなたに魔剣グラムを頂きこの世界に転生した…」

 

その男…ミツルギは腰から剣を抜いて見せた。ふむ…確かに魔力を感じるし、かなりいい剣に見える。

 

「あ、あー…。居たわねそんな人も!他にも結構な数を送ったし、忘れててもしょうがないわよね!」

 

アクアさんの言葉にミツルギは顔を引き攣らせたが、すぐに笑顔に戻して話しかけた。

 

「ええっと、お久しぶりですアクア様。あなたに選ばれた勇者として、日々頑張ってますよ。ところでアクア様は何故この世界に?というか、何故檻が馬車に積んであるんですか?」

 

ミツルギは何故かこちらをチラチラ見ながら話す…何でだろうか?

 

「カズマ、なんであの人はこっち見てるんだろう?」

 

「おおかた、俺らが何か関係あると思ってんだろう」

 

なるほどそういうことか。

その後、カズマがアクアさんがここに来た経緯やその他諸々を説明し…

 

「女神様を無理やり連れてきて!?挙句の果てに檻に閉じ込めて湖に浸けた!?君は一体何を考えているんだ!?」

 

それが終わった瞬間、ミツルギはカズマの胸倉をつかみ、ブチ切れた。

いや、アクアさんがこの世界に来た理由に関しては、カズマのことを馬鹿にしなければ良かっただけの話なんだけど。

…いや、恩人がそんな目に遭わされたって聞いたら普通ブチ切れるか。僕も藍様や紫様とかがそうなってたらブチ切れてるだろうし。

アクアさんは激昴するミツルギを慌てて止めに入った。

 

「ちょ、ちょっと!私としては連れてこられた事はもう気にしてないし、それなりに楽しくやってるのよ?それに、魔王を倒せば帰れるんだし!今日のクエストだって怖かったけど怪我もなく無事に完了できた訳だし。しかも、報酬を全部くれるって言うの!」

 

アクアさんがそう言うが、ミツルギは憐れむようにアクアさんを見た。

 

「アクア様、こんな男にどんな風に丸め込まれたかは知りませんが、報酬がたった30万なんて不当ですよ…ところで、アクア様は普段どこに寝泊まりしてるのですか?」

 

「えっと…馬小屋だけど…」

 

 

「はぁ!?」

 

アクアさんの答えに、ミツルギはありえないと言いたげな表情で更にカズマの胸倉を掴む力を強める。

 

 

「…痛いんですけど」

 

睨んでくるミツルギにカズマも睨み返してはいるが、力を緩める気配もなければ離す感じも全くない。

これは流石に止めに入らないと。

 

 

「気持ちは多少わかるけどやりすぎじゃないかな?それ以上カズマに何かするって言うなら僕も黙って見てないよ?」

 

「その通りだ。知り合いかなんだが知らないが、礼儀知らずにも程があるだろう」

 

ダクネスも一緒に言うと、ミツルギはカズマを離し、こちらを見た。

 

「すまない、冷静になれずつい…クルセイダーに、獣人?の君は…」

 

「ルーンナイトですよ」

 

「なるほど、それにアークウィザード…ふむ、君はパーティメンバーに恵まれてるようだね」

 

 

「そりゃどうもー」

 

ミツルギから開放されたカズマが襟元を正しながらミツルギから距離をとる。

 

「なあ、何でアイツキレてるんだ?馬小屋に泊まるなんて普通だろ?」

 

「あー、普通の転生者はチート武器とか能力のおかげで最初から高難易度のクエストを沢山クリア出来るからお金に困ってないんじゃない?」

 

「ええ、ホムラの言う通りよ、多分それで怒ってるんじゃないかしら?」

 

カズマの疑問に僕の推測を伝えるとアクアさんもそれに同調した。

カズマはそれを聞いて納得した同時にさっきより怒気が増したようだ。

そりゃ、なんも苦労もしてないやつからいきなり上から目線で説教されたら誰だってムカつく。まあ、僕もミニ八卦銃っていうチート武器貰ってるから人の事とやかく言えないけど。

 

「安心しろホムラ。ミニ八卦銃なんか無くてもお前は充分チート級に強い」

 

「いや、師匠たちと比べたらまだまだ…ちょっと待って。何で僕が考えたこと分かったの?」

 

僕らがそんなことを話してると、ミツルギは憐れむような視線でアクアさんを見た。

 

「君たち、今まで苦労してきたんだね。これからは僕のパーティーに入るといい。高級な装備品も買い揃えてあげるし、もちろん馬小屋でなんて寝泊まりさせない。パーティーの構成的にもバランスがいいじゃないか。ソードマスターの僕に、僕の仲間の戦士と盗賊。クルセイダーのあなたに、アークウィザードのその子にアクア様。ピッタリなパーティじゃないか」

 

「カズマ、僕ってあの3人みたいに特化してるものがないからハブられたのかな?」

 

「いや、アイツがただ単にハーレム作りたいだけなんだろ。それとお前があいつらみたいに変な方向に特化してたら俺は泣くぞ、寧ろバランスがいいお前じゃないと俺はダメだ」

 

「なんかそこまで必死に言われると、どう反応すればいいか分からないや…」

 

ミツルギの言い方は若干ムカつくがかなりの好待遇。指名された3人の反応を伺ってみると…

 

「あの人本気でひくぐらいキモイんですけど。ナルシストも入っててやばいんですけど」

 

「私もあの男は生理的に受けつけない。攻めるよりも受けるのが好きな私だが、あいつだけは無性にボコボコにしたいのだが」

 

「あの苦労知らずの、スカしたエリート顔に爆裂魔法ぶち込んでいいですか?いいですよね?」

 

大不評であちらに移籍はしないようだ…それはともかく、爆裂魔法ぶち込もうとするめぐみんを抑える。こんな街中でやられたら大惨事だし、テロリスト扱いされる。

 

 

「ねえ、カズマ。特典をあげた私が言うのもおかしいけど、無視して早くギルドに行こう?関わらない方がいい気がするわ」

 

アクアさんがカズマの裾を掴み、そう言う。カズマもそれに同意しその場を去ろうと一言言う。

 

「えーと、俺の仲間は満場一致であなたのパーティには入りたくないそうです。それじゃ」

 

そして、去ろうとしたのだがミツルギはその前に立った。

 

「…どいてくれます?」

 

カズマはイラつきながら退くように促すもミツルギは聞く耳を持たず話を進める。

 

「悪いが、アクア様をこんな境遇には置いてはおけない。アクア様は僕と一緒に来た方が絶対にいい。そこで、提案なんだがアクア様を持ってこられる者として指定したんだろう?僕が勝ったらアクア様を譲ってくれ。もし君が勝ったら何でも一つ、言う事を聞こうじゃないか」

 

 

「よし!乗った!」

 

ミツルギの提案に同意したと同時に、カズマは腰に指していた短剣を片手にミツルギに斬りかかった。

 

「え、ちょっ!まっ…!」

 

ミツルギはそれに驚きながらも剣を急いで抜いてそれを防ぐと同時にカズマは左手を突き出す。

 

「スティール!」

 

カズマが発動したスキルでミツルギの魔剣を1発で奪った。

一方、ミツルギは何が起こったのか呆然としていた。

 

「へ?」

 

「ほい」

 

そんな、隙だらけなミツルギにカズマは奪った魔剣の面の部分で思い切り頭を叩いて気絶させた。

 

 

「卑怯者卑怯者卑怯者ー!」

 

「あんた最低よ!この卑怯者!ちゃんと正々堂々と戦いなさいよ!」

 

カズマとミツルギの勝負が終わった瞬間、連れの女の子二人がカズマを非難し始めた。

だが、カズマはそんなのお構い無しに話を進める。

 

「俺の勝ちってことで。こいつ、負けたらなんでも言うこと聞くって言ってたな?それじゃあ、この魔剣貰っていきますね」

 

「なっ!?ば、バカ言ってんじゃないわよ!それに、その魔剣はキャウヤにしか使いこなせないわ。魔剣は持ち主を選ぶのよ。既にその剣は、キョウヤを持ち主と認めたのよ?あんたには、魔剣の加護を得られないわ!」

 

カズマの言葉に、少女が自信ありげにそんなことを言ってくる。

カズマはアクアさんの方を向くも、帰ってきたのはその魔剣はミツルギ専用のもので、カズマではちょっと切れ味がいい剣程度にしかならないとのこと。

カズマはそれを聞いて落ち込むも、すぐに切りかえ。

 

「まあ、せっかくだし貰ってくわ。んじゃ、そいつが起きたらこれはお前がもちかけた勝負なんだから恨みっこなしだって言っといてくれ。……それじゃアクア、ギルドに報告に行こうぜ」

 

そう告げたカズマを通すまいと、ミツルギの仲間の少女が武器を構えた。

「ちょちょちょ、ちょっとあんた待ちなさいよっ!」

 

「キョウヤの魔剣、返して貰うわよ。こんな勝ち方、私たちは認めない!」

 

それを見たカズマは手をワキワキさせ…

 

 

「別にいいけど、真の男女平等主義者な俺は、女の子相手でもドロップキックを食らわせれる公平な男。手加減してもらえると思うなよ?公衆の面前で俺のスティールが炸裂す…」

 

「カズマ、それ以上は後で変な言いがかり付けられるかもだから、ここは僕に任せて」

 

僕はカズマの前に出て彼女たちに向き合う。これ以上、カズマに悪い印象をつけたくはない。

 

「ちょっと気になったんだけどさ、あなた達はそこの人が卑怯だってことを理解してますか?」

 

「なっ!キョウヤが卑怯ですって!?何言ってるのよ!」

 

予想通りの反応で頭が痛くなってきた…この人たち、ミツルギって人を慕いすぎてよく周りが見れてないのかもしれない。

 

「まず、そこの人はソードマスターという上級職で高レベルなんですよね?」

 

「…ええ、そうよ。けど、それがどうしたっていうのよ!」

 

「それが問題なんですよ。カズマは最弱と呼ばれてる冒険者という職業でレベルも1桁。そんな冒険者と高レベルソードマスターがなんの小細工もなしに剣だけで戦ったらどんな結果になるかなんて、誰でも分かること…つまりそこのミツルギは正々堂々とは言いづらい戦いをしかけたのも同然で、卑怯と言われても文句は言えないよ」

 

「…で、でも!」

 

「けど、あなたがたの言う通り、確かにカズマは卑怯と言われてもおかしくはないやり方で勝利しました…けど、格上に勝つためにはそれしか方法がなかった。拒否してるのにも関わらず、無理やりパーティメンバーが引き抜かれるのを防ぐためにね」

 

「……」

 

ここまで言うと、向こうは何も言えず黙りこくってしまった…敵意はまだあるのがまためんどいけど。

 

「とりあえず、この場は収めてくれますか?…もし、退く気がないというなら…僕は容赦しない」

 

「「ヒッ!?」」

 

最後のダメ押しとして、笑顔でお願いしたのに怖がられてしまい…

 

「お、覚えてなさいよぉぉ!」

 

女の子達はミツルギを背負うとどっか行ってしまった。怖がられてたのは誠に遺憾だけど結果オーライだね。

 

「ふう…それじゃギルドに行こ…ちょっと待って、なんでダクネス以外の皆は僕から距離を取ってるの?ねぇ?」

 

「目が据わってる状態であんな笑顔で、あんなこと言われたら誰だってビビるわ」

 

「安心しろホムラ。私はビビってないからな…寧ろ…」

 

「いや、ダクネス。その先は言わなくていいよ…何が言いたいかは分かりたくはないけど分かるから」

 

厄介事を解決した代償として、仲間からも怖がられてしまい、変態を悦ばせてしまった…

 

*****

 

「なんでよおおおぉ!?」

 

あれから数時間後、ギルドでまたしてもアクアさんの叫び声が響き渡った。

何でも、ワニがガシガシ齧りまくった檻の修理代で20万程報酬から天引きされてしまい、結果として10万しか貰えなかったらしいのだ。こればかりは流石にドンマイとしか言えない。

「その、アクアさん。ご飯奢りますから切り替えましょう?僕も報酬20万ほど貰いましたから」

 

「ホムラさん、ありがとうね…」

 

なお、最初は僕が修理代を払おうとしたのだが、珍しくアクアさんが、守ってくれただけで十分だから払わなくていいと言ってきたので断念した。

 

「見つけたぞ!佐藤和真!」

 

そんな時、ミツルギがギルドの入口に来ており、カズマのフルネームを叫びながらやって来た。

 

「君のことはある盗賊の女の子に聞いたら教えてくれたよ。君はぱんつ脱がせ魔だってね。他にも、女の子をヌルヌルにするのが趣味の鬼畜だとね!」

 

「おい待て、その話詳しく」

 

あんまりな汚名にカズマが声を上げるが、ミツルギはそれを無視してアクアさんに向きなおる。

 

「アクア様。僕はこの男から魔剣を取り返し、必ず魔王を倒すと誓います!ですから、同じパーティーに…ん?どうしたんだい、お嬢ちゃん?」

 

ミツルギが何か言い終わる前にめぐみんは彼の裾をひっぱり、カズマの方を指さした。

 

「まず、その男が魔剣を持ってない件について」

 

「!?さ、佐藤和真!ぼ、ぼぼぼぼ僕の魔剣はどうした!?」

 

ミツルギの言葉にカズマは無慈悲にも一言告げた。

 

「売った」

 

「ちっくしょぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「「ああ!?キョウヤ!」」

 

ミツルギは凄まじい勢いでギルドを飛び出し、彼の仲間の少女達も慌てて出ていった。

 

 

「全く何だったのだ、あいつは…。ところで、先程からアクアが女神だとか言われていたが、何の話だ?」

 

「そういえば、そんなことを言ってましたね」

 

そう聞くダクネスとめぐみんに、アクアさんは真剣な表情で2人を見る。

そして…!

 

「今まで黙っていたけど、実は私は女神アクア。アクシズ教団が崇める御神体なのよ!」

 

「「という夢を見たのか」」

 

「違うわよー!何で誰も信じてくれないのよー!?」

 

あっさり流されてしまい、落ち込むアクアさん。まあ、普段の言動を見てたら女神様とは思えないから仕方ない。

そんなやり取りをしていると、ギルドから放送が流れた。

最近多いな…今度はなんだろうか?

 

 

『緊急!緊急!冒険者各員は、武装して正門に集まってください!特に、サトウカズマさん御一行は大至急!』

 

え?なぜに……あっ…(察し)

 




予想以上に長くなってしまった…
今回は特に解説することは無いので解説コーナーはありません

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